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防火ダンパー等は定期検査でどこを確認するのか|取付けから連動型の煙感知器まで9つのチェックポイントを解説

点検口からダクト内の防火ダンパーを確認する検査員の写真

換気ダクトが防火区画を貫通する部分には、防火ダンパーの設置が義務づけられています。
建築基準法第12条第3項に基づく定期検査では、告示別表第一の「三 防火ダンパー等」に沿って、設置状況から連動型の煙感知器の位置までつの検査事項を確認します。
排煙設備の排煙風道に設ける防火ダンパーとは根拠となる条文が異なるため、両者を混同しないことも実務上のポイントです。
防火ダンパーは日頃目にする機会が少ない設備だからこそ、点検の視点を押さえておきましょう

ダクトの中に弁のようなものが付いているのを見たことがあるんですが、あれも定期検査の対象なんでしょうか。
厨房に近い場所にあった気がします。

はい、それが防火ダンパーです。
換気ダクトが防火区画を貫通する部分に設置が義務づけられた防火設備です。

普段は開いたままなんですよね。
具体的にはどこを確認するんでしょうか。

設置から連動する煙感知器の位置まで、つの検査事項があります。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 防火ダンパーは火災時に自動的に閉鎖し遮煙性能を持つ構造が義務づけられており、設置状況と取付けの堅固さを確認します
  • 作動・劣化・損傷の状態に加え、点検口と検査口が確保されているかも検査事項です
  • 温度ヒューズは適正な溶解温度のものが使われているかを確認します
  • 風道が壁や床の防火区画を貫通する部分は、1.5ミリメートル以上の鉄板や不燃材料で措置されている必要があります
  • 連動型防火ダンパーは煙感知器等の設置位置と実際の連動作動まで確認します

防火ダンパー等の定期検査9つのチェックポイントを示すインフォグラフィック

防火ダンパーの設置と取付けはどこを確認するのか

換気ダクトが防火区画を貫通する部分に設置された防火ダンパーが架台にボルトで堅固に固定されている様子
換気ダクトが防火区画を貫通する部分では、まず防火ダンパーそのものが設けられているかどうかから確認します。
設計図書との照合と、取付け状態の目視・触診が検査の出発点です。
問1 防火ダンパーの設置の状況、及び取付けの状況は、どのような基準で確認するか
答1 建築基準法施行令第112条第21項の規定により、換気設備の風道が準耐火構造の防火区画を貫通する部分には特定防火設備としての防火ダンパーの設置が義務づけられている。設計図書及び現地の目視により設置の要否と実際の設置状況を照合し、取付けについては堅固でないこと又は著しい腐食、損傷等があることをもって要是正とする。
防火ダンパーは「区画を貫通する部分」にしか設置義務がありません
すべての風道に設置されているわけではなく、準耐火構造の防火区画を貫通する部分やこれに近接する部分が対象です。
検査ではまず設計図書で設置が必要な箇所を洗い出し、実際にダンパーが設けられているかを照合します。
取付け状態は、架台やブラケットのボルトの緩み、著しい腐食による強度低下がないかを触診も交えて確認します。
主要構造部への堅固な取付けは、平成12年建設省告示第1376号第一が定める基準でもあります。

ダンパーが付いていない風道もあるということですか。

はい、防火区画を貫通する部分だけが対象です。
設計図書との照合で設置の要否を確認します。

防火ダンパーの作動と劣化・損傷はどう判定するのか

防火ダンパーの羽根が閉鎖動作をしている様子と腐食したダンパーケーシングとの対比
設置と取付けを確認したら、次はダンパーが実際に正しく動くかどうかです。
羽根の動きが渋いままでは、火災時に閉じきらないおそれがあります。
問2 防火ダンパーの作動の状況、並びに劣化及び損傷の状況は、どのような検査方法と判定基準で確認するか
答2 手動又は温度ヒューズ等を用いてダンパーを実際に作動させ、羽根が円滑に閉鎖するかを目視で確認する。作動が円滑でないこと、本体に著しい変形、腐食又は破損があることをもって要是正とする。
ダンパーは「閉じる」だけでなく「円滑に閉じる」ことが基準です
羽根の可動部にほこりや錆が固着していると、作動はしても閉鎖に時間がかかる状態になり、これも要是正の対象です。
ケーシングの変形や著しい腐食は、閉鎖時の遮煙性能そのものを損なうおそれがあるため、外観の目視でもあわせて確認します。
可動部には、経年で油分が切れて動きが渋くなるものもあるため、定期的な作動確認が欠かせません。
一度も作動させたことがないダンパーほど、いざというときに動かないリスクが高くなります。

普段閉まっているのを見たことがないので、ちゃんと動くのか少し不安です。

検査のたびに実際に作動させて確認します。
動きが渋ければ整備が必要です。

点検口・検査口と温度ヒューズはなぜ必要なのか

天井の点検口を開けてダンパー内部の温度ヒューズを確認する検査員
ダンパーは天井裏や壁の中に隠れていることが多く、確認するための「入口」も検査の対象です。
あわせて、閉鎖のきっかけになる温度ヒューズの状態も見ます。
問3 防火ダンパーの点検口の有無及び大きさ並びに検査口の有無、並びに温度ヒューズは、どのような基準で確認するか
答3 平成12年建設省告示第1376号第三の規定により、天井や壁等に一辺の長さが四十五センチメートル以上の点検口及び防火設備の開閉及び作動状態を確認できる検査口を設けることとされており、これらが確保されていないことをもって要是正とする。温度ヒューズについては、周囲の温度に応じた適正な溶解温度のものが使用されているかを確認する。
点検口が小さすぎると、そもそも点検ができません
天井や壁の点検口は一辺45センチメートル以上が基準で、保守点検に人が手を入れられる大きさが求められます。
検査口は、点検口とは別に、防火設備の開閉や作動状態を目視で確認できる開口として位置づけられています。
温度ヒューズは、厨房など周囲温度が高い場所では、公称作動温度が周囲の熱で誤作動しないよう通常より高い温度のものを選ぶ必要があります。
温度ヒューズの交換履歴が分かる記録が残っていると、次回検査の判定がスムーズになります。

点検口、うちの建物にちゃんとあったかどうか自信がありません。

図面と現地を照らし合わせて確認します。
45センチメートル以上あるかも見ます。

風道が壁や床の防火区画を貫通する部分はどう確認するのか

壁を貫通する風道の周囲が厚さ1.5ミリメートルの鉄板と不燃材料で被覆されている断面
ダンパー本体だけでなく、その手前の風道自体が防火区画を貫通する部分の措置も検査事項です。
ここに隙間や燃えやすい被覆材があると、ダンパーが正常でも意味がなくなります。
問4 壁及び床の防火区画貫通部の措置の状況は、どのような基準で確認するか
答4 平成12年建設省告示第1376号第二の規定により、防火設備と防火区画との間の風道は厚さ一・五ミリメートル以上の鉄板で造るか、鉄網モルタル塗その他の不燃材料で被覆することとされており、この措置がされていないことをもって要是正とする。
防火ダンパーと防火区画の「間」の風道も検査の対象です
ダンパー本体が正常でも、防火区画との間の風道部分に燃えやすい被覆材が使われていれば、区画の遮炎性能は保てません。
検査では、この区間の風道が1.5ミリメートル以上の鉄板でつくられているか、又は不燃材料で被覆されているかを確認します。
壁や床との隙間にも、モルタル等で確実に埋められているかをあわせて見ます。
改修工事で風道を交換した際に、この区間の仕様が見落とされることもあるため、工事記録との照合も有効です。

ダンパーさえ付いていれば大丈夫だと思っていました。

その手前の風道の材質や被覆も見ます。
1.5ミリメートル以上の鉄板が基準です。

連動型防火ダンパーの感知器位置と連動作動はどう確認するのか

天井の煙感知器から連動制御器を経て防火ダンパーが自動閉鎖する仕組みを示す図
煙感知器と連動して自動的に閉鎖するタイプの防火ダンパーには、さらに細かい設置基準があります。
感知器の位置が悪いと、煙を検知できずダンパーが閉まらないおそれがあります。
問5 連動型防火ダンパーの煙感知器、熱煙複合式感知器及び熱感知器の位置、並びに連動の状況は、どのような基準で確認するか
答5 昭和48年建設省告示第2563号の規定により、煙感知器又は熱煙複合式感知器は防火設備からの水平距離が10メートル以内で間仕切壁等がない場所、かつ壁から60センチメートル以上離れた天井等に設置することとされている。連動の状況については、発煙試験器等で感知器を作動させ、連動制御器を介して防火ダンパーが確実に閉鎖するかを確認する。
感知器は「近ければよい」わけではありません
水平距離10メートル以内であっても、換気口の吹出し口の近くやほこり・水蒸気が多く滞留する場所は設置場所から除かれています。
厨房のように常時煙や熱がこもりやすい場所では、熱感知器や温度ヒューズを使う方式が選ばれることもあります。
連動作動の確認は、発煙試験器や加熱試験器で感知器を実際に作動させ、連動制御器・自動閉鎖装置を経てダンパーが閉鎖するまでを一連の流れで見ます。
感知器だけ、ダンパーだけを個別に確認するのではなく、連動という一連の動作として点検することが欠かせません。

感知器とダンパーがちゃんと連動しているかまで確認するんですね。

はい、発煙試験器で実際に作動させて確認します。
個別の点検だけでは不十分です。

よくある質問

Q換気設備の防火ダンパーと排煙設備の防火ダンパーは同じものか?
Aいずれも火災時に閉鎖する防火設備ですが、根拠となる条文が異なります。換気設備の防火ダンパーは建築基準法施行令第112条第21項、排煙設備の防火ダンパーは同令第126条の3が基準です。
Q防火ダンパーの点検口が無い場合はどうなるのか?
A平成12年建設省告示第1376号が定める45センチメートル以上の点検口が確保されていなければ要是正となり、増設等の是正が必要になります。
Q連動型でない防火ダンパーもあるのか?
Aあります。温度ヒューズのみで常時閉鎖状態を保持する構造など、感知器と連動しない方式も認められており、この場合は設備の構造に応じて連動状況の検査事項の扱いが変わります。
Q防火ダンパーの検査は誰が実施できるのか?
A一級建築士、二級建築士、又は建築設備検査員資格者証の交付を受けている者が実施し、その結果を特定行政庁に報告します(建築基準法第12条第3項)。

まとめ

防火ダンパーは準耐火構造の防火区画を貫通する換気ダクトに設置が義務づけられています
設置と取付けの状況は、設計図書との照合と堅固さ・著しい腐食の有無で判定します
作動は実際にダンパーを動かし、円滑に閉鎖するかを確認します
点検口は一辺45センチメートル以上、検査口とあわせて確保されている必要があります
温度ヒューズは周囲温度に応じた適正な溶解温度のものが使われているかを確認します
防火区画貫通部の風道は1.5ミリメートル以上の鉄板又は不燃材料で措置します
連動型は煙感知器等の設置位置と実際の連動作動まで確認します

防火ダンパーの点検ポイントがよく分かりました!
まずは点検口の場所を確認してみます。

点検は資格を持った検査員が実施しますが、日頃の確認も大切です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条第3項
  • 建築基準法施行令第112条第19項・第21項
  • 平成12年建設省告示第1376号(防火区画を貫通する風道に防火設備を設ける方法を定める件)
  • 昭和48年建設省告示第2563号(防火区画に用いる防火設備等の構造方法を定める件)
  • 平成20年国土交通省告示第285号(建築設備の定期検査の項目、事項、方法及び結果の判定基準を定める件)別表第一

※本記事は建築基準法・同施行令及び関連告示に基づく一般的な解説です。実際の検査方法・判定基準は建物の構造や設備の仕様により異なる場合があります。個別の判断は建築設備検査員又は所轄の特定行政庁にご確認ください。

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