平成27年の風俗営業法改正で、深夜のクラブ営業を対象にした新しい許可制度ができました。
建物の中では「特定遊興飲食店営業」として、酒を提供しながら客に遊興をさせる営業が想定されています。
この許可では、警察・建築・消防の三機関が連携して審査にあたることになっています。
テナントにクラブが入る建物のオーナーや防火管理者は、この連携の仕組みと消防法令上の扱いを知っておく必要があります。
クラブが入るテナントの契約を検討しているんですが、消防法令上はどう扱われるんでしょうか。
客にダンスなどの遊興をさせて酒を出す業態は、消防法施行令別表第1上はナイトクラブとして扱われます。
まずは許可制度の仕組みから確認しましょう。
許可を出すのは警察なのに、なぜ建築や消防まで関わるんですか。
建物が法令に違反したまま営業許可だけが先行しないよう、三機関が連携する仕組みが作られているんです。
- ナイトクラブ営業(特定遊興飲食店営業)は平成27年の風営法改正で新しく許可の対象になりました。
- ダンスをさせる施設は消防法施行令別表第1上「ナイトクラブ」として扱われます。
- 許可の審査には警察・建築行政庁・消防機関が連携して関わります。
- 建物が法令に違反していても、要件を満たせば許可自体は出さざるを得ない仕組みになっています。
- 違反が解消されなければ措置命令や刑事告発に進む可能性があると通告されます。
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目次
なぜクラブ営業に新しい許可制度ができたのか

その連携の仕組みを定めた通知が出されています。
平成27年の風俗営業法改正までは、午前六時から翌日午前零時までの時間しか営業できない飲食店が大半で、深夜にダンスなどの遊興をさせる営業は風俗営業として個別に許可を受ける必要がありました。
改正で新設された特定遊興飲食店営業の許可制度は、この時間帯の外で営業する遊興飲食店を対象にしています。
建物にクラブなどのテナントを入れる場合、防火対象物としての扱いが変わる可能性があるため、オーナーや防火管理者も制度の存在を知っておく必要があります。
制度の中身を見ていきましょう。
テナントにクラブの出店話が来てるんですが、うちの建物は大丈夫でしょうか。
まずは客にダンスなどの遊興をさせる業態かどうかを確認しましょう。
そこで扱いが変わってきます。
特定遊興飲食店営業とはどのような営業なのか

条文で確認しましょう。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)は、特定遊興飲食店営業を「ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業」と定義しています。
要件は酒類を提供していることと、午前六時から翌日午前零時までの時間帯だけでは営業しないことの二つです。
この時間帯の外、つまり深夜から早朝にかけて営業する遊興飲食店の多くが対象になります。
ダンスをさせるかどうかで、消防法令上の扱いも変わってきます。
深夜営業のバーとクラブって、何が違うんですか。
遊興をさせるかどうかと営業時間帯が分かれ目です。
風営法の定義で確認できます。
建築基準法と消防法令上はどう扱われるのか

どちらの法令でも判断のポイントは同じです。
特定遊興飲食店営業のうち、客にダンスをさせる施設は、消防法施行令別表第1の適用上「ナイトクラブ」として扱われます。
建築基準法上も、キャバレーやナイトクラブと同じ用途規制(別表第2)と、避難規定である建築基準法施行令第121条の直通階段の規定が適用されます。
一方、ダンス以外の遊興をさせる施設は、これらの規定の適用上「飲食店」や「観覧場」など、施設の実態に即して判断されます。
自分のテナントがどちらに当たるかで、必要な階段の数や避難規定が変わってくる点に注意してください。
ダンスをさせるかどうかで避難階段の数まで変わるんですね。
そのとおりです。
直通階段の規定は特に見落とされやすいので注意してください。
許可を出せば法令違反は見過ごされてよいのか

通知の該当部分を見てみましょう。
建物が建築基準法や消防法に違反する疑いがあると分かっても、許可の要件を満たしていれば、警察は特定遊興飲食店営業の許可自体は出さざるを得ません。
その代わり、許可等の際には申請者に対して、是正指導に従わなければ措置命令や刑事告発に進む可能性があることがあらかじめ通告されます。
許可が下りたからといって、建物の法令違反が解消されたわけではない点に注意が必要です。
違反が見つかったまま放置すると、後から重い手続きに発展する可能性があります。
違反があるのに許可が出てしまうのは意外でした。
許可と是正は別の手続きなんです。
放置すると措置命令に進むこともあります。
許可申請のときになにを確認すればよいのか

通知が示す仕組みを見てみましょう。
特定遊興飲食店営業の許可等の申請では、申請者に対して建物が関係法令に適合しているかどうかを示す書面の提出や提示を求める仕組みが整備されています。
この書面は法令上の添付義務があるものではなく、あくまで行政指導として求められるものです。
そのため、書面が用意できなくても申請自体は拒否されませんが、事前に確認しておけば審査がスムーズに進みます。
テナントの開業前に、消防用設備や避難経路が現状の用途に合っているかを確認しておきましょう。
開業前にうちが用意しておくものはありますか。
法令適合を示す書面があれば審査がスムーズです。
消防用設備の状況も合わせて確認しましょう。
よくある質問
まとめ
制度の仕組みがよく分かりました!
開業前の相談はいつでも歓迎です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 特定遊興飲食店営業の用途に供する営業所を含む防火対象物の防火安全対策における関係行政機関との連携について(平成28年3月15日 消防予第69号 消防庁予防課長)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第11項(昭和23年法律第122号、平成27年法律第45号改正)
- 消防法施行令別表第1(二)項イ(昭和36年政令第37号)
- 建築基準法施行令第121条(昭和25年政令第338号)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





