建築設備の定期検査を終えて報告書を書こうとすると、真っ先に迷うのが第一面の記入欄です。
建築物基本番号やセンター受付番号など、見慣れない項目が並んでいて、どこに何を書けばよいのか戸惑う方が少なくありません。
所有者と管理者の書き分けや、報告先の特定行政庁の決め方も、意外と間違えやすいポイントです。
この記事では、報告書第一面の記入欄を、記入例を踏まえて順番に解説します。
報告書の第一面を書こうとしたら、建築物基本番号という欄がありました。
何を書けばいいのか分かりません。
建築物基本番号とセンター受付番号は別の情報です。
まずはこの違いを整理しましょう。
所有者と管理者の欄も、正直どちらに何を書けばいいのか迷っています。
所有者と管理者の書き分けから、報告先の決め方まで順番に解説していきますね。
- 建築物基本番号は建物に固定された恒久的な番号、センター受付番号は報告のたびに変わる番号である
- 報告書のあて先となる特定行政庁は建物の所在地で決まり、東京都内では都・多摩建築指導事務所・特別区・11市のいずれかになる
- 報告者氏名欄には原則として所有者を記入し、法人の場合は代表者の役職と氏名まで記入する
- 所有者と管理者が異なる場合は管理者欄も記入し、管理者とは所有者から維持管理の権限を委任された者を指す
- 報告対象建築物欄の用途は、延べ面積の大きい用途から順に、実質的な使われ方で記入する
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目次
建築物基本番号とセンター受付番号はどう違うのか

似た名前ですが、それぞれ性質がまったく違う番号です。
定期検査報告の案内に記載されている番号をそのまま転記すればよく、自分で新しく決める必要はありません。
一方でセンター受付番号は、前回報告時にセンターから交付された番号を書く欄です。
案内に建築物基本番号の記載が無い場合は、センター受付番号欄だけを記入し、建築物基本番号欄は空欄のままで構いません。
どちらの番号も分からないときは、まず特定行政庁またはセンターに問い合わせて確認するのが確実です。
建築物基本番号を自分で考えて書かないといけないと思っていました。
案内に書いてある番号を写せばいいんですね。
そのとおりです。
案内に記載が無ければ、無理に空欄を埋める必要はありません。
報告書のあて先となる特定行政庁はどう決めればよいのか

どこが特定行政庁になるかは、建物の所在地によって決まります。
東京都内では、東京都知事のほか、23の特別区長、そして八王子市・町田市・府中市・調布市・武蔵野市・三鷹市・日野市・立川市・国分寺市・西東京市・小平市の11市の市長のいずれかがあて先になります。
これら以外の地域では、多摩建築指導事務所が窓口になる場合もあります。
建物の所在地から自分で判断するのが難しいときは、記入しないまま提出しても差し支えありません。
確実なのは、定期検査報告の案内に記載されている名称をそのまま書き写すことです。
特別区や市によって窓口が変わるんですね。
知りませんでした。
はい、所在地によって細かく分かれています。
迷ったら案内の記載をそのまま使いましょう。
提出年月日と報告者・検査者の氏名欄はどう書けばよいのか

それぞれ誰の名前を書く欄なのかを整理しておきましょう。
報告者は建物の所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)で、法人であれば法人名に加えて代表取締役社長などの役職名と代表者の氏名まで記入します。
検査者は実際に検査を行った建築設備検査員などで、複数名で検査を行った場合でも、代表となる検査者1名の氏名だけを記入すれば足ります。
提出年月日は、報告書をセンターに提出する年月日を記入する欄です。
記入欄が足りない場合は、枠を拡大したり行を追加したりして記入し、別紙に必要事項を記載してもかまいません。
検査した人が複数いる場合、全員の名前を書くのかと思っていました。
代表者だけでいいんですね。
はい、代表となる検査者の氏名だけで構いません。
報告者欄は所有者側の氏名になる点に注意しましょう。
所有者と管理者はどちらの欄に何を書けばよいのか

所有者と管理者が同じ場合と違う場合とで、書き方が変わります。
所有者と管理者が異なる場合は、管理者欄にも氏名・郵便番号・住所を記入します。
区分所有法にもとづく共同住宅では、所有者欄に管理組合等をそのまま記入しない点に注意が必要です。
所有者欄は区分所有者一同のように記入し、管理者欄には管理組合の理事長など、実際に維持管理の権限を持つ管理者を記入します。
郵便番号欄は事務所に個別の郵便番号が割り当てられている場合はその番号を、電話番号が無い場合は「-」を記入し、空欄のままにはしません。
管理会社に維持管理をすべて任せています。
管理会社を管理者として書けばいいですよね。
管理者は維持管理の権限を持つ方を指すので、管理会社がそのまま管理者になるとは限りません。
委任の関係を確認してから記入しましょう。
報告対象建築物欄の所在地や用途はどう記入すればよいのか

所在地と用途の書き方には、それぞれ決まったルールがあります。
複数の用途が混在する建築物では、延べ面積の大きい用途から順に並べて記入します。
用途欄には、実際にその建物がどう使われているかという実質的な用途を記入し、名称欄に記載した建物名とあわせて確認します。
所在地や用途の記入を誤ると、対象となる建築物の特定そのものに支障が生じかねません。
報告書を書き終えたら、確認済証や検査済証に記載された建物概要と食い違いが無いかもあわせて見直しておきましょう。
用途が混ざっている建物の書き方が分からず、悩んでいました。
面積の大きい順に並べればいいんですね。
はい、その順番で記入すれば大丈夫です。
確認済証の記載ともあわせて見直しておきましょう。
よくある質問
まとめ
第一面のどこに何を書けばいいか、全体の流れがつかめました!
まずは自社の報告書控えを見直してみます!
それが一番確実な進め方です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第12条第3項・建築基準法施行規則第6条第3項
- 建築基準法施行規則別記第三十六号の六様式
- 東京都建築設備定期検査報告実務マニュアル2025年版「第5章 建築設備定期検査報告 検査と報告書作成の要点」記入例と記入方法の解説
※本記事は建築基準法・同施行規則の現行規定及び東京都が公表する実務マニュアルにもとづき、㈱防災屋が独自に解説を作成したものです。報告書の様式や運用の細部は特定行政庁によって異なる場合がありますので、実際の記入・提出にあたっては所管の特定行政庁またはセンターに必ずご確認ください。





