共働き世帯の増加を背景に、自分の家で子どもを預かる「ファミリーホーム」や「保育ママ」という働き方が広がっています。
どちらも養育者・保育者の居宅を使う点が特徴ですが、消防法令上はどの用途に区分されるのか分かりにくい仕組みでもあります。
平成22年、消防庁は検討会での議論を踏まえ、これら住居利用型の児童福祉事業の消防法令上の位置付けを全国の消防機関に通知しました。
自宅で子どもを預かる・預ける立場になったとき、消防法令上どこまで確認が必要なのかを、この記事で確認しておきましょう。
自宅でファミリーホームを始めたいという相談を受けたんですが、消防法上どう扱われるのか分からなくて困っています。
実は消防庁が通知で位置付けを示していて、事業の実態によって区分が変わってくるんです。
ファミリーホームと保育ママで区分が違うんですか。
詳しく教えてください。
順番に見ていきましょう。
- 平成22年3月31日、消防庁は住居利用型の児童福祉事業の消防法令上の取扱いを通知しました
- ファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業)は通常、共同住宅等と同じ(5)項ロに区分されます
- 専ら乳幼児の養育を常態とする場合は(6)項ロ又はハに区分が変わります
- 保育ママ(家庭的保育事業)は原則(6)項ハですが、居宅で行う小規模なものは一般住宅扱いになるケースが多いです
- 用途区分にかかわらず消火用具の設置と避難・消火訓練の努力義務は残ります
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目次
ファミリーホームや保育ママの消防法令上の扱いはなぜ通知で示されたのか

児童福祉法の改正により、養育者や保育者の自宅を使って子どもを預かる新しい事業類型が生まれました。
一般的な児童福祉施設とは実態が異なるため、消防法令上どう扱うのか現場で判断に迷う声が寄せられていました。
新しい事業類型の誕生にあわせて出された助言です。
消防庁は平成22年3月31日、消防組織法第37条に基づく助言としてこの通知を発出しました。
背景には児童福祉法の改正で新設された「小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)」と「家庭的保育事業(保育ママ)」という2つの事業があります。
どちらも施設ではなく個人の居宅を使って子どもを預かる点が共通しており、既存の児童福祉施設の分類には収まりにくいものでした。
なお、この通知が引用する児童福祉法の条番号(当時は第6条の2)は、その後の同法改正で現在は第6条の3に移っていますが、第8項・第9項という項番号と規定内容はそのまま維持されています。
だからこそ、区分の考え方をあらかじめ整理しておく必要があったと理解しておくとよいでしょう。
施設ではなく自宅だから、扱いが決めにくかったんですね。
そのとおりです。
次はファミリーホームの区分から見ていきましょう。
ファミリーホームはどの用途に区分されるのか

ファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業)は、養育者の自宅で複数の子どもを養育する事業です。
年齢層や定員の実態に着目して区分が決まる仕組みになっています。
原則は共同住宅等と同じ(5)項ロです。
養育する児童の年齢層は0歳から18歳までと幅広く、定員も5~6名と少人数のため、避難介助を要する乳幼児が利用する蓋然性は高くありません。
養育者の居宅で収入を得ながら人を居住させている実態は、むしろ下宿や共同住宅に近いと考えられています。
一方で、専ら乳幼児の養育を常態とする場合は実態が異なるため、乳児院と同じ(6)項ロ又はハに区分が変わります。
自分のホームがどちらの実態に近いかは、預かる子どもの年齢構成を見れば判断できます。
乳幼児だけを預かる場合は区分が変わるんですね。
気をつけます。
年齢構成が区分の分かれ目です。
次は保育ママの区分を見ていきましょう。
保育ママはどの用途に区分されるのか

保育ママ(家庭的保育事業)は、乳幼児を対象に保育を行う点で保育所と同じ業態です。
ただし、行われる場所の規模によって扱いが変わる点がファミリーホームとの違いです。
原則は保育所と同じ(6)項ハですが、規模で扱いが変わります。
業態が保育所と同様であることから、消防法令上の用途区分は原則として(6)項ハに該当すると考えられています。
ただし、家庭的保育者の居宅で保育が行われている場合は、保育に供される部分の規模が極めて小さいことが一般的です。
この場合は昭和50年の通知が示す考え方により、全体として一般住宅として取り扱われるケースが多いとされています。
同じ保育ママでも、実施場所の規模次第で扱いが変わることを押さえておきましょう。
小さい規模なら一般住宅扱いになることもあるんですね。
ただし、それで義務が消えるわけではありません。
次は落とし穴を見ていきましょう。
一般住宅扱いになっても消防法令上の義務は消えるのか

ここが実務でいちばん見落としやすいところです。
用途区分が一般住宅や共同住宅であっても、それぞれの事業には別の根拠で義務が課されています。
用途区分と設備義務は別の話です。
ファミリーホームは児童福祉法施行規則第1条の20で、消火用具・非常口の設置と訓練の努力義務が課されています。
保育ママ側は現在、家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準第7条が根拠となっており、避難及び消火の訓練は少なくとも毎月一回行うことが明記されています。
「一般住宅扱いだから消防法令上は何もしなくてよい」という理解は誤りで、事業者としての義務は用途区分と関係なく残ります。
月1回の訓練実施記録を残しているかどうかは、自分で振り返っておく価値があります。
一般住宅扱いだから安心と思っていましたが、そうではないんですね。
用途区分と事業者としての義務は別物です。
次で明日からの確認事項をまとめます。
自宅で子どもを預かる・預ける前に明日から何を確認すればよいか

最後は、自分のホームや保育室がどちらに当たるかを確認する手順です。
ファミリーホーム・保育ママそれぞれの立場で振り返っておきましょう。
まず預かる子どもの年齢構成を確認してください。
ファミリーホームは、専ら乳幼児の養育を常態としていないかを確認し、該当する場合は所轄消防署へ用途区分の相談をしましょう。
保育ママは、保育に使っている部屋の面積や規模が「極めて小さい」と言える範囲に収まっているかを見直してください。
どちらの立場でも、消火用具・非常口の状態と避難訓練の実施記録(保育ママは少なくとも月1回)が揃っているかを確認しておくと安心です。
判断に迷う点があれば、用途区分の最終確認は必ず所轄消防署に相談しましょう。
年齢構成と部屋の規模、それに訓練の記録を見直してみます。
迷ったら所轄消防署への相談が確実です。
まとめで全体を振り返りましょう。
よくある質問
まとめ
ファミリーホームと保育ママで区分の考え方が違うことがよく分かりました!
まずは訓練記録の見直しから確認してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 住居利用型の児童福祉事業に係る消防法令上の取扱いについて(平成22年3月31日 消防予第158号)
- 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)別表第一(5)項ロ・(6)項ロ・(6)項ハ
- 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第六条の三第8項・第9項
- 児童福祉法施行規則(昭和23年厚生労働省令第11号)第1条の20
- 家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第61号)第7条
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





