エレベーターにも建築基準法施行令で定められた安全装置の基準があります。
第129条の10は制動装置のほか、地震や停電に備えた複数の安全装置を義務付けています。
どの装置がどの用途のエレベーターに必要かは、見落としやすいところです。
この記事では第129条の10が定める安全装置の種類と、防火管理者が確認すべき点を条文にそって解説します。
うちのビルのエレベーターにも、閉じ込め対策の決まりがあるんでしょうか。
停電のときが特に心配です。
はい、建築基準法施行令第129条の10がエレベーターの安全装置を定めています。
制動装置しか知りませんでした。
制動装置のほかにも、地震時の管制運転や停電時の連絡装置まで条文で定められています。
まずは制動装置の基準から見ていきましょう。
- エレベーターは建築基準法施行令第129条の10により、制動装置を含む複数の安全装置の設置が義務付けられています。
- 制動装置は垂直方向9.8メートル毎秒毎秒、水平方向5.0メートル毎秒毎秒を超えない加速度でかごを安全に停止させる構造が必要です。
- 地震等の加速度を検知すると、自動的に最寄り階に停止して戸を開く装置の設置が義務です。
- 停電などの非常時にかご内から外部へ連絡できる装置も設けなければなりません。
- 乗用・寝台用エレベーターには、過荷重警報と停電時の照明という追加の安全装置が必要です。
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目次
エレベーターに閉じ込められたら何が自動で作動するのか

建築基準法施行令はかごを安全に止めるための装置を義務付けています。
第129条の10第2項は制動装置の構造として、かごが昇降路の頂部又は底部に衝突するおそれがある場合に自動的かつ段階的に作動することを求めています。
このとき、かごに生じる加速度は垂直方向9.8メートル毎秒毎秒、水平方向5.0メートル毎秒毎秒を超えてはならないと数値で定められています。
急激な衝撃を与えずに安全にかごを止めるための基準です。
保守点検をかごの上に人が乗って行うエレベーターでは、点検者が昇降路の頂部とかごに挟まれない構造も同じ条項で求められています。
止まるときの衝撃にまで数値の基準があるとは知りませんでした。
はい、加速度の上限まで条文で決まっています。
次はどの用途に何が必要かを見ていきましょう。
どのエレベーターにどこまでの安全装置が必要なのか

まずこの区分を条文で確認します。
第3項第一号から第三号までの装置は、用途を問わずすべてのエレベーターに設置が義務付けられています。
一方で第四号の装置は乗用エレベーターまたは寝台用エレベーターだけが対象です。
貨物用や工事用など人を乗せない、または寝台を運ばないエレベーターには第四号の装置は義務付けられていません。
自分の建物のエレベーターがどの用途区分に当たるかを、まず確認しておく必要があります。
うちは乗用エレベーターなので、追加の装置も付いているはずですね。
設置時の検査記録で確認できます。
次は地震のときの装置を見ていきましょう。
地震が起きたときエレベーターはどう止まるのか

そのための自動停止装置が条文で定められています。
この装置は地震時管制運転と呼ばれる仕組みで、一定以上の加速度を検知すると自動的にかごを昇降路の出入口の位置に停止させます。
停止したあとは戸が自動で開くか、かご内の人が自分で戸を開けられる構造にすることが求められています。
用途を問わずすべてのエレベーターに設置が義務付けられている装置です。
この装置があることで、地震の最中に階の途中でかごが止まったまま閉じ込められる事態を防ぎます。
地震のときは自動で最寄り階に止まってくれるんですね。
はい、これも用途を問わず義務の装置です。
次は停電のときの備えを確認しましょう。
停電のときの備えはすべてのエレベーターに付いているのか

ここを混同すると、備えが不足していることに気づけません。
第三号の非常連絡装置は用途を問わずすべてのエレベーターに義務付けられていますが、第四号ロの停電時の照明と第四号イの過荷重警報は乗用・寝台用エレベーターだけの装置です。
停電時の照明は床面で1ルクス以上の照度を確保できることが基準です。
過荷重警報は積載荷重の1.1倍を超えた荷重で作動し、戸の閉鎖を自動的に止める仕組みです。
「すべてのエレベーターに停電灯が付いている」と思い込むと、貨物用エレベーターなどで見落としが生じます。
非常連絡装置と停電灯は別の装置なんですね。
はい、義務の範囲が条文で分かれています。
最後に日常の確認手順を見ていきましょう。
防火管理者は地震や停電のあと何を確認すればよいのか

防火管理者ができるのは、その後も装置が働く状態を保つための確認です。
エレベーターは建築基準法第12条第3項の特定建築設備等に当たり、専門の検査員による定期検査と特定行政庁への報告が義務付けられています。
防火管理者はまず、この検査記録に不備の指摘が残っていないかを確認します。
地震のあとは地震時管制運転が正常に作動して復旧したか、停電のあとは非常連絡装置と停電灯(対象の用途の場合)が働いたかを、保守業者の点検記録で確認してください。
異常に気づいたら、専門業者に速やかに点検を依頼します。
検査記録に不備が無いかまでは見ていませんでした。
次の検査結果から確認項目に加えてください。
地震後や停電後の作動確認もあわせて見ます。
よくある質問
まとめ
点検記録を確認して、装置の作動状況も業者に聞いてみます!
地震後の運転再開や停電時の対応もまとめてご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条の10
- 建築基準法(昭和25年法律第201号)第12条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





