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泡消火設備の一斉開放弁はなぜ15年間点検不要になったのか|設置後の点検周期緩和と泡消火薬剤のサンプリング検査拡大を解説

泡消火設備はなぜ十五年点検不要になるのかと題した記事のアイキャッチ画像

泡消火設備の一斉開放弁は、これまで定期的に作動させて水を出し、機能を確かめる点検が必要でした。
令和3年5月、消防庁は点検の基準を見直す通知を出し、設置から一定の年数が経つまで、この点検の頻度を大きく減らせるようにしました。
あわせて、これまでPFOSを含む泡消火薬剤に限られていた簡易な検査方法も、他の泡消火薬剤へ広げられました。
この記事を読めば、一斉開放弁と泡消火薬剤の点検周期がどう変わったのか、実務で見落としやすい点まで分かります

うちの立体駐車場にも泡消火設備の一斉開放弁があるんですが、点検の頻度が変わったと聞きました。

はい、令和3年の通知で大きく変わりました。
まずは何が変わったのか、順番に確認していきましょう

薬剤の種類まではあまり意識していませんでした。

薬剤の種類によって年数の数え方も変わります。
結論から確認して、そのあと中身を見ていきましょう

この記事の結論
  • 対象は泡消火設備の「一斉開放弁」の点検と「泡消火薬剤の分布」に係る点検です
  • 一斉開放弁は設置後15年を経過するまで機器点検・総合点検が不要になりました
  • 15年を過ぎたあとは以後5年ごとに機能を確認すれば足ります
  • 泡消火薬剤の分布点検も設置又は交換から15年(たん白泡は5年)を経過するまでは不要です
  • 薬剤のサンプリング検査はPFOS以外の泡消火薬剤にも使えるようになりました

泡消火設備の点検基準を一斉開放弁の点検周期からサンプリング検査拡大まで示した図解

泡消火設備の点検基準はなぜ緩和されたのか

泡消火薬剤の保管容器と一斉開放弁の脇に改正を示す通知の書類が置かれた様子
点検の基準は消防庁長官が告示で定めており、消防用設備等の点検は法令上、一年以内の期間で行うことが原則です。
その中で泡消火設備の一斉開放弁と泡消火薬剤の点検だけは、令和3年に大きな見直しを受けました。
今回の改正は、泡消火設備の一斉開放弁に係る機器点検及び総合点検方法並びに泡消火薬剤の分布等に係る総合点検方法に係る点検基準の一部を改正するため、それぞれ関係する告示を改正するものです。これまで、ペルフルオロオクタンスルホン酸とその塩(PFOS)を含有する消火薬剤を使用する泡消火設備についてのみ、泡消火薬剤の分布等に係る総合点検に代わる方法として、消火薬剤のサンプリング検査が認められていたところ、その他の化学物質を用いた泡消火薬剤についても認めることとする。(令和3年5月24日 消防予第220号 消防庁次長)
簡易な検査方法が、PFOS限定から泡消火薬剤全体へ広がったのが今回の見直しの柱です
これより前の平成22年、化学物質の規制強化を受けてPFOSを含む泡消火薬剤に限り、分解を伴わないサンプリング検査で総合点検に代える方法が認められていました。
その後、他の化学物質を使う泡消火薬剤でも同じ検査方法で機能を確認できることが確かめられ、令和3年5月24日の通知で対象が広げられました。
あわせて一斉開放弁そのものの点検頻度も、長年の使用実績を踏まえて緩和されています。
まずはどの設備のどんな点検が対象になるのか、次の章で確認しましょう。

うちの設備は薬剤の種類までは把握していません。
調べる必要がありますか。

薬剤の種類によって年数の数え方が変わります。
まずは対象になる設備と点検項目を押さえましょう

どんな設備のどんな点検が対象になるのか

立体駐車場の建物と天井配管に取り付けられた大きな一斉開放弁が並ぶ様子
対象になるのは、泡消火設備を設置した駐車場や危険物施設などにある一斉開放弁と、そこで使う泡消火薬剤です。
点検の種類のうち、機器点検(機能に係るもの)と総合点検の2つが今回の見直しの対象です。
泡消火設備の一斉開放弁に係る機器点検及び総合点検方法並びに泡消火薬剤の分布等に係る総合点検方法に係る点検基準の一部を改正するため、それぞれ関係する告示を改正するものです。(令和3年5月24日 消防予第220号 消防庁次長)
法第十七条の三の三の規定による消防用設備等の点検は、種類及び点検内容に応じて、一年以内で消防庁長官が定める期間ごとに行うものとする。(消防法施行規則第31条の6第1項)
点検の周期そのものは、消防庁長官が告示で定める仕組みになっています
消防法施行規則は点検の周期を「一年以内で消防庁長官が定める期間ごと」と定めるにとどめ、具体的な年数は消防庁告示に委ねています。
今回改正された告示は、屋内駐車場や航空機の格納庫、危険物施設などに設置される泡消火設備の一斉開放弁と、泡消火薬剤の分布を確かめる点検を対象にしています。
外観点検や、一斉開放弁以外の機器点検の周期は、今回の改正では変わっていません。
自分の施設のどの設備が対象になるか、次の章で具体的な年数を確認しましょう。

対象は一斉開放弁と薬剤の点検だけで、他の点検はいつも通りということですね。

そのとおりです。
次の章で具体的な年数を見ていきましょう

点検の周期は具体的にどう変わったのか

一斉開放弁のそばに置かれた時計と泡消火薬剤の容器の横に試験管が並ぶ様子
ここからは、実際に何年おきに点検すればよいのかを数字で確認します。
一斉開放弁と泡消火薬剤で、それぞれ年数の考え方が異なります。
一斉開放弁の機器点検(機能に係るものに限る。)及び総合点検については、設置後15年を経過したものに限り実施することとし、設置後20年を経過しないものにあっては、設置後15年を経過した日以後5年を経過する日までの間に、設置後20年を経過したものにあっては、機器点検又は総合点検により、その機能が正常であることを確認した直近の日以後5年を経過する日までの間に確認するものとする。(令和3年5月24日 消防予第220号 消防庁次長)
泡消火薬剤の分布等については、設置又は泡消火薬剤の交換の日から15年(たん白泡消火薬剤を用いるものについては5年)を経過したものに限り確認するものとする。(令和3年5月24日 消防予第220号 消防庁次長)
覚えるべき数字は15年と5年の2つです
一斉開放弁は、設置してから15年間は機器点検(機能に係るもの)と総合点検を行わなくてよく、15年を過ぎたあとは5年ごとに一度確認すれば足ります。
泡消火薬剤の分布点検も同じ考え方で、設置又は交換から15年間は不要です。
ただし劣化が早いたん白泡消火薬剤だけは、15年ではなく5年で区切られています。
確認の際は、これまでPFOS限定だったサンプリング検査が、他の泡消火薬剤にも使えるようになった点もあわせて覚えておきましょう。

うちの薬剤がたん白泡かどうかは、どこで分かりますか。

薬剤の容器や納品書に種類が記載されています。
分からなければ、まず記録を確認してみましょう

実務で見落としやすいのはどこか

設置年月を記入した点検記録簿と何も書かれていない空白の記録簿が並ぶ様子
数字だけを覚えていても、記録が整っていなければ判定ができません。
とくに次の2点でつまずきやすいので注意してください。
設置後20年を経過しないものにあっては、設置後15年を経過した日以後5年を経過する日までの間に、設置後20年を経過したものにあっては、機器点検又は総合点検により、その機能が正常であることを確認した直近の日以後5年を経過する日までの間に確認するものとする。(令和3年5月24日 消防予第220号 消防庁次長)
「点検が丸ごと不要」ではなく、対象は一斉開放弁と泡消火薬剤の分布点検の2項目だけです
起算日になるのは設置日、または薬剤を交換した場合は交換日で、これを記録していないと15年・20年の判定ができません。
20年を超えたあとも点検が要らなくなるわけではなく、直近に機能を確認した日から5年ごとに確認する仕組みが続きます。
たん白泡消火薬剤とそれ以外の薬剤で年数条件が異なるため、薬剤の種類を取り違えないようにしましょう。
サンプリング検査も手続きが要る検査であり、単純な「点検免除」ではない点にも注意してください。

設置年月の記録がどこにあるか、今ひとつ自信がありません。

維持台帳に記載があるはずです。
見当たらなければ、設置業者に確認してみましょう

明日から何を確認すればよいのか

点検員が一斉開放弁を確認しながらスマートフォンで相談している様子
最後に、実際に確認しておきたいポイントを整理します。
手元の維持台帳や納品書と照らし合わせながら進めてください。
貴職におかれましては、下記事項に留意の上、その運用に十分配慮されるとともに、各都道府県知事におかれましては、貴都道府県内の市町村(消防の事務を処理する一部事務組合等を含む。)に対しても、この旨周知されるようお願いします。(令和3年5月24日 消防予第220号 消防庁次長)
まず自分の施設の一斉開放弁と泡消火薬剤の設置年月・交換年月を維持台帳で確認しましょう
次に、使っている泡消火薬剤がたん白泡消火薬剤かどうかを容器の表示や納品書で確かめます。
経過年数が分かったら、点検業者や消防設備士に伝え、次回の機器点検・総合点検の要否と時期を相談してください。
サンプリング検査を使う場合は、対象の薬剤や手続きについてもあわせて確認しておくと安心です。
判断に迷う点が残ったら、そのまま現場合わせで進めず所轄消防署へ事前に相談してください。

まずは維持台帳で設置年月を確認してみます。

それが分かれば、点検の要否と時期がすぐに判断できます

よくある質問

Q泡消火設備の一斉開放弁の点検基準は、どのような通知で見直されましたか?
A令和3年5月24日付の消防予第220号(消防庁次長通知)と、これに基づく令和3年消防庁告示第6号による改正です。
Q一斉開放弁は何年間点検が不要になりますか?
A設置後15年間は機器点検(機能に係るもの)と総合点検が不要になり、15年を過ぎたあとは5年ごとに確認すれば足ります。
Q泡消火薬剤の分布点検も同じ年数ですか?
A考え方は同じで、設置又は交換から15年間は不要ですが、たん白泡消火薬剤だけは5年で区切られています。
Qサンプリング検査はどの泡消火薬剤でも使えますか?
A以前はPFOSを含む泡消火薬剤に限られていましたが、令和3年の改正でその他の泡消火薬剤にも対象が広げられました

まとめ

対象は泡消火設備の一斉開放弁の点検と泡消火薬剤の分布点検です
一斉開放弁は設置後15年を経過するまで機器点検・総合点検が不要です
15年経過後は以後5年ごとに機能を確認すれば足ります
泡消火薬剤の分布点検も設置又は交換から15年を経過するまで不要です
たん白泡消火薬剤だけは5年で区切られる点に注意します
サンプリング検査はPFOS以外の泡消火薬剤にも使えるようになりました
判断に迷ったら所轄消防署へ事前に相談してください

維持台帳の年数を確認して、5年ごとの点検予定も立てておきます

それが分かれば、次回点検の計画もスムーズに立てられます
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件の一部を改正する件の公布について(通知)(令和3年5月24日 消防予第220号 消防庁次長)
  • 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号。令和3年消防庁告示第6号による改正後のもの)
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第31条の6第1項

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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