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敷地の衛生や採光や道路の基準に違反して建てると誰が罰金になるのか|建築基準法第101条第3号と第19条から第47条までを解説

敷地や居室の基準に違反して建てると誰が罰金になるのか

敷地の衛生や安全、居室の採光や換気、便所の構造、敷地と道路との関係など、建築物に共通する基本的な基準があります。
これらの規定に違反したときの罰則が、第101条の第3号にあります。
今回は第3号のうち第19条から第47条までの規定を取り上げて、誰が罰せられるのかを解説します。

敷地の衛生や、居室の採光、便所の構造に違反して建てると、罰金になることはありますか。

第101条の第3号に、100万円以下の罰金の定めがあります。
この記事で、罰せられる人の範囲を確認します。

違反したときに罰せられるのは、建物の持ち主なのですか。

第3号が挙げるのは、原則として設計者です。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 第101条は、各号のいずれかに該当する者を、100万円以下の罰金に処すると定めています。
  • 第3号は、第19条(敷地の衛生及び安全)、第28条第1項・第2項(居室の採光及び換気)、第31条(便所)、第43条第1項(敷地と道路の関係)、第44条第1項(道路内の建築制限)、第47条(壁面線による建築制限)に違反した場合の、当該建築物又は建築設備の設計者を罰する規定です。
  • 設計図書に従わないで工事を施工した場合は、罰せられる者が工事施工者に変わります。
  • 設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料を引き渡した場合は、その引き渡した者が罰せられます。
  • 第101条第2項は、その違反が建築主の故意によるものであるときは、建築主にも同じ刑を科すと定めています。

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敷地の衛生や採光、便所、道路との関係に関する基準に違反した場合に、設計者、工事施工者、故意の建築主が罰金の対象になる範囲を示す図解

第3号は敷地・居室・道路に関する基礎的な規定の違反で誰を罰するのか

建物模型と図面と敷地境界の標識のイラスト
まず、第101条の前文と第3号の該当部分を確認しましょう。
(建築基準法第百一条(前文))次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。
(建築基準法第百一条第三号(抜粋))三 第十九条、第二十八条第一項若しくは第二項、第三十一条、第四十三条第一項、…第四十四条第一項、…第四十七条、…の規定に違反した場合における当該建築物又は建築設備の設計者(…)
第3号は、第19条から第68条までの多数の規定を並べたうえで、それらに違反した場合を100万円以下の罰金に処すると規定しています
この記事で取り上げるのは、その中の、敷地の衛生及び安全、居室の採光及び換気、便所、敷地と道路との関係に関する規定です。
具体的には、第19条、第28条第1項・第2項、第31条、第43条第1項、第44条第1項、第47条です。
罰せられる者は、原則として、当該建築物又は建築設備の設計者です。
容積率や高さなど都市計画で定まる地区の制限に関する第52条から第60条の3までも、同じ第3号に並んでいます。

第3号は、第19条から第47条までのすべての項を対象にしているのですか。

いいえ。
第28条・第43条・第44条は一部の項だけが対象で、第19条・第31条・第47条は条文全体が対象です。

第19条の敷地の衛生及び安全と第28条の居室の採光及び換気は何を求めているのか

窓から光が入る建物模型と換気口と排水溝のイラスト
続けて、第3号が挙げる第19条と第28条の中身を確認しましょう。
(建築基準法第十九条第一項)建築物の敷地は、これに接する道の境より高くなければならず、建築物の地盤面は、これに接する周囲の土地より高くなければならない。ただし、敷地内の排水に支障がない場合又は建築物の用途により防湿の必要がない場合においては、この限りでない。
(建築基準法第二十八条第一項)住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、五分の一から十分の一までの間において居室の種類に応じ政令で定める割合以上としなければならない。
(建築基準法第二十八条第二項)居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、二十分の一以上としなければならない。
第19条第1項は、建築物の敷地が接する道の境より高くなければならないと定め、排水や防湿に支障が無ければ例外を認めています。
第19条には他に、盛土や地盤の改良(第2項)、排水施設の設置(第3項)、がけ崩れへの措置(第4項)の定めもあり、第19条全体が第3号の対象です。
第28条第1項は、居室の採光に有効な部分の面積を、床面積の五分の一から十分の一までの範囲で政令が定める割合以上にしなければならないと定めています。
第28条第2項は、居室の換気に有効な部分の面積を、床面積の二十分の一以上にしなければならないと定めています。
第28条は第1項と第2項だけが第3号の対象で、火を使う設備の換気を定めた第3項は対象に含まれていません。

第28条は、第1項から第4項まですべて第3号の対象になるのですか。

いいえ。
対象になるのは第1項と第2項だけで、火を使う設備の換気を定めた第3項は対象外です。

第31条の便所と第43条の敷地と道路との関係は何を定めているのか

建物模型とマンホールと道路幅を測る巻尺のイラスト
続けて、第3号が挙げる第31条と第43条の中身を確認しましょう。
(建築基準法第三十一条第一項)下水道法第二条第八号に規定する処理区域内においては、便所は、水洗便所(汚水管が下水道法第二条第三号に規定する公共下水道に連結されたものに限る。)以外の便所としてはならない。
(建築基準法第三十一条第二項)便所から排出する汚物を下水道法第二条第六号に規定する終末処理場を有する公共下水道以外に放流しようとする場合においては、屎尿浄化槽(その構造が汚物処理性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない。
(建築基準法第四十三条第一項)建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。)に二メートル以上接しなければならない。一 自動車のみの交通の用に供する道路 二 地区計画の区域内の道路
第31条第1項は、下水道法の処理区域内では、便所を水洗便所以外にしてはならないと定めています。
第31条第2項は、終末処理場を有する公共下水道以外に汚物を放流する場合は、屎尿浄化槽を設けなければならないと定めています。第31条は条文全体が第3号の対象です。
第43条第1項は、建築物の敷地が、自動車専用道路等を除く道路に二メートル以上接しなければならないと定めています。
第43条には第2項・第3項に例外や地方公共団体の条例による付加の定めもありますが、第3号の対象は第1項だけです。

敷地が道路に接していなくても、許可があれば建てられますか。

第43条第2項に特定行政庁の許可による例外があります。
ただし、第3号が罰則の対象にしているのは第1項の違反だけです。

第44条の道路内の建築制限と第47条の壁面線による建築制限は何を禁じているのか

壁面線を越えた建物に禁止マークが付いたイラスト
続けて、第3号が挙げる第44条と第47条の中身を確認しましょう。
(建築基準法第四十四条第一項)建築物又は敷地を造成するための擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して建築し、又は築造してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。一 地盤面下に設ける建築物 二 公衆便所、巡査派出所その他これらに類する公益上必要な建築物で特定行政庁が通行上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの(略)
(建築基準法第四十七条)建築物の壁若しくはこれに代る柱又は高さ二メートルをこえる門若しくはへいは、壁面線を越えて建築してはならない。ただし、地盤面下の部分又は特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可した歩廊の柱その他これに類するものについては、この限りでない。
第44条第1項は、建築物や擁壁を道路内に、又は道路に突き出して建築・築造してはならないと定めています。
ただし書きは、地盤面下に設ける建築物や、特定行政庁の許可を得た公衆便所などを例外として認めています。
第44条第2項は、前項の許可をする場合に建築審査会の同意を要すると定めていますが、第3号の対象は第1項だけです。
第47条は、建築物の壁や高さ二メートルを超える門・へいが、都市計画で定められた壁面線を越えて建築してはならないと定めています。第47条には項の区切りが無く、条文全体が第3号の対象です。

道路の上に看板やひさしを出しても問題ないですか。

第44条は、建築物や擁壁の道路内・道路への突き出しを禁じています。
許可を得ない限り、看板やひさしも対象になり得ます。

設計図書に従わない場合や材料が違う場合は誰が罰せられるのか

製図台と作業用ヘルメットと天秤のイラスト
最後に、第3号の括弧書きと第2項が、罰せられる者をどう切り替えているかを確認します。
(建築基準法第百一条第三号(括弧書きの抜粋))…設計者(設計図書に記載された認定建築材料等の全部又は一部として当該認定建築材料等の全部又は一部と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡した場合においては当該建築材料又は建築物の部分を引き渡した者、設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合(設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡された場合において、当該建築材料又は建築物の部分を使用して工事を施工した場合を除く。)においては当該建築物又は建築設備の工事施工者)
(建築基準法第百一条第二項)前項第三号、第四号又は第六号に規定する違反があつた場合において、その違反が建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときは、当該設計者又は工事施工者を罰するほか、当該建築主又は建築設備の設置者に対して同項の刑を科する。
括弧書きには、罰せられる者が入れ替わる場面が、二つ書かれています。
一つ目は、設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料などを引き渡した場合で、罰せられるのは引き渡した者です。
二つ目は、設計図書を用いないで、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合で、罰せられるのは工事施工者です。
第2項は、第3号の違反が建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときに、建築主などにも同じ刑を科すと定めています。
ここで科される刑は、前項の刑、つまり100万円以下の罰金です。

設計図書に従わなかった工事でも、設計者が罰せられますか。

その場合は、括弧書きにより、原則として工事施工者が対象です。
ただし、材料の引渡しが原因のときは、別の扱いになります。

整理すると、次のとおりです。
場面根拠罰せられる者
第19条・第31条・第47条に違反した第101条第3号当該建築物又は建築設備の設計者
第28条第1項・第2項に違反した第101条第3号当該建築物又は建築設備の設計者
第43条第1項・第44条第1項に違反した第101条第3号当該建築物又は建築設備の設計者
設計図書に従わずに工事を施工した第3号の括弧書き当該建築物又は建築設備の工事施工者
設計図書と異なる認定建築材料等を引き渡した第3号の括弧書きその建築材料などを引き渡した者
その違反が建築主の故意によるものである第101条第2項設計者又は工事施工者に加えて建築主
科される刑第101条の前文100万円以下の罰金
第3号は、敷地や居室、便所、道路に関する基礎的な規定に違反したときの罰則を、100万円以下の罰金と定めています
これは建築基準法の罰則であり、消防法令の義務とは別の規定です。
また、個別の建物がこれらの規定に適合するかどうかは、第101条には書かれていません。
建物を建てるときや増築するときは、事前に確かめておくと安心です。
明日から、次の点を確認してください。
  • 敷地の排水や防湿に支障が無いか、がけ崩れへの措置が必要ないかを確かめる。
  • 居室の採光や換気に有効な開口部の面積が、基準を満たしているかを確かめる。
  • 便所が水洗便所か、浄化槽の構造基準に適合しているかを確かめる。
  • 敷地が道路に二メートル以上接しているか、道路内に建築物がはみ出していないかを確かめる。
  • 増築や改修をするときは、事前に特定行政庁や建築の窓口へ相談する。
建築基準法の罰則については特定行政庁や建築の窓口に、消防法令の義務については所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。

よくある質問

Q第3号は何を罰しますか?
A第19条、第28条第1項・第2項、第31条、第43条第1項、第44条第1項、第47条などに違反した場合の、当該建築物又は建築設備の設計者を、100万円以下の罰金に処すと定めています。
Q第28条は第1項から第4項まで全部が対象ですか?
Aいいえ。対象になるのは第1項と第2項だけで、火を使う設備の換気を定めた第3項は対象外です。
Q設計図書に従わなかった場合は誰が罰せられますか?
A設計図書を用いないで、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合は、当該建築物又は建築設備の工事施工者が罰せられます。
Q建築主が罰せられるのはどんな場合ですか?
A第3号の違反が建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときに、第2項により、同じ刑が科されます。

まとめ

✔第101条第3号は、第19条、第28条第1項・第2項、第31条、第43条第1項、第44条第1項、第47条に違反した場合を、100万円以下の罰金で罰すると定めています。
✔罰せられる者は、原則として、当該建築物又は建築設備の設計者です。
✔設計図書を用いず、又は設計図書に従わずに工事を施工した場合は、工事施工者が罰せられます。
✔設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料などを引き渡した場合は、その引き渡した者が罰せられます。
✔第2項は、その違反が建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときに、建築主などにも同じ刑を科すと定めています。
✔第28条は第1項・第2項だけ、第43条・第44条は第1項だけが対象で、第19条・第31条・第47条は条文全体が対象です。
✔これは建築基準法の罰則で、消防法令の義務とは別なので、防火管理者は建築の窓口と所轄消防署の両方に確認します。

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㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第十九条・第二十八条・第三十一条・第四十三条・第四十四条・第四十七条・第百一条(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。罰則の適用は事案ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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