給油取扱所の敷地を計画していたら、間口が10mに満たない変形地だった——そんなとき、「間口が足りないから給油取扱所は諦めるしかない」と考えていませんか。
実は、危険物の規制に関する政令には「基準の特例」を定めた条文があり、敷地の形状や周辺道路の状況、設備の工夫によっては、間口不足のままでも空地基準を満たしたものと認められる場合があります。
この記事では、危険物の規制に関する政令第23条という特例規定の基本的な考え方と、実際に間口10m未満の梯形(台形)の敷地でも認められた事例、さらによく混同されがちな「角地の間口ルール」との違いまで、詳しく解説します。
うちのスタンドは敷地が台形で、間口がどちらも10メートルに届きません。
もう設置はできないのでしょうか。
詰みではありません。
危険物の規制に関する政令第23条の特例が適用される場合があります。
特例は、申し出れば通るものなのでしょうか。
いえ、実状に応じて火災予防上支障がないと認められることが条件です。
表側と裏側が別の道路に面し通り抜けができるか等が判断材料になります。
この記事でまとめて解説します!
- 政令第23条は、実状に応じて火災予防上支障がないと認められる場合に、基準どおりでなくても特例を認められる制度
- 間口がいずれも10m未満の梯形(台形)の敷地でも、この特例が適用される場合がある
- ポイントは、敷地の表側・裏側がそれぞれ異なる道路に面し、車両の通り抜けが可能であること
- さらに吊下式ガソリン計量機(固定給油設備)を設置し、車両が容易に出入りできる構造とすることが判断材料になる
- 角地の「間口の一辺だけでよい」というルール(政令17条の解釈)とは別の話である点に注意
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目次
危険物の規制に関する政令第23条とは?特例が認められる基本的な考え方
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危険物の規制に関する政令第23条は、危険物施設の位置・構造・設備について、政令に定める技術上の基準に従わなくても、市町村長等が「予想しない特殊の構造若しくは設備を用いること等により、火災の予防上及び保安上、政令で定める技術上の基準による場合と同等以上の効力があると認めるとき」は、その基準によらないことができる、という趣旨の規定です。
給油取扱所の空地基準(間口10m以上・奥行6m以上)についても、この特例の対象になり得ます。
同等以上の効力があると認められることが条件なのですね。
市町村長等の判断になります。
まず現況の寸法を実測して、図面に落としておいてください。
間口がいずれも10m未満の梯形敷地でも危険物の規制に関する政令第23条の特例が使える場合がある
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危険物の規制に関する政令第17条第1項第1号では、給油取扱所の給油空地について間口10m以上・奥行6m以上を基準としていますが、実際に間口9.6mと9.1m(いずれも10m未満)、奥行14mの梯形(台形)の敷地で給油取扱所の設置が認められた事例があります。
| 敷地の条件 | 内容 |
|---|---|
| 敷地の形状 | 間口9.6m・9.1m(いずれも10m未満)、奥行14mの梯形 |
| 表側の道路 | 幅員22mの道路に面する |
| 裏側の道路 | 幅員4mの道路に面する |
| 車両動線 | 表側から進入し裏側へ抜ける、通り抜けが可能 |
実際に認められた例があるのですね。
間口9.6メートルと9.1メートルの事例があります。
自分の敷地の条件と、どこが似ているかを整理してみてください。
吊下式ガソリン計量機(固定給油設備)の設置が、車両の出入りやすさの判断材料になる
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この事例で特例適用のポイントとなったのが、吊下式ガソリン計量機(固定給油設備)の設置です。
地上に据え置く通常のガソリン計量機とは異なり、天井や梁から吊り下げる形式の計量機を採用することで、敷地内における車両の取り回しがしやすくなり、間口不足を補う要素として評価されています。
- 固定給油設備の設置については、別途「固定給油設備の設置に関する運用基準」(都道府県消防主管部長宛通達)も参照する必要がある
- 特例の適用は敷地の形状・道路条件・設備配置を総合的に判断した結果であり、間口が10m未満であれば自動的に認められるわけではない
計量機の形式まで、判断の材料になるのですね。
車の取り回しやすさが評価されました。
設備の更新時期が近いなら、形式もあわせて相談してください。
「角地の間口ルール」との違いに注意
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間口不足を補う特例というと、角地にある給油取扱所で「間口の一辺だけ基準を満たせばよい」という取り扱いを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、これは今回の梯形敷地のケースとは根拠も考え方も異なります。
| ケース | 考え方 |
|---|---|
| 角地の給油取扱所(別記事で解説) | 2つの道路に接する角地であるという敷地の位置関係から、間口の一辺のみで基準を満たせばよいと整理される |
| 本記事の梯形敷地のケース | 両辺とも間口10m未満だが、通り抜け可能な道路条件と設備の工夫を総合評価し、危険物の規制に関する政令第23条の特例として認められた |
角地の話とは根拠が違うのですね。
別の考え方です。
自分の敷地がどちらの型かを先に整理してから相談しましょう。
よくある質問
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まとめ
- 危険物の規制に関する政令第23条は、同等以上の安全性が認められる場合に基準の特例を認める一般的な規定
- 間口がいずれも10m未満の梯形敷地でも、この特例が適用された事例がある
- 表側・裏側が異なる道路に面し、車両の通り抜けが可能であることがポイント
- 吊下式ガソリン計量機の設置も、車両の出入りやすさを補強する判断材料になる
- 角地の間口ルールとは根拠が異なるため混同しないよう注意
- 特例適用は個別事情の総合判断のため、計画初期段階での事前相談が重要
形が悪いというだけで諦めなくてよいのですね。
すっきりしました。
そのとおりです。
ただし角地の間口の考え方とは別の話なので、混同しないようご注意ください。
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第17条第1項第1号・第23条 e-Gov法令検索
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)給油取扱所の空地と固定給油設備の基準に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の設置計画については所轄消防署にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




