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児童福祉施設が(6)項ロと(6)項ハに分かれるのはなぜか|入所の有無で変わる自動火災報知設備の設置基準を解説

児童福祉施設が(6)項ロと(6)項ハに分かれる基準を解説するアイキャッチ画像

乳児院や保育所、児童養護施設は、どれも児童福祉法にもとづく児童福祉施設です。
ところが消防法上は、令別表第一(6)項ロと(6)項ハという別々の区分に分かれ、しかも分け方の基準そのものが施設によって違います。
老人ホームや障害者施設のように入居者の割合で判定するとは限らず、施設の種類によっては条件なしで区分が固定されていたり、宿泊させる実態の有無だけで扱いが変わったりします。
この記事では、消防法施行令の条文と消防局の公表資料をもとに、児童福祉施設が(6)項ロとハに分かれる基準と、宿泊の有無が設備義務に直結する仕組みを解説します。

うちは認可保育所ですが、知り合いの児童養護施設が急に自動火災報知設備を全部つけ直したと聞いて心配になりました。
うちも同じことになるんでしょうか。

保育所と児童養護施設は、同じ児童福祉施設でも消防法上の扱いが違います。
まずは(6)項の中でどう分かれているかを確認しましょう。

児童福祉施設ならひとまとめの扱いかと思っていました。

実は施設の種類によって、分かれ方の仕組みそのものが違います。
今日はその違いを一緒に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 乳児院と障害児入所施設は、老人ホームのような「主として」入居させるかどうかの条件なしで無条件に(6)項ロに固定されます
  • 保育所・幼保連携型認定こども園は宿泊を伴わないため、常に(6)項ハに区分されます
  • 助産施設・児童養護施設・児童自立支援施設・児童心理治療施設は、入所(宿泊)させる実態があるかどうかで(6)項ハの中の扱いが変わります
  • 宿泊させる児童福祉施設は、消防法施行令第21条により面積を問わず自動火災報知設備の設置が必要になります
  • (6)項は特定防火対象物にあたり、既存の建物でも新しい基準がそのまま遡及適用されます

児童福祉施設が宿泊の有無で(6)項ロと(6)項ハの設備義務が変わる仕組みを示した図解

乳児院と保育所はなぜ同じ児童福祉施設なのに区分が違うのか

乳児院の建物で職員が乳児を抱いている様子と保育所の建物の前に子どもが立っている様子を並べて児童福祉施設の区分の違いを示したイメージ
乳児院も保育所も、児童福祉法にもとづく児童福祉施設という点では同じ立場にあります。
ところが消防法施行令別表第一を見ると、置かれている場所がまったく違います。
消防法施行令別表第一(6)項ロ 次に掲げる防火対象物(略)(3)乳児院(略)
同項ハ 次に掲げる防火対象物(略)(3)助産施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童養護施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター、児童福祉法第六条の三第七項に規定する一時預かり事業又は同条第九項に規定する家庭的保育事業を行う施設その他これらに類するものとして総務省令で定めるもの
児童福祉施設は(6)項ロとハの両方にまたがっています
乳児院だけが(6)項ロ(3)という、老人ホームや障害者施設と同じグループに置かれ、保育所・幼保連携型認定こども園・児童養護施設・児童自立支援施設・児童家庭支援センターなどは(6)項ハ(3)にまとめて挙げられています。
名前に「児童福祉施設」とつくだけでは、どちらに当たるかは決まりません。
条文を一つずつ確認する必要があります。

乳児院だけが特別なグループなんですね。

そうです。
なぜ乳児院だけが別枠なのか、次はその理由を見ていきましょう。

乳児院や障害児入所施設はなぜ無条件でロに固定されるのか

車椅子の人と子どもが施設の入口に並んでいる様子で障害児入所施設が無条件で区分が固定されることを示したイメージ
老人ホームや障害者施設には「主として避難が困難な人を入居させる場合に限る」という条件がついています。
乳児院と障害児入所施設には、この条件がありません。
消防法施行令別表第一(6)項ロ(1) 老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム(避難が困難な要介護者を主として入居させるものに限る。)、有料老人ホーム(避難が困難な要介護者を主として入居させるものに限る。)(略)(3)乳児院(4)障害児入所施設(5)障害者支援施設(避難が困難な障害者等を主として入所させるものに限る。)(略)
乳児院と障害児入所施設には割合の条件が付いていません
老人ホーム((6)項ロ(1))や障害者支援施設((6)項ロ(5))は、避難が困難な人を主として入居させる場合に限ってロに区分されると条文に書かれています。
一方で乳児院((6)項ロ(3))と障害児入所施設((6)項ロ(4))の条文には、そうした条件が一切ありません。
つまり入所している乳幼児や障害児の状態にかかわらず、施設として存在する時点で(6)項ロに区分されます。
自力での避難が難しい年齢の乳幼児を主な利用者として想定した施設だからこそ、割合を問わない扱いになっていると考えられます。

老人ホームは割合で変わることがあるのに、乳児院はいつも同じ扱いということですか。

そのとおりです。
一方で保育所や児童養護施設は、まったく別の基準で扱いが決まります。

助産施設や児童養護施設はどんな基準でハの中の扱いが分かれるのか

ベッドが並ぶ施設の建物と机と椅子が並ぶ施設の建物を並べて宿泊の有無で扱いが変わることを示したイメージ
(6)項ハに区分される児童福祉施設の中でも、設備の基準はさらに分かれます。
分け目になっているのは、老人ホームのような割合ではありません。
消防法施行令第21条第1項第1号 次に掲げる防火対象物(略)ロ 別表第一(6)項ハに掲げる防火対象物(利用者を入居させ、又は宿泊させるものに限る。)
同項第3号 次に掲げる防火対象物で、延べ面積が三百平方メートル以上のもの(略)ロ 別表第一(6)項ハに掲げる防火対象物(利用者を入居させ、又は宿泊させるものを除く。)
ここでの分け目は「入所(宿泊)させるかどうか」という有無です
老人ホームは要介護3以上の人が半数以上かどうかという割合で判定されますが、児童福祉施設のハの中では、そもそも利用者を入居・宿泊させる実態があるかないかだけで自動火災報知設備の基準が変わります。
助産施設・児童養護施設・児童自立支援施設・児童心理治療施設は、日々の入所を伴う施設なので基本的に「入居させ、又は宿泊させるもの」に当たります。
一方、保育所や幼保連携型認定こども園は日中の通所だけで宿泊を伴わないため、最初から「宿泊させるものを除く」側に入ります。
割合を数える必要はなく、施設の運営実態として宿泊があるかどうかを確認すれば判定できます。

割合を数えなくていいなら、老人ホームより分かりやすいですね。

分かりやすい分、義務の差ははっきり出ます。
次はその設備義務の重さの違いを見てみましょう。

宿泊のある児童福祉施設はどんな設備義務を負うのか

天井に設置された火災報知設備の下に子ども向けの本棚と机が置かれた部屋の様子で設備義務を示したイメージ
「宿泊させるかどうか」の違いは、実際の設備義務の重さに直結します。
そしてこの義務は、建物の古さに関係なく及びます。
消防法施行令第34条の4第2項 法第十七条の二の五第二項第四号の多数の者が出入するものとして政令で定める防火対象物は、別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ及び(十六の三)項に掲げる防火対象物のうち、百貨店、旅館及び病院以外のものとする。
宿泊させる施設は面積を問わず自動火災報知設備が必要です
前章の令第21条第1項第1号ロにより、入所・宿泊を伴う助産施設・児童養護施設・児童自立支援施設・児童心理治療施設は延べ面積の下限なしで自動火災報知設備の設置対象になります。
通所だけの保育所や幼保連携型認定こども園は、同条第3号ロにより延べ面積300平方メートル以上からの義務にとどまります。
さらに(6)項は上の条文により特定防火対象物にあたるため、消防法第17条の2の5第2項第4号の規定で、既存の建物にも新しい基準がそのまま遡及適用されます。
「昔からある建物だから」「増築していないから」は、設置義務を免れる理由になりません。

うちの児童養護施設は古い建物のままですが、それでも新しい基準がかかるんですか。

はい、かかります。
最後に、確認しておくべき手順を整理しましょう。

自分の施設がどちらに当たるか確認するには何をすればよいか

受付でクリップボードを手に電話をかける職員の様子で消防署への確認を示したイメージ
区分の判定は、施設の種類と運営実態の両方を確認しないと終わりません。
次の三つを手順として押さえておくと迷いません。
  • 児童福祉法上、自分の施設がどの条文に位置づけられているか(乳児院・保育所・児童養護施設など)を確認する
  • 入所(宿泊)を伴う運営を行っているかどうかを、運営規程や実際の宿泊実績から確認する
  • 判定に迷う場合や運営実態が変わった場合は、早めに所轄消防署へ相談する
確認は一度きりで終わりません
「お泊りデイサービス」のように、日中の事業から宿泊を伴う運営に変わることもあります。
デイサービス型の施設が新たに宿泊を始めた場合など、運営の形が変わったタイミングで区分も見直す必要があります。
最終的な判定は所轄消防署が行うものなので、運営内容を変える前に相談しておくと、あとから設備を慌てて追加する事態を避けられます。

運営の形が変わるタイミングで見直せばいいんですね。

そのとおりです。
迷ったときは早めに消防署に相談する、これだけ覚えておけば十分です。

よくある質問

Q乳児院はどうして老人ホームと同じような厳しい設備基準になるのですか?
A乳児院は消防法施行令別表第一(6)項ロ(3)に、要介護度のような条件なしで直接挙げられています。同じロ(1)(3)に区分される老人ホームと同じグループになるため、消防法施行令第12条第1項第1号ロによりスプリンクラー設備が面積を問わず必要になります。自力での避難が難しい乳幼児を主な利用者とする施設だからと考えられます。
Q障害児入所施設と保育所はどう違いますか?
A障害児入所施設は消防法施行令別表第一(6)項ロ(4)に条件なしで挙げられており、区分は固定です。一方、保育所は同表(6)項ハ(3)に挙げられ、宿泊を伴わない通所施設のため、消防法施行令第21条第1項第3号ロにより延べ面積300平方メートル以上で自動火災報知設備が必要になります。同じ児童福祉法にもとづく施設でも、宿泊の有無で設備義務の重さが変わります。
Q児童養護施設が日中一時的な利用だけになった場合、扱いは変わりますか?
A消防法施行令第21条は「利用者を入居させ、又は宿泊させるものに限る」かどうかで基準を分けているため、実態として宿泊を伴わない運営に変われば緩やかな基準の対象になり得ます。ただし児童養護施設は制度上入所を前提とした施設であり、実際の判定は運営実態を踏まえて所轄消防署が行います。
Q建て替えていない古い園舎でも新しい基準が適用されますか?
Aはい。児童福祉施設が含まれる(6)項は消防法施行令第34条の4第2項に定める特定防火対象物にあたり、消防法第17条の2の5第2項第4号により、既存の建物でも新しい基準がそのまま適用されます。「建て替えていないから」は設置義務を免れる理由になりません。

まとめ

乳児院と保育所はどちらも児童福祉施設ですが、消防法上は(6)項ロと(6)項ハに分かれます
乳児院と障害児入所施設は、老人ホームのような「主として」の条件なしで無条件に(6)項ロに固定されます
保育所・幼保連携型認定こども園は宿泊を伴わないため常に(6)項ハに区分されます
助産施設・児童養護施設・児童自立支援施設は、入所(宿泊)させる実態の有無で(6)項ハの中の扱いが分かれます
宿泊させる施設は消防法施行令第21条により面積を問わず自動火災報知設備が必要になります
宿泊を伴わない通所施設は延べ面積300平方メートル以上からの設置義務にとどまります
(6)項は特定防火対象物にあたり、既存の建物でも新しい基準が遡及適用されます

うちの施設がどちらに当たるか、まず条文と運営実態を確認してみます。

施設の種類の確認、宿泊実態の記録、そして早めの消防署への相談。
この3つを押さえておけば区分の判定に慌てずに済みます
㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 消防法第17条の2の5
  • 消防法施行令別表第一(6)項ロ・ハ
  • 消防法施行令第12条
  • 消防法施行令第21条
  • 消防法施行令第34条の4
  • 児童福祉法(第36条・第37条・第39条・第41条・第42条・第43条・第43条の2・第44条・第44条の2)
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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