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給水管や排水管が防火区画を貫通する部分はどんな配管材料なら使えるのか|VP管とVU管の違いから耐火二層管の使用条件まで解説

給水管が防火区画を貫通する部分でVP管とVU管の外径を確認する女性検査員

新築時の設計図には、配管が防火区画を貫通する部分の処理方法がきちんと記載されています。
ところが増築やリフォームで新しい配管を通す際、この基準が見落とされることがあります。
給水管や排水管は配管の材料外径の両方が告示で細かく定められており、条件を満たさない配管は定期検査で是正を求められます。
今回は硬質塩化ビニル管のVP管とVU管の違いから、耐火二層管の使用条件、外径の数値基準までを解説します。

最近リフォームで新しい排水管を通したのですが
そのままで大丈夫でしょうか。

配管の材質と外径によっては是正が必要になることがあります。
まずは3つの選択肢のどれに当てはまるか確認しましょう。

3つの選択肢というのは何のことですか。

不燃材料で覆う・外径を細くする・認定品を使うの3択です。
今回はこの中身を具体的に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 防火区画を貫通する給水管や排水管は不燃材料で覆う・外径を細くする・認定品を使うのいずれかに適合させる必要があります
  • 硬質塩化ビニル管はVP管(厚肉)は使え、VU管(薄肉)は防火区画等の貫通部に使用できません
  • 耐火二層管は主管と枝管を一体で施工する必要があり、VP管やVU管との混在はできません
  • 配管の許容外径は材質・肉厚・防火区画の耐火性能によって数値が細かく分かれています
  • 0.5mm以上の鉄板で覆われた排水管は許容外径が緩和されます

給水管や排水管が防火区画を貫通する部分の配管材料と外径基準をまとめた図解

なぜ配管の防火区画貫通に3つの選択肢が用意されているのか

防火区画を給水管が貫通する部分の3つの措置方法を示すイラスト
給水管や排水管は樹脂やモルタルなど様々な材料でできており、火災時の性質もそれぞれ違います。
そこで施行令は配管の構造そのものに条件を付け、防火区画の性能を配管が壊すことがないようにしています。
建築基準法施行令第129条の2の4第1項第七号 給水管、配電管その他の管が、準耐火構造の防火区画、防火壁若しくは防火床、界壁、間仕切壁又は隔壁(以下「防火区画等」という。)を貫通する場合においては、これらの管の構造は、次のイからハまでのいずれかに適合するものとすること。(ただし、一時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画されたパイプシャフト等の中にある部分を除く。)
イ 管の貫通する部分及び両側1メートル以内の距離にある部分を不燃材料で造ること。
ロ 管の外径が、当該管の用途、材質その他の事項に応じて国土交通大臣が定める数値未満であること。
ハ 防火区画等を貫通する管に通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること。(略)
イ・ロ・ハのどれか一つを満たせば足ります。
イは配管ごと不燃材料で覆ってしまう方法、ロは管の外径そのものを基準値未満に抑える方法、ハは大臣認定を受けた耐火二層管等の製品を使う方法です。
どの方法を選ぶかは新築時の設計段階で決まっていることが多く、検査ではまずどの方法が採用されているかを見極めます。
図面が残っていれば処理方法の確認は早く済みますが、図面が無い場合は現地で管の刻印や被覆材を目視で確認します。
この後は、この三択のうち特に見落としやすいロとハの中身を具体的に確認していきます。

配管の途中を金属で覆えばそれで済むと思っていました。
方法は1つじゃないんですね。

はい、建物の状況に合わせて選べる仕組みになっています。
次は特に間違えやすい配管の種類の違いを見ていきましょう。

VP管とVU管はなぜ防火区画の貫通で扱いが違うのか

VP管とVU管の壁の厚みの違いを比較するイラスト
硬質塩化ビニル管には、同じ塩ビ管でも壁の厚みが違うVP管とVU管という規格があります。
どちらも給水管や排水管として広く使われていますが、防火区画の貫通部では扱いが分かれます。
平成12年建設省告示第1422号(給水管等の外径を定める件) 給水管等の外径は、給水管等の用途、覆いの有無、材質、肉厚及び当該給水管等が貫通する床、壁、柱又ははり等の構造区分に応じ、別表に掲げる数値とする。(別表より抜粋)硬質塩化ビニル管の給水管で肉厚5.5mm以上のものは外径90mm未満、肉厚6.6mm以上のものは外径115mm未満(2時間耐火構造の区画では90mm未満)とすること。
VP管は肉厚が厚く、VU管は肉厚が薄い規格です。
告示第1422号の数値表は肉厚の区分ごとに許容できる外径の上限を定めていますが、VU管の薄い肉厚では、実際に使われる口径の排水管や給水管がこの区分に届かないことがほとんどです。
そのため東京都の実務マニュアルでも、VU管(薄肉)は防火区画等の貫通部に使用できないという整理がされています。
検査では管に刻印されたJIS表示(VPかVUか)を確認し、防火区画を貫通する部分にVU管が使われていないかを見ます。
リフォームで排水管を交換した際、手元にあったVU管をそのまま使ってしまうと是正の対象になるため注意が必要です。

同じ塩ビ管でも規格で扱いが変わるとは知りませんでした。

交換用の配管を選ぶときは、管に書かれた表示を必ず確認してください。
次は認定品の耐火二層管について見てみましょう。

耐火二層管や樹脂管はどんな条件なら使えるのか

耐火二層管の主管と枝管を一体で施工する様子のイラスト
前の項目で紹介した「ハ」の方法にあたるのが、国土交通大臣の認定を受けた耐火二層管です。
モルタルなどの被覆材で塩ビ管を二重に包み、外径の基準を満たさなくても使えるようにした製品です。
建築基準法施行令第129条の2の4第1項第七号ハ 防火区画等を貫通する管に通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間当該加熱面以外の面に火炎を出さないもの等として、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること。
耐火二層管は主管と枝管をすべて耐火二層管でそろえることが前提です。
認定はあくまで製品全体としての性能評価なので、VP管やVU管と混在させて配管することはできません
給水・給湯用の樹脂管(ポリブテン管や架橋ポリエチレン管)についても、国土交通大臣認定の工法や防災性能評定を受けた工法で措置することが条件になります。
検査では、防火区画を貫通する管が耐火二層管なら継ぎ手や枝分かれの部分まで同じ製品でそろっているか、樹脂管なら認定シールなどで工法を確認できるかを見ます。
古い改修の記録が残っていない場合は、貫通部の被覆材を目視やたたき音で確認することもあります。

耐火二層管の続きに普通の塩ビ管をつないでしまったら駄目なんですね。

その通りです、認定は管全体の組み合わせに対するものです。
次は外径そのものの数値基準を見てみましょう。

配管の外径はどこまで細くすればよいのか

給水管と排水管の外径基準を巻尺で確認するイラスト
「ロ」の方法を選んだ場合、告示第1422号の別表に沿って許容される外径を確認します。
数値は配管の用途・覆いの有無・材質・肉厚・防火区画の耐火性能の組み合わせごとに決まっています。
平成12年建設省告示第1422号 別表(抜粋)
給水管(硬質塩化ビニル、肉厚5.5mm以上):防火構造・30分耐火構造・1時間耐火構造いずれも外径90mm未満
給水管(同、肉厚6.6mm以上):防火構造・30分耐火構造・1時間耐火構造は外径115mm未満、2時間耐火構造は外径90mm未満
配電管(同、肉厚5.5mm以上):いずれの区分も外径90mm未満
排水管及び通気管(覆いのない場合、肉厚6.6mm以上):防火構造・30分耐火構造は外径115mm未満、1時間耐火構造は外径90mm未満、2時間耐火構造は外径61mm未満
防火区画の耐火性能が上がるほど、許容される外径は小さくなります。
これは耐火時間が長い区画ほど、貫通部のすき間から熱や煙が伝わる余地を小さくする必要があるためです。
同じ肉厚6.6mmの給水管でも、防火構造の区画なら115mm未満まで許されるのに対し、2時間耐火構造の区画では90mm未満まで細くしなければなりません。
排水管は0.5mm以上の鉄板で覆うと許容外径が緩和され、覆いがない場合より太い管を使えるようになります。
検査では設計図書の管径と現地の実測値を照合し、区画の耐火性能に対して数値表の範囲内に収まっているかを確認します。

耐火性能が高い壁を貫通するほど、管を細くしないといけないんですね。

つまり区画によって使える太さの上限が変わるということです。
最後に検査で見落としやすい点をまとめます。

検査で要是正になりやすいのはどんなケースか

要是正の配管と適合する配管を見比べる検査員のイラスト
同じ現場でも、配管をどこで交換したかによって基準への適合状況が変わることがあります。
東京都の実務マニュアルが示す判定事例には、次のような要是正のパターンがまとまっています。
(判定事例の考え方に基づく整理)VU管(薄肉塩化ビニル管)が防火区画等の貫通部に用いられていること/防火区画の耐火性能に対して告示第1422号の数値表を超える外径の配管が用いられていること/耐火二層管の工法にVP管・VU管が混在していること/貫通部の隙間に不燃材料以外の充填材が使われていること。
要是正になりやすいのは、リフォームや設備更新で後から通した配管です。
新築時はイ・ロ・ハのいずれかで正しく処理されていても、後から追加した配管は基準を意識しないまま施工されがちです。
使われていない予備配管がある場合は、先端が密閉されているかも確認します(密閉されていないと、そこから煙や炎が伝わるおそれがあります)。
一時間準耐火基準に適合する床や壁で囲われたパイプシャフトの中にある部分は、個別の処理が不要になる例外もあるため、区画の構造もあわせて確認します。
気になる配管を見つけたら、いつどこで交換されたものかを所有者や管理者に確認しておくと、是正の要否を判断しやすくなります。

後から通した配管ほど注意が必要なんですね。
今度リフォームするときは業者にも確認してもらいます。

それが一番確実です、工事の前に確認しておきましょう。

よくある質問

Q防火区画を貫通する配管はどんな管でもよいわけではないのですか?
Aはい。建築基準法施行令第129条の2の4第1項第七号のイ・ロ・ハのいずれかに適合させる必要があります
QVP管とVU管は見た目で区別できますか?
A管の表面に刻印されたJIS規格の表示で確認できます。厚肉のVP管と薄肉のVU管は刻印の記号が異なります。
Q耐火二層管とはどんな製品ですか?
A硬質塩化ビニル管の外側をモルタル等の被覆材で包み、国土交通大臣の認定を受けた製品です。外径の基準を満たさなくても使用できます。
Q排水管が鉄板で覆われている場合は基準が変わりますか?
Aはい。0.5mm以上の鉄板で覆われている場合は、覆いがない場合より許容される外径が緩和されます。

まとめ

防火区画を貫通する給水管や排水管はイ・ロ・ハのいずれかに適合させる必要があります
イは不燃材料で覆う方法、ロは外径を基準値未満に抑える方法、ハは大臣認定を受けた製品を使う方法です
硬質塩化ビニル管はVP管(厚肉)は使え、VU管(薄肉)は使用できません
耐火二層管は主管と枝管を一体で施工する必要があり、他の管との混在はできません
許容される外径は防火区画の耐火性能が上がるほど小さくなります
0.5mm以上の鉄板で覆われた排水管は許容外径が緩和されます
要是正になりやすいのはリフォームで後から通した配管です

配管の種類まで見ないといけないとは思いませんでした!
今度の点検でしっかり確認してもらいます。

配管の材質や外径まで含めて丁寧に確認いたします。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法施行令第129条の2の4(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第112条第20項(e-Gov法令検索)
  • 平成12年建設省告示第1422号 準耐火構造の防火区画等を貫通する給水管、配電管その他の管の外径を定める件(最終改正:令和2年4月1日国土交通省告示第508号)
  • 東京都建築設備定期検査報告実務マニュアル2025年版(東京都、判定事例の考え方を参考に独自に解説を作成)

※本記事は公表されている法令および告示に基づく一般的な解説です。実際に使用できる配管の材質や外径は、建物ごとの防火区画の構造や既存の認定内容によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または建築設備等検査員にご確認ください。

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