加圧防排煙設備は、給気口から付室へ空気を送り込むだけでは完成しません。
その空気を作り出す給気送風機と、付室内の圧力が上がりすぎないよう空気を逃がす仕組みまで含めて、はじめて設計どおりの性能を発揮します。
建築設備定期検査でも、この給気送風機から空気逃し口・圧力調整装置までについて専用の検査事項が定められています。
本記事では、加圧防排煙設備のうち給気送風機以降の18の検査事項を5つの視点に整理し、検査方法と判定基準を解説します。
前回、排煙機や給気口が連動するところまで教えてもらいました。
まだ確認する項目が残っているんですか。
はい、空気を送る給気送風機と、圧力を逃がす仕組みでまだ18項目残っています。
順番に見ていきましょう。
空気を送るだけでなく、逃がす仕組みまであるとは知りませんでした。
付室の圧力を一定に保つための、大切な仕組みです。
次から詳しく解説しますね。
- 給気送風機は基礎架台の取付けが堅固で、周囲におおむね60cm以上の点検スペースが必要です。
- 給気口の開放に伴い給気送風機が自動的に起動することが判定基準で、常用電源だけでなく予備電源での作動も確認します。
- 遮煙開口部は排出風速を実測し、隣接室の区画性能に応じた必要風速以上であることを確認します。
- 空気逃し口・圧力調整装置は、大きさ・位置、周囲、取付け、作動という同じ4点のセットで検査します。
- いずれかに不適合があれば要是正として報告書に記載されます。
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目次
給気送風機の外観はどこを確認するのか

検査事項(15)(16)で、まず外観から健全性を確認します。
基礎部分のコンクリートに亀裂や浮き上がりがないか、架台やアンカーボルトに変形・腐食がなくナットの締付けが緩んでいないかもあわせて確認します。
保守点検のため、給気送風機の周囲にはおおむね60cm以上の空間が必要で、直結エンジンを使用する場合も同様の空間を確保します。
検査事項(16)の給気風道との接続の状況では、接続部に空気漏れ、破損又は変形がないかを確認します。
給気送風機は普段目にする機会が少ない機器ですが、周囲に物を置いていないかだけでも日頃から意識しておくとよいでしょう。
送風機の周りに物を置かないほうがいいとは知りませんでした。
保守点検のためのスペースとしても必要ですので、周囲は空けておいてください。
給気送風機の性能はどう判定するのか

検査事項(17)から(20)までで、連動起動から中央管理室の監視まで確認します。
検査事項(18)の作動の状況では、運転時の電動機又は送風機に異常な音又は異常な振動がないかを聴診又は触診で確認し、常用電源による正常な起動・電圧や電流値・回転方向もあわせて確認します。
検査事項(19)は同じ内容を予備電源で確認するもので、常用電源が使えない状況でも正常に起動し作動するかを試験します。
検査事項(20)の中央管理室における制御及び作動状態の監視の状況は、高さ31mを超える非常用エレベーターが設置された建築物が対象で、中央管理室の連動制御盤から給気口を遠隔操作し、開放から給気送風機の起動までが適正に連動するか、表示ランプが点灯するかを確認します。
給気送風機は「動くはずのときにきちんと動くか」を、常用・予備の両方の電源で確かめておくことが実務のポイントです。
予備電源でもきちんと試験するんですね。
停電時にこそ必要な設備ですので、予備電源での作動まで必ず確認いたします。
給気送風機の吸込口はどこを確認するのか

検査事項(21)から(23)までで、吸込口の位置と状態を確認します。
新鮮な空気を取り込むはずの吸込口が排煙口のそばにあると、煙そのものを吸い込みかねません。
検査事項(22)の周囲の状況では、品物等の障害物により給気が妨げられていないかを確認します。
検査事項(23)の屋外に設置された吸込口への雨水等の防止措置の状況では、吸込口が屋外や外壁に取付けられている場合に雨水やねずみ等の浸入がないか、浸入のおそれがあれば排水口等の措置が取られているかを確認します。
吸込口は目立たない部分ですが、置かれている場所そのものが検査の対象になる点を覚えておきましょう。
吸込口の場所自体が基準に関わるとは思いませんでした。
はい、煙を吸い込まない位置にあるかどうかも大切な確認事項です。
遮煙開口部の排出風速はどう測定するのか

検査事項(24)では、実際に風速計を使って排出風速を測ります。
必要な風速は隣接室との区画性能によって3段階に分かれ、隣接室が準耐火構造の床・壁又は特定防火設備で区画された火災の発生のおそれの少ない室であれば最も緩やかな基準に、区画性能や条件が満たされない場合ほど厳しい基準になります。
測定は熱式風速計を使い、扉の開口幅を40cmとした断面内の9箇所を偏りなく選び、1点につき30秒以上継続して測定した平均風速で判定します。
この検査事項は建築基準法施行規則第6条第1項にもとづき、1年から3年までの間隔で特定行政庁が定める時期に全数検査を行うか、毎年一定数を抽出したうえで定められた期間内に全数の検査を実施する方式のいずれかで行われます。
毎回全数を測定しない代わりに、複数年かけて確実にすべての遮煙開口部を測定し切る仕組みになっている点を押さえておくとよいでしょう。
風速まで測るとは、かなり細かいんですね。
数年かけて確実に測り切る仕組みですので、ご安心ください。
空気逃し口と圧力調整装置はどこを確認するのか

検査事項(25)から(32)までで、ほぼ同じ4点のセットを確認します。
検査事項(26)の周囲の状況、検査事項(27)の取付けの状況、検査事項(28)の作動の状況では、空気逃し口についても給気口や送風機と同じく障害物の有無・堅固な取付け・給気口との連動開放を確認します。
検査事項(29)から(31)までの圧力調整装置も、天井から80cmを超える位置に設けられ算定式で定める開口面積以上であるか、又は戸が100N以下の力で開放できるものであることが求められ、周囲の障害物・取付けの堅固さも空気逃し口と同じ考え方で確認します。
検査事項(32)の作動の状況では、圧力調整装置が扉の閉鎖と連動して開放することを確認します。
空気逃し口と圧力調整装置は、検査の視点がほぼ共通していると考えると理解しやすいでしょう。
2つの機器がほぼ同じ見方で点検できるなら、少し覚えやすいですね。
おっしゃるとおりです。
大きさ・位置、周囲、取付け、作動の4点を思い出していただければ十分です。
よくある質問
まとめ
給気送風機から圧力調整装置まで、どこを見られているのかよく分かりました!
まずは送風機の周りに物を置いていないか確認します。
それは安心です。
お困りの際は㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第12条第3項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第123条第3項第二号(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第129条の13の3第13項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行規則第6条第1項(e-Gov法令検索)
- 平成28年国土交通省告示第696号 特別避難階段の階段室又は付室の構造方法を定める件
- 平成20年国土交通省告示第285号 別記第二号(排煙設備の検査結果表)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。検査の方法や判定の運用は特定行政庁や建物の状況によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または専門業者にご確認ください。





