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アルキルアルミニウム等の運搬容器はなぜ450リットルまで積めるようになったのか|収納率と空間容積が定める条件を解説

運搬容器はなぜ450リットルまで積めるようになったのかを示すアイキャッチ

アルキルアルミニウムとアルキルリチウムは、空気や水に触れると激しく発火する第3類の危険物です。
この薬品を運ぶ容器にも、ほかの危険物とは違う独自の基準が定められています。
平成11年に消防庁から出された通知で、この運搬容器の規格が大きく見直されました。
容量の上限が引き上げられた一方で、収納の仕方には細かい条件が付けられています。

うちで扱っているアルキルアルミニウムの容器を海外製の大きいものに変えたいんですが、法律的に大丈夫なんでしょうか。

平成11年の改正で、容器の上限は450リットルまで広がっています。
中身の条件も一緒に確認しましょう。

容量が大きくなっただけなら、特に注意することは無さそうですね。

そこが落とし穴です。
収納の仕方にも数値の条件があります。

この記事の結論
  • 消防危第26号(平成11年)により、第3類危険物のアルキルアルミニウム等の運搬容器の最大容量が110リットルから450リットルへ引き上げられました。
  • 引き上げの根拠は危険物の規制に関する規則第43条の3第1項第6号です。
  • ただし容量が増えた分、収納率は90%以下、50度で空間容積5%以上を確保することが義務付けられています。
  • アルキルアルミニウム等は自然発火性物品に分類されるため、不活性ガスを封入して密封することも欠かせません。
  • 容器は最大容積450リットル以下・1メガパスカルの水圧試験に耐える鋼製またはステンレス鋼製のものと定められています。

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運搬容器は450リットルまでという改正の4ステップを示した図解

アルキルアルミニウム等の運搬容器はなぜ容量の上限が引き上げられたのか

小さな容器が3個並ぶ列と1個の大きな容器が矢印でつながるイラスト
通知が出る前、アルキルアルミニウム等の運搬容器の最大容積は110リットルまでに限られていました。
これを大きく見直したのが、平成11年に出された消防庁次長名の通知です。
消防危第26号 危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令(平成11年政令第3号)が平成11年1月13日に公布され、また危険物の規制に関する規則等の一部を改正する省令(平成11年自治省令第10号)及び危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示を改正する告示(平成11年自治省告示第80号)が公布又は公示され、平成11年4月1日から施行されることとなった。(略)第3類の危険物のうちアルキルアルミニウム若しくはアルキルリチウム又はこれらのいずれかを含有するもの(以下「アルキルアルミニウム等」という。)の容器及び運搬容器の容量の上限を引き上げるとともに、その収納方法を改めること(略)をその主な内容とするものである。
容器の規格は、国際的な輸送の実情に合わせて見直されました。
当時の規制改革に関する政府の記録には、アルキルアルミニウム等の容器について国際海上危険物規程(IMDGコード)で認められている上限に合わせてほしいという業界からの要望があったことが残されています。
それまでの消防法の基準では、運搬容器の最大容積は110リットルが上限でした。
この改正によって上限は450リットルまで引き上げられ、国際規格に沿った大きな容器がそのまま使えるようになりました。
ただし容量が大きくなった分、収納の仕方には新しい条件が加えられています。

容量が広がったのは、海外製の容器を使いやすくするためだったんですね。

はい。
IMDGコードに合わせた規格の見直しです。

どんな危険物のどんな容器が対象になるのか

警告ラベルの付いた容器と発火の注意標識が並ぶイラスト
対象になるのは、すべての危険物ではありません。
消防法が定める、ごく限られた種類の薬品だけが対象です。
消防法別表第一 第三類 自然発火性物質及び禁水性物質 三 アルキルアルミニウム 四 アルキルリチウム
対象は、消防法別表第一が定める第三類の危険物のうちアルキルアルミニウムとアルキルリチウム、またはこれらを含有するものに限られます。
第三類は自然発火性物質及び禁水性物質に分類され、空気や水と接触すると発火や可燃性ガスの発生を起こす性質を持ちます。
同じ第三類でも、カリウムやナトリウムなど他の品名には、この450リットルの規定は適用されません。
アルキルアルミニウムは半導体の製造など工業用途で使われることが多く、取り扱う現場はもともと限られています。
自社で扱っている薬品がこの品名に該当するかどうかは、まず容器のラベルと安全データシートで確認します。

アルキルアルミニウムって聞きなれないんですが、普通の工場でも扱うことがあるんですか。

半導体関連など、限られた業種で使われています。
容器のラベルで品名を確認するのが確実です。

新しい基準は何を求めているのか

液体が9割ほど入った容器の断面図と温度計が並ぶイラスト
容器が大きくなった分、中身の入れ方にも細かい条件が付きました。
ここが今回の改正でいちばん実務に関わる部分です。
危険物の規制に関する規則第43条の3第1項第6号 第三類の危険物は、次に定めるところにより運搬容器に収納すること。イ 自然発火性物品にあつては、不活性の気体を封入して密封する等空気と接しないようにすること。(略)ハ 第四号の規定にかかわらず、イに掲げる物品のうちアルキルアルミニウム等は、運搬容器の内容積の90%以下の収納率であつて、かつ、50度の温度において5%以上の空間容積を有して運搬容器に収納すること。
収納率は90%以下、50度の温度で空間容積5%以上を確保することが義務付けられています。
ふつうの液体の危険物は、55度で漏れなければよいという基準ですが、アルキルアルミニウム等にはこれより細かい独自の数値が定められています。
さらにアルキルアルミニウムは自然発火性物品にあたるため、不活性ガスを封入して密封することも同時に求められます。
容器を大きくしただけでは基準を満たさず、収納の仕方まで合わせて見直す必要があります。
この2つの数値は、容器を選ぶ段階から織り込んでおく必要があります。

容器さえ大きいものに替えれば、それだけで基準を満たせると思っていました。

収納率と空間容積、両方を満たす必要があります。
容器を選ぶときから確認しましょう。

実務で見落としやすいのはどこか

厳重に密封された容器と圧力計が並ぶイラスト
この基準には、数字だけを覚えても気づきにくい落とし穴があります。
容量の話と性能の話を、別々に確認する必要があります。 容量が450リットルまで認められるのは、決められた性能試験に合格した容器だけです。
対象になるのは鋼製またはステンレス鋼製の容器で、1メガパスカルの水圧試験に漏れずに耐える性能を持つものに限られます。
容量さえ450リットル以下に収まっていれば使えると考えるのは誤りです。
また、収納率90%以下と空間容積5%以上という2つの条件は、どちらか一方だけでは足りません。
一方で、古い110リットルの容器をそのまま使い続けること自体に問題はなく、必ずしも買い替えが必要になるわけではありません。

てことは、うちの容器も大きいものに買い替えないといけないんだと思っていました。

いいえ、買い替えの義務はありません。
上限が広がっただけとご理解ください。

明日からなにを確認すればよいのか

チェックリストと巻尺と検査印が並ぶイラスト
最後に、現場で確認しておきたい手順を整理します。
容器を新調するときも、今の容器を使い続けるときも流れは同じです。 まず自社で扱う薬品がアルキルアルミニウムまたはアルキルリチウムに該当するかを確認します。
該当する場合は、容器が鋼製またはステンレス鋼製で、容量450リットル以下であることを確認します。
次に収納の実務として、収納率90%以下と50度で空間容積5%以上の条件を満たしているかを点検します。
密封の状態と不活性ガスの封入も、あわせてチェックします。
判断に迷う場合は、所轄消防署または危険物保安技術協会に相談するのが確実です。

うちの容器がこの基準に合っているか、自分では判断が難しそうです。

図面や試験成績書を所轄消防署に見てもらうのが確実です。
一緒に確認しましょう。

よくある質問

Q古い110リットルの容器は使えなくなりますか?
Aいいえ。古い容器をそのまま使い続けること自体は問題ありません。上限が450リットルまで広がっただけで、既存の容器の使用を禁止するものではありません。
Qアルキルアルミニウム以外の第三類危険物にも450リットルの基準は適用されますか?
A適用されません。アルキルアルミニウムとアルキルリチウム、またはこれらを含有するものに限った基準です。
Q収納率90%以下と空間容積5%以上は、どちらか一方を満たせば足りますか?
A足りません。収納率90%以下であることと、50度で空間容積5%以上であることの両方を満たす必要があります。
Qこの基準は現在も有効ですか?
Aはい。危険物の規制に関する規則第43条の3第1項第6号に、平成11年の改正内容がそのまま定められています。

まとめ

✔平成11年の消防危第26号により、アルキルアルミニウム等の運搬容器の最大容量が110リットルから450リットルへ引き上げられました。
✔対象は消防法別表第一第三類のアルキルアルミニウムとアルキルリチウム、これらを含有するものに限られます。
✔容量が増えた分、収納率は90%以下、50度で空間容積5%以上を確保することが義務付けられています。
✔アルキルアルミニウム等は自然発火性物品のため、不活性ガスを封入して密封することも必要です。
✔容器は鋼製またはステンレス鋼製で、1メガパスカルの水圧試験に耐える性能が条件です。
✔既存の110リットルの容器を使い続けること自体に問題はなく、買い替えの義務はありません。
✔判断に迷うときは所轄消防署または危険物保安技術協会に確認するのが確実です。

容量と収納の条件、両方セットで確認すればいいんですね。
これで安心して相談できます!

容器選びや書類の確認でお困りのときはご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防危第26号「危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令等の施行について」(平成11年3月30日、消防庁次長)
  • 危険物の規制に関する規則第43条の3第1項第6号(アルキルアルミニウム等の運搬容器への収納)
  • 消防法別表第一(第3類 自然発火性物質及び禁水性物質)

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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