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一般住宅の建築確認はなぜ消防の同意が不要になることがあるのか|防火地域と床面積で決まる対象の分かれ目を解説

一般住宅の建築確認に消防同意は必要なのかを示すイメージ

住宅を建てるとき、建築確認には消防長や消防署長の同意が必要だとされています
けれど身近な一戸建て住宅では、この同意そのものが最初から不要になっていることがあります
対象になるかどうかは、防火地域や準防火地域かどうかと、住宅の床面積の使われ方で決まります
本記事では、消防同意が不要になる住宅の条件と、そこから外れてしまう例外を整理します。

自分の家を建てるとき、消防の同意っているんでしょうか。

一戸建てなら同意が不要になることがあります。

でも近所では確認申請に時間がかかったと聞いたことがあります。

防火地域かどうかで分かれます。
順に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 建築確認等をする際は、原則として消防法第7条第1項により消防長又は消防署長の同意を得なければならない
  • 都市計画法上の防火地域及び準防火地域以外の区域内にある住宅は、原則として同意の対象から外れる
  • ただし長屋・共同住宅や、住宅以外の用途部分が延べ面積の2分の1以上又は50平方メートルを超える一戸建て住宅は対象に戻る
  • 同意が不要な場合でも、建築主事等は消防長等へ確認申請の内容を通知しなければならない
  • この基準は消防法施行令第1条建築基準法第93条に定められている

住宅の建築確認に消防同意が要らない場合の区域と床面積の分かれ目を示した図解

なぜ住宅の建築確認に消防の同意という手続きがあるのか

住宅の模型と、承認印が押された建築図面を並べたイメージ
建築物を建てるときの確認や許可には、実は消防の同意という手続きが組み込まれています。
まずはこの制度の基本を確認します。
建築物の新築、増築、改築、移転、修繕、模様替、用途の変更若しくは使用について許可、認可若しくは確認をする権限を有する行政庁(略)は、当該許可、認可若しくは確認(略)に係る建築物の工事施工地又は所在地を管轄する消防長又は消防署長の同意を得なければ、当該許可、認可若しくは確認(略)をすることができない。(消防法第7条第1項)
住宅の防火安全は、建築確認の段階で二重に確かめられます
建築主事等が建築基準法の基準を審査するのとは別に、消防長や消防署長が防火の観点から審査するしくみです。
この同意が得られなければ、建築確認そのものが下りません。
つまり住宅を建てる際、建築の許可と消防の許可はセットで動くのが原則です。
ただしこの原則には、次に見る大きな例外があります。

確認申請って、消防にも見られているんですね。

はい、建築と消防の両方が確認する仕組みです。

どんな住宅なら同意の対象から外れるのか

境界の外側に立つ一戸建て住宅と防火地域を示す帯のイメージ
すべての住宅が同意の対象というわけではありません。
条文にはただし書きがあり、一定の区域の住宅はあらかじめ対象から外されています。
ただし、確認(略)に係る建築物が都市計画法第8条第1項第5号に掲げる防火地域及び準防火地域以外の区域内における住宅(長屋、共同住宅その他政令で定める住宅を除く。)である場合(略)においては、この限りでない。(消防法第7条第1項ただし書)
防火地域と準防火地域の外にある住宅は、原則として同意が要りません
防火・準防火地域は建物が密集し延焼の危険が高い区域として都市計画法で指定されており、その外側では建築基準法自体の構造制限も緩やかになります。
このため同じ理由で、消防同意という追加の審査も不要とされているのです。
ただし条文には「長屋、共同住宅その他政令で定める住宅を除く」という留保が付いています。
この「政令で定める住宅」の中身が、次の落とし穴につながります。

うちは防火地域の外だから、それだけで安心していいんですか。

住宅の種類によっては、そこで対象に戻ることがあります。

一戸建てでも同意の対象に戻ってしまうのはどんな場合か

住宅部分と店舗部分が半分ずつになった一戸建てのイメージ
防火地域の外でも、住宅の中身によっては同意の対象に戻ることがあります。
その基準を政令で確認します。
法第7条第1項ただし書の政令で定める住宅は、一戸建ての住宅で住宅の用途以外の用途に供する部分の床面積の合計が延べ面積の2分の1以上であるもの又は50平方メートルを超えるものとする。(消防法施行令第1条)
長屋と共同住宅は、防火地域の外であっても最初から同意の対象です
一戸建て住宅も油断はできません。
店舗や事務所を兼ねた併用住宅で、住宅以外の部分の床面積が延べ面積の半分以上、または50平方メートルを超えていると、この政令に該当して対象に戻ります。
逆に言えば、純粋な一戸建て専用住宅か、併用部分がごく小さい住宅だけが、防火地域外での例外を最後まで使えることになります。
自宅の一部を店舗にしている、あるいはこれから兼用しようと考えている場合は、この床面積の割合を先に確認しておく必要があります。

うちは一階を小さな店にしようと思っていました。

その場合は床面積の割合を先に確認しておきましょう。

同意が不要でも消防に何も伝わらないわけではないのか

設計事務所の机から消防署へ書類が渡っていくイメージ
同意が不要な住宅でも、消防が確認申請の内容を一切知らないわけではありません。
建築基準法側にも対応する規定があります。
建築主事等又は指定確認検査機関は、第1項ただし書の場合において第6条第1項(略)の規定による確認申請書を受理したとき(略)は、遅滞なく、これを当該申請(略)に係る建築物の工事施工地又は所在地を管轄する消防長又は消防署長に通知しなければならない。(建築基準法第93条第4項)
消防同意が不要な住宅でも、建築主事等には別の義務が課されています
確認申請を受理したら、遅滞なくその内容を管轄の消防長又は消防署長へ通知しなければならないという規定です。
同意という許可の手続きではなく、あくまで情報の共有ですが、これによって消防機関は区域内の建築計画を把握できます。
「同意が要らない=消防と無関係になる」と思い込むと、この通知の存在を見落としがちです。
落とし穴は、同意不要と通知不要を混同してしまうところにあります。

同意がいらないなら、消防は何も知らないと思っていました。

いいえ、通知という形で情報は届いています。

明日から何を確認すればよいのか

チェックリストと虫眼鏡で住宅の図面を確認するイメージ
最後に、自宅や計画中の住宅で確認できる手順を整理します。
特別な調査をしなくても、順番に照らし合わせれば判断できます。
  • 建築予定地が防火地域・準防火地域に入っているかを都市計画図で確認する
  • 長屋や共同住宅ではなく一戸建て住宅かどうかを確認する
  • 店舗や事務所等の住宅以外の用途に使う部分の床面積を延べ面積と比べる
  • その床面積が延べ面積の2分の1以上、または50平方メートルを超えていないかを確認する
  • 同意が不要な場合でも、消防長等への通知が別途行われることを理解しておく
チェックする項目は、区域・住宅の種類・床面積の3つだけです
このうちどれか一つでも対象条件に当てはまれば、消防同意が必要になります。
迷う場合や、増築で床面積の割合が変わりそうな場合は、早めに所轄の消防署や特定行政庁に相談しておくと安心です。
同意が不要な住宅でも通知は行われているため、消防と無関係になるわけではないという点も覚えておきましょう。

区域・種類・床面積の3つを見ればいいんですね。

はい、この3つを順番に確認すれば判断できます。

よくある質問

Q防火地域や準防火地域はどこで確認できますか?
A建築予定地を管轄する市区町村の都市計画図や都市計画課の窓口で確認できます。防火地域・準防火地域の指定は都市計画法第8条第1項第5号に基づき、自治体ごとに定められています。
Q併用住宅の床面積はどの部分を数えればよいですか?
A店舗や事務所など住宅の用途以外に使う部分の床面積の合計を、建物全体の延べ面積と比べます。付随する部分の扱いに迷う場合は、所轄の特定行政庁や消防署に確認するのが確実です。
Q長屋や共同住宅はなぜ最初から対象になるのですか?
A条文が長屋・共同住宅を除外規定から名指しで除いているためです。一戸建てより多くの世帯が影響を受ける建物として、区域にかかわらず消防の同意を得る対象とされています。
Q通知を受けた消防長等は何をするのですか?
A通知は同意を求めるものではないため、消防長等が申請を審査したり許可を出したりすることはありません。区域内の建築計画を把握するための情報共有という位置づけです。

まとめ

建築確認等をする際は、原則として消防法第7条第1項により消防長又は消防署長の同意が必要です
都市計画法上の防火地域及び準防火地域以外の区域内にある住宅は、原則として同意の対象から外れます
長屋・共同住宅は区域にかかわらず最初から対象です
一戸建てでも住宅以外の用途部分が延べ面積の2分の1以上又は50平方メートルを超える場合は対象に戻ります
この基準は消防法施行令第1条に定められています
同意が不要な場合でも建築主事等は消防長等へ通知しなければなりません(建築基準法第93条第4項)
明日からは、区域・住宅の種類・床面積の3つを順番に確認しましょう

うちの計画がどちらに当たるか、順番に確認してみます。

床面積の割合の確認方法まで、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第7条
  • 消防法施行令第1条
  • 建築基準法第93条
  • 都市計画法第8条

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署または特定行政庁にご確認ください。

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