地震や浸水で防災センターへ入れなくなったとき、館内の情報をどこへ集めればよいのでしょうか。
指揮場所が決まっていないと、通報連絡、避難誘導、救護の報告が別々の場所へ届きます。
消防用設備が動いていても、全体を判断する人と情報が散らばれば自衛消防活動は止まりかねません。
防災センターが使えない場合に備え、安全な代替指揮所と移行手順をBCPに定めます。
防災センターへ入れないと指揮できませんか。
代替指揮所へ機能を移します。
空いている会議室でええんですか。
安全・通信・動線を先に確認します。
- 防災センターが使えない事態をあらかじめ想定します。
- 代替指揮所は安全・通信・参集動線で選びます。
- 指揮者、各班、テナントからの報告先を一つにします。
- 無線、図面、名簿、記録票、予備電源を持出し資機材にします。
- 移行条件と消防隊への引継ぎ手順を訓練します。
▼

目次
防災センターが使えないとき自衛消防活動をどう続けるのか

安全な場所へ指揮機能を移し、統一した命令系統を保ちます。
防災センターに天井落下、浸水、煙、停電などの危険があれば、要員を無理に残しません。
自衛消防隊長は代替指揮所への移行を宣言し、各班とテナントへ場所を伝えます。
消火班、通報連絡班、避難誘導班、救出救護班の報告先を同時に切り替えます。
旧防災センターへ戻る人を出さないよう、立入禁止と連絡担当を決めます。
館内放送や受信機を遠隔で操作できない場合は、現場伝令や携帯無線など代替手段へ移ります。
BCP側は、その時点の人的・設備被害を受け取り、重要業務を止めるか判断します。
部屋より報告先をそろえるのが先なんですね。
はい。
指揮系統を維持します。
どの施設で代替指揮所を決めておくべきか

複数の階、テナント、勤務帯をまたいで報告を集める施設ほど優先します。
百貨店、ホテル、病院、地下街、複合用途ビルでは、利用者と設備の状況が階ごとに異なります。
管理権原が分かれるテナントビルは、管理会社と各テナントの報告経路を共同で確認します。
単独事業所でも、事務所が一室しかなく対策本部を置けない場合は別区画を候補にします。
夜間や休日は使えない会議室、鍵がない倉庫、外部から到達できない部屋は候補から外します。
同じ浸水区画や同じ電源系統の部屋では同時被災するため、設備図で確認します。
法定対象かどうかだけでなく、報告件数と利用者の避難支援の難しさで優先順位を決めてください。
テナントの報告先も一緒に決めます。
全館で一つの経路にしましょう。
代替指揮所へ何を移せばよいのか

人、通信、情報、記録、電源を一組で準備します。
持出し箱には携帯無線、予備電池、充電器、懐中電灯、筆記具を入れます。
建物平面図、避難経路図、消防用設備配置図、テナント一覧、緊急連絡先を紙でも用意します。
ホワイトボードや記録票には、発生場所、時刻、避難状況、負傷者、設備異常を時系列で集約します。
指揮者、各班長、記録担当、消防隊対応者には代理者を置きます。
停電時も使える照明と通信を確保し、端末だけに保存した名簿へ依存しません。
個人情報を含む名簿は、必要な担当者だけが扱える保管方法も決めます。
| 機能 | 準備するもの |
|---|---|
| 指揮 | 責任者・代理者・班別連絡先 |
| 通信 | 無線・電話・予備電池・充電器 |
| 情報 | 図面・名簿・設備配置・記録票 |
持出し箱を作ると移行が早そうですね。
無線と図面を一組にします。
代替指揮所だけ決めても機能しないのはなぜか

そこへ移る条件と、到着後に機能させる手順がなければ使えません。
候補室が安全でも、無線が届かない、停電する、鍵が開かない場合は機能しません。
防災センターの受信機や総合操作盤を、会議室へ移したつもりにしてはいけません。
代替指揮所では、現場要員や残存設備から情報を受けて判断と連絡を続けます。
館内放送が使えない場合、階別伝令、拡声器、携帯無線をどう組み合わせるかを決めます。
消防隊が到着したら、火災場所、避難未完了者、危険区画、設備損傷を一枚に整理して渡します。
元の防災センターへ戻る条件も、建物と設備の安全確認後とします。
会議室の名前だけでは動けませんね。
移行後の手順まで決めます。
明日から代替指揮所をどう確認するのか

次に防災センターから候補室まで実際に歩き、通信と電源を試します。
候補室が火災、浸水、落下物、危険物から離れているかを確認します。
昼間と夜間の鍵、参集経路、非常照明、無線到達、携帯電話回線を試します。
防災センター使用不能の想定を宣言し、各班の報告先が切り替わる時間を測ります。
持出し箱を運び、図面を広げ、状況板へ最初の報告を記入します。
模擬消防隊へ被害と避難状況を渡し、足りなかった情報を訓練記録へ残します。
訓練後は消防計画とBCPの場所名、責任者、連絡先を同時に更新してください。
- 安全な候補室を主・副で決める
- 責任者と代理者を決める
- 無線・電源・鍵・経路を試す
- 図面・名簿・記録票を持出し箱へ入れる
- 消防隊への引継ぎまで訓練する
実際に無線が届くか試してみます。
消防隊への引継ぎまで行いましょう。
よくある質問
まとめ
代替指揮所への移行訓練をやります!
無線と図面の持出しから試しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
※本記事は公表されている法令および消防庁・内閣府の資料に基づく一般的な解説です。代替指揮所は消防用設備そのものを任意に移設するものではありません。建物の消防用設備、消防計画、自衛消防組織の運用は所轄消防署や設備の専門業者へご確認ください。





