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移送取扱所の配管系はなぜ支持物と避雷器の両方から絶縁するのか|絶縁用継手の挿入基準と保安上必要な場合の判断を解説

移送取扱所の配管系の絶縁点検を行う担当者

移送取扱所の配管系は、長い距離を地上や地下にわたって敷設されるため、周囲の構造物や避雷設備との電気的な関係にも注意が必要です。
規則第28条の41は、この配管系について「支持物その他の構造物からの絶縁」「絶縁用継手のそう入」「避雷器の接地箇所付近の絶縁」という三つの絶縁を定めています。
三つのうち二つは保安上必要かどうかの判断が前提になりますが、残る一つは判断の余地なく講じなければならない措置です。
今回は、危険物の規制に関する規則第28条の41が定める配管系の絶縁の三つの規定を解説します。

配管の絶縁って、電気工事の話であって消防法とは関係ないと思っていました。

いいえ、移送取扱所の配管系には規則で絶縁が義務付けられています。
まずは結論から確認しましょう。

三つも絶縁の規定があるんですか。

はい、保安上必要な場合の絶縁無条件で必要な絶縁とに分かれます。
順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 配管系は、規則第28条の41の規定により、支持物その他の構造物からの絶縁・絶縁用継手のそう入・避雷器の接地箇所付近の絶縁という三つの絶縁が求められる
  • 第1項・第2項は、保安上必要がある場合という判断を前提にした規定である
  • 第3項の避雷器の接地箇所に近接する配管は、判断の余地なく絶縁のための措置を講じなければならない
  • 保安上必要かどうかを判断する発想のまま読むと、第3項の無条件の義務を見落とすおそれがある
  • 自社の配管系について、支持物との位置関係・絶縁用継手の要否・避雷器接地箇所との近接状況を確認することが実務上重要である

支持物から絶縁絶縁用継手を挿入避雷器接地は絶縁記録を残すの4ステップを示す図解

移送取扱所の配管系はなぜ絶縁が求められるのか

支持物に囲まれた配管と絶縁材
移送取扱所の配管は、長い区間にわたって支持物や構造物に接しながら設置されます。
規則第28条の41は、この配管系についてどのような場合に絶縁が必要になるかを、三つの規定に分けて定めています。 規則第28条の41は、配管系の絶縁について三つの場面を書き分けています。
第1項は支持物その他の構造物からの絶縁、第2項は絶縁用継手のそう入を定め、いずれも「保安上必要がある場合には」という留保が付いています。
第3項は、避雷器の接地箇所に近接して配管を設置する場合の絶縁措置を定めています。
三つとも同じ「絶縁」という言葉を使っていますが、条件の立て方が異なる点に注意が必要です。
まずは第1項の支持物その他の構造物からの絶縁から確認します。

配管が支持物に触れているだけで、なにか問題があるんですか。

保安上必要な場合には、支持物その他の構造物からの絶縁が求められます。
次はその要件を見ていきましょう。

支持物その他の構造物からの絶縁はどんなときに必要になるのか

配管と支持物の間に挟まれた絶縁材
第1項は、配管系を支持物その他の構造物から絶縁する場面について定めています。
「保安上必要がある場合には」という留保が付いている点がポイントです。
危険物の規制に関する規則第二十八条の四十一第一項(絶縁)
配管系は、保安上必要がある場合には、支持物その他の構造物から絶縁しなければならない。
第1項の絶縁は、常に必要というわけではなく、保安上必要があると判断された場合に義務付けられます。
条文にいう支持物その他の構造物とは、配管を支える架台や、配管が接する周囲の建築物・工作物を指します。
配管がこれらの構造物と接した状態のままだと保安上の支障が生じうる場合があるため、絶縁するかどうかを個別に判断する規定になっています。
「保安上必要がある場合には」という文言は、第2項の絶縁用継手にも共通しており、いずれも一律に義務付けられているわけではありません。
自社の配管系がどの支持物・構造物と接しているかを、まず洗い出す必要があります。

「保安上必要がある場合」って、誰がどうやって判断するんですか。

配管の設置状況をふまえて個別に必要性を判断する規定です。
次は絶縁用継手を見ていきましょう。

絶縁用継手はどこに挿入するのか

配管の途中に挿入された絶縁用継手
第2項は、配管系に絶縁用継手をそう入する場面について定めています。
第1項と同じく「保安上必要がある場合」が前提になっています。
危険物の規制に関する規則第二十八条の四十一第二項(絶縁)
配管系には、保安上必要がある場合は、絶縁用継手をそう入しなければならない。
絶縁用継手は、配管系そのものを電気的に区切るための部品です。
第1項が配管と周囲の構造物との間の絶縁を扱うのに対し、第2項は配管系の内部に絶縁用継手を挿入する規定です。
条文は挿入する箇所や本数を具体的に指定しておらず、保安上必要がある場合に応じて設置することを求めています。
第1項・第2項のいずれも、絶縁が必要かどうかの判断は設置者側に委ねられている点で共通します。
次に見る第3項は、この二つの規定とは条件の立て方が異なります。

継手を入れる場所や数は、条文に書いてないんですか。

はい、具体的な箇所や本数は定められておらず、保安上必要な場合に応じて設置します。
次は避雷器との関係を見ていきましょう。

避雷器の接地箇所に近い配管はなぜ無条件で絶縁措置が必要なのか

避雷器の接地箇所に近接する配管と絶縁材の対比
第3項は、避雷器の接地箇所に近接して配管を設置する場合について定めています。
ここだけ、第1項・第2項とは条件の立て方が異なります。
危険物の規制に関する規則第二十八条の四十一第三項(絶縁)
避雷器の接地箇所に近接して配管を設置する場合は、絶縁のための必要な措置を講じなければならない。
第3項には、第1項・第2項にあった「保安上必要がある場合には」という留保がありません。
条文は避雷器の接地箇所に近接して配管を設置する場合という条件だけを挙げており、その条件に当てはまれば絶縁のための措置を講じなければなりません。
第1項・第2項の感覚のまま読むと、「保安上必要かどうかをこちらで判断すればよい」と誤解しやすい点が実務上の落とし穴です。
避雷器が動作すると接地箇所には大きな電流が流れるため、条文は判断の余地を残さず措置を義務付けています。
配管の経路を設計・変更する際は、避雷器の接地箇所との位置関係を必ず確認する必要があります。

うちは大丈夫だと思っていたので、避雷器のことは意識していませんでした。

第3項は判断の余地なく措置が必要な規定です。
配管の経路図で位置関係を確認しておきましょう。

明日からなにを確認すればよいのか

配管経路図を確認する担当者
最後に、自社の配管系で絶縁の要否を確認するためのポイントを整理します。
三つの規定は条件の立て方が異なるため、それぞれ別に確認する必要があります。
  • 配管系がどの支持物・構造物と接しているかを確認し、保安上絶縁が必要かどうかを検討する
  • 配管系に絶縁用継手が必要な箇所がないか、保安上の観点から確認する
  • 配管の経路図で避雷器の接地箇所との位置関係を確認し、近接する区間があれば絶縁のための措置を講じる
  • 第1項・第2項(保安上必要な場合)と第3項(無条件)とで、判断の要否が異なることを設備台帳に記録しておく
  • 絶縁の要否を判断した根拠と、講じた措置の内容を記録として残す
絶縁は三つの規定それぞれで確認の仕方が違うため、一つの基準でまとめて判断しないことが重要です。
支持物その他の構造物からの絶縁絶縁用継手のそう入は、保安上の必要性を個別に検討します。
避雷器の接地箇所に近接する配管は、条件に当てはまれば判断の余地なく措置を講じなければなりません。
配管の経路図をもとに、支持物・構造物との接触箇所と避雷器の接地箇所を洗い出しておくと、絶縁の要否を見落としにくくなります。
判断に迷う場合は、専門業者に確認を依頼するのも一つの方法です。

経路図を見直して、避雷器との位置関係も確認してみます。

支持物との接触箇所もあわせて確認しておくと安心です。
次によくある質問を確認しましょう。

よくある質問

Q絶縁が必要かどうかは、誰が判断するのですか?
A規則第28条の41第1項・第2項は「保安上必要がある場合」という要件を置いており、配管系の設置状況をふまえて個別に判断します。
Q絶縁用継手はどこに何本入れればよいですか?
A条文は箇所や本数を具体的に定めておらず、保安上必要な場合に応じて設置することを求めています。
Q避雷器から離れている配管も絶縁措置が必要ですか?
A第3項が対象とするのは避雷器の接地箇所に近接して配管を設置する場合です。近接しない配管は、この規定の対象になりません。
Q支持物からの絶縁と避雷器接地箇所の絶縁は、同じ措置でよいですか?
A条文は場面ごとに規定を分けており、保安上必要な場合の判断を要する措置条件に当てはまれば講じなければならない措置は性質が異なります。

まとめ

配管系は、規則第28条の41の規定により、支持物その他の構造物からの絶縁・絶縁用継手のそう入・避雷器の接地箇所付近の絶縁という三つの絶縁が求められる
第1項は、保安上必要がある場合に配管系を支持物その他の構造物から絶縁することを定める
第2項は、保安上必要がある場合に配管系へ絶縁用継手をそう入することを定める
第3項には「保安上必要がある場合には」という留保がなく、避雷器の接地箇所に近接して配管を設置する場合は判断の余地なく絶縁のための措置を講じなければならない
第1項・第2項の感覚のまま第3項を読むと、無条件の義務を見落としやすい
配管の経路図で支持物・構造物との接触箇所避雷器の接地箇所との位置関係を確認しておく必要がある
絶縁の要否を判断した根拠と講じた措置の内容は、記録として残すことが実務上重要である

配管の絶縁、うちも経路図から見直してみます!

配管系の絶縁について、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する規則第28条の41

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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