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中央管理方式の空気調和設備の温度や湿度は定期検査でどう判定するのか|冷却塔の離隔距離から気流の測定まで7つのチェックポイントを解説

中央管理方式の空気調和設備の温度や湿度を点検担当者が測定している様子

中央管理方式の空気調和設備には、外観や運転状況だけでなく、室内空気そのものの状態を数値で管理する基準があります。
温度・湿度・浮遊粉じん・一酸化炭素・二酸化炭素・気流の6項目と、屋上に設ける冷却塔の離隔距離が、建築基準法施行令に定められた具体的な数値基準です。
定期検査ではこれらの項目を実際に測定し、基準値に収まっているかどうかを判定します。
数値基準の中身と、検査でどこを見るのかを、条文と検査基準書に沿って解説します。

うちのビルは中央管理方式の空調なんですが、定期検査でそんなに細かい数値まで見られるんですか。

はい、温度や湿度、粉じんの量まで、施行令で決まった数値基準にそって測定します。
単に空調が動いているかだけでなく、部屋の中の空気の質そのものが検査の対象です。

冷却塔の距離まで検査するとは知りませんでした。

屋上に冷却塔がある建物では、延焼防止のための離隔距離も検査基準に入っています。
今日はその7つのポイントを順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 中央管理方式の空気調和設備には、温度・湿度・浮遊粉じん・一酸化炭素・二酸化炭素・気流の6項目について具体的な数値基準がある
  • 温度は18度以上28度以下、相対湿度は40パーセント以上70パーセント以下であることが基準
  • 一酸化炭素は100万分の6以下、二酸化炭素は100万分の1,000以下に抑える
  • 気流は秒速0.5メートル以下、浮遊粉じんは空気1立方メートルにつき0.15ミリグラム以下が基準
  • 階数が11以上の建物の屋上に冷却塔を設ける場合は、建築物の他の部分との離隔距離も検査対象になる

中央管理方式の空気調和設備の室内環境に関する数値基準を示した図解

冷却塔と建物の間はどれだけ離せばよいのか

屋上の冷却塔と建物の外壁の間の距離を鋼製巻尺で測定する点検担当者
階数が11以上の建物の屋上に冷房用の冷却塔を設ける場合、火災の熱が建物本体に及ばないよう、周囲との距離が決められています。
検査では、この距離が確保されているかどうかを実際に鋼製巻尺等で測定します。
中央管理方式の空気調和設備/空気調和設備の主要機器及び配管の外観 検査事項(15) 冷却塔と建築物の他の部分との離隔距離について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 建築基準法施行令第129条の2の6第二号の規定に適合しないこと。(検査方法:目視により確認するとともに、必要に応じ鋼製巻尺等により測定する。)
離隔距離は冷却塔の構造によって変わります。
昭和40年建設省告示第3411号第2により、一般的な充てん材を使う冷却塔では、他の冷却塔まで2メートル建築物の開口部までは3メートルの離隔距離が必要です。
ただし、冷却塔の主要な部分を不燃材料で造る場合や、容量が450キロワット以下でケーシングを難燃材料とする場合など、条件を満たせば距離を確保しなくてよい例外も設けられています。
検査ではまず冷却塔の構造(不燃材料か、充てん材の種類か、容量か)を確認したうえで、該当する基準に沿って距離を測定するという順序で見ていきます。
複数の冷却塔が屋上に並ぶ建物では、防火上有効な隔壁の有無によって距離の要否が変わる点も見落とさないようにしましょう。

うちは11階建てで屋上に冷却塔があるんですが、距離なんて意識したことがなかったです。

延焼防止のための基準なので、建物の開口部や隣の冷却塔との距離は重要なチェックポイントです。
屋上に増築や設備の追加があった際は、距離が変わっていないか確認しましょう。

温度と湿度はどんな基準で判定するのか

温度計と湿度計を持って居室の中央で測定する点検担当者
居室の温度と湿度は、空気調和設備が快適な室内環境を保てているかを示す代表的な指標です。
検査では、居室の中央付近で温度計・湿度計を使って実測し、基準の範囲に収まっているかを判定します。
中央管理方式の空気調和設備/空気調和設備の性能 検査事項(16) 各居室の温度について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 建築基準法施行令第129条の2の5第3項の表(4)項の規定に適合しないこと(温度が18度以上28度以下でないこと等)。(検査方法:居室の中央付近において温度計により測定する。)
基準値は1年を通じた省エネと快適性のバランスをとった数値です。
温度は18度以上28度以下であること、居室の温度を外気より下げる場合はその差を著しくしないことも判定基準に含まれます。
検査事項(17)の相対湿度では、40パーセント以上70パーセント以下であることを湿度計で確認します。暖房期の低湿度が最も基準を外れやすい季節とされています。
測定にはアスマン通風式乾湿球湿度計などが使われますが、ファンが回り始めてから4〜5分待ってから読み取らないと正しい値が出ません。
中央監視盤のセンサーが什器や日射の影響で誤った値を拾っていないかも、あわせて確認したい点です。

湿度は結構シビアな基準なんですね。

特に冬場の乾燥は基準を外れやすいので、加湿装置の稼働状況もあわせて確認しておくと安心です。

浮遊粉じんの量はどう測定するのか

粉じん計を持って空調機のフィルター付近を確認する点検担当者
室内の空気に漂う粉じんの多くは、たばこの煙や人の活動によって発生します。
中央管理方式の空気調和設備は、この粉じんを一定の濃度以下に抑える性能を持つことが求められています。
中央管理方式の空気調和設備/空気調和設備の性能 検査事項(18) 各居室の浮遊粉じんの量について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 建築基準法施行令第129条の2の5第3項の表(1)項の規定に適合しないこと(浮遊粉じんの量が空気1立方メートルにつき0.15ミリグラム以下でないこと)。(検査方法:居室の中央付近において粉じん計により測定する。)
基準を超える主な原因は、発じん量の増加かフィルターの性能低下のどちらかです。
測定には、ろ紙に粉じんを捕集して重さを量る重量濃度測定法のほか、光の透過率や圧電素子の振動を利用する相対濃度計も使われます。
基準値を超えている場合、在室者による発じん量が想定より多いか、フィルターの破れやバイパスで除じん効率が落ちていることが主な原因です。
対策には管理者との協議が必要になるため、検査の時点でフィルターの汚れや破損の有無もあわせて確認しておくと話が早く進みます。
事務所作業では人1人あたり毎時10ミリグラム程度の粉じんが発生するとされ、清浄な空気の入れ替えがなければ濃度は時間とともに増えていきます。

粉じんの基準を超えたら、まず何を疑えばいいんでしょうか。

フィルターの破れや目詰まりがよくある原因です。
清掃や交換の頻度を管理者と相談してみましょう。

一酸化炭素と二酸化炭素の含有率はどこまで許されるのか

ガス検知管を使って居室の中央付近で空気を採取する点検担当者
一酸化炭素と二酸化炭素は、どちらも室内の空気環境を左右するガスですが、危険性の大きさは大きく異なります。
定期検査では、居室の中央付近でガス検知管等を使い、それぞれの含有率が基準内に収まっているかを確認します。
中央管理方式の空気調和設備/空気調和設備の性能 検査事項(19) 各居室の一酸化炭素の含有率について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 建築基準法施行令第129条の2の5第3項の表(2)項の規定に適合しないこと(一酸化炭素の含有率が100万分の6以下でないこと)。(検査方法:居室の中央付近においてガス検知管等により測定する。)
一酸化炭素は二酸化炭素よりはるかに毒性が強いガスです。
基準値は一酸化炭素が100万分の6以下とされ、基準値を超えた場合はもちろん、基準内でも通常より高い値が出た際には発生源を調べ、事故を未然に防ぐことが求められます。
検査事項(20)の二酸化炭素では、100万分の1,000以下であることを確認します。二酸化炭素は在室者の呼吸で増えるため、濃度が経時的に上昇する傾向が見られる場合は換気量の不足を疑います。
測定は検知管法のほか非分散赤外分析法などがあり、いずれも簡便な検知管法がよく用いられています。
建築物衛生法に基づく既存の測定記録がある場合は、測定方法・測定値が適正であるかを確認したうえで判定に用いることもできます。

二酸化炭素が増えていくのは換気不足のサインなんですね。

はい、経時的な上昇が見られたら、換気量そのものを見直すきっかけになります。

気流はなぜ秒速0.5メートルが上限なのか

風速計を持って居室の中央で気流を測定する点検担当者
空調の吹出し気流が強すぎると、居住域にいる人はドラフト(不快な冷気の流れ)を感じてしまいます。
気流の基準は、この不快感を防ぐための上限値として定められています。
中央管理方式の空気調和設備/空気調和設備の性能 検査事項(21) 各居室の気流について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 建築基準法施行令第129条の2の5第3項の表(6)項の規定に適合しないこと(気流が1秒間につき0.5メートル以下でないこと)。(検査方法:居室の中央付近において風速計により測定する。)
秒速0.5メートルは、吹出し気流が居住域に届いたときの上限の速さです。
一般的な居住域の気流は秒速0.1〜0.25メートル程度とされ、これを超えると快適性が損なわれます。
低い風速の測定は熱式風速計でもごくわずかしか針が振れないため、秒速0.05メートル程度の校正が難しく誤差が生じやすい点に注意が必要です。
建築物衛生法による室内環境測定の記録がある場合は、その測定方法・測定値が適正かを確認したうえで判定に活用してもよいとされています。
これで、中央管理方式の空気調和設備が居室に対して満たすべき数値基準は一通り確認できました。

測定自体が難しい項目もあるんですね。

微風速の測定は精度に限界があるので、記録の管理も含めて丁寧に扱うことが大切です。

よくある質問

Q中央管理方式の空気調和設備とはどんな設備を指しますか?
A建物内の複数の居室へ、中央の機械室から温度・湿度・清浄度を調整した空気をまとめて供給する空調方式です。個別の壁掛けエアコンなどとは異なり、建築基準法施行令第129条の2の5に定める性能基準が適用されます。
Q数値基準を満たしているかどうかは、誰が測定しますか?
A定期検査報告の資格を持つ検査員が、居室ごとに温度計・湿度計・粉じん計・ガス検知管・風速計などを使って実測します。建築物衛生法に基づく測定記録がある場合は、それを確認して判定に用いることもできます。
Q温度や湿度、粉じんの検査は、毎年すべての居室で行う必要がありますか?
Aこれらの項目は、建築基準法施行規則第6条第1項に基づき、1年から3年までの間隔で特定行政庁が定める時期に全数検査を行うか、毎年一定数を抽出して期間内に全数を検査する方法のいずれかで実施されます。毎回すべての居室を測定するとは限りません
Q冷却塔の離隔距離が基準を満たしていない場合はどうなりますか?
A建築基準法施行令第129条の2の6第二号の規定に適合しないと判定され、指摘事項として報告書に記載されます。管理者と相談のうえ、離隔距離の確保や構造の見直しなど改善策を検討する必要があります。

まとめ

中央管理方式の空気調和設備には、温度・湿度・浮遊粉じん・一酸化炭素・二酸化炭素・気流の6項目の数値基準がある
温度は18度以上28度以下、相対湿度は40パーセント以上70パーセント以下である
浮遊粉じんは空気1立方メートルにつき0.15ミリグラム以下に抑える
一酸化炭素は100万分の6以下、二酸化炭素は100万分の1,000以下である
気流は秒速0.5メートル以下であることが基準
階数11以上の建物の屋上冷却塔には、建築物との離隔距離の基準がある
検査は1年から3年の間隔で、全数または抽出方式により実施される

うちのビルも、温度や湿度までちゃんと数値で見てもらえるとわかって安心しました!

数値基準を守ることは、居住者の快適さと健康を守ることにも直結します。
㈱防災屋でもご相談を承っております

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条第3項
  • 建築基準法施行令第129条の2の5(中央管理方式の空気調和設備の性能基準)
  • 建築基準法施行令第129条の2の6(冷却塔設備の離隔距離)
  • 建築基準法施行規則第6条第1項(定期報告の時期)
  • 昭和40年建設省告示第3411号(冷却塔の構造方法に関する基準)
  • 昭和45年建設省告示第1832号(中央管理方式の空気調和設備の構造方法に関する基準)

※本記事は建築基準法・同施行令・同施行規則及び関係告示の現行条文に基づき、㈱防災屋が独自に解説したものです。個別の建築物における数値基準の適合可否や改善方法については、所轄の特定行政庁または登録建築設備検査機関にご確認ください。

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