災害後の復旧工事で、感知器やスプリンクラーの一部を止めなければ作業できないことがあります。
「短時間だから」と、建物を使いながら停止してよいのでしょうか。
消防用設備等を止める時間は、建物の火災監視や初期消火が弱くなる時間でもあります。
停止範囲と時間を最小限にし代替設備や巡回警戒を先に決めます。
復旧工事の間だけ、
設備を止めたいです。
先に停止計画を作りましょう。
代替警戒も同時に決めます。
夜なら止めても、
大丈夫ですか。
在館者と火気の有無まで、
見て判断します。
- 復旧工事中も消防用設備等の機能維持が原則
- 停止が必要なら範囲と時間を必要最小限にする
- 代替設備と巡回警戒を停止前に決める
- 停止中は火気と在館者と避難経路を一体で管理する
- 復旧確認と再開承認まで記録する
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目次
災害復旧工事中に消防用設備を停止してよいのか

復旧工事中も消防用設備等の機能を維持することが原則です。
消防庁の令和8年3月30日付け通知は、改修工事中の消防用設備等の運用について、この原則を明確に示しています。
施工上どうしても一部機能を止める場合は、停止範囲と時間を必要最小限にします。停止ボタンを押すだけの作業ではなく、建物の火災安全を一時的に組み替える管理として扱います。
設備の停止によって、火災の発見、通報、初期消火、避難誘導のどこが弱くなるかを確認します。代替策が動く前に停止しないことが出発点です。
工事の都合だけで、
止めたらあかんのですね。
はい。
機能維持が原則です。
どの設備と工事範囲を確認対象にするのか

工事区画と消防用設備等の警戒範囲を図面で重ねます。
工事場所だけを見ても、停止の影響範囲は分かりません。
- 自動火災報知設備の警戒区域と受信機表示
- スプリンクラー設備などの制御弁と防護区域
- 非常警報設備と非常放送の放送区域
- 誘導灯や非常電源に関係する回路
- 工事区画の在館者、火気作業、避難経路
一つの回路を止めると、隣の区画や共用部まで未警戒になることがあります。停止する機器名だけでなく失う機能を一覧にしてください。
テナントビルでは、専有部の工事でも共用の受信機やスプリンクラー系統へ影響する場合があります。管理会社と工事会社とテナントの役割を分けます。
工事区画より、
影響が広いこともあるんですね。
警戒区域と系統図で、
影響を確かめます。
停止計画と代替警戒をどう組み立てるのか

停止前に代替設備と巡回警戒を実際に配置します。消防庁通知は、工期や作業内容に応じ、代替設備の設置や巡回警戒などの対策を講じることを示しています。
- 停止する設備、区域、開始時刻、終了予定を記録する
- 在館者、火気作業、可燃物、避難経路を確認する
- 仮設警報器、増強する消火器、代替放送手段を配置する
- 巡回区域、間隔、担当者、異常時の通報方法を決める
- テナントと警備員へ停止範囲と代替手段を周知する
- 工事会社と施設側で停止・復旧の責任者を分ける
- 復旧試験と再開承認の時刻を決める
東京消防庁の基準では、停止する種類、時間、部分を必要最小限とし、仮設工事による機能確保、他設備の増強、巡回強化などを例示しています。設備ごとに代替方法を変える必要があります。
自動火災報知設備を止めるなら早期発見、非常放送を止めるなら一斉周知、スプリンクラーを止めるなら初期消火の弱まりを補います。巡回だけですべてを代替できるとは限りません。
巡回だけ決めれば、
ええわけではないんですね。
失う機能ごとに、
代替策を選びます。
短時間や夜間なら停止してよいと思うと何を見落とすのか

短時間や夜間というだけで安全とは判断できません。
残業者、宿泊者、警備員、工事作業員がいれば、停止中も人命安全を確保する必要があります。
- 溶接や切断など火花を伴う作業が同時に行われる
- 養生材や廃材が増えて火災荷重が高くなる
- 仮設間仕切りで感知や散水や放送が届きにくくなる
- 夜間の少人数体制で発見と通報が遅れる
- 復旧操作後も一部系統が停止したまま残る
工事で火災リスクが高まる時間と消防用設備等を止める時間が重なると、危険は増します。火気作業と設備停止を同時にしないなど、工程側の見直しも必要です。
復旧操作をしただけで正常とは限りません。受信機の表示、末端機器、警報、放送、ポンプ、弁など、停止した機能に応じた確認を行い、未復旧の区域を残さないようにします。
夜でも人と火気を、
確認するんですね。
はい。
時間帯だけで決めません。
明日から設備停止の手順をどう確認するのか

設備停止票を作り停止前と復旧後を同じ一枚で管理します。
口頭連絡だけでは、誰が停止を許可し、誰が復旧を確認したかが残りません。
- 消防用設備等の系統図と警戒区域図を用意する
- 工事ごとに停止設備、区域、時間、失う機能を記入する
- 代替設備、巡回、周知、通報の担当者を決める
- 火気作業、在館者、避難経路との重なりを確認する
- 管理会社、テナント、警備、工事会社へ共有する
- 停止と復旧の操作を権限者の立会いで行う
- 復旧試験と再開承認の結果を設備台帳へ残す
工事中の消防計画や作業届の運用がある建物は、設備停止票と結び付けます。必要な届出や所轄消防署への事前相談は、地域の運用や工事内容によって異なります。
止める人、代替警戒を始める人、復旧を試験する人、建物利用を戻す人を分けておくと、確認漏れを防げます。BCPには、災害復旧工事でもこの手順を崩さないことを明記してください。
停止から復旧まで、
一枚で残します。
それなら、
未復旧を見つけやすいです。
よくある質問
まとめ
消防用設備等の停止は、工事会社だけで完結する作業ではありません。建物側が、失われる機能と代替策を理解し、在館者へ周知する必要があります。
止める前に代替を動かし復旧確認後に利用を戻すという順番をBCPと工事中の消防計画へ組み込んでください。
止める前に代替を、
始めます!
復旧試験と再開承認まで残しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第8条・第17条
- e-Gov法令検索 消防法施行規則第3条
- 総務省消防庁 工事中の防火対象物における火災予防上の留意事項について 令和8年3月30日消防予第120号
- 東京消防庁 工事中の消防計画
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検基準・点検要領・点検票
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。消防用設備等の停止を工事会社だけの判断で行わず停止前に所轄消防署と専門業者へ相談してください。必要な届出、代替措置、巡回方法、復旧試験は、建物用途、設備、工事内容、地域の条例や運用で異なります。個別の判断は所轄消防署や専門家へご確認ください。





