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無許可で危険物を貯蔵すると法人はいくら罰せられるのか|消防法第10条と第45条が分ける個人と法人の罰金額を解説

無許可で危険物を貯蔵すると会社にいくらの罰金を招くのかのアイキャッチ

指定数量以上の危険物を、許可を受けていない場所で貯蔵したり取り扱ったりすると罰せられます。
罰せられるのは現場の担当者だけではありません。
消防法第10条が禁じる行為と、第45条が定める両罰規定を順に見ていきます。
条文が示すのは、個人と法人でこれほど差がつく罰金の仕組みです

倉庫の灯油のドラム缶が思ったより増えていました。
もし許可が要る量を超えていたら、罰せられるのは私個人なんでしょうか。

行為者本人が罰せられるのはもちろんですが
会社の業務としてやっていたのなら法人にも別に罰金が科されます。

会社の罰金も、結局は個人の罰金と同じ金額なんですよね。

そこが誤解されやすいところです。
消防法第10条と第45条を順に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 指定数量以上の危険物は許可を得た貯蔵所・取扱所以外で扱ってはならず、10日以内の仮貯蔵・仮取扱いだけが例外です
  • 違反した個人には1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が科されます
  • 会社の業務として行われたときは、消防法第45条第2号により法人に3,000万円以下の罰金刑が科されます
  • 個人と法人の罰金額の差は30倍で、行為者だけの問題では済みません
  • 会社側が確認すべきは許可・届出の有無と仮貯蔵の期限管理です

無許可の危険物貯蔵の罰則のしくみを3ステップで示した図解

許可なく危険物を貯蔵するとなぜ罰せられるのか

無許可で屋外に積み上げられた危険物のドラム缶と正規の許可を得た貯蔵所の対比を示した図
消防法は、指定数量以上の危険物を勝手な場所に置くことを禁じています。
この規定に違反すると、行為者だけでなく会社も罰せられる仕組みが用意されています。
消防法第十条第一項
指定数量以上の危険物は、貯蔵所(車両に固定されたタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所(以下「移動タンク貯蔵所」という。)を含む。以下同じ。)以外の場所でこれを貯蔵し、又は製造所、貯蔵所及び取扱所以外の場所でこれを取り扱つてはならない。ただし、所轄消防長又は消防署長の承認を受けて指定数量以上の危険物を、十日以内の期間、仮に貯蔵し、又は取り扱う場合は、この限りでない。
置き場所そのものが決められています。
指定数量以上の危険物は、市町村長等の許可を受けた製造所・貯蔵所・取扱所でなければ貯蔵も取扱いもできません。
車両に固定したタンクで貯蔵する移動タンク貯蔵所も、貯蔵所の一種としてこの規定の対象に含まれます。
唯一の例外が、所轄消防長又は消防署長の承認を受けた10日以内の仮貯蔵・仮取扱いです。
許可の要らない一時的な扱いだと思い込んで期限を超えると、この例外からも外れてしまいます。

うちの倉庫にある予備の灯油も、量によっては対象になるということですか。

指定数量を超えていれば対象です。
まずは貯蔵している量が指定数量の何倍かを確認してください。

違反した本人はどんな刑を科されるのか

消防職員が危険物のドラム缶の前で担当者に書類を示して確認している図
第10条第1項に違反した行為者本人には、消防法自身が罰則を定めています。
まずは個人に科される刑の重さを確認します。
消防法第四十一条第一項
次のいずれかに該当する者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
三 第十条第一項の規定に違反した者(略)
2 前項の罪を犯した者に対しては、情状により拘禁刑及び罰金を併科することができる。
行為者本人の上限は100万円です。
第10条第1項に違反すると、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が科されます。
第41条第2項により、情状によっては拘禁刑と罰金を併せて科すこともできると定められています。
この号は危険物を無許可で貯蔵・取扱いした者を名指ししており、立場や資格は問いません
現場で実際に貯蔵・取扱いを指示した担当者が、行為者として問われる立場になります。

担当者だけが責任を負うということですか。

個人としてはそうですが
会社の業務として行われていた場合はここに法人の罰則が重なります。

個人と法人でどれだけ罰金の額が違うのか

個人の小さな金袋と法人の建物を天秤に乗せ法人側へ大きく傾いた図
消防法には、行為者本人とは別に法人を罰する規定が置かれています。
この両罰規定が、個人と法人の罰金額を大きく引き離します。
消防法第四十五条(抜粋)
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
二 第四十一条第一項第三号又は第五号 三千万円以下の罰金刑
法人の上限は3,000万円です。
第10条第1項違反(第41条第1項第3号)が会社の業務として行われたときは、行為者を罰するほかに、消防法第45条第2号により法人へ3,000万円以下の罰金刑が科されます。
行為者個人の上限が100万円であるのに対し、法人の上限はその30倍にあたります。
同じ号は、消防用設備等の設置命令に違反して設置しなかった者(第41条第1項第5号)にも同じ3,000万円の上限を定めています。
両罰規定は行為者を罰したうえで法人にも別枠の罰金を科す仕組みで、会社が罰せられずに済むわけではありません

担当者に任せていたので、会社まで罰せられるとは思っていませんでした。

業務に関して行われた違反であれば
会社にも別枠で罰金が科されます

なぜこの違反だけ法人の罰金が重くなるのか

会社の受付に配達員が命令書らしき書類を届けている図
消防法第45条には、法人の罰金が各本条と同額のままの号もあります。
その中で、第10条第1項違反はあえて重い上限が別に定められています。
消防法第四十五条(抜粋)
三 第三十九条の二第一項若しくは第二項、第三十九条の三第一項若しくは第二項、第四十一条第一項(同項第三号、第五号及び第七号を除く。)(略) 各本条の罰金刑
同額で済む号のほうが多数派です。
第45条第三号が並べる多くの違反は、法人の罰金も各本条の罰金刑と同額にとどまります。
これに対して第10条第1項違反はわざわざこの号から除外され、3,000万円という別枠の上限が用意されました
条文には理由までは書かれていませんが、指定数量以上の危険物を無許可の場所に置く行為が火災や爆発につながりやすいという性質を反映していると考えられます。
「担当者に任せているから会社は関係ない」という考えは通用しません
会社として許可や届出の有無を把握しているかどうかが、そのまま罰金額の差になって表れます。

担当者任せにせず、会社としても許可の状況を把握しておく必要があるんですね。

そのとおりです。
許可証と指定数量の計算を、会社側でも定期的に確認してください。

明日からなにを確認すればよいのか

チェックリストと許可証のファイルを机の上で確認している担当者の図
ここまでの内容を、明日からの確認作業に落とし込みます。
会社として押さえておきたいのは3つです。
  • 危険物を貯蔵・取扱いしている場所が製造所・貯蔵所・取扱所として許可を受けているかを確認する
  • 指定数量の計算を見直し、複数の危険物を合算した数量が指定数量を超えていないかを確かめる
  • やむを得ず一時的に貯蔵・取扱いする場合は、10日以内に所轄消防長又は消防署長の承認を得ているかを確認する
確認は会社としての作業です。
担当者まかせにせず、許可証の写しと指定数量の計算根拠を会社としても保管しておくことが、両罰規定への備えになります。
在庫が増減しやすい危険物ほど、指定数量の合算を定期的に見直す必要があります。
仮貯蔵・仮取扱いの承認は10日以内という期限つきなので、承認日と期限をカレンダーで管理してください。
不明な点があれば、所轄消防署または㈱防災屋にご相談ください。

許可証と指定数量の計算、承認の期限。
この3つを会社としても確認します。

その3つを押さえておけば
両罰規定のリスクは大きく減らせます

よくある質問

Q指定数量未満の危険物であれば無許可で貯蔵してもよいのですか?
A消防法第10条第1項は指定数量以上の危険物を対象としています。指定数量未満であっても、市町村の火災予防条例による規制の対象になることがあります。
Q会社が罰金を科されたら、担当者個人の罰金はなくなるのですか?
Aなくなりません。第45条は行為者を罰するほか法人にも別枠の罰金刑を科す仕組みで、個人の刑事責任は別に残ります。
Q仮貯蔵の承認を受ければ何日でも貯蔵してよいのですか?
A承認を受けられるのは10日以内の期間に限られます。期限を超えて貯蔵・取扱いを続けると、承認の範囲から外れてしまいます。
Q消防用設備等の設置命令違反も同じ3,000万円ですか?
Aはい。第41条第1項第5号(設置命令に違反して設置しなかった者)も第45条第2号の対象で、法人には同じ3,000万円以下の罰金刑が定められています。

まとめ

指定数量以上の危険物は許可を得た貯蔵所・取扱所以外で扱えません
例外は10日以内の仮貯蔵・仮取扱いの承認だけです
違反した個人には1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が科されます
会社の業務として行われた場合は第45条第2号により法人に3,000万円以下の罰金刑が科されます
個人と法人の罰金額の差は30倍にのぼります
「担当者任せ」は会社の責任を免れる理由になりません
会社として許可証と指定数量の計算を定期的に確認することが備えになります

明日、許可証を確認します!
会社としても確認する意味がよく分かりました

許可の有無と指定数量の合算、そして仮貯蔵の期限。
この3つを押さえれば両罰規定のリスクは大きく減らせます
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第10条
  • 消防法第41条第1項第3号・第2項
  • 消防法第45条第2号・第三号

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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