地下に埋設する配管には、塗覆装による防食が求められます。
告示に定められた方法のほかにも、これと同等以上の防食効果を有するものであれば使えます。
昭和53年から58年にかけて、個別の製品について認めてよいかを問う照会が相次ぎました。
この記事では地下配管の防食がどこまで認められるかを消防庁の質疑応答に沿って整理します。
よい防食テープを巻いておけば、電気防食は要らないのでしょうか。
そこは切り離されています。
回答は電気防食の措置を省略することはできないと念を押しています。
電気的腐食のおそれのある場所とは、どこを指すのでしょうか。
目安は直流電気鉄道の帰線から1キロメートル以内です。
ただし土壌の抵抗率等も勘案して総合的に判断すべきとされています。
この記事でまとめて解説します!
- 電気的腐食のおそれのある場所は一般的には直流電気鉄道の帰線から1キロメートル以内の場所等が該当する
- 配管の対地電位平均値がマイナス2.0ボルトより負である場合は過防食による悪影響が生じるおそれがある
- ペトロラタムを含浸したテープは厚さ2.2ミリメートル以上その上のビニルテープは0.4ミリメートル以上
- ポリエチレン熱収縮チューブは2.5ミリメートル以上の厚さで収縮し密着するものが認められた
- 同等以上と認められても電気防食の措置を省略することはできない
▼
目次
電気的腐食のおそれのある場所は帰線から1キロメートル以内が目安になる

昭和53年11月7日付け消防危第147号は、群馬県からの照会に答えたものです。
危険物の規制に関する政令第9条第21号ハ、規則第13条の4及び告示第4条にある電気的腐食のおそれのある場所とはどこかが問われました。
1キロメートルという数字は示されましたが、それだけで決まるわけではありません。
土壌の抵抗率と電位勾配を勘案して総合的に判断するとされています。
距離だけでは決まりません。
1キロメートルが目安になるのですね。
土壌の状況もあわせて判断されます。
敷地の周辺の環境を、調査してから設計してください。
過防食は対地電位平均値がマイナス2.0ボルトより負のとき問題になる

同じ照会では、防食のかけすぎについても問われています。
電気防食は電位をかけて腐食を抑えるものですが、かけすぎると別の悪影響が出ます。
照会が挙げた数値よりも、回答の数値のほうが手前に置かれています。
基準電極の種類で分けるのではなく、対地電位の平均値で一律にマイナス2.0ボルトという線が示されました。
目安はマイナス2.0ボルトです。
かけすぎにも注意が要るのですね。
数値で線が示されています。
電気防食を入れたら、電位の測定を定期的に行ってください。
同等以上と認められた塗覆装には厚さの数値が示されている

告示第3条第1号又は第2号にはこれと同等以上の防食効果を有するものという受け皿があります。
この枠で個別の製品を認めた回答が続きました。
昭和54年3月12日付け消防危第27号は、高知県からの照会に答えたものです。
マスチツクテープやニツト防食用ビニールテープの使用が問われました。
さらに上記1及び2の施工に際しては、完全な防食層をつくるように重なり部分等及び埋設時の機械的衝撃に注意するとともに、下地処理等についても十分な措置を講ずることとされました。
製品名だけで認めているのではなく、厚さと施工方法まで含めての判断です。
施工方法まで条件です。
同等以上として認められた例があるのですね。
厚さの数値まで示されています。
採用する製品の仕様書を保管してください。
熱収縮チューブや被覆鋼管も個別に認められている

同じ受け皿で認められた例が続きます。
昭和55年4月10日付け消防危第49号は、大阪府からの照会に答えたものです。
回答はさしつかえないでした。
昭和58年11月28日付け消防危第122号は、兵庫県からの照会に答えたものです。
配管の製造過程においてポリエチレンの押出成型法により被覆されたポリエチレン被覆鋼管について問われました。
後段は日本工業規格G3469ポリエチレン被覆鋼管に適合するその他のものについての問いでした。
特定の製品だけでなく、規格に適合するその他のものも同様に扱ってよいと示された点が実務では重要です。
昭和58年11月14日付け消防危第115号では、岐阜県からのナイロン12を用いた製品についての照会にも、同等以上の防食効果を有するものとして認めてさしつかえないとされています。
個別に認められた製品が積み上がっているのですね。
資料をもとに判断されます。
新しい工法は、試験結果をそろえて相談してください。
認められなかった例もあり電気防食は省略できない

すべての照会が認められたわけではありません。
昭和58年12月23日付け消防危第140号は、愛知県からの照会に答えたものです。
絶縁テープ厚み0.6ミリメートル、2分の1ラップで1.2ミリメートルといった詳細な資料が添えられています。
回答は添付された資料から判断すれば、認められないでした。
同じこれと同等以上の防食効果を有するものという枠を使った照会でも、結論は分かれています。
資料の内容を見たうえでの個別判断だということがわかります。
そしてもう一つ、認められた場合にも残る条件があります。
照会では告示第4条の電気防食措置を省略してよいかも尋ねられていましたが、そちらは認められませんでした。
塗覆装が優れていることと、電気防食が要らないことは別だという整理です。
二つは別の話です。
電気防食は省略できないのですね。
塗覆装とは別の措置です。
2つをセットで計画に入れてください。
よくある質問
まとめ
- 電気的腐食のおそれのある場所は一般的に直流電気鉄道の帰線から1キロメートル以内や直流電気設備の周辺が該当する
- ただし土壌の抵抗率や電位勾配等を勘案し総合的に判断すべきものとされている
- 配管である鋼管の対地電位平均値がマイナス2.0ボルトより負である場合は過防食による悪影響のおそれがある
- ペトロラタムを含浸したテープは配管に十分密着するように巻きつけ厚さを2.2ミリメートル以上とする
- その上に巻く接着性を有するビニルテープの厚さは0.4ミリメートル以上とする
- 加熱により2.5ミリメートル以上の厚さで均一に収縮し密着するポリエチレン熱収縮チューブも認められた
- ポリエチレン被覆鋼管は日本工業規格に適合するその他のものについても認めて差しつかえないとされた
- 一方で認められないとされた工法もあり資料に基づく個別判断となる
- 同等以上と認められた場合でも電気的腐食のおそれのある場所では電気防食の措置を省略することはできない
よい製品でも、認められたものとそうでないものがあるのですね。
すっきりしました。
そのとおりです。
地下配管の防食方法の選定や資料の整え方も、所轄消防署との事前協議からお手伝いします。
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第9条 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第13条の4 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示 第3条・第4条 e-Gov法令検索
- 法令解釈上の疑義について(昭和53年11月7日付け消防危第147号 消防庁危険物規制課長から群馬県あて回答)
- 地下配管の塗覆装について(昭和54年3月12日付け消防危第27号 消防庁危険物規制課長から高知県あて回答)
- ポリエチレン熱収縮チューブによる配管の塗覆装について(昭和55年4月10日付け消防危第49号 消防庁危険物規制課長から大阪府あて回答)
- 危険物施設における地下配管の防食措置について(昭和58年11月14日付け消防危第115号 危険物規制課長から岐阜県あて回答)
- 地下埋設配管の塗覆装について(昭和58年11月28日付け消防危第122号 危険物規制課長から兵庫県あて回答)
- 危険物規制事務に関する疑義について(昭和58年12月23日付け消防危第140号 愛知県あて回答)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




