電源別置形の非常用照明装置は、照明器具そのものだけでなく、蓄電池設備や自家用発電装置までの配線と切替回路が正しく機能して初めて役目を果たします。
建築設備定期検査では、配線の接続状態や接続部の耐熱処理、そして停電時の切替え動作まで、照明器具単体の検査とは別の視点でのチェックが求められます。
「配線のどこを見ればよいのか分からない」「切替え試験のやり方が分からない」という現場の声も少なくありません。
この記事では、電源別置形の配線と切替回路について、定期検査で確認すべき6つのチェックポイントを解説します。
電源別置形の非常用照明って、蓄電池のところまで配線をどう確認すればいいんでしょうか。
配線の接続状態と耐熱処理、それに切替え試験まで、順番に見ていく検査事項がちゃんと決まっていますよ。
切替え試験って、実際に停電させて確認するんですか。
はい、停電検出リレーの電源を切って模擬的に確認します。
今日はその流れを一つずつご説明しますね。
- 照明器具の口出線と配線は直接接続とし、コンセントやスイッチを途中に設けない
- 電気配線は他の回路と共用せず、一般の者が容易に遮断できる開閉器も設けない
- 幹線分岐及びボックス内の接続部は、耐熱処理の状態を確認する
- 予備電源から照明器具までの配線は、耐熱電線かつ所定の防火措置を満たす配線でなければならない
- 常用の電源から蓄電池設備、さらに自家用発電装置への切替えは、自動かつ無停止で行われることを確認する
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目次
非常用照明器具の配線はどんな状態が正しいのか

まず確認するのは、照明器具の取付け状況と、そこにつながる配線の接続の状況です。
口出線とコンセント・スイッチを直接つないでしまうと、誰かが誤って抜いたり切ったりする危険が生まれるため、こうした部品を設けること自体が判定基準に抵触します。
また、他の一般照明回路と配線を共用していないか、容易に電源を落とせる開閉器が紛れ込んでいないかも見ます。
点灯していない照明器具がある場合は、天井裏の隠蔽部分であっても点検口などから確認できる範囲は、断線がないか併せて確認すると実務上安心です。
まずは目視で口出線まわりを一つずつたどることから始めます。
うちは口出線のところに延長コードみたいなのを挟んでいて、大丈夫か心配になりました。
それはコンセントやスイッチを設けないという基準に触れる可能性があります。
今回の検査で一緒に確認しましょう。
接続部の耐熱処理はどこまで確認すればよいのか

ただし、建物じゅうのすべての接続部を見るわけではありません。
配線のすべての継ぎ目を追いかける必要はなく、幹線が枝分かれする部分と、配線用のボックスの中を重点的に確認すれば足ります。
耐熱処理は絶縁テープや耐熱チューブで接続部を保護している状態を目視で確認します。
劣化してテープが剥がれかけていたり、被覆が露出していたりする場合は、火災時の熱で接続が緩む恐れがあるため要注意です。
分電盤や電気室のボックスを開けたときに、真っ先にここへ目を向ける習慣をつけておくとよいでしょう。
分電盤の中の配線、見た目だけでは耐熱処理されているか分からなそうですね。
幹線分岐とボックス内という範囲が決まっているので、そこを重点的に確認しますよ。
予備電源から照明器具までの配線はなぜ耐熱化が必要なのか

そのためこの配線には、通常の配線よりも重い防火措置が求められます。
天井裏に鋼製電線管を使う、防火設備で区画したダクトスペースを通す、耐火バスダクトやMIケーブルを使うといった4つの工法のいずれかに沿っているか、図面と現地の両方で確認します。
電線自体も600ボルト二種ビニル絶縁電線相当以上の耐熱性が求められており、平形や単心より合わせ形の耐火電線であれば同等とみなされます。
新築時の設計図書が手元にあれば、どの工法を採用しているかをまず確認してから現地に臨むと効率的です。
途中で配線の種類が変わっている箇所がないかも、あわせて見ておきたいところです。
配線が壁を貫通しているところも、何か基準があるんですか。
はい、決められた工法か、耐火バスダクトやMIケーブルのような専用の配線でないといけません。
常用の電源から蓄電池設備への切替えはどう確認するのか

ここからは配線ではなく、切替回路そのものの作動状況を確認していきます。
検査では、常用の電源の開閉器に「非常用の照明装置用である旨」の表示があるかもあわせて確認します。
試験の実務としては、停電検出リレーにつながる部分の電源をあえて切り、擬似的な停電状態を作ってリレーの動作と照明の点灯を確認します。
その後、電源を戻して常用側へ自動復帰するところまで見届けて、ひと通りの試験が完了します。
停電検出リレーの取付け位置は建物の規模や用途によって異なるため、事前に電気図面で場所を把握しておくと試験がスムーズです。
つまり、電源が切れた瞬間に自動で蓄電池に切り替わる、ということですね。
そのとおりです。
復旧したときも自動で元に戻るところまで確認します。
蓄電池と自家用発電装置を併用する建物はどこを見るのか

発電機が送電を始めるまでの「つなぎ」の役割を、蓄電池が正しく果たせるかがポイントです。
蓄電池は常用の電源が断たれた直後から自家用発電装置が送電を開始するまで、タイムラグなしで非常用照明を点灯させ続けられなければなりません。
検査方法としては作動までの時間を確認することとされており、点灯が一瞬でも途切れていないかを目で追いながら試験します。
自家用発電装置があるからといって蓄電池が省略できるわけではない点は、建物の管理者にも伝えておきたい実務上のポイントです。
切替え試験は蓄電池単体の建物より確認項目が多くなるため、あらかじめ試験の手順を電気図面で確認してから臨むと安心です。
うちは非常用発電機もあるので、蓄電池だけの建物より安心していいんでしょうか。
発電機が送電を始めるまでの間を蓄電池が無停電でつなげているか、そこがポイントになります。
よくある質問
まとめ
配線から切替回路まで、どこを見ればいいのか分かってきました!
電源別置形の非常用照明は配線と切替回路まで含めて点検が必要です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第12条第3項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第126条の5第一号ロ及びニ(e-Gov法令検索)
- 昭和45年建設省告示第1830号(非常用の照明装置の構造方法を定める件)第二 電気配線・第三 電源
※本記事は、建築基準法・同施行令・関係告示に基づき、電源別置形の非常用照明装置の定期検査における一般的な検査事項を解説したものです。建築物の構造や設備の仕様によって具体的な確認方法は異なる場合があります。個別の判定は所轄の特定行政庁または建築設備検査員にご確認ください。




