建築設備の定期検査報告には、検査結果をまとめた報告書のほかに、東京都が独自に定める「建築物概要書」という書類が必要になる場合があります。
これは国の様式にはない東京都独自の添付書類で、階ごとの用途や無窓居室の有無などを一覧できる形で記録するものです。
さらに、いったん提出された概要書等は、東京都建築基準法施行細則が定める閲覧制度により、決められた日時と手続きを経れば第三者でも確認できる仕組みになっています。
この記事では、建築物概要書の記載内容から、閲覧できる書類の種類、閲覧日・閲覧時間、申込み様式の使い分けまでを整理して解説します。
所有者が変わって引き継いだ書類の中に、見慣れない概要書がありました。
これは検査の報告書とは別物なんでしょうか。
はい、東京都が独自に定める建築物概要書で、国の報告書とは別に提出する書類です。
階ごとの用途などをまとめています。
提出した後、その書類は誰でも見られるものなんでしょうか。
見られるとしたら、どんな手続きが必要か気になります。
概要書等は東京都の閲覧所で公開され、決まった様式で申し込めば閲覧できます。
対象書類・閲覧日・申込み様式を順番に整理していきましょう。
- 東京都は建築基準法施行規則第6条第4項にもとづき、独自に「建築物概要書」の提出を求めている(東京都建築基準法施行細則第13条第7項)
- 建築物概要書には、階別床面積・用途・換気上の無窓居室の有無・機械排煙設備の有無を階ごとに記載する
- 提出された概要書等は、建築計画概要書・定期調査報告概要書・定期検査報告概要書など7種類が閲覧の対象になる
- 閲覧日は都の休日を除く日、閲覧時間は午前9時30分から午後5時までと定められている
- 閲覧の申込みには、書類の種類に応じて3種類の申込み様式を使い分ける必要がある
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目次
なぜ報告書とは別に建築物概要書の提出が必要なのか

東京都ではこれに加えて、独自の添付書類が必要になります。
建築基準法施行規則第6条第3項が求める報告書・検査結果表・測定表の3点セットに加えて、東京都は同条第4項にもとづき建築物概要書の提出を独自に求めています。
根拠は東京都建築基準法施行細則第13条第7項で、規則第6条第4項の規定により定める書類は知事が別に定める建築物概要書とする、と定められています。
建築物概要書の具体的な様式は、東京都告示第444号第二で別記のとおり定められており、報告書本体とは独立した書類として扱われます。
つまり報告書を作成する際は、国の様式と都独自の様式の両方を意識して準備する必要があります。
うちのビルでも、報告書のほかに床面積や用途をまとめた書類を出した覚えがあります。
あれは何のために必要だったんでしょうか。
東京都独自に定める建築物概要書で、国の報告書とは別の書類です。
階ごとの用途や無窓居室の有無を記録する役割があります。
建築物概要書にはどんな事項を記載するのか

実際の様式を見ると、記載事項は階ごとに整理されています。
様式には建築物名称の欄があり、そのうえで階数ごとに階別床面積、用途(事務所・物品販売・飲食店・ホテル・病院・共同住宅・その他)を記載します。
用途の欄と並んで、換気上の無窓居室の有無と機械排煙設備の有無をそれぞれ「有・無」で選択する欄が設けられています。
これらは建築設備の定期検査が対象とする換気設備・排煙設備がどの階に関係しうるかを一覧で把握するための情報で、検査対象の特定にも役立ちます。
記載内容に補足が必要な場合は、様式下部の「建築物の概要に関する補足事項等」欄に書き添えることができます。
階ごとに用途を書くだけなら、そんなに手間はかからなそうですね。
無窓居室や機械排煙設備の有無まで階ごとに記載するので、実際の間取りを正しく反映させることが大切です。
提出した概要書等はどこで閲覧できるのか

概要書等は一定の手続きを踏めば第三者でも確認できる書類です。
東京都建築基準法施行細則第29条は、閲覧所において概要書等を閲覧できると定めており、対象は建築計画概要書・築造計画概要書・定期調査報告概要書・定期検査報告概要書・処分の概要書・全体計画概要書・指定道路図及び指定道路調書の7種類です。
このうち定期検査報告概要書は、建築設備の定期検査の結果を要約した書類で、過去にどのような検査が行われてきたかを後から確認する手がかりになります。
閲覧所は「東京都建築計画概要書等閲覧所」という窓口で、細則第13条第1項及び第6項にもとづき知事が別に定める書類全般を取り扱っています。
建物を引き継いだ所有者や管理者が過去の記録を追いたいときにも、この仕組みを利用できます。
提出した概要書は、その後どこに保管されているんでしょうか。
東京都の概要書等閲覧所で保管され、一定の条件で誰でも閲覧を申し込めます。
閲覧できる日や時間はどう決まっているのか

閲覧日と閲覧時間は細則第28条であらかじめ決まっています。
閲覧日は東京都の休日に関する条例が定める休日以外の日、閲覧時間は午前9時30分から午後5時までとされています。
これは通常の土日祝日を除く平日を意味し、思い立ってすぐに休日に閲覧する、という使い方はできません。
知事は概要書等の整理その他の理由で必要があると認めたときは、臨時に閲覧できない日を定めたり、閲覧時間を延長・短縮したりできます。
こうした変更があるときは、その旨があらかじめ閲覧所に掲示されることになっています。
土日にまとめて確認しに行こうと思っていました。
閲覧できるのは都の休日を除く日の午前9時30分から午後5時までなので、平日に予定を組む必要があります。
閲覧を申し込むにはどんな様式が必要か

実際には、書類の種類によって使う様式が分かれています。
建築計画概要書・築造計画概要書・処分の概要書・全体計画概要書を閲覧する場合は、別記第二十三号様式による建築(築造)計画概要書等閲覧申込票を提出します。
定期調査報告概要書・定期検査報告概要書を閲覧する場合は、別記第二十四号様式による定期報告概要書閲覧申込票を使います。
指定道路調書を閲覧する場合は、別記第二十五号様式による指定道路調書閲覧申込書が必要で、いずれも知事に提出しなければなりません。
建築設備の定期検査結果を確認したいだけなら、まず定期報告概要書閲覧申込票の様式を用意するところから始まります。
申込みの書類って、どれも同じ様式でいいんでしょうか。
いいえ、書類の種類ごとに3種類の申込み様式を使い分ける決まりです。
よくある質問
まとめ
概要書と閲覧の仕組みがつながって理解できました!
今度の申請ではきちんと様式を確認します!
その意識が正確な記録につながります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法施行規則第6条
- 東京都建築基準法施行細則(昭和25年東京都規則第194号)第13条・第28条・第29条
- 東京都告示第444号(東京都建築基準法施行細則第13条第1項及び第6項の規定に基づき知事が別に定める検査の項目、事項、方法及び結果の判定基準並びに建築物概要書)
- 東京都建築設備定期検査報告実務マニュアル2025年版
※本記事は東京都建築基準法施行細則・東京都告示第444号にもとづき、㈱防災屋が独自に解説を作成したものです。建築物概要書の様式や閲覧の運用は東京都独自のものであり、他の特定行政庁では取り扱いが異なる場合があります。実際の手続きにあたっては所管の特定行政庁や東京都の窓口に必ずご確認ください。





