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建築基準法の定期報告を出さなかったり偽ったりすると誰が罰せられるのか|第101条第2号が定める報告義務違反と虚偽報告の罰則を解説

定期報告を出さないと誰が罰せられるのかを解説する記事のアイキャッチ画像

建築物の所有者には、敷地や構造、建築設備の状況を定期的に調査・検査して、その結果を特定行政庁に報告する義務があります。
この報告を怠ったり、うその報告をしたりすると、罰則の対象になります。
対象になるのは建築物の所有者だけでなく、煙突や昇降機などの所有者、報告を取りまとめる指定確認検査機関にも及びます。
今回は建築基準法第101条第2号を取り上げて、誰がどんな場合に罰せられるのかを解説します。

建物の定期報告を忘れると、罰金になることはありますか。

第101条第2号に、100万円以下の罰金の定めがあります。
この記事で、誰が罰せられるのかを確認します。

虚偽の報告をした場合も、同じ罰になるのですか。

はい。
報告をしないことと虚偽の報告をすることは、同じ罰則として扱われます。

この記事の結論
  • 第101条第2号は、建築基準法第12条の定期報告を怠った場合とうその報告をした場合を、100万円以下の罰金で罰する規定です。
  • 対象になるのは、第12条第1項(特定建築物の所有者による定期調査報告)と第3項(特定建築設備等の所有者による定期検査報告)です。
  • 第5項第2号により、指定確認検査機関が特定行政庁から求められた報告をしない場合も、同じ第101条第2号の対象です。
  • 第88条の準用により、煙突や広告塔、昇降機等の所有者にも同じ報告義務と罰則が及びます。
  • 報告を怠ることと虚偽報告をすることは同じ重さで扱われますが、特定行政庁からの別の報告要求に応じない場合は第99条でより重い刑が科されることがあります。

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特定建築物の所有者と昇降機や工作物の所有者と指定確認検査機関が定期報告を怠っても偽っても罰金の対象になることを示す図解

建築基準法の定期報告とは何を求めている制度なのか

建物模型と拡大鏡付きの点検チェックリストのイラスト
建築物は、建ててからも老朽化や劣化が進みます。
そのため、建築基準法は一定の建築物について、所有者による定期的な調査・検査と報告を義務づけています。
(建築基準法第十二条第一項(抜粋))第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの…及び…特定行政庁が指定するもの…の所有者は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に…その状況の調査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
(建築基準法第十二条第三項(抜粋))特定建築設備等…で特定行政庁が指定するもの…の所有者は、これらの特定建築設備等について…定期に…検査…をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
この報告の仕組みは大きく二つに分かれます。
一つは第1項の、特定建築物の所有者が行う、敷地・構造・建築設備の定期調査報告です。
もう一つは第3項の、特定建築設備等の所有者が行う、定期検査報告です。
どちらも、国が全国一律に対象を定める場合と、特定行政庁が個別に指定する場合があります。
調査や検査は、一級建築士・二級建築士、または調査員・検査員の資格を持つ者が行います。

報告が必要な建物は、どうやって決まるのですか。

政令で定める建物のほか、特定行政庁が指定した建物も対象です。
自分の建物が対象かどうかは、特定行政庁に確認できます。

第101条第2号は具体的に何を罰則の対象にしているのか

煙突と高架水槽とエレベーターのイラスト
第101条第2号が罰則の対象にしているのは、第12条のうち三つの規定です。
条文を確認しましょう。
(建築基準法第百一条(前文))次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。
(建築基準法第百一条第二号)二 第十二条第一項若しくは第三項(これらの規定を第八十八条第一項又は第三項において準用する場合を含む。)又は第五項(第二号に係る部分に限り、第八十八条第一項から第三項までにおいて準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
対象は第1項・第3項の定期報告と、第5項第2号の報告の三つです。
第5項第2号は、特定行政庁が指定確認検査機関に対して報告を求めることができる規定で、これに応じない場合も第101条第2号の対象です。
さらに、条文中の「第八十八条…において準用する場合を含む」という括弧書きが重要です。
第88条の準用により、煙突・広告塔・高架水槽などの工作物や、昇降機などの建築設備の所有者にも、同じ報告義務と罰則が及びます。
つまり、建築物そのものだけでなく、周辺の工作物や設備も対象に含まれます。

工作物や昇降機にも、同じ報告義務があるのですか。

はい。
第88条の準用により、煙突や昇降機などの所有者にも同じ義務と罰則が及びます。

報告をしないこととうその報告をすることはどちらも同じ罰になるのか

空の報告書フォルダと水平な天秤とうその印が付いた報告書のイラスト
第101条第2号の文言を、もう一度よく見てみましょう。
「報告をせず」と「虚偽の報告をした」は、条文上どのように扱われているでしょうか。
(建築基準法第百一条第二号(再掲・抜粋))…の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、百万円以下の罰金に処する。
条文は「せず」と「虚偽の報告をした」を同じ一文の中で並べています。
つまり、報告そのものを出さない場合と、内容を偽って報告する場合は、罰則の重さに差がありません。
どちらも第101条の前文が定める100万円以下の罰金の対象です。
また、第101条には拘禁刑の定めがなく、罰金刑だけが科されます。
調査結果が不利な内容であっても、書かないより、ありのままを報告するほうが安全だということです。

調査の結果が悪くても、正直に書いたほうがいいのですか。

はい。
結果を偽ると虚偽の報告になり、書かないのと同じ罰則を受けます。

報告を求められて拒んだ場合は同じ罰則になるのか

禁止マークの付いた閉じた門と裁判官の木槌のイラスト
第12条第5項には、特定行政庁が報告を求めることができる規定もあります。
この報告を拒んだ場合の罰則を見てみましょう。
(建築基準法第十二条第五項(抜粋))特定行政庁…は、次に掲げる者に対して…報告を求めることができる。
一 建築物…の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者…又は建築物に関する調査をした者
二 …指定確認検査機関
(建築基準法第九十九条第一項第五号)五 第十二条第五項(第一号に係る部分に限る。)…の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
同じ第5項の報告でも、求められた相手によって罰則の重さが変わります。
第5項第1号(建築物の所有者・管理者などへの報告要求)に応じない場合は、第99条により1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が科されます。
一方、第5項第2号(指定確認検査機関への報告要求)に応じない場合は、第101条第2号により罰金だけが科されます。
つまり、建築物の所有者が特定行政庁の個別の求めを拒む方が、所有者自身が行う定期報告を怠るよりも、重く罰せられる場面があります。
この違いを知らずに「報告さえ出していればよい」と思い込むと、個別の報告要求への対応を見落としかねません。

定期報告さえ出していれば、他の報告は無視してもいいのですか。

いいえ。
特定行政庁からの個別の報告要求を拒むと、より重い罰則を受けることがあります。

定期報告の罰則を避けるために明日から何を確認すればよいのか

点検チェックリストとカレンダーのイラスト
ここまでの内容を踏まえて、明日から確認したいことを整理します。
まずは、自分の建物や設備がどの報告の対象になっているかを確かめましょう。
(建築基準法第十二条第八項(抜粋))特定行政庁は、確認その他の建築基準法令の規定による処分並びに第一項及び第三項の規定による報告に係る建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する台帳を整備し、かつ、当該台帳…を保存しなければならない。
報告の内容は、特定行政庁の台帳に記録され、保存されます。
つまり、報告の有無や内容は後から確認できる形で残るということです。
自分の建物や工作物、昇降機が、第1項・第3項の指定を受けているかを、まず特定行政庁に確認しましょう。
次回の報告期限を把握し、一級建築士・二級建築士や調査員・検査員に早めに依頼しておくと安心です。
調査や検査で不利な結果が出ても、省略せずにありのままを報告することが、虚偽報告を避ける一番の方法です。

報告を忘れないようにするには、どうすればいいですか。

次回の報告期限をカレンダーで管理し、早めに資格者へ依頼するのが確実です。

明日から、次の点を確認してください。
  • 自分の建物や工作物、昇降機が、第1項・第3項の指定を受けているかを確かめる。
  • 次回の報告期限を把握し、資格者への依頼を早めに済ませる。
  • 調査・検査の結果は、不利な内容でも省略せずに報告する。
  • 特定行政庁からの個別の報告要求にも、定期報告と同じように対応する。
  • 判断に迷うときは、早めに特定行政庁や建築の窓口に相談する。
建築基準法の罰則については特定行政庁や建築の窓口に、消防法令の義務については所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。

よくある質問

Q第101条第2号は何を罰しますか?
A第12条第1項・第3項の定期報告を怠った場合と、虚偽の報告をした場合を、100万円以下の罰金に処する規定です。
Q第12条第5項第2号とは何ですか?
A特定行政庁が指定確認検査機関に対して報告を求めることができる規定で、これに応じない場合も第101条第2号の対象です。
Q工作物や昇降機にも報告義務はありますか?
Aはい。第88条の準用により、煙突や広告塔、昇降機等の所有者にも同じ報告義務と罰則が及びます。
Q報告を怠るより重い罰則はありますか?
Aあります。第12条第5項第1号の報告要求に応じない場合は、第99条により1年以下の拘禁刑も科されうるため、より重い規定です。

まとめ

✔第101条第2号は、建築基準法第12条の定期報告を怠った場合とうその報告をした場合を、100万円以下の罰金で罰すると定めています。
✔対象になるのは、第12条第1項の特定建築物の定期調査報告と、第3項の特定建築設備等の定期検査報告です。
✔第5項第2号の指定確認検査機関が特定行政庁から求められた報告をしない場合も、同じ第101条第2号の対象です。
✔第88条の準用により、煙突や広告塔、高架水槽などの工作物、昇降機等の所有者にも、同じ報告義務と罰則が及びます。
✔報告をしないことと、うその報告をすることは、どちらも同じ100万円以下の罰金として扱われます。
✔第12条第5項第1号の報告要求に応じない場合は、第99条により1年以下の拘禁刑も科されうる、より重い規定です。
✔これは建築基準法の罰則で、消防法令の義務とは別なので、防火管理者は建築の窓口と所轄消防署の両方に確認します。

定期報告を怠ることとうその報告をすることが、同じ罰になるとよく分かりました。
まず、自分の建物の指定状況を確認します!

建築の罰則と消防の罰則は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第十二条・第八十八条・第九十九条・第百一条(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。罰則の適用は事案ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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