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BCPで災害復旧に使った油付きウエスを袋へまとめてよいのか|自然発火を防ぐ分別と回収を解説

災害復旧で出た油付きウエスを確認する施設担当者の現場写真を使ったアイキャッチ

地震や浸水の復旧作業で、塗料や油を拭いたウエスが何枚も出ました。
片付けやすいからと普通のポリ袋へ押し込み、回収日まで置いてよいのでしょうか。
油の種類によっては、布に広がった油が空気中の酸素と反応し、重ねた内部へ熱をためることがあります。
油の種類と処理方法を確認できるまで丸めて袋へまとめません
製品表示や安全データシートを確認し、火気と熱源から離して管理します。

火を使ってへんのに、ウエスが燃えるんですか?

油によっては酸化熱がたまります

ほな、水へ漬けたら全部ええんです?

一律には決めず、製品ごとの指示を確認しましょう。

この記事の結論
  • 油付きウエスを丸めて普通の袋へ押し込みません
  • 製品表示と安全データシートで油の種類を確認します
  • 火気と熱源を避けて種類ごとに分けます
  • 仮置き方法は製造事業者と回収先へ確認します
  • 発熱・煙・強い臭いがあれば触らず避難して119番通報します

災害復旧で出た油付きウエスについて油の種類を確認し普通ごみと分けて回収へつなぐ一場面のアイソメ図

災害復旧に使った油付きウエスを袋へまとめてよいのか

災害復旧で油を拭いたウエスを普通のごみ袋へ入れる前に止まって確認する施設担当者のアイソメ図
結論からいうと、油の種類と処理方法を確認できないまま、ウエスを丸めて普通の袋へまとめません。
油の付いた布は、火種がなくても酸化反応で熱を生じることがあります。
NITEは、塗料を拭いたウエスを枯れ草と一緒に袋へ入れて約7日間置いた後、酸化熱が蓄積して自然発火した事故を紹介しています。東京消防庁も、油を含ませた布や紙を丸めたり積み重ねたりすると、発生した熱が逃げにくくなり自然発火へ至る可能性を示しています。
袋へ入れたこと自体ではなく、油・空気・熱の逃げにくさが重なることが問題です
とくに植物油や油性塗料など、酸化しやすい成分を含む製品を布へ薄く広げると、空気と触れる面積が大きくなります。
さらに、ウエスを重ねる、丸める、袋へ押し込むと、内部の熱が外へ逃げにくくなります。
油の種類が分からないときは、外見や臭いだけで安全と判断しません
復旧現場で出た乾いた布、段ボール、養生材と同じ袋へ入れず、使用した製品名と場所を確認します。
袋や容器の選び方は製品によって異なるため、現場独自で密閉や水漬けを決めず、表示と安全データシートを優先します。
ウエスが温かい、煙が出る、焦げ臭いなどの異常があれば、袋を開けたり移動したりしません。
人を離し、安全な場所から119番通報します。

袋へ入れたら終わりやと思ってました。

回収までの熱の管理が要ります。

どの油と布類を対象に確認するのか

製品容器と安全資料を確認して油付きウエスを乾いた段ボールや一般ごみから分ける施設担当者のアイソメ図
対象は、設備室で使う機械油だけではありません。
復旧、清掃、補修、厨房作業で油を吸った布や紙を、使用製品と作業工程から洗い出します。
NITEは、植物油や油性塗料などに含まれる不飽和脂肪酸が空気中の酸素と反応して発熱し、布や紙へ染み込むと空気と接する面積が増えると説明しています。一方、ガソリンや有機溶剤を含むウエスでは、蒸気への着火など別の危険も考える必要があります。
ウエスという名前ではなく何を吸わせたかで分けます
  • 乾性油を含む木部用オイルやワックスを拭いた布
  • 油性塗料や塗装用オイルを拭いた布・紙
  • 植物油や動物油を吸着したタオルやペーパー
  • 機械油、潤滑油、グリースを拭いたウエス
  • ガソリン、灯油、有機溶剤を含む清掃布
  • 油が付いた作業着、モップ、手袋、吸着材
  • 洗濯済みでも油が残っている布類
同じ見た目でも、自然発火しやすさ、蒸気の出方、水との反応、廃棄区分は異なります。
製品名、メーカー、用途、使用量、作業場所を確認し、ラベルや安全データシートを現物と対応させます。
容器が流失して製品を特定できない布は、一般ごみと同じ扱いに戻しません。
清掃担当だけでなく、工事業者、テナント、厨房、設備担当にも使用製品を確認します。
油の付着が疑われる布類は、確認が終わるまで種類不明品として分け、担当者以外が動かさないよう立入と表示を管理します。

洗ったタオルも対象になるんですか?

油が残ることがあるので、乾燥方法まで確認します。

使用後の分別と仮置きで何を決めるのか

油付きウエスを火気から離れた管理場所で種類ごとに分けて記録する施設担当者のアイソメ図
BCPには、片付け作業を始める前に、誰が何を確認して回収へつなぐかを書きます。
「油付きウエス」と一括せず、製品ごとの指示と回収先の条件を確認できる流れにします。
廃棄物処理法第3条は、事業者に対し、事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任で適正に処理することを求めています。災害時でも、廃棄区分や委託先の受入条件を確認し、排出から引渡しまでの記録を残すことが重要です。
処理方法を決める前に製品と作業場所をひも付けます
  1. 作業を止め、ウエスの発熱・煙・臭いを確認する
  2. 火気、暖房、発電機、充電場所から人を離す
  3. 使用した製品容器と安全データシートを照合する
  4. 油の種類と作業場所ごとに一般ごみから分ける
  5. 製品表示どおりの一時管理方法を確認する
  6. 回収業者または自治体へ受入条件を確認する
  7. 数量、仮置き場所、確認者、引渡日を記録する
仮置き場所は、避難経路、消防用設備、分電盤、火気使用場所を塞がない位置にします。
直射日光や外部からの熱を避け、無関係な廃棄物を追加しないよう管理します。
ただし、容器の密閉、水漬け、乾燥、屋外放置のどれが適切かは、含まれる物質によって変わります。
東京消防庁は油を拭いた布や紙を水へ十分浸して処分する対策を示していますが、すべての化学品へ一律に当てはめません。
まず製品表示と安全データシートを読み、分からなければ製造事業者へ相談します。
回収先には、油の種類、量、容器、被災状況を伝えて受入条件を確認します。
異常があるウエスを試しに触ったり開封したりせず、避難と通報を優先します。

とりあえず水へ漬ける、ではあかんのですね。

はい。
製品ごとの指示を先に見ます。

火気がなくても発火するのはなぜか

油付きウエスを丸めて袋へ重ねると熱が逃げにくくなることを示す禁止マーク付きアイソメ図
自然発火は、油そのものが突然炎を出す現象ではありません。
酸化反応で生じる熱が、逃げる熱を上回る状態が続き、温度が上がることで起こります。
消防研究センターは、物質が空気中の酸素と反応して発熱する酸化発熱を自然発火の代表的な要因として説明しています。油を含んだ布の事故例では、布を重ねる、袋へ入れる、換気の悪い場所へ置くといった条件が熱の蓄積に関係します。
火が見えない時間も温度上昇は進む可能性があります
復旧作業の終了時に異常がなくても、夜間や休業日に熱がこもることがあります。
  • 油を拭いた布を丸めて重ねる
  • ポリ袋へ強く押し込み空間の奥へ置く
  • 段ボールや木くずなど可燃物と混ぜる
  • 暖房器具や日射で温度が上がる場所へ置く
  • 回収日まで長期間、無人の場所へ置く
  • 洗った布を高温の乾燥機へ入れる
  • 数量と置き場所を記録せず担当外が追加する
また、ガソリンや溶剤を含む布では、酸化熱だけでなく可燃性蒸気への着火も考えます。
自然発火の記事だからといって、すべての油を同じ仕組みで説明しません。
製品の危険有害性、引火点、保管と廃棄の注意を安全データシートで確認します。
洗濯した作業着やタオルでも油分が残る場合があるため、NITEは取扱説明書で禁止されているものを乾燥機へ入れないよう注意を促しています。
洗濯済みという理由だけで高温乾燥へ進めません
発熱、煙、焦げ臭さを見つけた場合は、内部確認のため袋を開けず、周囲へ知らせて避難します

作業が終わった後も気を抜けへんのですね。

無人時間の管理まで決めましょう。

明日から油付きウエスの管理をどう確認するのか

施設担当者が油付きウエスの数量と仮置き場所を記録して回収担当者へ引き渡すアイソメ図
最初に、復旧作業で使う油、塗料、洗浄剤と、ウエスの回収場所を一覧にします。
平常時の清掃用品も含め、製品ごとの安全データシートと相談先をそろえます。
消防法第8条に基づく消防計画には、火災予防、通報、初期消火、避難など防火管理上必要な事項を定めます。BCPでは、災害後の復旧作業、廃棄物の分別、仮置き、回収、重要業務の再開までを具体化し、消防計画の初動と担当者・連絡先をつなぎます。
製品一覧とウエス回収手順を一つの訓練で確認します
  1. 施設内の油、塗料、洗浄剤を場所別に一覧化する
  2. 安全データシートと緊急連絡先をそろえる
  3. 油付きウエスを一般ごみから分ける場所を決める
  4. 火気、熱源、避難経路との位置関係を図面で確認する
  5. 発熱、煙、焦げ臭さの作業停止基準を決める
  6. 回収先へ容器と受入条件を事前確認する
  7. 発見から通報・引渡しまで訓練して記録する
訓練では、製品容器が見つかる場合と、製品不明のウエスが出る場合を分けて試します。
清掃員やテナントが普通ごみの袋へ追加しないよう、表示と連絡方法を確認します。
夜間に温度上昇を見つけた人が、袋を開けずに避難と通報へ移れるか確認します。
火災時の通報、初期消火、避難は消防計画と整合させます。
復旧作業の中止、製品確認、分別、委託、再開判断はBCP側に整理します。
回収業者や自治体の条件が変わったら、容器、場所、連絡先を更新します。
訓練後は迷った場面と判断時間を残し、次回までに是正します。

製品一覧と回収先を先にそろえます。

ええですね。
夜間の停止基準も入れましょう。

よくある質問

Q油付きウエスは全部、水へ漬けておけば安全ですか?
A一律には判断できません。水との接触を避ける物質もあるため、製品表示と安全データシートを確認し、製造事業者や回収先へ適切な方法を確認してください。
Q少量のウエスなら普通ごみへ混ぜてもよいですか?
A量だけでは決められません。油の種類、事業活動、自治体の分別、回収業者の受入条件を確認し、回収まで一般ごみと分けて管理します。
Q洗濯した作業着を乾燥機へ入れてよいですか?
A油分が残る場合があります。衣類や乾燥機の取扱表示を確認し、油が付いた物の乾燥が禁止されている場合は乾燥機へ入れません
Q消防計画とBCPにはどう分けて書きますか?
A消防計画には火災時の通報、初期消火、避難などを、BCPには復旧作業、製品確認、分別、回収、再開判断を整理します。担当者と連絡先を相互に整合させます。

まとめ

油付きウエスを丸めて普通の袋へ押し込みません。
製品表示と安全データシートで油の種類を確認します。
一般ごみと混ぜず油の種類ごとに分けます。
火気と熱源を避けて仮置き場所を管理します。
密閉や水漬けを一律に決めず製品ごとに確認します。
発熱・煙・焦げ臭さがあれば避難して通報します。
発見から回収・再開まで訓練します。

まずは油とウエスの一覧から始めます!

回収先と夜間対応まで決めましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および行政機関等の資料に基づく一般的な解説です。油付きウエスは、油・溶剤の種類、付着量、温度、保管方法、廃棄区分、施設の被災状況によって必要な対応が異なります。実際の分別、仮置き、容器、水漬け、乾燥、回収、廃棄は、製品表示と安全データシートを確認し、製造事業者、建物管理者、回収業者、自治体、所轄消防署へご相談ください。発熱、煙、焦げ臭さ、火災のおそれがある場合は袋や容器を開けず、人命を優先して安全な場所から119番通報してください。

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