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電源別置形の蓄電池は定期検査でどこを確認するのか|防火区画の貫通措置から電圧・比重測定、キュービクルの取付けまで8つのチェックポイントを解説

蓄電池室で電圧を測定する検査員のイメージ

非常用の照明装置の予備電源として設置される電源別置形の蓄電池は、専用の蓄電池室や電気室に置かれ、常用の電源が断たれた瞬間に確実に作動しなければなりません。
建築設備定期検査では、蓄電池室の防火区画や換気といった設置環境から、蓄電池本体の状態、電圧・比重・温度という性能、さらに充電器やキュービクルの取付けまで幅広く確認します。
「蓄電池室は何を見ればいいのか」「電圧や比重の測定はどこまで必要か」と迷う現場の声も少なくありません。
この記事では、電源別置形の蓄電池について、定期検査で確認すべき8つのチェックポイントを解説します。

うちの蓄電池室、点検のときは何を見られるんでしょうか。

防火区画の貫通部処理から換気の状態、蓄電池本体まで、順番に確認する項目が決まっていますよ。

電圧とか比重の測定まで必要なんですか。

はい、性能の数値まで含めて8つのポイントがあります。
今日はその中身を一つずつご説明しますね。

この記事の結論
  • 蓄電池室の防火区画等を貫通する配管等は、隙間をモルタル等の不燃材料で埋めなければならない
  • 蓄電池室の室温は摂氏40度を超えていないことを確認する
  • 蓄電池本体は変形・損傷・腐食・液漏れがないことを目視や触診で確認する
  • 電圧・電解液比重・電解液の温度を測定し、摂氏45度を超えていないかなど基準値内であることを確認する
  • 充電器室の防火区画等の貫通措置と、キュービクルが基礎や架台に堅固に取り付けられているかを確認する

電源別置形の蓄電池の定期検査の確認ポイントを示す図解

蓄電池室の防火区画はどこまで塞げばよいのか

蓄電池室の壁を貫通する配管の周囲を不燃材料で塞ぐ検査員
電源別置形の蓄電池は、専用の蓄電池室や電気室に設置されることが一般的です。
この部屋を区画する壁や床を配管などが貫通している場合、その貫通部分の処理そのものが検査事項になります。
問1 蓄電池室の防火区画等を給水管や配電管が貫通している場合、その隙間はどのように処理しなければならないか。
答1 準耐火構造の防火区画を給水管、配電管その他の管が貫通する場合においては、当該管と防火区画との隙間をモルタルその他の不燃材料で埋めなければならない。また、防火区画等を貫通する管の構造は、貫通部分及びその両側一定範囲を不燃材料で造る等、政令で定める基準に適合するものでなければならない。
配管の周囲に隙間が残っていないかが最大のポイントです。
蓄電池室は水素ガスの発生や火災のリスクを踏まえて防火区画とされていることが多く、給水管配電管が壁や床を貫通する部分に隙間が残っていると、区画としての性能が失われてしまいます。
検査では、貫通部の隙間がモルタルなど不燃材料でしっかり埋められているか、管の貫通部分とその両側一定範囲が不燃材料で造られているかを目視で確認します。
換気用の風道が防火区画を貫通している場合は、火災時に自動閉鎖する特定防火設備が設けられているかも合わせて見るべき点です。
後から配管を増設した箇所ほど処理が甘くなりやすいので、増設履歴があれば重点的に確認すると実務上安心です。

うちの蓄電池室、あとから配管を足した記憶があるんですが大丈夫でしょうか。

その部分の隙間処理が甘くなっていないか、今回の検査でしっかり確認しますね。

蓄電池室の換気はなぜ摂氏40度が上限なのか

蓄電池室で温度計を使って室温を測定する検査員
蓄電池は充電のたびに水素ガスなどの爆発性ガスを発生させるため、蓄電池室の換気状態は安全に直結する検査事項です。
ここでは温度という数値で換気の良し悪しを判定します。
問2 蓄電池室の換気の状況は、どのような基準で判定するか。
答2 室内の温度を温度計により測定し、室温が摂氏40度を超えていないことを確認する。給排気状態が十分であれば、室内温度は40度以下に保たれる。
室温40度という数字が、換気が足りているかどうかの物差しです。
蓄電池室の換気は、充電時に発生する水素ガスの集積を除去し、蓄電池の性能や寿命を確保するために必要とされています。
蓄電池の使用可能温度はおおむね氷点下15度から45度とされ、周囲温度が上がるほど自己放電が増えて劣化が早まります。
機械換気設備がある場合、初回検査では風量測定を行い、異常がなければ次回以降は動作確認のみで足りるとされています。
触媒栓付きのベント形蓄電池は上限温度が25度とさらに低く設定されているため、蓄電池の種類も併せて確認しておきたいところです。

水素ガスが出るなんて、蓄電池室って結構危険なんですね。

だからこそ換気が重要なんです。
室温40度を超えていないか、しっかり測定しますね。

蓄電池本体の設置状況はどこを見るのか

蓄電池の電槽や配線端子を目視と触診で確認する検査員
蓄電池室の環境が整っていても、蓄電池本体そのものが傷んでいては予備電源としての役目を果たせません。
ここからは蓄電池本体の状態を目視と触診で確認していきます。
問3 蓄電池本体の設置の状況は、どのような点を確認するか。
答3 目視又は触診により確認し、変形、損傷、腐食、液漏れ等があることを判定基準として、蓄電池の電槽や蓋のひび割れ・変形・液漏れの有無、キュービクルや架台、接続板、接続線端子等の腐食の有無を確認する。
電槽そのものと、それを支える金属部分の両方を見ることが必要です。
蓄電池の電槽や蓋にひび割れや変形、液漏れがあると、内部の電解液が漏出して周囲の金属を腐食させる恐れがあります。
あわせてキュービクルや架台、接続板、接続線端子といった金属部分にも腐食がないかを確認します。
使われている蓄電池には鉛蓄電池とアルカリ蓄電池があり、極板形式や排気構造によってベント形・制御弁式・シール形などに分かれるため、設置されている種類をあらかじめ把握しておくと点検がスムーズです。
目視だけでなく手で触れて確認する触診も検査方法に含まれている点は見落としやすいので注意しましょう。

蓄電池って種類がいろいろあるんですね。
うちのがどれか分かっていません。

取扱説明書や銘板で種類を確認してから伺うと、点検もスムーズに進みますよ。

電圧・比重・温度はどう測定し何を基準に判定するのか

電圧計と比重計で蓄電池の性能を測定する検査員
蓄電池本体に外見上の異常がなくても、内部の性能が落ちていれば予備電源として機能しません。
ここでは電圧・電解液比重・電解液の温度という数値で性能を確認します。
問4 蓄電池の性能はどのような項目を測定し、どのような基準で判定するか。
答4 電圧計により蓄電池の総電圧及び各セル電池の端子電圧を測定し、電圧が正常でないことを判定基準とする。あわせて比重計により電解液比重が適正であること、温度計により電解液の温度が摂氏45度を超えていないことを確認する。
電圧・比重・温度の3つをセルごとに測定し、基準値と照らし合わせます。
蓄電池の総電圧はセル電池の浮動充電電圧にセル数を掛けた値が基準となり、一般的なセル数は鉛蓄電池で54セル、アルカリ蓄電池で86セルとされています。
セル電池の端子電圧は鉛蓄電池で1セルあたり約2.0ボルト、アルカリ蓄電池で約1.2ボルトが目安で、各セルに異常がないと判断できれば端子電圧の測定は省略できます。
電解液比重は20度における値を基準とするため、測定した液温が20度と異なる場合は温度換算が必要です。
電解液の温度が45度を超えると正極板の格子が腐食しやすくなり、蓄電池の寿命に悪影響を及ぼすため、比重測定と合わせて確認します。

電圧とか比重の数値って、素人が見ても分からなそうです。

基準値の表と照らし合わせて判定しますので、そこは私たちにお任せください。

充電器室の防火区画とキュービクルの取付けはどう確認するのか

キュービクルの基礎と架台の取付け状態を確認する検査員
蓄電池そのものだけでなく、充電を担う充電器の設置環境や取付け状態も検査事項に含まれます。
最後に充電器室の防火区画とキュービクルの取付け状況を確認します。
問5 充電器室の防火区画等の貫通措置と、キュービクルの取付けの状況は、それぞれどのような基準で判定するか。
答5 充電器室の防火区画等については、蓄電池室と同様に貫通部分の隙間をモルタル等の不燃材料で埋める等の措置が求められる。キュービクルについては目視又は触診により確認し、取付けが堅固でないことを判定基準として、基礎又は架台への取付け状態を確認する。
充電器室も蓄電池室と同じ防火区画の基準が適用される点を押さえておきます。
充電器室の防火区画等を配管が貫通している場合の処理は、蓄電池室の防火区画と同じ規定に基づいて確認します。
キュービクル本体については、基礎部分のコンクリートに大きな亀裂や浮き上がりがないか、架台やアンカーボルトに変形や著しい腐食がなく、ナットの締め付けが緩んでいないかを確認します。
屋外に設置されたキュービクルでは、本体そのものに著しい腐食がないかも見ておくべき点です。
これで電源別置形の蓄電池について、設置環境から性能、充電器の設置状態までひと通りの検査事項を確認したことになります。

キュービクルの取付けまで見るんですね。
てっきり中の機器だけかと思っていました。

基礎や架台が緩んでいると地震のときに危険なので、そこも大事な確認ポイントです。

よくある質問

Q電池内蔵形と電源別置形では、蓄電池の検査項目は違うのか?
A電池内蔵形は照明器具そのものに蓄電池を内蔵しますが、電源別置形は専用の蓄電池室に蓄電池を設置するため、防火区画の貫通措置や換気の状態、電圧・比重・温度といった性能測定など、より詳しい検査事項が加わります。
Q電解液比重の測定は、すべてのセルで行う必要があるのか?
A原則としてすべてのセル電池について測定しますが、各セルの電圧等に異常がない場合はパイロットセルを定めてそのセルだけを測定すればよいとされています。触媒栓付きのベント形や制御弁式、シール形の鉛蓄電池は比重測定自体が不要です。
Q蓄電池室の室温が40度を超えていた場合はどうなるのか?
A判定基準に適合しないため要是正として報告されます。換気設備の風量不足や換気口の閉塞が原因であることが多く、換気設備の点検や増設といった対応が必要になります。
Qキュービクルの取付けが緩んでいた場合、どのような対応が必要か?
A取付けが堅固でないと判定された場合は、アンカーボルトの締め直しや架台の補修など、専門業者による是正が必要です。地震時の転倒・損傷を防ぐためにも早めの対応が求められます。

まとめ

蓄電池室の防火区画等を貫通する配管等の隙間は、モルタル等の不燃材料で埋める
蓄電池室の室温は摂氏40度を超えていないことを確認する
蓄電池本体は変形・損傷・腐食・液漏れがないかを目視・触診で確認する
蓄電池の総電圧と各セルの端子電圧を測定し、電圧が正常であることを確認する
電解液比重は20度換算に直して基準値内であることを確認する
電解液の温度は摂氏45度を超えていないことを確認する
充電器室の防火区画とキュービクルの基礎・架台・アンカーボルトの取付け状態を確認する

蓄電池室の防火区画から電圧測定まで、確認すべきことがよく分かりました!

電源別置形の蓄電池は設置環境から性能まで幅広く点検が必要です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条第3項(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第112条第20項・第21項(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第129条の2の4第1項第七号(e-Gov法令検索)

※本記事は、建築基準法・同施行令に基づき、電源別置形の蓄電池の定期検査における一般的な検査事項を解説したものです。建築物の構造や設備の仕様によって具体的な確認方法は異なる場合があります。個別の判定は所轄の特定行政庁または建築設備検査員にご確認ください。

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