移送取扱所の配管には、内部を清掃したり検査したりするための「ピグ」という用具を送り込むための専用の装置が設けられることがあります。
この「ピグ取扱い装置」には、配管本体と同等以上の強度や、内部圧力を安全に放出する仕組みなど、通常の配管設備にはない専用の基準が定められています。
装置をどこに、どのような構造で設置するかによって、満たすべき基準も変わってきます。
今回は、危険物の規制に関する規則第28条の48が告示に委任するピグ取扱い装置の基準を解説します。
うちの移送取扱所にもピグを通す装置があるんですが、普通の配管の設備とは違う基準があるんでしょうか。
ピグ取扱い装置には配管本体と同等以上の強度など専用の基準があります。
まずは結論から確認しましょう。
専用の基準というと、強度以外にも決まりがあるということですか。
そのとおりです。
5つの基準を順番に確認していきましょう。
- ピグ取扱い装置の設置に関し必要な事項は、規則第28条の48の規定により告示で定める基準に従わなければならない
- 装置は配管の強度と同等以上の強度を有しなければならない
- 内部圧力を安全に放出でき、圧力を放出した後でなければピグの挿入又は取出しができない構造にしなければならない
- 設置する床は危険物が浸透しない構造とし、排水溝及び貯留設備を設けなければならない
- 装置の周囲には3メートル以上の空地を確保しなければならない(ポンプ室内に設ける場合を除く)
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目次
ピグ取扱い装置とは何を指すのか

この装置も、規則の中で独立した条文によって規制されています。
規則第28条の48は、「ピグ取扱い装置」の設置基準をすべて告示に委任しており、規則の条文自体には具体的な数値や構造の定めがありません。
中身を確認するには、告示第63条を見る必要があります。
告示第63条は五つの号から成り、装置そのものの強度から周囲の空地まで幅広く規定しています。
次の見出しから、号ごとに基準を確認していきます。
ピグというのは具体的にどんな用具なんでしょうか。
配管の内部を移動しながら清掃や検査を行う専用の用具です。
装置はこの用具を安全に出し入れするためのものです。
装置本体の強度と内部圧力の扱いはどう定められているのか

まずはこの二つを確認します。
第一号は、装置の強度を配管の強度と同等以上と定めており、装置だけが弱い箇所になることを防いでいます。
第二号は、装置の中に残った内部圧力を安全に放出できること、そして圧力を放出した後でなければピグの出し入れができないことを求めています。
圧力が残ったまま蓋を開けてしまうと内部の危険物が勢いよく噴き出すおそれがあるため、この順序が安全上の要になります。
つまり装置の入り口は、圧力計などで内部圧力がゼロになったことを確認できてはじめて開く構造でなければなりません。
圧力が残ったまま開けてしまう事故を防ぐための決まりなんですね。
圧力を抜いてから開く構造がその事故を防ぐ仕組みです。
次の見出しで、取り付け方法と床の基準を確認しましょう。
取り付け方法と設置する床の基準はどうなっているのか

どちらも配管の外への漏えいを防ぐための規定です。
第三号は、装置の自重や配管の動きによって異常な応力が配管にかからないよう取り付けることを求めています。
第四号は、床そのものを危険物が浸透しない構造とし、万一漏れた危険物が外部へ流出しないように排水溝と貯留設備を設けることを求めています。
装置本体だけでなく、装置を支える床まで漏えい対策の対象になっている点が特徴です。
配管への負荷と床の構造は、どちらも欠かせない確認ポイントです。
装置だけでなく、床にも基準があるんですね。
排水溝と貯留設備がセットで求められます。
次の見出しで、周囲の空地の基準を確認しましょう。
周囲の空地はどれだけ必要か

ポンプ室内に設ける場合の扱いに注意が必要です。
原則として、装置の周囲には3メートル以上の幅の空地を確保しなければなりません。
ただし、装置を告示第59条ただし書に規定するポンプ室(壁・柱・はりを耐火構造とし、屋根を軽量な不燃材料でふいたもの)の内部に設ける場合は、この空地の規定そのものが適用されません。
ポンプ等の空地基準(告示第59条)ではポンプ室に収めても空地を三分の一まで縮められるだけですが、ピグ取扱い装置の場合はポンプ室内であれば空地の規定自体が適用除外になる点が異なります。
「ポンプ室に入れれば空地が減る」という感覚のままだと、この違いを見落としやすくなります。
ポンプ室に入れれば空地を三分の一に減らせるだけだと思っていました。
ピグ取扱い装置は空地の規定そのものが除外される点がポンプと異なります。
条文を確認してから設置場所を検討しましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

確認の起点は、圧力の抜き方と設置場所です。 まず内部圧力を安全に放出できる仕組みが機能しているかを確認します。
装置の圧力計や放出弁が正常に作動し、圧力を放出した後でなければピグの出し入れができない構造になっているかを点検します。
次に、装置を支える床に排水溝や貯留設備が設けられているか、目詰まりや破損がないかを確認します。
装置が屋外にある場合は周囲の3メートルの空地が確保されているか、ポンプ室内にある場合はその室が告示第59条ただし書の基準を満たしているかを確認します。
これらを定期点検の項目に組み込んでおくことをおすすめします。
まずは圧力計が正常に動くかどうかから確認してみます。
それが確認できれば、床の排水溝と空地の確保も合わせて見直せます。
不明な点があれば所轄消防署にも相談してみてください。
よくある質問
まとめ
圧力計の動作から確認してみます!
ピグ取扱い装置の基準づくりは、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則第28条の48
- 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99号)第63条・第59条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





