移送取扱所の配管は地下に長い距離にわたって埋設されるため、地盤の動きや周辺の工事の影響を受けやすいという性質があります。
危険物の規制に関する政令は、配管の位置・構造・設備の技術上の基準を総務省令で定めるよう委任しています。
その中には、不等沈下や地すべりのおそれがある場所、配管を橋に取り付ける場所、掘削工事で配管が一時的に露出する場面など、外力にさらされやすい状況ごとの基準があります。
この記事では、配管を外力から守るための三つの基準を、根拠条文に沿って解説します。
うちの近くでパイプラインの掘削工事をしているんですが、配管ってそのまま掘り出しても大丈夫なんでしょうか。
移送取扱所の配管には外力から守るための技術基準が細かく定められています。
まずは根拠条文から確認していきましょう。
地面の下を通っている配管が、地盤沈下や地すべりに巻き込まれたらどうなるんでしょう。
不等沈下や地すべりのおそれがある場所には応力を検知する装置の設置が義務付けられています。
橋への取り付けや掘削時の保護基準もあわせて見ていきましょう。
- 移送取扱所の配管の技術基準は、危険物の規制に関する政令第十八条の二により総務省令(規則)で定められています
- 不等沈下や地すべりのおそれがある場所では、配管の損傷防止措置と応力を検知する装置の設置が規則第二十八条の二十四で義務付けられています
- 配管を橋に取り付ける場合は、配管に過大な応力が生じない措置を講じることが規則第二十八条の二十五で求められています
- 掘削工事で配管が一時的に露出した場合も、両端の地中支持と防護措置が規則第二十八条の二十六で必要です
- 恒久的な設置か一時的な露出かにかかわらず、外力から配管を守る基準は共通して適用されます
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目次
移送取扱所の配管はなぜ外力への備えが必要なのか

まずはその技術基準がどの条文に根拠を持つのかを確認します。
移送取扱所の位置、構造及び設備の技術上の基準は、石油パイプライン事業法に規定する事業用施設に係る技術上の基準に準じて総務省令で定める。
規則第二十八条の三以降には、材料・溶接・地下埋設・地上設置など配管に関する詳細な基準が並んでいます。
その中でも、地盤の動きや工事の影響という「外力」に関する基準は、不等沈下等のおそれがある場所・橋への取り付け・掘削工事による露出の三つの場面に分かれて定められています。
次から、この三つの場面をひとつずつ見ていきます。
技術基準は政令ではなく、規則のほうに細かく書かれているんですね。
はい、総務省令である規則のほうに具体的な基準がまとまっています。
次は不等沈下や地すべりへの対策を見ましょう。
不等沈下や地すべりのおそれがある場所ではどう配管を守るのか

条文を確認します。
不等沈下、地すべり等の発生するおそれのある場所に配管を設置する場合は、当該不等沈下、地すべり等により配管が損傷を受けることのないよう必要な措置を講じ、かつ、配管に生じる応力を検知するための装置を設置しなければならない。
応力を検知する装置とは、配管に生じるひずみを直接測定するひずみゲージや、配管が埋設された地盤の変位を間接的にとらえる沈下計・地すべり変位計などを指します。
不等沈下や地すべりは、目に見える形で予兆が出るとは限らないため、装置による常時の監視が前提になっています。
装置が異常な値を検知すれば、被害が広がる前に対応できるという位置づけです。
頑丈に作るだけじゃなく、動きを検知する仕組みまで要るんですね。
はい、損傷防止と応力検知の両方が求められます。
次は橋への取り付けを見ましょう。
配管を橋に取り付けるときは何を満たさなければならないか

このときの基準はごく短い一文です。
配管を橋に取り付ける場合は、当該配管に過大な応力が生じることのないよう必要な措置を講じなければならない。
配管を橋に固定してしまうと、橋の動きがそのまま配管に伝わり想定を超える応力がかかるおそれがあります。
実務では、取り付け部分にゆとりを持たせたり、緩衝機能を持つ金具を使ったりして、橋の動きを配管が受け流せるようにする設計が取られます。
条文が「過大な応力が生じない措置」という言い方にとどめているのは、橋の構造や規模によって最適な方法が異なるためです。
橋にぴったり固定してしまうと、逆に良くないんですね。
そのとおりで、橋の動きを受け流す取り付け方が重要です。
次は掘削工事のときの基準を見ましょう。
掘削工事で露出した配管はどう保護すればよいか

このとき見落としやすいのが、露出は一時的だという思い込みです。
掘さくにより、周囲が臨時に露出することとなつた配管は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 露出している部分の両端は、地くずれの生ずるおそれがない地中に支持されていること。
二 露出している部分に過大な応力を生ずるおそれがある場合は、つり防護、受け防護その他の適切な防護措置を講ずること。
掘削中は配管の両端を地くずれのおそれがない地中にしっかり支持し、宙に浮いた状態で放置してはいけません。
過大な応力がかかるおそれがあるときは、つり防護や受け防護といった仮設の防護措置もあわせて必要になります。
「一時的な工事だから正式な基準は関係ない」という発想は、この条文の読み方として誤りです。
一時的に掘り出すだけなら、そこまで気にしなくていいと思っていました。
いいえ、臨時の露出でも両端の支持と防護措置が必要です。
最後に確認手順をまとめます。
明日からなにを確認すればよいのか

順番に見ていきましょう。 まず自社の配管ルートが不等沈下や地すべりのおそれがある区域を通っていないか確認してください。
該当する場合は、応力を検知する装置が正常に機能しているかを日常の巡回点検に組み込みます。
橋への添架部分がある場合は、取り付け金具にゆとりや緩衝機能が保たれているかを点検します。
周辺で掘削工事の予定があるときは、施工業者に配管の位置を事前に伝え、両端の地中支持と防護措置を工事計画に盛り込むよう申し入れることが、事故を防ぐ近道です。
まずは自社の配管ルートを地図で確認するところから始めてみます。
工事業者への事前連絡も忘れずにお願いします。
これで確認の流れが一通り整いました。
よくある質問
まとめ
分かりました、配管の保護状況も次の点検で確認してみます!
配管の技術基準は複雑なので、迷ったら早めにご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第十八条の二
- 危険物の規制に関する規則第二十八条の二十四
- 危険物の規制に関する規則第二十八条の二十五
- 危険物の規制に関する規則第二十八条の二十六
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





