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加圧防排煙設備は定期検査でどこを確認するのか|排煙機との連動から給気風道の劣化まで14のチェックポイントを解説

特別避難階段の付室で給気口を点検する女性検査員

特別避難階段の付室や非常用エレベーターの乗降ロビーには、階段室に煙を入れないための加圧防排煙設備が設けられていることがあります。
給気口から空気を送り込んで室内を陽圧に保ち、排煙口・排煙風道で煙を排出する仕組みで、排煙機・排煙口・給気口・給気送風機など複数の機器が連動して働きます。
建築設備定期検査では、この加圧防排煙設備についても専用の検査事項に沿って一つひとつ確認されます。
本記事では、加圧防排煙設備に関する14の検査事項を5つの視点に整理し、検査方法と判定基準を解説します。

加圧防排煙設備という言葉を初めて聞きました。
普通の排煙設備と何が違うんですか。

煙を吸い出すのではなく、給気口から空気を送り込んで階段室側への煙の流入を防ぐ設備です。
検査事項を順番に見ていきましょう。

うちの建物にもその設備があるかどうか、正直分かりません。

特別避難階段の付室や非常用エレベーターの乗降ロビーに給気口があれば、この設備が使われています。
次から詳しく解説しますね。

この記事の結論
  • 加圧防排煙設備は、特別避難階段の付室や非常用エレベーターの乗降ロビーに、通常の機械排煙とは別方式で設けられることがある設備です。
  • 排煙機・排煙口・給気口は連動して作動することが判定基準で、開放検査は手動開放装置と中央管理室の両方で確認します
  • 排煙風道・給気風道は不燃材料で造られ、変形・破損・著しい腐食がないことが判定基準です。
  • 給気口の手動開放装置は床面から0.8m以上1.5m以下の高さに設け、使用方法を見やすく表示することが判定基準です
  • いずれかに不適合があれば要是正として報告書に記載されます。

加圧防排煙設備の定期検査4つの確認ステップを示すインフォグラフィック

排煙機・排煙口・給気口はなぜ連動させる必要があるのか

特別避難階段の付室で排煙機・排煙口・給気口が連動して作動する様子を確認する検査員
加圧防排煙設備は、複数の機器がばらばらに動いていては役目を果たせません。
検査ではまず、排煙機・排煙口・給気口が一体として連動しているかを確認します。
加圧防排煙設備/特別避難階段の階段室又は付室及び非常用エレベーターの昇降路又は乗降ロビーに設ける排煙口及び給気口 検査事項(1) 排煙機、排煙口及び給気口の作動の状況について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 連動して作動しないこと。(検査方法:作動の状況を確認する。)
特別避難階段の付室又は非常用エレベーターの乗降ロビーでは、排煙機、排煙口及び給気口が連動して作動することが判定基準です。
中央管理室(防災センターとも呼ばれます。)が設けられている場合、開放検査は付室内・乗降ロビー内の手動開放装置による方法と、中央管理室の連動制御盤からの遠隔操作による方法の両方を行います。
検査事項(2)の給気口の周囲の状況では、給気を妨げる障害物が置かれていないかを目視で確認します。
乗降ロビー等では、飲料水等の自動販売機が置かれていないかもあわせて見ます。
荷物置き場代わりに使われがちな付室こそ、日頃から片付けておくことが大切です。

付室に季節用品を置いてしまっていました。

給気を妨げる障害物として是正の対象になりますので、次の検査までに撤去しておきましょう。

加圧防排煙設備の排煙風道はどこを確認するのか

加圧防排煙設備の排煙風道の劣化と接続部の取付けを点検する検査員
天井裏に隠れている排煙風道も、健全でなければ加圧の効果が発揮できません。
検査事項(3)から(5)までで、劣化・取付け・材質を順に確認します。
加圧防排煙設備/排煙風道(隠蔽部分及び埋設部分を除く。) 検査事項(3) 排煙風道の劣化及び損傷の状況について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 排煙風道に変形、破損又は著しい腐食があること。(検査方法:目視により確認する。)
加圧防排煙設備の排煙風道(ダクト)は、変形・破損や著しい腐食がないことが判定基準です。
「著しい腐食」にあたるかどうかは、基準書が定める腐食状況の判定基準にもとづいて判断します。
検査事項(4)の取付けの状況では、接続部及び吊りボルトの取付けが堅固であるか、変形や破損がないかを確認します。
検査事項(5)の材質では、排煙風道が不燃材料で造られているか、たわみ継手も不燃材料であるかを確認します。
避難安全検証法等が適用され、階避難安全性能等に影響を及ぼす修繕等が行われていない場合はこの限りではありません。

天井裏のダクトまで見えているとは知りませんでした。

点検口から目視できる範囲で、劣化や腐食がないかまで確認いたします。

給気口の外観はどこを確認するのか

給気口の周囲の障害物と手動開放装置の表示を確認する検査員
給気口は加圧防排煙設備の要となる部分で、外観だけでも複数の検査事項があります。
周囲の状況から手動開放装置の表示まで、順番に確認していきましょう。
加圧防排煙設備/給気口の外観 検査事項(6) 給気口の周囲の状況について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 周囲に給気を妨げる障害物があること。(検査方法:目視により確認する。)
給気口は周囲に給気を妨げる障害物がないことが判定基準です。
検査事項(7)の取付けの状況では、取付けが堅固であるか、支障なく開放できるか、著しい腐食や損傷がないかを確認します。
検査事項(8)の手動開放装置の周囲の状況では、品物等が置かれて操作に支障が生じていないかを確認します。
検査事項(9)の操作方法の表示の状況では、手で操作する部分が床面から0.8m以上1.5m以下の高さに設けられ、使用方法が見やすく表示されているかを確認します。
給気口も排煙口と同じく、物置代わりにされやすい場所なので日頃から注意が必要です。

手動開放装置の高さにも決まりがあるんですね。

はい、誰でも手が届く高さに設け、使い方の表示も見やすいかまで確認します。

給気口の性能はどう判定するのか

手動開放装置を操作して給気口が開放する様子を確認する検査員
給気口は見た目が正常でも、実際に開放できなければ意味がありません。
検査では手動開放装置を実際に操作し、開放時の状況まで確認します。
加圧防排煙設備/給気口の性能 検査事項(10) 給気口の手動開放装置による開放の状況について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 手動開放装置と連動して給気口が開放していないこと。(検査方法:作動の状況を確認する。)
手動開放装置と連動して、給気口が支障なく開放することが判定基準です。
検査事項(11)の開放の状況では、給気口が開放時に気流により閉鎖しないか、著しい振動がないかを目視又は聴診により確認します。
給気口が開ききらなければ、加圧のための空気そのものが階段室側に届きません。
普段は閉じたままの部分なので、検査の機会にきちんと動くかを確かめておくことが大切です。

普段閉まっているものが、いざというとき開かなかったら怖いですね。

そのとおりです。
検査で実際に開放させ、著しい振動がないかまで確認いたします。

給気風道はどこを確認するのか

給気風道の劣化と材質を点検口から確認する検査員
排煙側だけでなく、空気を送り込む給気風道も同じ視点で検査します。
検査事項(12)から(14)までで、劣化・取付け・材質を確認します。
加圧防排煙設備/給気風道(隠蔽部分及び埋設部分を除く。) 検査事項(12) 給気風道の劣化及び損傷の状況について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 給気風道に変形、破損又は著しい腐食があること。(検査方法:目視により確認する。)
給気風道(ダクト)は、変形・破損や著しい腐食がないことが判定基準です。
検査事項(13)の取付けの状況では、接続部及び吊りボルトの取付けが堅固であるか、変形や破損がないかを確認します。
検査事項(14)の材質では、給気風道が不燃材料で造られているか、たわみ継手も不燃材料であるかを確認します。
排煙側と給気側、両方のダクトが健全でなければ、加圧防排煙設備は設計どおりの性能を発揮できません。
点検口から見える範囲だけでも、変形や腐食のサインは見逃さないようにしましょう。

排煙と給気、両方のダクトを見てもらえるのは安心です。

片方だけでは加圧のバランスが崩れますので、両方あわせて確認いたします。

よくある質問

Q加圧防排煙設備は普通の排煙設備とどう違いますか?
A機械排煙が煙を強制的に吸い出すのに対し、加圧防排煙設備は給気口から空気を送り込んで室内を陽圧に保ち、煙の流入そのものを防ぐ仕組みです。
Q排煙機・排煙口・給気口の作動はどのように確認しますか?
A付室内・乗降ロビー内の手動開放装置による方法と、中央管理室の連動制御盤からの遠隔操作による方法の両方で、連動して作動するかを確認します。
Q給気口の手動開放装置はどのくらいの高さに設ける必要がありますか?
A床面から0.8m以上1.5m以下の高さに設け、見やすい方法で使用方法を示す標識を設ける必要があります。
Q排煙風道と給気風道の材質はどんな基準がありますか?
Aいずれも不燃材料で造られていることが判定基準で、風道に用いるたわみ継手も同様に不燃材料であることが求められます。

まとめ

加圧防排煙設備は建築基準法第12条第3項にもとづく建築設備定期検査の対象です。
検査項目は平成20年国土交通省告示第285号別記第二号の検査結果表にもとづきます。
排煙機・排煙口・給気口は連動して作動することが判定基準で、手動開放装置と中央管理室の両方で開放検査を行います
排煙風道は変形・破損や著しい腐食がなく、接続部及び吊りボルトの取付けが堅固であることを確認します。
給気口の手動開放装置は床面から0.8m以上1.5m以下の高さに設け、操作方法を見やすく表示します
給気口は開放時に気流により閉鎖せず、著しい振動もないことを実際に作動させて確認します。
給気風道も排煙風道と同じく不燃材料で造られ、劣化や損傷がないことが判定基準です。

加圧防排煙設備がどこを見られているのか、これでよく分かりました!
付室に置いていた季節用品、次の検査までに片付けておきます。

それは安心です。
お困りの際は㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条第3項(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第123条第3項第二号(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第129条の13の3第13項(e-Gov法令検索)
  • 平成28年国土交通省告示第696号 特別避難階段の階段室又は付室の構造方法を定める件
  • 平成20年国土交通省告示第285号 別記第二号(排煙設備の検査結果表)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。検査の方法や判定の運用は特定行政庁や建物の状況によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または専門業者にご確認ください。

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