移送取扱所にポンプ及びその附属設備(ポンプ等)を設置するときは、周囲に確保する空地の幅が一律ではありません。
規則第28条の47は、ポンプの規格から空地の幅、施設までの距離、ポンプ室の構造まで、六つの号に分けて基準を告示に委任しています。
なかでも空地の幅はポンプ等に係る最大常用圧力によって数値が変わり、ポンプ室内に設置すれば3分の1まで減じられる場合もあります。
今回は、危険物の規制に関する規則第28条の47が告示に委任するポンプ等の空地・距離・構造の基準を解説します。
ポンプ室に入れてしまえば、空地は自由に狭くできるんですか。
いいえ、耐火構造の壁・柱・はりと軽量不燃材料の屋根を満たすポンプ室に限り、3分の1まで減じられます。
まずは結論から確認しましょう。
ポンプそのものにも規格があるんですか。
はい、メカニカルシールの使用など細かい規格があります。
順番に確認していきましょう。
- 移送取扱所にポンプ等を設置するときは、規則第28条の47の規定により六号の基準を満たさなければならない
- ポンプは告示第58条の基準に適合するものとし、軸封部にはメカニカルシールを使用する
- ポンプ等の周囲に確保する空地の幅は、最大常用圧力に応じて3メートル以上から15メートル以上まで変わる
- ポンプ室内に設置し、かつ壁・柱・はりを耐火構造とした場合に限り、空地の幅を3分の1まで減じることができる
- 屋外に設置する場合は、地盤面を危険物が浸透しない構造とし、排水溝及び貯留設備を設ける
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目次
ポンプそのものにはどんな規格が求められるのか

規則第28条の47第一号は、その規格を告示に委任しています。
一号は渦巻ポンプ・歯車ポンプ・ねじポンプのいずれかで危険物の移送用であることを求めています。
二号のケーシングを鋼製とする基準と、三号の軸封部をメカニカルシールとする基準は、いずれも危険物の漏えいを防ぐための構造上の要求です。
このほか出力50キロワットを超えるポンプには異常検知の安全装置を備える基準や、日本産業規格の試験に合格する基準もあります。
既存のポンプを移送取扱所へ転用する場合は、まずこの規格を満たすかどうかを確認する必要があります。
ポンプなら何でも使えるわけではないんですね。
はい。
鋼製ケーシングとメカニカルシールを備えたものに限られます。
次は周囲の空地を見ていきましょう。
ポンプ等の周囲にはどれだけの空地が必要か

第二号は、ポンプ等の周囲に確保する空地の幅を圧力ごとに定めています。
圧力が1メガパスカル未満なら3メートル以上、1以上3メガパスカル未満なら5メートル以上、3メガパスカル以上なら15メートル以上という三段階です。
ただし書により、耐火構造の壁・柱・はりと軽量不燃材料の屋根を備えたポンプ室にポンプを設置する場合は、この空地の幅を3分の1まで減じることができます。
この緩和はポンプ室の構造まで満たしてはじめて受けられるもので、ポンプ室に入れるだけでは足りません。
自社のポンプの最大常用圧力がどの区分に当たるかを、まず確認しておく必要があります。
うちのポンプは圧力が高いので、広い空地が必要そうです。
はい。
3メガパスカル以上なら15メートル以上の空地が必要です。
次は施設までの距離を見ていきましょう。
住宅や学校などの施設に対してどれだけ離す必要があるのか

第三号は、この距離を第32条の規定を準用して定めています。
第60条は、規則第28条の47第三号の距離基準として第32条を準用しており、この第32条は配管本体の保安距離を定めた条文です。
鉄道又は道路は25メートル以上、学校や病院は45メートル以上と、施設の種類によって距離が変わります。
この距離は、先ほどのポンプ等周囲の空地の幅(告示第59条)とは別の基準で、空地を満たしていても周辺施設までの距離を満たさなければ基準違反になります。
自社のポンプ等の周囲にどのような施設があるかを、まず洗い出しておくことが出発点になります。
空地とは別に、周りの施設までの距離も見ておく必要があるんですね。
そのとおりです。
学校や病院なら45メートル以上の距離が必要です。
次はポンプ室の構造を見ていきましょう。
ポンプ室に入れれば必ず空地を減らせるのか

第五号は、緩和を受けるための前提となるポンプ室の構造基準を定めています。
第59条ただし書の空地緩和を受けるには、この第61条の構造基準に適合していることに加え、壁・柱・はりを耐火構造とし屋根を軽量不燃材料とするという第59条自体の要件も同時に満たす必要があります。
第61条の構造基準だけを満たしていても、壁や柱が耐火構造でなければ空地の緩和は受けられません。
床は危険物が浸透しない構造とし、高さ0.2メートル以上の囲いを設ける基準もあります。
ポンプ室を用意する際は、構造基準と耐火構造の要件を両方確認することが出発点になります。
ポンプ室に入れれば、それだけで空地が狭くできると思っていました。
それだけでは足りません。
壁・柱・はりの耐火構造まで満たして初めて緩和されます。
最後に屋外設置の場合を見ていきましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

第四号と第六号は、ポンプの固定方法と屋外設置の方法を定めています。
告示第62条一号は高さ0.15メートル以上の囲いを、二号は排水溝及び貯留設備の設置を求めており、いずれも漏れた危険物が敷地外へ流出するのを防ぐための基準です。
ポンプ室内に設置する場合の基準(第61条)とは別に、屋外設置ならではの基準があることに注意が必要です。
定期点検では、基礎の固定状態・地盤面のひび割れ・排水溝の詰まりを確認しておくとよいでしょう。
自社のポンプ等が規格・空地・距離・構造のどの基準にも適合しているかを、一つずつ見直しておくことをおすすめします。
屋外に置いているポンプは、排水溝もちゃんと確認したほうがいいんですね。
はい。
排水溝と貯留設備が機能しているかも定期点検に加えてください。
不明な点は所轄消防署にも相談してみてください。
よくある質問
まとめ
ポンプの規格と空地の幅から確認してみます!
移送取扱所のポンプ等の設置は、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則第28条の47
- 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99号)第58条・第59条・第60条・第61条・第62条
- 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示第32条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





