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エレベーターの駆動装置と制御器はどんな基準で作られているのか|建築基準法施行令第129条の8が定める構造を解説

エレベーターの駆動装置と制御器はどんな基準で作られているのかを建築基準法施行令第129条の8から解説する記事のアイキャッチ画像

エレベーターの駆動装置と制御器は、かごを動かす心臓部でありながら、機械室の奥に収められていて防火管理者の目に触れる機会が少ない設備です。
建築基準法施行令第129条の8は、この駆動装置と制御器そのものの構造基準を、地震対策と制御の両面から定めています。
条文は大きく「地震で転倒・移動しないための設置方法」と「制御器が満たすべき3つの構造基準」に分かれています。
この記事では第129条の8が定めるエレベーターの駆動装置と制御器の構造基準を、条文に沿って解説します。

エレベーターの機械室に大きなモーターと制御盤があるんですけど、あれにも基準があるんですか。

はい、駆動装置と制御器には専用の構造基準が定められています。

地震のときに倒れたりしないか心配です。

その心配に応える規定があります。
建築基準法施行令第129条の8が地震対策と制御器の構造をまとめて定めていますので、順に要点を見ていきましょう。

この記事の結論
  • 駆動装置及び制御器は、地震その他の震動によって転倒し又は移動するおそれがないものとして国土交通大臣が定める方法により設置しなければなりません。
  • 制御器は、荷重の変動によりかごの停止位置が著しく移動しない構造にしなければなりません。
  • 制御器は、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じた後にかごを昇降させる構造にしなければなりません。
  • 制御器は、保守点検を安全に行うために必要な制御ができる構造にしなければなりません。
  • これらの構造は、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければなりません。

駆動装置と制御器を守る耐震固定停止位置戸の閉鎖点検時の制御という四つの基準を並べた図解

駆動装置と制御器にはなぜ構造基準があるのか

機械室の中にある駆動装置ブロックと制御盤を並べた図
エレベーターのかごを昇降させる駆動装置と、その動きをコントロールする制御器は、機械室に収められた専用の設備です。
建築基準法施行令第129条の8は、この2つの設備に独立した構造基準を定めています。
建築基準法施行令第129条の8 エレベーターの駆動装置及び制御器は、地震その他の震動によつて転倒し又は移動するおそれがないものとして国土交通大臣が定める方法により設置しなければならない。エレベーターの制御器の構造は、次に掲げる基準に適合するものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。
駆動装置と制御器は、エレベーター本体を動かす心臓部にあたる設備です。
かごを引き上げる巻上機などの駆動装置と、その動作を司る制御器は、乗る人の目には触れませんが安全性に直結します。
そのため施行令は、この2つの設備について地震対策制御の仕組みという別々の観点から基準を定めています。
条文は第129条の8の第1項(地震対策)と第2項(制御器の構造)に分かれています。
次の項目から、それぞれの中身を見ていきましょう。

駆動装置と制御器って、機械室の中にある大きい箱のことなんですね。

そうです。
この2つには別々の構造基準が定められています。

地震が起きたとき駆動装置はどう守られるのか

アンカーボルトで床に固定された駆動装置と地面のひび割れを示す図
駆動装置と制御器は重い機械であるため、地震で倒れたり動いたりすると重大な事故につながります。
施行令第129条の8第1項は、この転倒・移動を防ぐための設置方法を定めています。
建築基準法施行令第129条の8第1項 エレベーターの駆動装置及び制御器は、地震その他の震動によつて転倒し又は移動するおそれがないものとして国土交通大臣が定める方法により設置しなければならない。
駆動装置と制御器は、地震で転倒・移動しない方法で設置しなければなりません。
条文が直接、固定金具の寸法や本数を書いているわけではなく、国土交通大臣が定める方法に委ねられています。
実務上はアンカーボルトによる床への固定など、告示に基づく耐震性を確保した設置方法が求められます。
モーターや制御盤が転倒すれば、地震のあとにかご自体を動かせなくなるおそれがあります。
点検の際は、機械室内の固定状態にも目を向けるとよいでしょう。

うちの機械室、アンカーボルトがちゃんと効いているかなんて素人には分からないです。

点検報告書に耐震固定の項目があるので、そこを確認してみてください。

積み荷が変わってもかごが正しい位置で止まるのはなぜか

寸法線とフロアの高さに合わせて止まるかごを示す図
制御器の構造基準の1つ目は、かごの停止位置に関するものです。
乗客の人数や荷物の重さが変わっても、この基準は変わりません。
建築基準法施行令第129条の8第2項第一号 荷重の変動によりかごの停止位置が著しく移動しないこととするものであること。
制御器は、荷重が変わってもかごの停止位置が大きくずれない構造でなければなりません。
乗客の人数や荷物の重さは毎回変わりますが、かごの床とフロアの高さがそのたびに大きくずれては危険です。
着床時の段差は、つまずきや転倒の直接の原因になるため、利用者の安全に直結する基準です。
条文は具体的な段差の数値までは定めておらず、「著しく移動しない」構造であることを求めています。
着床時の段差が気になる場合は、保守点検業者に調整を依頼しましょう。

そういえば前に、床と廊下の間に少し段差があってヒヤッとしたことがあります。

それはまさに制御器の停止精度に関わる部分ですね。
早めに点検業者へ連絡しましょう。

すべての戸が閉まるまでかごが動き出さないのはなぜか

閉じたかごの戸と昇降路側の戸を並べた図
制御器の構造基準の2つ目は、戸の開閉とかごの昇降の関係についてです。
かご側だけでなく、各階の昇降路側の戸も対象になります。
建築基準法施行令第129条の8第2項第二号 かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じた後、かごを昇降させるものであること。
制御器は、すべての戸が閉じたあとでなければかごを動かしてはいけません。
かご側の戸だけでなく、乗り込む階以外の階にある昇降路側の戸まで、すべて閉じていることを確認してから動く仕組みです。
この基準が守られていないと、戸が開いたまま昇降してしまう重大事故につながりかねません。
利用者が戸に触れたまま動き出す、といった事態を防ぐための基本的な安全機構でもあります。
戸の開閉に異音や引っかかりを感じたら、早めに点検を依頼しましょう。

戸が全部閉まってから動くのって、当たり前のようで実は法律で決まっているんですね。

はい。
ここが崩れると重大事故につながるので、厳格に定められています。

保守点検のときエレベーターはどう制御されるのか

開いた制御盤とレンチ工具箱を並べた図
制御器の構造基準の3つ目は、保守点検のときに必要な操作についてです。
通常の運転とは異なる制御が求められます。
建築基準法施行令第129条の8第2項第三号 エレベーターの保守点検を安全に行うために必要な制御ができるものであること。
制御器には、保守点検のための特別な操作ができる機能が求められます。
点検時には、点検員がかごを手動でゆっくり動かしたり、任意の位置で確実に停止させたりする操作が必要になります。
この機能がなければ、点検員が安全にかごへ近づいて作業することができません。
一般的には、機械室や点検口に設けられた点検運転用のスイッチがこの役割を担います。
機械室の点検スイッチや表示灯の状態も、日常点検で確認しておくとよいでしょう。

点検のときだけ特別な操作ができるようになっているんですね。

そうです。
点検員の安全を守るための規定でもあります。

よくある質問

Q駆動装置と制御器の構造基準は誰が確認するのですか?
A建築確認や完了検査の際に、建築主事や指定確認検査機関が確認します。国土交通大臣が定めた構造方法又は認定に適合しているかどうかが審査の対象です。
Q地震対策の設置方法は具体的にどこで確認できますか?
A条文は国土交通大臣が定める方法に委ねているため、具体的な仕様は関連する告示で確認します。個別の設置状況については保守点検業者や特定行政庁への確認が確実です。
Qかごの停止位置がずれているように感じたらどうすればよいですか?
A制御器は荷重の変動で停止位置が著しく移動しない構造が求められています。段差を感じたら、早めに保守点検業者へ調整を依頼してください。
Q保守点検のための制御機能は防火管理者も操作してよいのですか?
A点検運転の操作は保守点検の専門業者が行うものです。防火管理者は機械室の施錠管理や点検スイッチの状態把握など、周辺の管理に努めましょう。

まとめ

駆動装置と制御器には建築基準法施行令第129条の8が構造基準を定めています。
駆動装置と制御器は地震その他の震動によって転倒・移動しないよう設置しなければなりません。
設置方法は国土交通大臣が定める方法によります。
制御器は荷重の変動でかごの停止位置が著しく移動しない構造にします。
制御器はすべての戸が閉じた後にかごを昇降させる構造にします。
制御器は保守点検を安全に行うために必要な制御ができる構造にします。
これらの構造は国土交通大臣が定めた構造方法又は認定を受けたものに限られます。

駆動装置と制御器の点検も、今日の話を思い出して確認します!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条の8

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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