流出油等防止堤の内側に木を植えたい。堤の上に防犯用のフェンスを立てたい。
どちらも本来の目的とは別の話です。禁止されているとも書かれていません。
回答はどちらも認めました。ただし条件付きです。
共通しているのは防災の働きを邪魔しないことです。
流出油等防止堤の上に、防犯のためのフェンスを設置してよいでしょうか。
防災活動上支障のない範囲のものであり、かつ防止堤の強度に支障を及ぼさないものである場合は、その設置を認めて差し支えないとされています。
小さな危険物施設が散在している区域では、消火栓をどう置けばよいのでしょうか。
これらの施設が集合して設置されている場合は、一の施設とみなして適用されたいとされました。
- 流出油等防止堤の内側への植樹は、防災業務に支障ない位置であり工場立地法施行規則第3条の施設に該当しない場合は差しつかえありません
- 防止堤上のフェンスは、防災活動上支障のない範囲で強度に支障を及ぼさないものであれば設置を認めて差し支えありません
- 小規模施設とは危険物の規制に関する政令第20条第1項第2号又は第3号に該当するような施設です
- これらの施設が集合して設置されている場合は、一の施設とみなして適用します
- 防災資機材等は必ずしも施設の区分に応じて義務付けられているものではなく、屋外給水施設の能力を施設の区分で分けることはできません
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目次
防止堤の内側に木を植えてよいか

工場には緑地を設ける義務があります。工場立地法によるものです。
一方、流出油等防止堤の内側は油を受け止める場所です。ここに木を植えてよいのか。
1 防災業務に支障ない位置であること。
2 工場立地法施行規則(昭和49年大蔵省、厚生省、農林省、通商産業省、運輸省令第1号)第3条に規定する施設(第2号の芝その他の地被植物を除く。)に該当しないものであること。
1つ目は分かりやすい条件です。防災業務に支障ない位置であること。消火活動の妨げになる場所や、堤の点検ができなくなる場所は駄目です。
2つ目が独特です。工場立地法施行規則第3条に規定する施設に該当しないこと。この第3条は緑地の定義を定めた規定です。
つまり、緑地として算入される木は植えられません。防止堤の内側に植えて緑地の面積に数えるのは駄目だ、ということです。
括弧書きで芝その他の地被植物は除かれています。地面を覆う草の類は、緑地に数えつつ植えても構いません。
理由は書かれていませんが、緑地として算入すると木を減らせなくなります。油が溜まる場所は、必要なら手を入れられる状態にしておきたい。そういう趣旨だと読めます。
堤の内側に木を植えることも、条件つきでできるのですね。
位置と支障の有無で見ます。
緑地の計画は、防災の観点から確認してください。
堤の上に防犯フェンスを立ててよいか

防止堤は敷地の外周付近に設けられることが多く、防犯上の境界とも重なります。
そこにフェンスを立てられないか、という現場からの照会です。
条件は2つ。防災活動上支障のない範囲であること。防止堤の強度に支障を及ぼさないこと。
1つ目は前の項目と同じ考え方です。消防隊が堤に取り付けなくなる、放水の邪魔になる、といった状態は認められません。
2つ目が構造の話です。フェンスを立てるには基礎が要ります。堤に穴を開けてアンカーを打てば、そこが弱点になります。堤の断面を欠く工法は避けなければなりません。
2つの回答を並べると、判断の型が見えてきます。本来の働きを損なわなければ他の用途と重ねられる。
消防用設備の周りに物を置く話も同じ型です。禁止されているのは物そのものではなく、働きを損なう置き方です。
働きと強度を守れば、認められるのですね。
2つの条件があります。
設置の前に、強度の検討を依頼してください。
小規模施設とはどの程度のものか

昭和53年3月9日付けの消防地第42号に、小規模施設についての問いがあります。
小規模施設とは具体的にどの程度のものか。そして小規模な危険物施設が散在する区域では、消火栓をどう設ければよいのか。
ただし、これらの施設が集合して設置されている場合は一の施設とみなして、適用されたい。
前半は定義です。危険物の規制に関する政令第20条第1項は、消火設備の設置基準を施設の区分ごとに定めています。第1号が著しく消火困難な製造所等、第2号が消火困難な製造所等、第3号がその他の製造所等です。
小規模施設とは、第2号または第3号に該当するような施設だとされました。
後半が実務の要点です。小さい施設でも、集まって置かれていれば1つの施設とみなします。
理由は明らかです。火は施設の区分を見て止まりません。隣り合って並んでいれば延焼します。1つずつ小さいからといって、それぞれに小規模施設の扱いを当てると、区域全体としては手薄になります。
この考え方は、危険物の指定数量を同一場所で合算する話と同じ発想です。
集まっていれば、1つとみなすのですね。
散在する施設の扱いです。
配置の図を作って、まとまりを確かめてください。
第四種と第五種で消火できるものはどうか

ところが第1号に当たる施設であっても、危険物の種類や数量、取扱いの状況から見て、第四種や第五種の消火設備で消火できるものがあります。
これも小規模施設に含めてよいのか。
条文上の区分と、実際の消火の難しさがずれることがあります。回答はそのずれを認めました。
第1号の著しく消火困難に形式上は当たっていても、第四種や第五種で消火できるなら小規模施設に含めて差し支えない。
ただし客観的にという条件が付いています。担当者の見立てではなく、危険物の種類、数量、取扱い状況といった具体的な事実から誰が見てもそう判断できることが要ります。
前の項目と方向が逆に見えますが、根は同じです。集まっていれば大きく扱い、実際に消せるなら小さく扱う。形式の区分ではなく実態で判断するという一貫した姿勢です。
実際に消せるかどうかで判断されるのですね。
条文の区分だけではありません。
設備の能力を、現況で確かめておきましょう。
屋外給水施設の能力は施設の区分で決まるか

そこで1つの考え方が示されました。消防自動車が必要とされる施設の周囲に、その消防自動車に必要な能力の屋外給水施設を設ければ足りるのではないか。
施設の区分に応じて能力を割り振る、という発想です。
前提そのものが否定されました。防災資機材等は、必ずしも施設の区分に応じて義務付けられているものではない。
つまり、施設ごとに必要な能力を積み上げて足りるという考え方が成り立ちません。屋外給水施設は特定事業所という単位で求められるものだからです。
理由を補うと、こうなります。大規模な災害では、火元の施設だけに水を出せばよいわけではありません。周囲の施設を冷却したり、流れ出した油に泡を出したりします。どの施設の火災かによって必要な水量が決まるわけではないのです。
前の記事で見た防止堤の共用と同じで、施設単位ではなく事業所単位で考えます。
なお、小規模施設については別の扱いがあり、運用指針の第1と第2で区分されています。個別の設置基準は指針を確認してください。
区分ごとに能力を割り振ることはできないのですね。
前提が否定されました。
必要な能力を、全体で確かめてください。
よくある質問
まとめ
- 防止堤の内側への植樹は防災業務に支障ない位置であることが条件です
- あわせて工場立地法施行規則第3条の施設でないことが必要です(芝その他の地被植物を除く)
- 防止堤上のフェンスは防災活動上支障がなく強度に影響しなければ設置できます
- 小規模施設とは危険物の規制に関する政令第20条第1項第2号又は第3号に該当するような施設です
- これらが集合して設置されている場合は一の施設とみなします
- 著しく消火困難でも第四種や第五種で消火できるものは客観的に判断できれば小規模施設に含められます
- 屋外給水施設の能力を施設の区分で分けることはできません
形式の区分ではなく、実態で見るという筋が通っているのですね。
すっきりしました。
他の用途と重ねたいときは、本来の働きを損なわないかを先に確かめてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 流出油等防止堤の内側に植樹することの是否について(昭和63年1月19日 消防特第15号 消防庁特殊災害室長から関係都道府県消防防災主管部長あて回答)
- 流出油等防止堤上へのフェンスの設置について(平成2年5月31日 消防特第120号 消防庁特殊災害室長から関係都道府県消防防災主管部長あて回答)
- 石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令の運用に係る資料の送付について(昭和53年3月9日 消防地第42号)
- 消火用屋外給水施設の設置に関する運用指針について(昭和52年10月6日付け 消防地第204号)
- 工場立地法施行規則第3条
- 危険物の規制に関する政令第20条第1項
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答には昭和50年代から平成初期のものが含まれ、条番号や機関の名称等は当時のものです。個別の事案についての適用は、所轄消防署または自治体にご確認ください。




