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BCPで断水時に受水槽の水を使ってよいのか|消防用の水を残す取り出し手順を解説

断水時の建物で受水槽の非常用給水栓と消防用設備の配管を確認する施設管理者の写真

断水したとき、建物の受水槽に残っている水を使いたいと考えたことはありませんか。
水が見えていても、蛇口から出ない、飲用に使えるか分からない、消防用設備の水源と兼用しているといった事情があります。
確認せずに抜き取ると、生活用水を確保するつもりが、消火に必要な水まで減らすおそれがあります。
水槽の用途、取り出し口、飲用可否、消防用の必要水量を図面と現物で分けて確認することが要点です。

受水槽に水が残ってたら、トイレに使ってええんですか。

まず水槽の用途と配管を確認します。

消防用と兼用やったら、全部使えないんですか。

消防用の必要水量を残せる構造か、図面で確かめます。

この記事の結論
  • 受水槽の水は災害時に活用できますが、用途と取り出し方法を先に確認します。
  • 停電時はポンプが止まり、水槽に水があっても蛇口から出ない場合があります。
  • 飲用する前に残留塩素など水質の確認が必要です。
  • 消防用設備や消防水利と兼用する水槽では、消火に必要な水量を減らしません。
  • 平常時に図面、バルブ、採水口、担当者を確認し、断水時の給水手順へ落とします。

断水時に受水槽の用途と水質と消防用の必要水量を確認してから生活用水を取り出す流れのアイソメ図

断水時に受水槽の水を使ってよいのか

断水した建物で受水槽と蛇口と給水容器を確認するアイソメ図
受水槽式の建物には、断水時にも一時的に使える水が残る場合があります。
ただし、水槽に水があることと、すぐ安全に取り出せることは別です。
横浜市水道局は、受水槽式には断水時に水を確保するストック機能があり、通常の使用では半日分程度の水量があると案内しています。
同局は、停電時やポンプ故障時には受水槽から先へ給水できない場合があり、飲料水として使う際は残留塩素の確認が必要としています。
使えるかどうかは、水量だけでなく設備の状態と用途で判断します。
まず建物が直結式か受水槽式かを設備図面で確認します。
受水槽式でも、停電で揚水ポンプや加圧ポンプが止まれば、通常の蛇口からは水が出ないことがあります。
水槽本体、配管、ポンプ、電源、漏水の有無を見てから、管理者が指定した取水方法を使います。
地震後に水槽や配管へ亀裂、傾き、濁り、異臭がある場合は使用を止めます。
飲用とトイレ洗浄などの生活用水は、同じ扱いにしません。
飲用には水質の確認が必要で、確認できない水をそのまま飲ませないでください。
さらに消防用設備の水源を兼ねている場合は、使ってよい範囲を設備図面と管理者の手順で確認します。
「水が残っているから使う」ではなく、「用途ごとに使えると確認した水だけを使う」が基本です。

水槽に残ってるだけでは、使えると決まらないんですね。

設備状態と用途まで確認してください。

どの水槽と配管を対象に確認するのか

受水槽と高置水槽と消防用水槽を配管図で見分けるアイソメ図
建物には、見た目が似た水槽が複数あることがあります。
名称だけで判断せず、給水系統図と消防用設備の図面を重ねて確認します。
横浜市の受水槽施設事前指導では、受水槽と高置水槽の有効容量を定め、原則として消防用水槽と兼用しない構造を示しています。
東京消防庁の消防水利施設構造基準は、兼用水槽の容量について、消防用設備等に必要な水量と消防水利の水量を合算し、それぞれに必要な水量を確保する考え方を示しています。
受水槽、高置水槽、消防用設備の水源、消防水利を分けて見ます。
受水槽は水道水を一度ため、ポンプなどで建物内へ送る設備です。
高置水槽は屋上などへ水を上げ、重力で下階へ給水する設備です。
一方、屋内消火栓設備やスプリンクラー設備には、消火のための水源が必要です。
また、大規模な建物では、消防隊が使う消防用水や消防水利を備える場合があります。
一つの水槽に見えても、内部の区画、取水高さ、配管の接続位置によって、生活用と消防用の有効水量を分けていることがあります。
現物の銘板だけでなく、給水系統図、消防設備図、竣工図、保守点検記録で水の行き先を確かめます。
採水口、送水ポンプ、補給配管、バルブの位置も図面上で追います。
どの図面にも区分が無い、改修後の配管が反映されていない場合は、設備業者へ確認するまで抜き取りません。
自治体の指導基準は地域で異なるため、自社建物の完成図書と所轄の運用を優先します。

同じ水槽に見えても、配管の役割が違うんですね。

系統図と消防設備図を一緒に見ます。

生活用水はどこからどう取り出すのか

管理者が受水槽の非常用給水栓から清潔な容器へ水を取り出すアイソメ図
停電で通常の給水が止まった場合は、指定された非常用給水栓や水抜き管などから取り出します。
ただし、取水口を知らない人がバルブを操作する運用にはしません。
横浜市は、受水槽に水が残っている場合でも、飲用には残留塩素を確認し、確認できない場合は顔を洗うなどの生活用水として活用するよう案内しています。
内閣府の避難所におけるトイレ確保・管理ガイドラインは、断水時のトイレ用水として、貯水槽、井戸、プール、雨水などを検討し、ポンプや非常用電源の必要性も確認する考え方を示しています。
取り出す前に、用途、取水口、容器、配布量を決めます。
最初に管理者が水槽と配管に損傷がないことを確認します。
次に、図面と現物で非常用給水栓、水抜き管、ポンプの要否を確認します。
マンホールを開けて容器を直接入れる方法は、転落、異物混入、水質悪化につながるため行いません。
取水は、設備の操作方法を理解した担当者が行います。
容器は飲用と生活用水で分け、ふた付きの清潔なものを使います。
飲用に回す場合は、残留塩素や濁り、色、においなどを所定の方法で確認します。
飲用を確認できない水は、トイレ洗浄や清掃など用途を限定し、誤飲を防ぐ表示を付けます。
必要量を一度に抜かず、残量と配布量を給水記録へ残します。
断水が長引く想定なら、給水車、備蓄水、井戸、携帯トイレなど別の手段も並行して準備します。
確認段階確認すること
取水前水槽・配管・ポンプ・漏水・水質
取水時指定取水口・担当者・清潔な容器
配布時飲用と生活用水の区別・配布量
記録時刻・用途・取水量・残量・異常

水抜き管の場所を、今のうちに見ておくんですね。

取水口と操作担当を一組で決めます。

受水槽と消防用水を混同すると何を見落とすのか

生活用の取水口と消防用設備の水源を分けて必要水量を残すアイソメ図
最も避けたいのは、水槽の総容量をすべて生活用に使えると思い込むことです。
消防用設備や消防水利に必要な有効水量は、災害時にも確保しなければなりません。
消防法施行令第11条は、屋内消火栓設備について、水源、加圧送水装置、配管、電源などの技術上の基準を定めています。水源は、所定の放水に必要な量を確保する設備です。
東京消防庁の兼用水槽の基準は、消防水利としての水を使った後も、消防用設備等に必要な水量が確保される構造を求めています。
消防用の水は、見た目の残量ではなく有効水量で守ります。
消防用設備の水源は、設備が必要な放水を行うために確保された水です。
生活用と同じ水槽を使う設計でも、取水口の高さや区画によって消防用の水を残す仕組みがあります。
逆に、その仕組みを理解せず低い位置のバルブから抜けば、消防用の有効水量へ影響するおそれがあります。
消防隊が使う消防用水や消防水利も、屋内消火栓設備の水源とは役割が異なります。
「消防」と書かれた採水口やバルブを、生活用の給水口として操作しないでください。
水槽の総容量、生活用の有効容量、消防用設備の必要水量、消防水利の必要水量を別欄で管理します。
水量だけでなく、停電時に使えるポンプと電源も確認します。
配管改修、水槽清掃、ポンプ更新の後は、完成図書と現物が一致するか再確認します。
判断できない場合は、設備業者と所轄消防署へ確認し、生活用の抜き取りを止めるのが安全です。

水槽の全部が生活用ではないんですね。

消防用の有効水量を先に確保します。

明日から断水時の給水手順をどう確認するのか

給水系統図と水質検査具と容器と給水記録を並べて訓練するアイソメ図
断水してから図面を探しても、取水口とバルブをすぐに判断できません。
平常時に図面を持って設備室へ行き、現物と手順を照合します。
内閣府「事業継続ガイドライン」は、初動対応、二次災害の防止、重要業務の継続について、平常時から体制と手順を整え、教育・訓練・点検・見直しを続ける考え方を示しています。
横浜市水道局は、受水槽を毎年1回以上定期に点検、清掃するなど、設置者または管理者による適切な維持管理を案内しています。
図面確認、現物確認、取水訓練、記録更新を一続きにします。
最初に、給水系統図、消防設備図、受水槽の容量表、保守点検記録を集めます。
次に、受水槽、高置水槽、消防用水槽、採水口、非常用給水栓、ポンプ、バルブを現物で確認します。
水槽ごとに用途、総容量、使える範囲、消防用の必要水量、取水方法を一覧にします。
飲用判断をする人、設備を操作する人、容器へ表示する人、残量を記録する人を決めます。
停電時にポンプが必要なら、非常電源の対象と運転時間を確認します。
訓練では実際に設備を無断操作せず、管理者と設備業者の立会いのもとで取水経路を確認します。
容器の置き場、運搬動線、転倒防止、飲用と生活用水の表示も試します。
訓練後は、図面との差、鍵の所在、担当者不在、水質確認の不足を是正記録へ残します。
明日は、設備図面を持って非常用給水栓の前まで歩くところから始めてください。
  • 給水系統図と消防設備図をそろえる
  • 水槽ごとの用途と有効水量を確認する
  • 非常用給水栓とバルブの位置を確認する
  • 飲用と生活用水の判断担当を決める
  • 取水量と残量を記録する様式を用意する

明日は図面を持って、取水口まで歩いてみます。

図面と現物の一致から確かめましょう。

よくある質問

Q受水槽に水が残っていれば飲めますか?
A残っているだけでは判断できません。設備の損傷、濁り、においを確認し、飲用には残留塩素など水質の確認を行ってください。
Q停電でも受水槽の水は蛇口から出ますか?
Aポンプで給水する建物では、停電やポンプ故障で蛇口から出ない場合があります。指定された非常用給水栓や取水方法を確認してください。
Q消防用設備と兼用する水槽から生活用水を取れますか?
A建物ごとの設計によります。消防用設備等に必要な有効水量を減らさない構造と取水範囲を図面と設備業者へ確認してください。
Q受水槽のマンホールを開けてバケツで取水してよいですか?
A行いません。転落や異物混入を避けるため、管理者が定めた専用の取水口から担当者が取り出してください。

まとめ

受水槽の水は、設備状態と用途を確認してから災害時に活用します。
停電時はポンプが止まり、通常の蛇口から出ない場合があります。
飲用と生活用水を分け、飲用には水質確認を行います。
受水槽と消防用水槽は図面と配管で見分けます。
兼用水槽でも、消防用設備等に必要な有効水量を減らしません
指定取水口、清潔な容器、用途表示、給水記録を一組で準備します。
平常時に図面を持って取水口まで歩き、断水時の手順を訓練します。

図面と取水口を明日確認します!

生活用水と消防用水を分けて備えましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および横浜市、東京消防庁、内閣府の資料に基づく一般的な解説です。水槽の構造、消防用の必要水量、飲用可否、取水方法は建物と地域の運用によって異なります。個別の判断は建物所有者、設備業者、水道担当部局、所轄消防署へご確認ください。

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