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認定こども園は消防法令でどの用途に区分されるのか|幼保連携型だけが(6)項ハ(3)になる仕組みを解説

認定こども園の園舎の外観と記事タイトルを並べたアイキャッチ画像

認定こども園を運営していると消防署から用途区分の話が出てくることがあります。
同じこども園でも認定の種類によって消防法令上のあつかいが変わります。
消防庁は平成27年に通知を出して、どの類型がどの区分に入るのかを整理しました。
四つある類型のうち新しい区分に入るのは幼保連携型だけです

うちの園、去年から認定こども園になったんですけど。
消防署から用途が変わりますって言われて困ってます。

まず確かめたいのは、その園がどの類型かということです。
認定こども園といっても消防法令のあつかいは一つではありません。

類型で変わるんですか。
こども園はこども園でひとまとめだと思ってました。

その思い込みが設備の入れ忘れにつながります。
消防庁の通知が線の引き方を示しているので順に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 消防法施行令別表第一(6)項ハ(3)に名前が書かれているのは幼保連携型認定こども園だけです
  • 幼稚園型と保育所型と地方裁量型のあつかいは従前どおりです
  • 幼稚園は(6)項ニなので、区分が動けば設備の要否も一緒に動きます
  • みなし幼保連携型認定こども園への経過措置は平成30年3月31日で終わっています
  • これから幼保連携型へ移る園に経過措置は適用されません

認定こども園の四つの類型のうち幼保連携型だけが新しい用途区分になることを示した図

幼保連携型認定こども園はなぜ消防法令に書き加えられたのか

幼稚園の建物と保育所の建物が並びその右に両方を一体にした大きな園舎が建っている様子
もともと幼稚園と保育所は別々の制度で動いていました。
その二つを一体で行う施設として作られたのが幼保連携型認定こども園です。
新たに消防法施行令別表第一に規定される幼保連携型認定こども園の運用について(通知)(平成27年2月20日 消防予第71号) 消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「令」という。)別表第一(6)項ハ(3)に「幼保連携型認定こども園」を新たに追加する改正については、(略)子ども・子育て支援法の施行期日を定める政令(平成27年政令第22号)により、当該施行期日が平成27年4月1日となりましたのでお知らせします。
制度が先にでき、条文があとから追いついた形です
幼保連携型認定こども園という施設の種類は子ども・子育て支援法の施行にあわせて動き出しました。
そこで消防法施行令の別表第一にもその名前を書き加える改正が行われ、施行日が平成27年4月1日にそろえられました。
つまりこの日を境に、同じ建物のまま消防法令上の区分だけが動いた園が出てきたということです。
自分の園がその日以降に幼保連携型になったのなら、用途区分を確かめ直す価値があります。

建物は一つも変えてないのに区分だけ動くことがあるんですね。
それは気づきにくいです。

だからこそ通知で周知されました。
まずは認定を受けた年月日を手元の書類で確かめてください。

認定こども園の四つの類型はどれが(6)項ハ(3)になるのか

四つの建物が一列に並び左端の一つだけが高い台の上に載っている様子
認定こども園には四つの類型があります。
通知はそのうちどれが新しい区分に入るのかをはっきり書いています。
新たに消防法施行令別表第一に規定される幼保連携型認定こども園の運用について(通知)(平成27年2月20日 消防予第71号) 令別表第一(6)項ハ(3)に新たに規定されるものは、認定こども園のうち「幼保連携型認定こども園」のみであり、「幼稚園型」、「保育所型」及び「地方裁量型」についての取扱いは従前の通りであること。
線は認定こども園かどうかではなく類型で引かれています
別表第一(6)項ハ(3)に名前が載ったのは幼保連携型の一つだけです。
残りの幼稚園型と保育所型と地方裁量型は、この改正の前と同じあつかいのままです。
たとえば幼稚園として認可を受けている建物に保育の機能を足した幼稚園型であれば、消防法令の上ではこれまでどおり幼稚園として見ることになります。
看板の名前ではなく認定の種類で判断するという点が、この通知のいちばんの要点です。

うちは幼稚園型なので、これまでどおりということですね。
ひとまず安心しました。

ただし将来の移行を考えているなら話は別です。
そのときは区分が動くので早めに見ておいてください。

(6)項ハ(3)になると幼稚園のときと何が変わるのか

机の上の電話機だけの壁に禁止マークが付き壁掛けの通報装置がある壁に許可マークが付いた様子
幼稚園は別表第一(6)項ニに置かれています。
幼保連携型認定こども園はそこから(6)項ハ(3)へ移ります。
消防法施行令別表第一(6)項 ハ 次に掲げる防火対象物 (3) 助産施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童養護施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター(略) ニ 幼稚園又は特別支援学校
消防法施行令第23条第3項 第一項各号に掲げる防火対象物((略)第一項第二号に掲げる防火対象物で同表(5)項イ並びに(6)項イ(4)及びハに掲げるものを除く。)に消防機関へ常時通報することができる電話を設置したときは、第一項の規定にかかわらず、同項の火災報知設備を設置しないことができる。
同じところと違うところが両方あります
防火管理者は同令第1条の2第3項第1号ロで(6)項ハも(6)項ニも収容人員30人以上とされているので、ここは動きません。
自動火災報知設備も同令第21条第1項第3号で延べ面積300平方メートル以上とされていて、利用者を入居させたり宿泊させたりしないかぎり両者で同じです。
はっきり違うのは消防機関へ通報する火災報知設備で、延べ面積500平方メートル以上という設置の線は同じでも、上の第23条第3項が(6)項ハを除いているため電話で代えることができません。
つまり幼稚園なら常時通報できる電話で足りていた建物が、幼保連携型になると火災通報装置そのものを求められる場合があるということです。

つまり事務室の電話では代えられなくなるということですね。
それは設備を足す話になります。

そのとおりです。
延べ面積が500平方メートルを超えているかどうかを図面で先に確かめてください。

今から幼保連携型へ移る園に経過措置は使えるのか

砂時計と目盛だけのカレンダーの右に園舎が建っている様子
改正のときには設備をそろえるための猶予が置かれました。
ただしその猶予が効く相手は限られています。
新たに消防法施行令別表第一に規定される幼保連携型認定こども園の運用について(通知)(平成27年2月20日 消防予第71号) なお、当該経過措置はみなし幼保連携型認定こども園にのみ適用されるものであり、改正認定こども園法の改正前に「幼稚園型」等であった認定こども園が、改正認定こども園法の施行後に幼保連携型認定こども園に移行をする場合には適用されないことに留意すること。
これから移る園に猶予はありません
猶予が用意されたのは、改正前の幼保連携施設がそのまま幼保連携型とみなされた園、いわゆるみなし幼保連携型認定こども園だけでした。
その猶予も施行日から3年を経過する日である平成30年3月31日までで、すでに終わっています。
一方で幼稚園型などから幼保連携型へ移る園は、通知が書いているとおり移行した時点から新しい区分の基準で見られます。
移行の話が出た段階で設備の見直しと費用の見積りを始めておくと、開園の日程に響きません。

移行してから考えればいいと思っていました。
それだと間に合わないですね。

工事には日数がかかります。
移行を決めた日にまず所轄消防署へ相談しておくのが確実です。

自分の園の用途区分はどこを見て確かめればよいのか

書類を掲げた人物と受付カウンターの右に園舎が建っている様子
判断のもとになるのは看板ではなく書類です。
まず法律が幼保連携型をどう定義しているかを見ておきます。
就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第2条第7項 この法律において「幼保連携型認定こども園」とは、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとしての満三歳以上の子どもに対する教育並びに保育を必要とする子どもに対する保育を一体的に行い、これらの子どもの健やかな成長が図られるよう適当な環境を与えて、その心身の発達を助長するとともに、保護者に対する子育ての支援を行うことを目的として、この法律の定めるところにより設置される施設をいう。
認可や認定の書類が出発点です
手元の認可書や認定証を出して、幼保連携型認定こども園として設置されたものかどうかを確かめてください。
次に建物の延べ面積を図面で拾い、300平方メートルと500平方メートルという二つの線をまたいでいないかを見ます。
そのうえで所轄消防署へ、園の類型と延べ面積を伝えて用途区分を確認します。
複数の棟や階に分かれている園なら、棟ごとにどの用途で見るのかもあわせて聞いておくと後戻りがありません。

認定証と図面を持って相談に行けばよいわけですね。
今週のうちに用意します。

その二つがあれば話が早く進みます。
訪問の前に消防用設備等の点検結果報告書も一緒に持っていってください。

よくある質問

Q幼稚園型認定こども園も(6)項ハ(3)になるのですか?
Aなりません。通知は別表第一(6)項ハ(3)に新たに規定されるものを幼保連携型認定こども園のみとし、幼稚園型と保育所型と地方裁量型の取扱いは従前の通りであるとしています。
Q幼保連携型に移ると防火管理者の選任基準も変わりますか?
A変わりません。消防法施行令第1条の2第3項第1号ロは(6)項ハと(6)項ニをどちらも同じ号に並べているため、選任が必要になる収容人員はいずれも30人以上です。
Q通知に書かれた経過措置は今も使えますか?
A使えません。通知が示した猶予は施行日から3年を経過する日である平成30年3月31日までのもので、しかも対象はみなし幼保連携型認定こども園に限られていました。
Q区分が変わるかどうかは誰に確認すればよいですか?
A所轄消防署です。園の類型がわかる認可書や認定証と、延べ面積のわかる図面を持参すると判断が早く進みます。

まとめ

消防法施行令別表第一(6)項ハ(3)に名前が載ったのは幼保連携型認定こども園だけです
幼稚園型と保育所型と地方裁量型のあつかいは従前どおりです
幼稚園は(6)項ニ、幼保連携型認定こども園は(6)項ハ(3)に置かれています
防火管理者の収容人員30人以上と自動火災報知設備の300平方メートル以上はどちらも同じです
消防機関へ通報する火災報知設備は(6)項ハでは電話に代えられません
みなし園への経過措置は平成30年3月31日で終わり、これから移る園には適用されません
確かめる順番は認定証と図面と所轄消防署です

認定の類型で見るという線がやっとわかりました。
さっそく認定証を出して確かめます。

用途区分が動けば設備の要否も動きます
判断に迷うところがあれば㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 新たに消防法施行令別表第一に規定される幼保連携型認定こども園の運用について(通知) 平成27年2月20日 消防予第71号
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)別表第一(6)項ハ(3)及び(6)項ニ
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第1条の2第3項第1号ロ 防火管理者を定めなければならない防火対象物
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第21条第1項第1号及び第3号 自動火災報知設備に関する基準
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第23条第1項第2号及び第3項 消防機関へ通報する火災報知設備に関する基準
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第32条 基準の特例
  • 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第2条第7項

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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