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中央管理方式の空気調和設備はなぜ温度や湿度まで基準があるのか|浮遊粉じんや二酸化炭素濃度の許容値を解説

空気調和設備の計器盤を点検する担当者と中央管理方式の空気調和設備に温度や湿度の数値基準があることを解説する記事のアイキャッチ画像

建物のなかには、空調設備が空気を温めたり冷やしたりするだけでなく、部屋全体の空気の質そのものを一括して管理している建物があります。
こうした設備は中央管理方式の空気調和設備と呼ばれ、建築基準法施行令が単なる換気設備よりも厳しい基準を課しています。
温度や湿度、浮遊粉じんの量まで、具体的な数値で範囲が決められているのです。
条文をたどるとなぜこの設備だけに数値の基準が上乗せされているのかが見えてきます

うちのビルは全館まとめて空調を管理しているみたいなんですが、これも普通の換気設備と同じ基準でいいんでしょうか。

いいえ、違います。
中央管理方式の空気調和設備には、機械換気設備の基準に加えて数値の基準が上乗せされます。

数値の基準というと、具体的にはどんなものですか。

浮遊粉じんの量や温度、湿度など、条文が細かく数値を定めています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 中央管理方式の空気調和設備は、機械換気設備の基準に加えて数値基準が上乗せされます
  • 上乗せされるのは浮遊粉じんの量一酸化炭素炭酸ガスの含有率などです
  • 温度は18度以上28度以下、湿度は40パーセント以上70パーセント以下という範囲も決められています
  • 個別の空調機など中央管理方式に当たらない設備にはこの数値基準は及びません
  • 該当するかどうかは設備の仕組みそのもので判断します

中央管理方式の空気調和設備に上乗せされる浮遊粉じんや温度湿度気流の数値基準を示した図解

中央管理方式の空気調和設備とはどんな設備を指すのか

大型の空調機から一本のダクトが建物全体へ伸びる様子を示したイメージ
建築基準法施行令は、居室の換気設備を自然換気・機械換気・中央管理方式の空気調和設備の3つに分けています。
このうち中央管理方式の空気調和設備だけは、条文の定義そのものが少し特殊です。
建築基準法施行令第百二十九条の二の四第一項第一号ロ 中央管理方式の空気調和設備とは、空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給(排出を含む。)をすることができる設備をいう。
中央管理方式の空気調和設備とは、空気の浄化・温度調節・湿度調節・流量調節をまとめて行う設備のことです
単に空気を入れ替えるだけの機械換気設備とは異なり、浄化温度湿度流量の4つをすべて備えた設備だけがこの区分に入ります。
建物全体や複数の階をまとめて一つの系統で空調管理している大規模なビルに多い方式です。
逆に言えば、この4つのうちどれか一つでも欠けていれば中央管理方式には当たりません。
自分の建物の空調がどちらに当たるかは、設備の仕組みそのものを見て判断する必要があります。

空気を入れ替えるだけの設備と何が違うんですか。

温度と湿度まで調節できるかどうかが分かれ目です。
そこがこの設備の一番の特徴になります。

この基準はどんな空調設備に上乗せされるのか

壁に並んだ複数の計器盤と空調機を示したイメージ
中央管理方式の空気調和設備は、機械換気設備としての構造基準を満たすだけでは足りません。
条文はさらに数値の基準を上乗せしています。
建築基準法施行令第百二十九条の二の五第三項 建築物に設ける中央管理方式の空気調和設備の構造は、前項の規定によるほか、居室における(略)事項が(略)基準に適合するように空気を浄化し、その温度、湿度又は流量を調節して供給(排出を含む。)をすることができる性能を有し、かつ、安全上、防火上及び衛生上支障がないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとしなければならない。
条文の「前項の規定によるほか」という言葉が示すとおり、この数値基準は機械換気設備の基準の代わりではなく、上乗せの基準です
中央管理方式の空気調和設備は、まず機械換気設備としての構造基準(給気機と排気機の組み合わせや風道の材料など)を満たしたうえで、さらに数値基準まで満たさなければなりません。
どちらか片方だけを満たしていれば足りる、という考え方はできない構造になっています。
上乗せされる基準は、居室の空気の質そのものを数値で管理するためのものです。
自分の建物の空調が該当するなら、両方の基準を意識して維持管理する必要があります。

上乗せということは、両方合格しないとだめなんですね。

そのとおりです。
どちらか一方では基準を満たしたことになりません。

具体的にどんな数値基準を満たさなければならないのか

温度計と湿度計が並んで立っている様子を示したイメージ
条文には、居室の空気の質について6つの項目が数値で示されています。
それぞれの基準値を見ていきます。
同条第三項の表 浮遊粉じんの量 空気一立方メートルにつき〇・一五ミリグラム以下であること。一酸化炭素の含有率 百万分の六以下であること。炭酸ガスの含有率 百万分の千以下であること。温度 十八度以上二十八度以下であること。相対湿度 四十パーセント以上七十パーセント以下であること。気流 一秒間につき〇・五メートル以下であること。
条文が定める数値基準は、浮遊粉じん・一酸化炭素・炭酸ガス・温度・湿度・気流の6項目です
温度は18度から28度の範囲、湿度は40パーセントから70パーセントの範囲に収めることが求められます。
浮遊粉じんの量や一酸化炭素・炭酸ガスの含有率にも、それぞれ上限が数値で決められています。
これらは快適さのためだけでなく、衛生上の観点から定められた数値です。
中央管理方式の空気調和設備を備える建物では、これらの数値を実際に測定・記録しているケースが多いので、記録の有無をまず確認してみてください。

6つも項目があるんですね。
全部覚えないとだめですか。

数値を全部暗記する必要はありません。
該当する設備があるかどうかをまず確認してください。

個別の空調機ならこの基準の対象外になるのか

建物につながる大型空調機と単独の壁掛け型空調機を対比させたイメージ
すべての空調設備がこの数値基準の対象になるわけではありません。
対象になるかどうかは、設備の仕組みで決まります。
建築基準法施行令第百二十九条の二の四第一項第一号ロ(再掲) 中央管理方式の空気調和設備とは、空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給(排出を含む。)をすることができる設備をいう。
個々の部屋に置く単独の空調機は、多くの場合この定義に当てはまりません
温度の調節はできても、浄化や湿度・流量の調節まですべてを一つの系統でまとめて行っていなければ、中央管理方式には該当しないためです。
条文の対象は浄化・温度・湿度・流量の4つをすべて備えた設備に限られています。
「空調がある=この基準の対象」ではなく、「建物全体を一つの系統でまとめて管理しているか」で判断する点が見落としやすいところです。
判断に迷う設備があれば、竣工図や設備業者への確認で仕組みを確かめてください。

うちは各部屋にエアコンが個別についているだけです。
それなら対象外ということですか。

浄化や湿度調節までまとめて行っていなければ、多くの場合対象外です。
ただし設備の仕組み次第なので確認は必要です。

実務で何を確認すればよいのか

点検担当者が計器盤を確認している様子を示したイメージ
自分の建物にこの基準が関わるかどうかは、まず設備の仕組みを確認することから始まります。
確認しておきたいポイントを整理します。
確認しておきたい項目
  • 自分の建物の空調が中央管理方式に当たるかどうか(浄化・温度・湿度・流量をまとめて調節しているか)
  • 該当する場合、機械換気設備としての構造基準もあわせて満たしているか
  • 浮遊粉じん・一酸化炭素・炭酸ガス・温度・湿度・気流の測定記録が残っているか
  • 測定した数値が基準の範囲から外れていないか
まずは設備図面や竣工図で、自分の建物の空調がどの方式かを確認することが第一歩です
中央管理方式に該当する場合は、機械換気設備の構造基準と数値基準の両方を維持できているかを確認してください。
測定記録が無い、または数値が基準から外れている場合は、早めに設備業者へ相談することをおすすめします。
判断に迷う場合は、建築士や設備業者に相談し、必要な調査や是正を行ってください。

まずは設備図面を見て、うちの空調が中央管理方式かどうかを確認してみます。

それが確実です。
仕組みの確認から始めてみてください。

よくある質問

Q中央管理方式の空気調和設備は、大きなビルにしかない設備ですか?
A規模ではなく仕組みで決まります。空気の浄化・温度・湿度・流量をまとめて調節する系統であれば、規模を問わず該当し得ます。
Q数値基準を満たしていないことが分かったら、どうすればよいですか?
Aまずは設備業者や建築士に相談し、原因の調査と是正の方法を確認してください。
Qこの数値基準は、機械換気設備の基準の代わりになるものですか?
Aいいえ、代わりではありません。機械換気設備としての構造基準に上乗せされる基準です。
Q個別のエアコンを複数台まとめて管理していれば中央管理方式になりますか?
A台数をまとめているだけでは該当しません。浄化・温度・湿度・流量を一つの系統で調節できる仕組みかどうかで判断します。

まとめ

中央管理方式の空気調和設備とは、空気の浄化・温度・湿度・流量をまとめて調節できる設備をいいます
この設備には、機械換気設備の基準に加えて数値の基準が上乗せされます
浮遊粉じんの量は空気1立方メートルにつき0.15ミリグラム以下と定められています
温度は18度以上28度以下、湿度は40パーセント以上70パーセント以下の範囲に収めます
一酸化炭素や炭酸ガスの含有率にも上限の数値が定められています
個別の空調機など浄化・温度・湿度・流量をまとめて調節していない設備には数値基準は及びません
該当するか迷う場合は設備業者や建築士に確認してください

まずはうちの空調が中央管理方式に当たるかどうか、設備業者に確認してみます!

仕組みが分かれば、あとは数値の記録を確認するだけです
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法施行令第129条の2の4
  • 建築基準法施行令第129条の2の5
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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