BLOG

建築設備の定期検査にはどんな測定器具が必要なのか|風速計から水圧計まで14種を解説

女性検査員が熱線風速計で換気口の風量を測定する様子

建築設備の定期検査では、目視や動作確認だけでなく、実際に数値を測って合否を判定する場面が数多くあります。
換気量や照度、絶縁抵抗といった項目は、決められた測定器具を使って初めて基準を満たしているかどうかが分かります。
どんな検査にどの器具を使うのかを知らないまま検査当日を迎えると、必要な準備が整わず現場で慌てることになりかねません。
本記事では、東京都建築設備定期検査報告実務マニュアルが示す14種類の測定器具を、検査項目ごとに整理して解説します。

今度の建築設備の検査、風量や照度みたいに数値まで測ると聞きました。
うちの検査員さんはどんな器具を使ってるんでしょうか。

はい、換気や空気環境、電気特性など項目ごとに専用の測定器具が決まっています。
東京都のマニュアルには14種類の器具がまとめて示されていますよ。

14種類もあるんですね。
検査のたびに全部使うわけではないですよね。

検査項目に応じて必要なものだけ使う形です。
今日は換気や照度、給水圧力まで器具の種類を一つずつ整理してご紹介しますね。

この記事の結論
  • 建築設備の性能検査は、国土交通大臣が定める検査の項目ごとに専用の測定器具を使って行います。
  • 換気量や気流は熱線風速計や気流検知器で確認します。
  • 温度・湿度・浮遊粉じん量・一酸化炭素や二酸化炭素の含有率は、空気環境専用の測定器で数値化します。
  • 照度や自動火災感知器の作動は光を使う専用の器具で確認します。
  • 扉の開放力・電気特性・給水圧力にも、それぞれ専用の測定器具が定められています。

建築設備の定期検査に必要な14種類の測定器具の一覧図解

換気の風量や気流はどの測定器具で確認するのか

熱線風速計で換気口の風量を測定するイラスト
換気設備は、居室ごとの換気量が保たれているかどうかが検査のポイントです。
数値で確認するための器具は、検査項目によって決まっています。
問1 建築設備の定期検査で換気量や気流の分布状況を確認するとき、どのような測定器具を使えばよいか。
答1 風速の測定には熱線風速計、サーミスタ風速計、トランジスタ風速計、ビラム風速計等を、気流の分布状況の確認には気流検知器等を使用します。
換気設備の性能検査は、風の速さと流れ方を数値で確かめる検査です
機械換気設備の各居室の換気量は、給気口や排気口を通る風の速さから算出します。
そのため検査では、風速そのものを測る器具を使い分けます。
気流の分布状況は、居室内の空気がよどんでいないかを確認する項目で、専用の気流検知器を使います。
どちらも数値の絶対値そのものより、基準を満たしているかどうかが判定の対象になります。

風速計にもいろいろ種類があるんですね。
どれを使うかは検査員さんが選ぶんですか。

そうです、現場の風の強さや設備の構造に合わせて選びます。
気流の乱れが疑われる場所は特に念入りに確認しますよ。

温度や空気の汚れはどう数値化するのか

湿度計と粉じん計で室内の空気環境を測定するイラスト
空気調和設備の性能検査では、目に見えない空気の状態を数値に置き換えて確認します。
温度・湿度・粉じん・ガス濃度、それぞれに専用の測定器があります。
問2 室内の温度・相対湿度・浮遊粉じん量・一酸化炭素や二酸化炭素の含有率を確認するとき、どのような測定器具を使えばよいか。
答2 気温・相対湿度にはアスマン通風式乾湿球湿度計、棒状温度計等を、一酸化炭素・二酸化炭素の含有率には非分散赤外分析法の二酸化炭素測定器、真空法ガス検知器、空気質測定器等を、浮遊粉塵量にはピエゾバランス粉じん計、デジタル粉じん計等を使用します。
空気環境の検査は、複数の指標をそれぞれ別の器具で数値化する検査です
温度と湿度はアスマン通風式乾湿球湿度計等でまとめて確認できます。
一酸化炭素や二酸化炭素の含有率は、中央管理方式の空気調和設備で特に重視される項目です。
浮遊粉じん量は、フィルターの目詰まりや換気不足のサインとしても見られます。
いずれも居室の用途や在室人数によって許容される数値の範囲が変わります。

湿度計だけじゃなくて二酸化炭素まで測るんですね。
オフィスの会議室とかも対象になるんでしょうか。

中央管理方式の空気調和設備がある建物なら対象になります。
換気だけでなく空気の質そのものを見ている項目です。

照明の明るさや感知器の作動はどう確かめるのか

照度計と自動火災感知器の作動試験器のイラスト
非常用の照明装置や自動火災感知器は、光と作動のタイミングを確認する検査です。
それぞれ専用の器具で数値や動作を確かめます。
問3 照度、検査にかかる時間、自動火災感知器の作動を確認するとき、どのような測定器具を使えばよいか。
答3 照度にはシリコン及びセレン光電池式デジタル照度計、光電管照度計等を、時間にはストップウォッチ等を、自動火災感知器には加熱試験器、加煙試験器等を使用します。
照度は場所ごとの明るさそのものを測る検査です
非常用の照明装置は、床面での照度が基準を満たしているかを照度計で確認します。
時間の計測は、点灯までの作動時間や継続時間を確かめる場面で使います。
自動火災感知器は、熱や煙を人工的に発生させる試験器で実際に作動するかを確認します。
見た目では判断できない項目だからこそ、専用の試験器具が欠かせません。

加煙試験器って、実際に煙を出して感知器を作動させるんですか。
ちょっと驚きました。

試験用の煙や熱を使って、実際にきちんと反応するかを確かめます。
見た目がきれいでも作動しなければ意味がありませんから。

扉の開きやすさや配線の状態はどの器具で測るのか

開放力計を付けた扉と分電盤のマルチメーターのイラスト
排煙設備の扉や電気設備の配線は、力の強さと電気の状態を数値で確認します。
寸法を測る場面も含めて、それぞれ別の器具を使います。
問4 距離や長さ、扉の開放力、電気特性、蓄電池を確認するとき、どのような測定器具を使えばよいか。
答4 距離・長さにはメジャー、レーザー距離計、隙間ゲージ等を、扉の開放力には圧縮力計、開放力計等を、電気特性には電圧計、電流計、絶縁抵抗計等を、蓄電池には比重計、表面温度計等を使用します。
この項目は寸法・力・電気という3種類の測定をまとめた区分です
距離や長さは、防煙壁の垂れ下がり寸法や隙間の有無を確認する場面で使います。
扉の開放力は、避難経路の防火戸や排煙設備の扉が人の力で開閉できるかを確かめる項目です。
電気特性は配線や機器の絶縁状態を、蓄電池は非常電源の劣化状態を数値で確認します。
どれも見た目だけでは分からない劣化や不具合を早期に発見するための測定です。

扉の開けにくさまで数値で測るとは思いませんでした。
力の強い人なら開いてしまう扉もあるということですか。

そのとおりです、誰でも無理なく開けられる力に収まっているかを確認します。
開放力計で実測することで、感覚に頼らず判定できます。

給水圧力や雑用水の安全性はどう確認するのか

高置水槽の圧力計と配管の水着色剤試験のイラスト
給水設備と排水設備の性能検査では、圧力の強さと水の系統を確認します。
どちらも建物の衛生環境に直結する項目です。
問5 給水圧力や再利用水(雑用水)の系統を確認するとき、どのような測定器具を使えばよいか。
答5 給水圧力には水圧計等を、再利用水の系統の確認には水着色剤を使用します。
給水圧力は蛇口まできちんと水が届いているかを確かめる項目です
高置水槽や増圧直結給水方式など、方式によって確認すべき圧力の基準が異なります。
再利用水の系統は、雑用水と飲料水の配管を取り違えていないかを確かめる検査です。
水着色剤を雑用水の系統に流し込み、誤って飲料水側に色が出ないかを確認します。
配管の取り違えは衛生上の重大な事故につながるため、慎重に確認されます。

色を付けた水で配管を確かめるなんて、地味だけど大事な検査ですね。
飲料水に混ざったら大変ですもんね。

おっしゃるとおりで、地味に見えて衛生上とても重要な項目です。
給水圧力と合わせて、毎回きちんと確認しています。

よくある質問

Q測定器具は検査のたびにすべて用意する必要があるか?
Aいいえ。検査対象の建築設備に実際に該当する項目の器具だけを用意すれば足ります。換気設備がない建築物で風速計を用意する必要はありません。
Q測定器具の型式まで決まっているのか?
A実務マニュアルが示すのは代表的な例示です。多くの区分に「等」という表現が付いており、同等の性能を持つ測定器具であれば使用できると考えられます。
Qこの測定器具は誰が扱うのか?
A定期検査は一級建築士・二級建築士または建築設備等検査員資格者証の交付を受けた検査員が行うため、測定器具もその検査員(または監督下の補助検査者)が扱います。
Q測定した数値はどのように判定へつながるのか?
A各測定値は国土交通大臣が定める検査方法・判定基準に照らして合否が判断され、検査結果表に記録されて報告書に添付されます。

まとめ

建築設備の性能検査は国土交通大臣が定める検査の項目ごとに、決められた測定器具を使って数値を確認します。
風速や気流は熱線風速計や気流検知器で確認します。
気温・相対湿度・浮遊粉じん量・一酸化炭素や二酸化炭素の含有率は、空気環境専用の測定器で数値化します。
照度や自動火災感知器の作動確認には、光を使う専用器具を使用します。
扉の開放力・電気特性・蓄電池には、それぞれ専用の測定器具が定められています。
給水圧力は水圧計、再利用水の系統は水着色剤で確認します。
測定器具の種類を把握しておくと、検査員との事前の打ち合わせがスムーズになります。

測定器具の種類が分かると、検査当日の流れがイメージしやすくなりました!
検査員さんとの事前の打ち合わせもしっかりしておきます。

器具の種類や検査の流れで迷ったときは、㈱防災屋でもご相談を承っております

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条第3項(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行規則第6条第1項・第2項(e-Gov法令検索)
  • 東京都建築設備定期検査報告実務マニュアル2025(東京都)「第6章 参考資料 1.建築設備定期検査報告制度に関するQ&A」(4)②

※本記事は公表されている建築基準法令および東京都建築設備定期検査報告実務マニュアルに基づく一般的な解説です。測定器具の例示は東京都の運用によるものであり、条例や運用は自治体ごとに異なる場合があります。個別の判断は特定行政庁または検査機関にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
女性検査員が熱線風速計で換気口の風量を測定する様子
建築設備の定期検査では、目視や動作確認だけでなく、実際に数値を測って合否を判定する場面が数多くあります。 換気量や照度、絶縁抵抗といった項目は、決められた測定器具を使って初めて基準を満たしているかどうかが分かります。 ど...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →