建築設備の定期検査を終えたら、結果をまとめて特定行政庁へ提出しますが、実は1枚の報告書だけでは完結しません。
検査結果表や測定表など、複数の書類を組み合わせて初めて提出書類が完成する仕組みになっています。
なかでも見落とされがちなのが、前回の検査以降に生じた不具合を書く「第三面」の存在です。
この記事では、報告書の構成から不具合報告の書き方、提出後の扱いまでを整理して解説します。
報告書を提出したら、それで手続きは終わりだと思っていました。
不具合があった場合の書類まで必要とは知りませんでした。
報告書は第一面から第三面まで、検査結果表や測定表と組み合わせて初めて1件の提出書類になります。
不具合があれば、そのぶんの記載も必要です。
具体的にどの書類にどんな情報を書けばいいのか、まだよく分かっていません。
不具合の記載欄も、どう埋めればいいのか不安です。
報告書の構成から不具合の書き方、提出後の保管や閲覧の扱いまで順番に整理していきましょう。
- 建築設備(昇降機を除く)の定期検査は、報告書・検査結果表・測定表の3点セットで特定行政庁に提出する(建築基準法施行規則第6条第3項)
- 報告書は第一面・第二面・第三面の3つの面で構成され、第三面には前回検査以降に生じた不具合を記載する
- 第三面に書くのは、第二面の6欄・10欄・14欄・18欄で指摘済みのもの「以外」の不具合に限られる
- 不具合の記載は、把握年月・概要・原因・改善予定・改善措置の5項目で整理する
- 特定行政庁には台帳の整備義務があり(法第12条第8項)、定期検査報告概要書は請求があれば閲覧に供される(法第93条の2)
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目次
定期検査の結果はなぜ複数の書類に分けて提出するのか

実際には、性質の異なる書類を組み合わせて初めて提出書類が完成します。
報告書(第三十六号の六様式)は所有者・管理者・検査者の情報や検査結果の概要を記載する書類、検査結果表は告示第285号にもとづく検査項目ごとの判定を記録する書類、定期検査報告概要書は特定行政庁の台帳に載る要約書類です。
報告書自体も鑑(第一面)・建築設備の状況等(第二面)・不具合の状況(第三面)の3つの面に分かれており、面ごとに書く内容が決まっています。
この3点セットのどれかが欠けると、報告書として受理されない可能性があるため、提出前に構成を確認しておくことが大切です。
報告書と検査結果表は、同じ内容を2回書いているだけだと思っていました。
役割が違うとは知りませんでした。
報告書は概要、検査結果表は項目ごとの判定というように役割分担があります。
まずはこの3点セットを揃えることから始めましょう。
第二面の指摘と第三面の不具合報告はどう違うのか

両者は、対象にしている時点が違います。
第二面の6欄・10欄・14欄・18欄は、換気・排煙・非常用照明・給排水それぞれの設備区分について、今回の検査で指摘した内容を書く欄です。
一方、機器の異常動作等は定常的に発生するとは限らず、検査のタイミングで把握できるとは限りません。
そこで第三面では、所有者や管理者への聞き取りをもとに、検査では見えなかった不具合まで拾い上げる仕組みになっています。
検査で見つかったことと、それ以外の不具合を分けて書く決まりなんですね。
両方に同じことを書いてしまいそうです。
第二面に書いた内容は、第三面には重複して書きません。
聞き取りの内容を先に整理しておくと迷わずに済みます。
不具合として書くべき5つの記載事項とは何か

基準書は、記載すべき項目を5つに整理しています。
不具合を把握した年月と不具合の概要で「いつ・どこで・何が」を明らかにし、考えられる原因で背景を整理します(原因が不明なときは「不明」と記入します)。
そのうえで改善(予定)年月と改善措置の概要等を書き、既に改善済みなら実施年月を、これから改善するなら予定年月を( )書きで記入します。
発生した不具合については、原因究明がなされているか、改善工事により正常な状態に復帰したかの2点を確認する必要があり、この5項目を埋めることがその確認作業そのものになります。
原因が分からない不具合は、どう書けばいいのか迷っていました。
「不明」と書いてよいなら安心です。
無理に原因を決めつけず「不明」と書いて構いません。
改善の予定だけは必ず( )書きで明記しましょう。
確認済証や検査済証の交付日はなぜ書かせるのか

検査項目そのものとは関係なさそうに見えますが、実は重要な役割があります。
建築設備は法改正のたびに構造基準が見直されており、確認済証の交付日が分かれば、どの時点の基準が適用される設備かを特定できます。
現行基準に合っていない部分があっても、それが既存不適格として扱われるかどうかは、この交付日と過去の改正時期の関係で決まります。
前回の検査に関する書類の写しも、検査の継続性を確認するための資料として位置づけられており、写しが無い場合でも「無」にチェックすれば提出自体は可能です。
古いビルなので確認済証がどこにあるか分かりません。
交付日が分からないと報告書は作れないのでしょうか。
特定行政庁の台帳に記録が残っていることが多いので、まずはそちらに照会してみましょう。
見つからない場合の扱いも合わせて相談できます。
提出した報告書はその後どう扱われるのか

台帳への記載と、第三者による閲覧の2つです。
検査結果の詳細まですべて公開されるわけではなく、定期検査報告概要書(第三十六号の七様式)など省令で定められた書類に限って閲覧対象になります。
閲覧の方法や場所は特定行政庁ごとに閲覧規程を定めて告示することとされているため、実際に閲覧したい場合は所管の特定行政庁の窓口に確認する必要があります。
所有者や管理者にとっては、いい加減な報告書がそのまま台帳に残り続けることになるため、正確な記載を積み重ねることが結果的に建物の信頼性にもつながります。
報告書の一部が誰でも見られる可能性があるとは知りませんでした。
提出前にもう一度内容を見直したくなりますね。
閲覧される可能性を意識しておくと、記載も自然と丁寧になります。
迷ったときは提出前に一度見直す習慣をつけましょう。
よくある質問
まとめ
報告書の構成から不具合の書き方まで全体の流れがつかめました!
まずは自社の報告書控えを見直してみます!
それが一番確実な進め方です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第12条・第93条の2
- 建築基準法施行規則第6条・第6条の3・第11条の3
- 建築設備定期検査業務基準書2023年版 第1章1.8「定期検査報告書の様式」
※本記事は建築基準法・同施行規則の現行規定にもとづき、㈱防災屋が独自に解説を作成したものです。報告書の様式や運用の細部は特定行政庁によって異なる場合がありますので、実際の提出にあたっては所管の特定行政庁に必ずご確認ください。




