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指定された池を無届で埋めるとどうなるのか|消防法第21条と第44条第15号を解説

指定された池を無届で埋めると罰則になるのか

消防長や消防署長は、池や井戸、水そうなどを所有者の承諾を得て消防水利に指定し、火災のときにいつでも使える状態に置いています。
この指定を受けた水利を変更したり撤去したり、使えない状態にしようとする者は、あらかじめ届出をしなければなりません。
届出をしないまま水利を使えなくすると、消防法の罰則の対象になります。
今回は消防法第21条第3項と第44条第15号を取り上げて、誰がどんな場合に罰せられるのかを解説します。

近くの池が消防水利に指定されているのですが、埋めてしまってもよいのでしょうか。

第21条第3項に、変更や撤去の前に届出が必要という定めがあります。
この記事で、届出を怠った場合の罰則を確認します。

届出をしないまま埋めてしまうと、どうなるのですか。

第44条第15号により、30万円以下の罰金又は拘留に処せられることがあります。

この記事の結論
  • 消防長・消防署長は、池や井戸、水そうなどの所有者の承諾を得て消防水利に指定し、常時使用可能の状態に置きます(第21条第1項)。
  • 指定された水利には、総務省令で定める標識を掲げなければなりません(第21条第2項)。
  • その水利を変更し、撤去し、又は使用不能の状態に置こうとする者は、あらかじめ届け出なければなりません(第21条第3項)。
  • 届出をしないで水利を使用不能の状態に置いた者は、30万円以下の罰金又は拘留に処せられます(第44条第15号)。
  • 罰せられるのは水利の所有者に限らず、実際に変更や撤去、使用不能の状態に置こうとした者(工事の請負業者等を含む)です。

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指定された池や井戸を工事で使用不能にする前に消防署へ届出をしないと罰金又は拘留の対象になることを示す図解

消防水利とは何を指す仕組みなのか

池と標識と高架水槽のイラスト
消防に使う水は、消火栓や防火水槽だけではありません。
池や井戸、水そうなど、身近な水も消防水利として活用されています。
(消防法第二十一条第一項)消防長又は消防署長は、池、泉水、井戸、水そうその他消防の用に供し得る水利についてその所有者、管理者又は占有者の承諾を得て、これを消防水利に指定して、常時使用可能の状態に置くことができる。
(消防法第二十一条第二項)消防長又は消防署長は、前項の規定により指定をした消防水利には、総務省令で定めるところにより、標識を掲げなければならない。
この指定は所有者の承諾があって初めて成り立ちます。
消防長や消防署長が一方的に指定するものではなく、所有者等の承諾を前提にした制度です。
指定を受けると、その水利には標識が掲げられ、常時使用可能な状態に置かれます。
池や井戸、水そうのほか、プールや防火用水槽なども対象になり得ます。
つまり、敷地内の水源が、知らないうちに消防水利として指定されていることもあるのです。

自分の敷地の池が、いつの間にか消防水利になっていることもあるのですか。

はい。
承諾のうえで指定されていれば、そのまま消防水利として扱われます。

指定された水利をどう変更すると届出が必要になるのか

池と重機と届出書類のイラスト
指定を受けた水利は、所有者の都合だけで自由に扱えるわけではありません。
条文を確認しましょう。
(消防法第二十一条第三項)第一項の水利を変更し、撤去し、又は使用不能の状態に置こうとする者は、予め所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。
届出が必要になる行為は三つあります。
変更、撤去、そして使用不能の状態に置くことです。
工事で池を埋め立てる、井戸をふさぐ、水そうを撤去するといった行為は、いずれもこの届出の対象になります。
届出先は、所轄の消防長又は消防署長で、行為の前に行う必要があります。
承諾して指定を受けた所有者だけでなく、実際に変更や撤去をしようとする者が届出の対象になります。

池を埋め立てる工事をする場合も、届出が必要になるのですか。

はい。
工事で使用不能の状態に置こうとする前に、届け出る必要があります。

届出を怠った場合どのような罰則になるのか

裁判官の木槌とコインの山と鉄格子のイラスト
届出をしないまま水利を使えなくすると、罰則の対象になります。
条文を確認しましょう。
(消防法第四十四条(前文・抜粋))次のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金又は拘留に処する。
(消防法第四十四条第十五号)十五 第二十一条第三項の規定による届出をしないで消防水利を使用不能の状態に置いた者
この規定が罰しているのは、届出をしないことそのものです。
第44条第15号は、無届で水利を使用不能の状態に置くことを30万円以下の罰金又は拘留で罰します。
罰金と拘留はどちらか一方が選択され、両方が科されることはありません。
罰せられるのは水利の所有者に限らず、実際に使用不能の状態に置こうとした者です。
工事を請け負った業者がそのまま埋め立ててしまえば、業者自身も対象になり得ます。

罰金と拘留の両方を科されることもあるのですか。

いいえ。
第44条は罰金又は拘留のどちらか一方です。

届出のタイミングで見落としやすいのはどこか

届出書類と埋め立て中の池のイラスト
第44条第15号の条文を、もう一度よく見てみましょう。
罰則が向けられている行為は、条文上どう書かれているでしょうか。
(消防法第四十四条第十五号(再掲))第二十一条第三項の規定による届出をしないで消防水利を使用不能の状態に置いた者
本号の文言が罰則の対象として挙げているのは、使用不能の状態に置いた場合に限られています。
第21条第3項は変更・撤去・使用不能の三つを届出の対象にしていますが、第44条第15号の文言は使用不能にする場合を名宛てにしています。
また、届出はあくまで「予め」行うものとされています。
工事を始めてから届け出ても、届出の趣旨を満たしたことにはなりません。
変更や撤去を予定しているときも、まず所轄の消防署に相談しておくほうが安全です。

届出は、工事を始める前と後、どちらでもよいのですか。

いいえ。
条文は予めの届出を求めています。

指定水利がある敷地で明日から何を確認すればよいのか

チェックリストとカレンダーと虫眼鏡のイラスト
ここまでの内容を踏まえて、明日から確認したいことを整理します。
まずは、自分の敷地にある水利が指定を受けているかどうかを確かめましょう。
(消防法第二十一条第二項(再掲))消防長又は消防署長は、前項の規定により指定をした消防水利には、総務省令で定めるところにより、標識を掲げなければならない。
指定を受けた水利には標識が掲げられているので、まずその有無を確かめましょう。
敷地内の池や井戸、水そうに標識があれば、それは指定を受けた消防水利です。
工事や改修で変更・撤去・使用不能の予定があるときは、着手前に所轄の消防署へ相談しましょう。
標識の有無が分からないときも、所轄消防署に確認すれば教えてもらえます。
届出の手続きや様式についても、事前に窓口で確認しておくと安心です。

標識が見当たらないときは、どうすればよいですか。

所轄の消防署に確認すれば、指定の有無を教えてもらえます。

明日から、次の点を確認してください。
  • 敷地内の池や井戸、水そうに標識があるかを確かめる。
  • 標識があれば、それが指定消防水利であることを認識する。
  • 変更・撤去・使用不能の予定があるときは、着手前に届出の必要性を確認する。
  • 届出先と様式は、所轄の消防長又は消防署長の窓口で確認する。
  • 標識の有無や指定状況が分からないときは、早めに所轄消防署に相談する。
消防水利の届出や標識については所轄消防署に、消防用設備等の管理については㈱防災屋にご相談ください。

よくある質問

Q消防水利とは何ですか?
A消防長又は消防署長が、池や井戸、水そうなどを所有者の承諾を得て指定し、常時使用可能の状態に置く水利です(消防法第21条第1項)。
Q指定された水利を変更するときは何が必要ですか?
A変更・撤去・使用不能のいずれを行う場合も、あらかじめ所轄の消防長又は消防署長に届け出る必要があります(第21条第3項)。
Q届出をしないで水利を使えなくするとどうなりますか?
A30万円以下の罰金又は拘留に処せられます(第44条第15号)。
Q標識はどこで確認できますか?
A指定を受けた水利には消防長又は消防署長が標識を掲げます(第21条第2項)。見当たらないときは所轄消防署に確認しましょう。

まとめ

✔消防法第21条は、池や井戸、水そうなどを所有者の承諾を得て消防水利に指定する制度を定めています。
✔指定された水利には、標識が掲げられ、常時使用可能の状態に置かれます(第21条第2項)。
✔その水利を変更・撤去・使用不能にしようとする者は、あらかじめ届け出なければなりません(第21条第3項)。
✔届出をしないで水利を使用不能の状態に置いた者は、30万円以下の罰金又は拘留に処せられます(第44条第15号)。
✔第44条第15号の文言は使用不能にする場合を名宛てにしており、届出は行為の前に行うものとされています。
✔罰せられるのは水利の所有者に限らず、実際に使用不能の状態に置こうとした工事の施工者等も対象になり得ます。
✔敷地内に標識のある水利があるときは、変更・撤去・使用不能の前に所轄消防署へ相談しておくと安心です。

指定された水利を埋める前に、届出が必要だとよく分かりました。
まず、敷地内の標識を確認します!

届出の手続きや様式は所轄消防署で確認できます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第二十一条・第四十四条(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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