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消防用設備等の着工届はなぜ消防設備士の受講年月日まで書くのか|届出者と工事施工者の欄の違いも解説

工事整備対象設備等着工届出書とカレンダーが置かれた机の様子

消防用設備の工事を業者に依頼したとき
着工届にどんな項目を書くのか、意識したことはあるでしょうか。
甲種消防設備士の免状情報から工事施工者の欄まで、届出書には細かな記載事項があります。
この記事では届出書の各欄が何を確認するために設けられているのかを解説します。

今度、スプリンクラー設備の工事をお願いすることになったんです。
業者さんから免状の受講年月日を聞かれました。

それは着工届に記入する項目だからです。
届出書にはいくつも細かい欄があるんですよ。

届出書って、そんなに細かく決まっているものなんですか。

はい、様式まで指定されています。
今日はその中身を見ていきましょう。

この記事の結論
  • 甲種消防設備士は着工10日前までに消防長又は消防署長へ届け出なければならず、届出書は消防法施行規則第33条の18が定める別記様式第一号の七です
  • 届出書には届出者(甲種消防設備士本人)欄工事施工者欄が別に設けられています
  • 消防設備士免状の欄には交付番号だけでなく最新の受講年月日と受講地まで記入します
  • 消防用設備等の種類欄は施行令第36条の2に基づき、設備によって電源・水源・配管の部分を除いて記載する場合があります
  • 発注する側も免状の指定区分と着工予定日を確認しておくと安心です

着工届は届出書に記入し免状の写しを添付して消防長へ着工10日前までに提出することを示した図解

着工届の届出書にはどんな欄があるのか

工事整備対象設備等着工届出書の用紙とカレンダーが並ぶ様子
消防用設備の設置工事の多くは、着手前に消防署への届出が義務づけられています。
まずはこの届出書に、実際にどんな項目が並んでいるのかを見ていきましょう。
甲種消防設備士は、第十七条の五の規定に基づく政令で定める工事をしようとするときは、その工事に着手しようとする日の十日前までに、総務省令で定めるところにより、工事整備対象設備等の種類、工事の場所その他必要な事項を消防長又は消防署長に届け出なければならない。(消防法第17条の14)
届出書の様式は、消防法施行規則第33条の18が定める別記様式第一号の七です。
実際の用紙には、あて先や届出者、工事の場所、工事を行う防火対象物の名称、消防用設備等の種類、工事施工者、消防設備士免状の種類及び指定区分、着工予定日、完成予定日といった欄が並んでいます。
これらは条文が言う「その他必要な事項」を具体化したもので、思いつきで空欄を作ってよいわけではありません。
次は、この中でもとくに紛らわしい2つの欄の違いを見ていきます。

項目、思ったよりたくさんあるんですね。
工事の場所や防火対象物の名称は分かりますけど。

なかでも「届出者」と「工事施工者」という似た欄が紛らわしいんです。
次はそこを見てみましょう。

届出者と工事施工者はなぜ欄が分かれているのか

作業着姿の消防設備士と看板の掲げられた工事会社の建物が並ぶ様子
届出書には「届出者」と「工事施工者」という、似ているけれど役割が違う欄があります。
それぞれ誰の情報を書く欄なのかを整理します。
甲種消防設備士は、(略)その工事に着手しようとする日の十日前までに、(略)消防長又は消防署長に届け出なければならない。(消防法第17条の14)
届出義務を負うのは条文が名指す甲種消防設備士その人です。
これが届出書の「届出者」欄に書く氏名にあたります。
一方で「工事施工者」欄は工事を請け負う者の住所・氏名を書く欄で、法人の場合は法人名と代表者名を記入します。
消防設備士が会社に雇われて働く場合、資格を持つ個人と契約主体である会社は別人格になるため、欄が分かれているわけです。
次は、届出者の資格そのものを示す免状の欄を詳しく見ていきます。

会社の名前だけじゃなくて
実際に工事をする人の名前も別に書くんですね。

その通りです。
次は免状の欄がなぜあそこまで細かいのかを見てみましょう。

消防設備士免状の欄はなぜ受講年月日まで書くのか

消防設備士免状のカードと講習会場の椅子が並ぶ様子
届出書には免状の種類や指定区分だけでなく、受講した講習の年月日まで書く欄があります。
なぜここまで細かく書く必要があるのか、根拠になる条文を確認します。
消防設備士は、免状の交付を受けた日以後における最初の四月一日から二年以内に法第十七条の十に規定する講習(略)を受けなければならない。前項の消防設備士は、同項の講習を受けた日以後における最初の四月一日から五年以内に講習を受けなければならない。当該講習を受けた日以降においても同様とする。(消防法施行規則第33条の17)
消防設備士には、免状交付後の最初の4月1日から2年以内、その後は最初の4月1日から5年以内ごとに講習を受け続ける義務があります。
届出書の「最新の受講年月日並びに受講地」欄は、この定期講習をきちんと受けているかどうかを、届出の時点で確認するための欄です。
免状の種類や指定区分だけでは、講習が期限内に受けられているかまでは分かりません。
受講状況の記入まで求められているのは、資格の有効性を実質的に確かめる仕組みだからです。
次は、消防用設備等の種類欄の書き方を見ていきましょう。

免状を持っていればそれで終わりだと思っていました。
講習も関係あるんですね。

はい、講習を受けているかどうかまで見られる欄なんです。
次は設備の種類欄を見てみましょう。

消防用設備等の種類欄はなぜ工事の全部分を書けばよいわけではないのか

屋内消火栓のポンプ設備と配電盤が境界線を挟んで並ぶ様子
消防用設備等の種類欄は、工事するすべての部分を機械的に書き込む欄ではありません。
設備の種類によって、対象になる範囲そのものが変わります。
法第十七条の五の政令で定める消防用設備等(略)の設置に係る工事は、次に掲げる消防用設備等(第一号から第三号まで及び第八号に掲げる消防用設備等については電源、水源及び配管の部分を除き、第四号から第七号まで及び第九号から第十号までに掲げる消防用設備等については電源の部分を除く。)(略)の設置に係る工事とする。(消防法施行令第36条の2第1項)
除かれる部分は設備の種類ごとに違います。
屋内消火栓設備やスプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備は電源・水源・配管の部分が除かれます。
泡消火設備や不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備は電源の部分だけが除かれます。
つまり除かれた部分は消防設備士でなくても施工でき、着工届が対象とする工事の範囲そのものから外れます。
次は、発注する側がこの届出書についてどこを確認すればよいかを整理します。

水源や配管の工事は別の業者さんにお願いしても
大丈夫ってことですか。

設備によってはその通りです。
最後に発注側の確認ポイントをまとめます。

防火管理者は着工届についてどこを確認すればよいのか

防火管理者が工事業者から書類を受け取り確認する様子
ここまでの内容を踏まえ、発注する側が押さえておきたい確認ポイントを整理します。
届出そのものは業者側の義務ですが、発注者にも確認できることがあります。 届出の提出義務を負うのは甲種消防設備士本人ですが、発注者側でも確認できることがあります。
まず、依頼する消防設備士免状の指定区分が、今回の工事対象設備に対応しているかを確認します。
次に、着工予定日が実際のスケジュールと合っているか、着工10日前までに届出が済む見込みかを業者に確認します。
工事完了後は、届出書の控えと検査済証をあわせて保管しておくと、後日の点検や改修の際にも役立ちます。
不明な点があれば、契約前に所轄消防署へ確認するのが確実です。

免状の区分と着工予定日、
次からは業者さんに確認するようにします。

それが確実です。
最後によくある質問を見ていきましょう。

よくある質問

Q届出者欄と工事施工者欄はどちらも同じ人物を書けばよいのか?
Aいいえ。届出者欄には実際に工事を行う甲種消防設備士本人の氏名を書き、工事施工者欄には契約主体となる者の住所・氏名(法人の場合は法人名・代表者名)を書きます。消防設備士が会社に所属して働く場合、この2つは別人格になります。
Q消防設備士免状の受講年月日を書き忘れるとどうなるのか?
A届出書は消防法施行規則第33条の18が定める別記様式に基づくため、必要事項が欠けていれば消防長又は消防署長から補正を求められる可能性があります。定期講習は同規則第33条の17により義務づけられており、受講状況の記入は欠かせません。
Q消防用設備等の種類欄には工事のすべての部分を記入するのか?
Aいいえ。施行令第36条の2は設備の種類ごとに、電源のみを除くもの電源・水源・配管を除くものを分けています。消防設備士でなくても施工できる部分は、この欄が対象とする工事の範囲から外れます。
Q発注者は着工届そのものを提出する必要があるのか?
Aいいえ。届出義務を負うのは甲種消防設備士本人です。発注者は提出義務者ではありませんが、免状の指定区分や着工予定日を事前に確認しておくと、工事後のトラブルを防げます。

まとめ

甲種消防設備士は工事着手日の10日前までに消防長又は消防署長へ届け出なければならない
届出書は消防法施行規則第33条の18が定める別記様式第一号の七の工事整備対象設備等着工届出書である
届出者欄には工事を行う甲種消防設備士本人の氏名を書く
工事施工者欄には契約主体となる者の住所・氏名(法人の場合は法人名・代表者名)を書く
消防設備士免状の欄には交付番号だけでなく最新の受講年月日と受講地まで記入する
消防用設備等の種類欄は施行令第36条の2に基づき電源等の部分を除いて記載する場合がある
発注する側も免状の指定区分と着工予定日を確認しておくと安心である

届出書の欄の意味、よく分かりました
業者さんとの打ち合わせで確認してみます。

ぜひ確認してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第17条の14、第17条の10 e-Gov法令検索
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第36条の2 e-Gov法令検索
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第33条の17、第33条の18 e-Gov法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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