消防法は大きな量の危険物を扱う事業所に、現場の設備ごとの管理者とは別のポストを置くよう求めています。
それが危険物保安統括管理者で、置く事業所の条件や選ぶべき人、除外される施設まで政令と規則が細かく定めています。
3000倍という大きな数字や、事業の実施を統括管理するという聞き慣れない言葉に、戸惑う方も多いはずです。
この記事では対象の条件から届出までを条文に沿って整理します。
危険物保安統括管理者という言葉を初めて聞きました。
うちの工場にも必要なのでしょうか。
扱う量が多い事業所では必要になります。
指定数量の3000倍という基準が目安です。
3000倍と言われても、どのくらいの規模か想像がつきません。
この記事で対象の条件・選ぶべき人・届出まで順番に見ていきましょう。
- 危険物保安統括管理者は第4類危険物を指定数量の3000倍以上取り扱う事業所に必要です
- 統括管理者には事業の実施を統括管理する者を充てなければなりません
- ボイラー消費や詰替など小規模な付随施設は対象から除かれます
- 移送取扱所は指定数量そのもので判定され3000倍は使いません
- 選任・解任は遅滞なく市町村長等へ届出が必要です
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目次
危険物保安統括管理者はどんな事業所に必要か

どこからが「大きな量」なのかは、政令が数字で線を引いています。
第4類はガソリンや灯油など、身近な危険物の多くが属する分類です。
消防法第12条の7は同一事業所で扱う第4類危険物の量に注目しており、その量が指定数量の3000倍に達する事業所を対象にしています。
自社の事業所が対象になりそうかは、許可を受けている数量の合計を一度洗い出しておくと判断しやすくなります。
うちは複数のタンクがありますが、それぞれ小さいので大丈夫でしょうか。
合計の量で見られます。
まずは許可証に書かれた数量を全部足してみてください。
統括管理者には誰を充てればよいか

政令が求めているのは、少し違う立場の人です。
条文が指すのは、危険物取扱者の資格を持つ現場責任者ではなく、事業の実施を統括管理する者、つまり工場長や事業所長のような立場です。
危険物保安監督者や危険物施設保安員が個々の設備を見るのに対し、統括管理者は事業所全体の危険物保安を見渡す役割です。
資格の有無ではなく組織上の位置づけで人選する点を、社内の担当割り振りで見落とさないようにしてください。
資格を持つベテランではなく、所長を充てるということですね。
そのとおりです。
組織図の位置で選ぶ点を人事の担当者にも伝えておいてください。
ボイラーや詰替施設も対象になるのか

規則が具体的に除外する施設を挙げています。
規則第60条が挙げる除外施設には、ボイラーやバーナーで危険物を消費する一般取扱所、車両のタンクへ注入する一般取扱所、容器へ詰め替える一般取扱所、油圧装置や潤滑油循環装置を持つ一般取扱所、鉱山保安法の適用を受ける施設が含まれます。
移送取扱所についても、特定移送取扱所以外のものは対象から外れます。
名称だけで判断せず、実際にその設備がどう使われているかを確認してから当てはめてください。
うちの工場にもタンクローリーへ積み込む設備がありますが、それも除外ですか。
注入だけを行う一般取扱所なら除外の対象です。
ただし他の用途と兼ねていないかは確認してください。
パイプラインの移送取扱所は数量の数え方が違うのか

パイプラインを使う移送取扱所は、数え方そのものが別に定められています。
タンクや工場では3000倍という高いハードルでしたが、移送取扱所については規則が数量をそのまま指定数量に置き換えています。
理由までは条文に書かれていませんが、基準そのものが施設の種類によって作り分けられていることは条文から確認できます。
自社が移送取扱所を持つ場合は、他の施設と同じ3000倍の感覚で見積もらないよう注意してください。
工場の基準と同じだと思って安心していました。
移送取扱所は別の数量で見られます。
両方お持ちなら分けて確認してください。
選任したらどんな届出をするのか

選んだこと自体を、行政へ知らせる義務です。
届出は別記様式第19の届出書によって行うこととされています。
選任のときだけでなく、解任したときも同じように届け出る義務がある点を見落とさないでください。
人事異動で担当者が変わるたびに発生する手続きなので、社内の異動フローに届出の担当をあらかじめ組み込んでおくと抜けを防げます。
異動のたびに届出が必要だと初めて知りました。
選任と解任はセットで覚えてください。
人事の異動連絡に届出のチェックを加えておくと安心です。
よくある質問
まとめ
対象になるかどうかから確認すればいいと分かりました。
ありがとうございます。
数量・人選・届出の3つを押さえれば大きく外しません。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第12条の7
- 危険物の規制に関する政令第30条の3
- 危険物の規制に関する規則第47条の4
- 危険物の規制に関する規則第47条の5
- 危険物の規制に関する規則第47条の6
- 危険物の規制に関する規則第60条
- 消防実務六法 法令編
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





