大型の物品販売店舗で火災が起きたとき、避難がうまくいくかどうかは日頃の備えで決まります。
消防庁は長崎屋尼崎店火災という痛ましい火災を教訓に、店舗の防火管理体制を検証する仕組みを示しました。
それが物品販売店舗等における防火管理体制指導マニュアルで、「限界時間」という独自の考え方が中心にあります。
この記事では対象になる店舗の基準から明日からできる備えまでを解説します
うちの売り場、火事のときにちゃんと逃げられるか自信ないんです。
実は消防庁が「限界時間」という考え方で検証する仕組みを示しています。
限界時間ってどういう意味ですか。
火災の発見から区画を閉め切るまでに使える時間の目安のことです。
- 長崎屋尼崎店火災を教訓に平成2年に発出された通知です
- 対象は延べ面積1,000平方メートル以上または3階以上の階の収容人員合計30人以上の店舗です
- 出火区画・隣接区画・竪穴隣接区画ごとに限界時間を設定して検証します
- 検証の訓練は年2回の避難訓練に組み込んで実施できます
- 避難誘導のアナウンス文例をあらかじめ用意しておくと安心です
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目次
物品販売店舗の防火管理体制指導マニュアルはなぜ作られたのか

この火災を教訓に、消防庁は物品販売店舗等の防火管理体制を検証する仕組みを整えました。
検討委員会の議論を踏まえ、平成2年6月4日付けで消防予第63号「物品販売店舗等における防火管理体制指導マニュアルについて」が発出されました。
このマニュアルは消防機関が物品販売店舗等を指導するときの物差しとして、今も現場で使われています。
店舗の防火管理者にとっても、なぜこの基準ができたのかを知っておくことは無駄になりません。
そんな仕組み、聞いたことなかったです。
長崎屋尼崎店火災という大きな火災がきっかけで整備されました。
指導マニュアルの検証対象になるのはどんな物品販売店舗か

基準になるのは延べ面積と、階ごとの収容人員です。
対象になるのは延べ面積1,000平方メートル以上、または3階以上の階の収容人員が30人以上の店舗です。
自店がこの基準に届かなくても、指導マニュアルの考え方に準じて指導することが望ましいとされているので、規模の小さい店舗でも参考になります。
まず自店の延べ面積と、各階の収容人員を確認してみましょう。
うちの店、対象になるか気になります。
延べ面積か階の収容人員のどちらかで確認できます。
指導マニュアルは火災発生時になにを求めているのか

火災の発見から区画を閉め切るまでに、どれだけの時間の余裕があるかを表します。
店舗は出火区画・隣接区画・竪穴隣接区画の3段階に分けて考え、それぞれで発見・通報・初期消火・区画の形成・避難誘導が間に合うかを検証します。
スプリンクラー設備の有無や内装制限の状況によって、限界時間そのものの長さが変わる仕組みになっています。
つまり自店の設備投資が、そのまま避難に使える時間の余裕に直結するということです。
区画を3段階に分けるのは大変そうです。
設備の状況で限界時間そのものが変わる仕組みになっています。
検証のための訓練は年2回の避難訓練と別に必要なのか

指導マニュアルは既存の避難訓練の枠組みをそのまま使えるとしています。
通知が発出された平成2年当時は同規則第3条第5項だった規定が、その後の改正で現行の第3条第10項に移動していますが、年2回以上の消火訓練・避難訓練という中身は変わっていません。
つまり普段の避難訓練の一環として限界時間の検証を組み込めば、二重に訓練を行う必要はないということです。
訓練を実施するときは、あらかじめ消防機関へ通報することも忘れないようにしましょう。
新しい訓練が増えるのは正直きついです。
年2回の避難訓練にそのまま組み込めるので安心してください。
明日から売り場でなにを確認すればよいのか

まず押さえたいのは、火災を確認した従業員が館内にどう伝えるかです。
そのうえで、この文例を自店の放送設備に合わせたアナウンス文例として用意しておくと、いざというときに迷わず放送できます。
出火点に最も近い階段は避難に使えないという前提でも避難経路が成り立つか、一度図面で確認しておくことも大切です。
指導マニュアルの考え方は延べ面積1,000平方メートル未満の店舗でも参考にできるので、規模にかかわらず一度目を通しておくとよいでしょう。
まず何から手を付ければいいですか。
自店が対象かどうかの確認と、放送の文例づくりから始めましょう。
よくある質問
まとめ
今日から自分の店で確認してみます!
お気軽にご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 物品販売店舗等における防火管理体制指導マニュアルについて(平成2年6月4日 消防予第63号 消防庁予防課長)
- 物品販売店舗等における防火安全対策検討委員会設置要綱
- 消防法施行令第1条の2第3項第1号ロ
- 消防法施行規則第3条第10項・第11項
- 消防法施行令別表第一(四)項
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





