屋外の大きな貯蔵タンクに浮かべる浮き蓋には、地震で壊れないための構造基準が定められています。
この基準は政令が総務省令に委任するかたちで、規則の条文に細かく書き込まれています。
浮き蓋の型式(一枚板構造・二枚板構造・簡易フロート型)によって、適用される基準も少しずつ変わります。
この記事では、浮き蓋そのものの構造基準を条文から順番に整理します。
浮き蓋の耐震構造というのは、揺れに耐えられる強さのことですか。
それだけではありません。
板の厚さや浮力、静電気対策まで細かく決まっています。
そんなに細かく決まっているんですね。
はい、条文の号ごとに一つずつ見ていきましょう。
- 浮き蓋の耐震構造は、政令第十一条第二項第一号の委任を受けて規則第二十二条の二が定めています。
- 一枚板構造の浮き蓋は、厚さ三・二ミリメートル以上の鋼板で造り、告示で定める浮力を備える構造とすることが求められます。
- 浮き蓋には常に中心位置を保つ回転止めなど、複数の付属設備を設けなければなりません。
- 簡易フロート型の浮き蓋には、フロートチューブの長さ制限など型式固有の基準が上乗せされます。
- 型式ごとに適用される号が異なるため、自分のタンクの浮き蓋がどの区分にあたるかを確認する必要があります。
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目次
一枚板構造の浮き蓋には鋼板の厚さや浮力にどんな基準があるのか

まずもっとも標準的な一枚板構造から確認します。
イ号は厚さ三・二ミリメートル以上の鋼板で造ることを求めています。
ロ号は告示で定める浮力を有する構造とすることを求めており、具体的な数値は別途の告示に委任されています。
この二つが浮き蓋の土台になる基準で、次に紹介するのはさらに細かい付属設備です。
板厚まで数値で決まっているんですね。
はい、三・二ミリメートルという具体的な数値です。
次は蓋を中心に保つ設備を見ましょう。
浮き蓋を中心に保つ設備にはどんなものがあるのか

回転を防ぐ仕組みが条文でどう書かれているかを確認します。
あわせて浮き蓋が回転しないようにする回転止めという設備も、同じ号の中で定義されています。
液面の上下で浮き蓋が動く際に、位置がずれたり回転したりすると、側板との接触などで損傷につながるおそれがあるための規定です。
「回転止め」という呼び方は、次のリ号でも使われる条文上の定義です。
回転止めって、次のリ号にも出てくる言葉なんですね。
はい、条文の中で定義された呼び方です。
次はその周辺の基準を見ましょう。
浮き蓋の外周や静電気にはどんな対策が求められるのか

いずれも浮き蓋特有の危険に対応した規定です。
リ号は回転止めや外周縁の被覆といった滑動部分に、発火のおそれがある材料や構造を使ってはならないと定めています。
金属どうしがこすれ合うと火花が出るおそれがあるため、滑る部分の材質にも配慮が必要ということです。
ヌ号は浮き蓋に静電気がたまるのを防ぐ除去装置の設置を求めており、可燃性蒸気への引火を防ぐための規定です。
金属がこすれると火花が出るから、材質まで指定されているんですね。
はい、発火のおそれのない材料という表現がポイントです。
次は簡易フロート型だけの基準を見ます。
簡易フロート型の浮き蓋には固有の基準があるのか

特にフロートチューブの長さには具体的な制限があります。
簡易フロート型(三号・四号)は浮き部分どうしの接続箇所に回転性のある構造を求められる点が独自です。
さらに四号のステンレス製以外の簡易フロート型には、フロートチューブの長さは六メートル以下という具体的な上限があります。
円周方向の溶接接合も禁じられており、継ぎ目の強度が型式ごとに細かく管理されていることが分かります。
フロートチューブの長さにまで上限があるんですね。
はい、六メートル以下という数値まではっきり決まっています。
最後に確認の手順をまとめます。
明日から何を確認すればよいのか

設計図書と検査済証の両方を見ながら進めてください。 完成検査の書類等で自分のタンクの浮き蓋の型式(一号〜四号のどれか)を確認してください。
一枚板構造であれば、板厚・浮力・回転止め・静電気除去装置の有無を図面で照合します。
簡易フロート型であれば、フロートチューブの長さや溶接方法が基準内かどうかもあわせて確認してください。
型式の変更や改修を検討するときは、事前に所轄消防署へ相談してください。
まずは自分のタンクの浮き蓋の型式を、書類で確かめてみます。
それが一番確実です。
よくある質問もあわせてご確認ください。
よくある質問
まとめ
浮き蓋の構造がここまで細かく決まっていること、よく分かりました。
助かります。
まずは浮き蓋の型式の確認から始めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第十一条第二項第一号
- 危険物の規制に関する規則第二十二条の二(浮き蓋の構造)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





