BLOG

販売取扱所は倉庫の内部に設置できる?上階への延焼防止措置と監視用窓の基準も解説

塗料店や燃料店のように容器入りのままで危険物を販売する店舗は、消防法上「販売取扱所」として許可を受ける必要があります。
倉庫の内部に設けることができるのか、上階に住宅がある場合の延焼防止措置はどこまで認められるのか、第二種販売取扱所の隔壁に監視用の窓を設けてよいのかを、実際の質疑応答をもとに解説します。

倉庫の奥に空いてる部屋があるから、そこで塗料の販売所やろうかと思ってるんやけど。
技術上の基準は満たすようにするで。

それは認められません
薪や木炭が積まれた倉庫の内部で、出入口が屋内の通路側にしかない販売取扱所は設置を認められないという回答が示されています。

ほな道路沿いの店舗でやるわ。
ただ2階が住居やねん。
ひさしを出せって言われても、うちの造りやと無理なんよな。

ひさしを設けられない場合でも、上階の外壁の構造と直上階の開口部の防火戸で代替できる整理が示されています。この記事でまとめて解説します!

この記事の結論
  • 薪や木炭が置かれた木造平屋建の倉庫の内部に、屋内の通路側にのみ出入口を設ける販売取扱所は、危険物の規制に関する政令第18条の基準に適合せず設置は認められない
  • 上階への延焼防止措置は、ひさしを設けられない場合でも上階の外壁が耐火構造または防火構造であり、直上階の開口部にはめ殺しの防火戸が設けられていれば認められる
  • 住宅部分との間に外壁面からの突出しが0.9メートル以上のそで壁を設ければ、正面出入口は延焼のおそれのある壁またはその部分に該当しない
  • 第二種販売取扱所と他用途部分との隔壁に、監視用の30センチメートル×40センチメートルのはめ殺し窓を設けることはさしつかえない

販売取扱所の設置場所と上階への延焼防止措置と監視用窓の基準

販売取扱所は店舗で容器入りのまま危険物を売るための取扱所

販売取扱所は、危険物の規制に関する政令第3条第2号において、店舗において容器入りのままで販売するため危険物を取り扱う取扱所として区分されています。塗料店やシンナーを扱う建材店、燃料店などが典型例です。

販売取扱所は取り扱う危険物の量に応じて2つに分かれており、指定数量の倍数が15以下のものが第一種販売取扱所、指定数量の倍数が15を超え40以下のものが第二種販売取扱所です。
第一種販売取扱所の位置・構造・設備の技術上の基準は危険物の規制に関する政令第18条第1項に、第二種販売取扱所の基準は同条第2項に定められています。

販売取扱所に共通する重要な前提は、建築物の一階に設置することです。給油取扱所のように敷地全体を施設として扱うのではなく、建築物の一部を販売取扱所の用に供する部分として区画し、その部分に基準を掛けるという構成になっています。したがって「どの建物のどの位置に、どう区画して設けるか」が審査の中心になります。

薪や木炭を置いた倉庫の内部に設ける販売取扱所は認められない

危険物の規制に関する政令第18条に定める販売取扱所を、木造平屋建の道路に面しない内部に設置することを認めてよいか、という照会がありました。
販売所そのものは消防法に定められた技術上の基準により設置するものの、木造平屋建瓦葺の建築物である倉庫の内部に設けようとするもので、その状況は次のとおりとされています。

  • 倉庫内の床は板張りで天井はない。ただし設置しようとする販売取扱所の床はコンクリート舗装とする
  • 倉庫は間口4.92メートル、奥行10.15メートルである
  • 倉庫内には薪、木炭、豆炭類が入っている
  • LPガス貯蔵庫は倉庫より切り離して設置されている
  • 倉庫の出入口から設置しようとする販売取扱所までの距離は1.9メートルである
  • 販売取扱所の出入口は屋内である木造建築の通路側にのみ設けられており、販売および商品収納には耐火構造でない屋内の約2メートルを容器入りのまま取り扱うことになる
この設問の販売取扱所は、危険物の規制に関する政令第18条の規定に適合しないため、その設置は認められないとされています。判断の分かれ目になっているのは、販売取扱所そのものの造りではなくそれを取り巻く倉庫側の状況です。板張りの床で天井がない木造の空間に薪や木炭、豆炭類という可燃物が積まれており、そこを容器入りの危険物が通っていくうえに、外部への出入口が確保されず屋内の通路側にしか開いていません。販売取扱所の部分だけをコンクリート舗装にしても、周囲の可燃物と避難経路の問題は解消されないという整理です。

上階への延焼防止措置はひさしを設けられない場合の代替措置も認められる

既設の販売取扱所の上階に建築物である住宅部分があるため、危険物の規制に関する政令第18条第2項第2号の規定により上階への延焼を防止するための措置を講じなければならない事案について照会がありました。

施行通達である「危険物の規制に関する政令等の一部改正について」(昭和46年7月27日付け消防予第106号)第6の3の(1)に示されている措置例のとおり、すべての販売取扱所がひさしを出すということができない場合、この規定が主旨とする販売取扱所での火災が上階へ延焼することを積極的に防止する措置例として、次の方法を考えるか、いずれによれば適当と認められるか、という内容です。
ひさしを設けることができない場合の代替案として挙げられたのは次の3案です。

  • 上階の外壁が防火構造であって、当該部分に開口部である窓がある場合は、網入ガラスの乙種防火戸とする
  • 上階の外壁が耐火構造であって、当該部分に開口部である窓がある場合は、網入ガラスの乙種防火戸とする
  • 前の2案のいずれかであって、販売取扱所の開口部である出入口および窓の上端から、上階の開口部である窓の下端までの間隔で0.9メートル以内である場合は、はめ殺しとする
回答では、次の各号に適合する場合に危険物の規制に関する政令第18条第2項第2号に定める上階への延焼を防止するための措置を講じたものと認めるとされました。
1 上階の外壁が耐火構造または防火構造であること
2 当該販売取扱所の開口部に面する側の直上階の開口部に、はめ殺しの甲種防火戸または乙種防火戸が設けられていること
つまりひさしは唯一の手段ではなく、通達に示された措置例のひとつです。上階の外壁の構造と直上階の開口部の防火性能という2つの条件を満たすことで、上階への延焼を積極的に防止する目的は達せられるという判断です。
甲種防火戸・乙種防火戸は当時の用語で、現在の建築基準法では特定防火設備・防火設備に相当します。実際の協議では現行の用語に読み替えて確認してください。

そで壁を設ければ正面出入口は延焼のおそれのある部分に該当しない

同じ照会では、販売取扱所の正面出入口に向かって左右いずれかの片側に、当該取扱所の住宅部分が接している場合の取扱いも問われています。

この場合、当該取扱所の正面出入口には、危険物の規制に関する政令第18条第2項第4号のただし書きの規定により、延焼のおそれのある部分である隣接住宅部分から0.9メートル以内の部分の出入口に、随時開けることができる自動閉鎖の甲種防火戸を設けなければならないと解されます。
そのうえで、この場合に住宅部分との間に延焼防止上有効な耐火構造のそで壁を設ける等の措置例があるとすれば、外壁面からその突出しの長さが0.9メートル以上とすればただし書き規定の適用が除かれる部分になるかどうか、という照会です。

この設問の場合は、危険物の規制に関する政令第18条第2項第4号ただし書きの「延焼のおそれのある壁又はその部分」に該当しないとされています。隣接する住宅部分から0.9メートル以内という距離だけで機械的に判断するのではなく、その間に延焼防止上有効な耐火構造のそで壁が0.9メートル以上突き出していれば、火炎の回り込みが遮られるため延焼のおそれのある部分ではなくなるという整理です。距離の数値と同じ長さのそで壁が、距離の不足を補う役割を果たしています。

第二種販売取扱所の隔壁に監視用のはめ殺し窓を設けることはさしつかえない

第二種販売取扱所と他用途部分との隔壁に、監視用の30センチメートル×40センチメートルの窓を設けてさしつかえないか、という照会がありました。窓の仕様は、はめ殺しの網入ガラスとし、温度ヒューズ付甲種防火シャッターを設けるというものです。

設問の場合はさしつかえないとされています。隔壁は本来、他用途部分との間を確実に区画するためのものですが、開放できないはめ殺しであること、網入ガラスであること、火災時に温度ヒューズで自動的に閉鎖する防火シャッターが設けられていることという3つの条件がそろえば、区画としての性能は損なわれません。むしろ危険物を取り扱う部分を隣室から監視できることは、安全管理の面でプラスに働くという評価です。

よくある質問

Q. 第一種販売取扱所と第二種販売取扱所の違いは何ですか?
取り扱う危険物の指定数量の倍数で分かれます。指定数量の倍数が15以下のものが第一種販売取扱所、15を超え40以下のものが第二種販売取扱所です。技術上の基準はそれぞれ危険物の規制に関する政令第18条第1項と同条第2項に定められており、第二種販売取扱所のほうが上階への延焼防止措置など要求される内容が厳しくなっています。
Q. 倉庫の内部に販売取扱所を設けることはできますか?
薪や木炭、豆炭類が置かれた板張り床で天井のない木造平屋建の倉庫の内部に、屋内の通路側にのみ出入口を設ける形態については、危険物の規制に関する政令第18条の基準に適合せず設置は認められないとされた回答があります。販売取扱所の部分だけを不燃化しても、周囲の可燃物と外部への出入口が確保されていない点は解消されません。
Q. 上階への延焼防止措置はひさしを設けるしか方法がないのですか?
ひさしは昭和46年7月27日付け消防予第106号に示された措置例のひとつです。ひさしを設けられない場合でも、上階の外壁が耐火構造または防火構造であり、かつ販売取扱所の開口部に面する側の直上階の開口部にはめ殺しの防火戸が設けられていれば、上階への延焼を防止するための措置を講じたものと認められます
Q. 隣接する住宅部分から0.9メートル以内でも自動閉鎖の防火戸を省略できますか?
住宅部分との間に延焼防止上有効な耐火構造のそで壁を設け、外壁面からの突出しの長さを0.9メートル以上とした場合は、危険物の規制に関する政令第18条第2項第4号ただし書きの延焼のおそれのある壁またはその部分に該当しないとされています。

まとめ

  • 販売取扱所は店舗において容器入りのままで販売するため危険物を取り扱う取扱所で、建築物の一階に設置することが前提となる
  • 薪や木炭が置かれた木造平屋建の倉庫の内部に、屋内の通路側にのみ出入口を設ける販売取扱所は設置が認められない
  • 上階への延焼防止措置は、上階の外壁が耐火構造または防火構造であり直上階の開口部にはめ殺しの防火戸が設けられていれば、ひさしがなくても認められる
  • 住宅部分との間に外壁面からの突出しが0.9メートル以上のそで壁を設ければ、延焼のおそれのある壁またはその部分に該当しない
  • 第二種販売取扱所の隔壁に、はめ殺しの網入ガラスで温度ヒューズ付防火シャッター付きの監視用窓を設けることはさしつかえない

倉庫の中はあかんけど、道路沿いの店舗ならやり方はあるってことやな。

そのとおりです
区画の性能と上階への延焼防止、そして外部への出入口の確保がそろっているかで判断されます。

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第3条第2号 e-Gov法令検索
  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第18条 e-Gov法令検索
  • 「危険物の規制に関する政令等の一部改正について」(昭和46年7月27日付け消防予第106号)
  • 販売取扱所の設置場所について(昭和41年11月4日付け自消丙予発第141号 予防課長から岐阜県総務部長あて回答)
  • 販売取扱所の上階への延焼を防止するための措置について(昭和48年8月2日付け消防予第121号 予防課長から栃木県あて回答)
  • 第二種販売取扱所における監視のためのはめ殺し窓の設置について(昭和51年7月12日付け消防危第23の3号 東京消防庁あて回答)
  • 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)販売取扱所の基準に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成

※本記事は2026年6月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
eyecatch-hanbai-toriatsukaijo
塗料店や燃料店のように容器入りのままで危険物を販売する店舗は、消防法上「販売取扱所」として許可を受ける必要があります。倉庫の内部に設けることができるのか、上階に住宅がある場合の延焼防止措置はどこまで認められるのか、第二種...