非常用の照明装置は、停電などの非常時に避難路を照らす最後の砦です。
令和7年7月1日に施行された告示改正で、この検査方法に「自動検査機能」という新しい考え方が加わりました。
蓄電池の作動状況や照度を毎回手作業で確かめていた検査の一部が、機器自身が行った検査結果の表示で足りる場合が出てきたのです。
どこまでが省略でき、どこからは今までどおりの確認が必要なのか、条文に沿って整理します。
うちのビルの非常用照明を先日LEDに交換したとき、業者さんから「自動検査機能付きです」と言われました。
これも今までと同じように検査してもらえば大丈夫ですよね。
実は令和7年7月1日の告示改正で、自動検査機能付きの機器は検査の一部を機器の表示で確認できるようになりました。
ただし対象になる条件が決まっています。
条件があるんですね。
予備電源と照度、それぞれどう変わったのか知りたいです。
予備電源と照度では、実は条件が少し違います。
新しく増えた検査事項とあわせて、順番に見ていきましょう。
- 令和7年7月1日施行の告示改正で、非常用照明装置の検査に自動検査機能による確認という新しい選択肢が加わった
- 予備電源の検査は、自動検査機能があれば作動状況・点灯時間の実測を機器の表示等で代替できる
- 照度の検査で表示による確認が認められるのは、自動検査機能があり非常時のみLEDランプが点灯する機器に限られる
- 非常用照明装置には「照明の妨げとなる物品の放置の状況」という検査事項が新設された
- 自動検査機能の有無を取り違えると、本来省略できない確認を省略してしまう危険がある
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目次
自動検査機能とはそもそも何を指すのか

まずはこの言葉が指している範囲を、条文に沿って確認しておきましょう。
告示のうえで特別な用語として定義されているわけではなく、検査方法の条文の中に「自動検査機能を有するものにあっては」という条件として登場します。
対象になるのは平成20年国交告285号の別表第三(非常用の照明装置)のうち、予備電源と照度の2つの検査事項だけです。
非常用照明器具そのものの使用電球や取付けの状況、配線、分電盤の表示といった他の検査事項には、この簡略化は適用されません。
「自動検査機能付き」という言葉だけで検査全体が省略できると誤解しないことが大切です。
自動検査機能があれば全部の検査が省略できるのかと思っていました。
対象になるのは2つの項目だけなんですね。
そのとおりです。
次は予備電源の検査がどう変わったのか、具体的に見ていきましょう。
予備電源の検査は自動検査機能があるとどう変わるのか

これまでの検査では、作動状況と点灯時間を検査員が直接確かめていました。
電池内蔵形器具では点検スイッチで常用電源を遮断し、蓄電池で30分間点灯し続けるかを確認し、電源別置形では非常用分電盤の不足電圧継電器を作動させて同様に点灯を確認します。
自動検査機能を持つ器具であれば、この一連の動作確認を検査員が自ら行う代わりに、自動検査機能による検査終了後の表示等を読み取ることで足ります。
ここでいう「自動検査機能を有するもの」に照明の種類の縛りはなく、蛍光灯でもLEDでも該当すれば対象になります。
表示灯が異常を示している場合は、自動検査機能の結果であっても要是正の指摘として記録する必要があります。
表示灯さえ確認すればいいなら、検査はかなり楽になりますね。
異常の表示が出たときはどうすればいいですか。
表示が異常を示していれば、通常の検査と同じく要是正として扱います。
表示を鵜呑みにせず記録に残すことが大切です。
照度の検査で表示による確認が認められる条件とは

もう一つの条件が加わります。
予備電源の検査事項と異なり、照度の検査事項で表示による確認が認められるのは、自動検査機能を持ち、かつ平常時は消灯していて非常時にだけLEDランプが点灯するタイプに限られます。
平常時から常時点灯しているLED照明や、自動検査機能のない蛍光灯・白熱灯の器具は、この対象になりません。
従来どおり低照度測定用照度計を使い、避難上必要な部分のうち最も暗い水平床面で実際に測定する必要があります。
地下街など高い照度基準が適用される部分は自動検査機能があっても実測が求められる場合があるため、対象部分の基準を個別に確認しましょう。
予備電源と照度で条件が違うとは知りませんでした。
うちの照明がどちらの条件に当てはまるか、施工業者に確認してみます。
仕様書や取扱説明書に自動検査機能の記載があるはずです。
点灯方式もあわせて確認しておくと安心です。
照明の妨げとなる物品の放置という検査事項は何を確認するのか

非常用照明装置が実際に機能する環境が整っているかを確かめる項目です。
非常用照明の直下や周囲に段ボール・什器・観葉植物などを置いてしまうと、器具は正常に点灯していても床面まで光が届かず避難の役に立ちません。
この検査事項は自動検査機能の有無にかかわらず、すべての非常用照明装置に共通して適用されます。
検査当日だけ片付けても、日常的に物を置く習慣があれば次回また同じ指摘を受けることになります。
倉庫代わりに使いがちな廊下や階段室こそ、日頃から照明の真下を空けておく意識が必要です。
廊下の隅に季節用品を積んでしまうことがよくあります。
これも指摘の対象になりますか。
非常用照明の妨げになっていれば指摘の対象です。
日頃から照明の真下と周囲を空けておきましょう。
自動検査機能の有無をどう見分けて検査を進めればよいのか

自動検査機能の有無を最初に確認しておくことが、スムーズな検査の鍵になります。
自動検査機能の有無は、器具本体の型式番号や設置時の仕様書、施工業者への確認で判断できます。
定期検査報告書の照度測定表(別表第四)にも、光源の種類欄に自動検査機能あり・なしを区別して記入する欄が設けられました。
自動検査機能付きの器具と従来型の器具が同じ建物内に混在しているケースも多いため、器具ごとに確認方法を分けて記録する必要があります。
判断に迷う器具があれば、無理に自己判断せず検査を依頼している建築設備等検査員に確認するのが確実です。
うちは古い蛍光灯とLEDが混在しているので、記録が複雑になりそうです。
器具ごとに分けて記録してもらえば大丈夫ですか。
はい、器具ごとに確認方法を分けて記録すれば問題ありません。
次回の検査で一度まとめて整理しておきましょう。
よくある質問
まとめ
予備電源と照度で条件が違うことも、新しい検査事項もよく分かりました!
次回の検査前に自動検査機能の有無を確認しておきます!
確認方法が変わっても、検査自体は欠かせません。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第12条・第12条の2・第12条の3
- 平成20年国土交通省告示第285号(最終改正:令和7年国土交通省告示第53号、令和7年7月1日施行)別表第三(非常用の照明装置)
- 昭和45年建設省告示第1830号第3・第4
※本記事は令和7年7月1日に施行された告示改正の内容を、建築基準法及び関係告示の現行規定にもとづき㈱防災屋が独自に解説を作成したものです。自動検査機能の有無や該当する検査方法の適用については、検査を依頼する建築設備等検査員又は所轄の特定行政庁にご確認ください。





