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音声警報装置はどこまで省略できるのか|防火対象物の種類で変わる条件の数

音声警報装置はどこまで省略できるのか|防火対象物の種類で変わる条件の数

ガス漏れ火災警報設備には、音声でガス漏れの発生を知らせる音声警報装置があります。
設置する防火対象物によって、スピーカーの配置基準は共通ですが、省略できる条件の数が違います。
地下街のような人の多い建物と、温泉を汲み上げる設備がある建物とでは、猶予の広さが変わってきます。
今回は消防法施行規則を読み解き、なぜ省略できる場所の数に差があるのかを確認します

うちは温泉を引いている旅館なんですが、音声警報装置を省略している場所が結構あるんです。

防火対象物の種類によっては、省略できる条件が最大3つまで認められています。

地下街とかだと、そんなに緩くないんですよね。

それでは順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 音声警報装置は、音声でガス漏れの発生を関係者及び利用者に知らせる装置です
  • スピーカーは各階ごとに、水平距離25メートル以下となるように設けます
  • 地下街や特定防火対象物の地階などは、省略できる条件が放送設備の1つだけです
  • 温泉採取設備がある建物の一部は、省略できる条件が3つまで認められています
  • 省略の可否は、建物がどちらの区分に当たるかを確認してから判断する必要があります

音声警報装置は防火対象物の種類によって省略できる条件の数が変わることを地下街と温泉施設の対比で示した図解

音声警報装置とは何を指すのか

壁のスピーカー型警報装置と天井のガス漏れ検知器が配線でつながり音波の弧が広がるイメージ
ガス漏れ火災警報設備には、検知器や検知区域警報装置のほかにも複数の装置があります。
今回は「音声警報装置」がどんな役割を持つのかを見ていきます。
音声によりガス漏れの発生を防火対象物の関係者及び利用者に警報する装置(以下「音声警報装置」という。)は、次の(イ)又は(ロ)に定めるところによること。(消防法施行規則第24条の2の3第1項第4号イ)
音声警報装置は、声で直接ガス漏れを知らせる役割です
検知区域警報装置が検知器の担当区域だけに音で知らせるのに対し、音声警報装置は関係者及び利用者という広い範囲を対象にしています。
条文は設置場所によって(イ)と(ロ)の2つの基準に分けています。
この分かれ方が、あとで見る省略条件の違いにつながっています。

検知区域警報装置とは別の装置なんですね。

はい、音声警報装置は建物全体・階全体に向けた装置です

スピーカーはどう配置すればよいのか

二階建ての断面図でフロアごとにスピーカーが設置され水平距離を測る線が奥の人物まで伸びるイメージ
音声警報装置にも、検知区域警報装置と同じように具体的な数値基準があります。
まずは基本となるスピーカーの配置基準を確認します。
音圧及び音色は、他の警報音又は騒音と明らかに区別して聞き取ることができること。スピーカーは、各階ごとに、その階の各部分から一のスピーカーまでの水平距離が25メートル以下となるように設けること。(消防法施行規則第24条の2の3第1項第4号イ(イ)(1)(2))
基準は各階ごとに水平距離25メートル以下です
音圧・音色は他の警報音や騒音とはっきり区別できることも求められます。
1つの防火対象物に受信機が2以上あるときは、どの受信機からでも作動できることも条件です。
この配置基準そのものは、あとで見る(イ)(ロ)どちらの区分でも共通です。

25メートルって、意外と広い範囲ですね。

はい、各階ごとに死角なく届くように配置します

防火対象物の種類でなぜ基準が分かれるのか

人が出入りする賑わうビルの入口と湯気が立つ小さな温泉施設の建物を並べたイメージ
音声警報装置には、設置する防火対象物の種類で(イ)(ロ)の区分があります。
それぞれどんな建物が対象になるのかを見ていきます。
(イ)令第21条の2第1項第1号、第2号、第4号若しくは第5号に掲げる防火対象物若しくはその部分又は同項第3号に掲げる防火対象物の部分で消防庁長官が定めるものに設けるものにあつては、次の(1)から(3)までに定めるところによること。(消防法施行規則第24条の2の3第1項第4号イ(イ)、抜粋)
(ロ)令第21条の2第1項第3号に掲げる防火対象物((イ)の消防庁長官が定める部分(以下「長官指定部分」という。)が存しないものに限る。)又は同号の防火対象物(長官指定部分が存するものに限る。)の部分(長官指定部分を除く。)に設けるものにあつては、次の(1)及び(2)に定めるところによること。(消防法施行規則第24条の2の3第1項第4号イ(ロ)、抜粋)
(イ)は地下街や特定防火対象物の地階など、人の多い建物です
具体的には、令第21条の2第1項の第1号・第2号・第4号・第5号にあたる防火対象物が対象になります。
(ロ)は温泉を汲み上げる設備がある建物(同項第3号)のうち、長官指定部分ではない部分です。
同じ音声警報装置でも、どちらの区分に当たるかで、次に見る省略条件の数が変わってきます。

うちの旅館は第3号の温泉施設ですね。

はい、長官指定部分に当たるかどうかも合わせて確認しましょう

省略できる条件の数はなぜ違うのか

単独のスピーカーと放送設備常時無人の部屋内蔵検知器の3つがまとまった一群を並べて数の違いを示すイメージ
(イ)と(ロ)は、スピーカーの配置基準こそ共通ですが、省略できる条件の数が違います。
ここが実務でいちばん見落とされやすいポイントです。
(イ)ただし、第25条の2第2項第3号に定めるところにより設置した放送設備の有効範囲内の部分には、音声警報装置を設けないことができる。(消防法施行規則第24条の2の3第1項第4号イ(イ)ただし書)
(ロ)ただし、常時人がいない場所又は第25条の2第2項第3号に定めるところにより設置した放送設備若しくは警報機能を有する検知器若しくは検知区域警報装置の有効範囲内の部分には、音声警報装置を設けないことができる。(消防法施行規則第24条の2の3第1項第4号イ(ロ)ただし書)
(イ)で省略できるのは、放送設備の有効範囲内という1つの条件だけです
(ロ)は放送設備に加えて、常時人がいない場所と、警報機能を持つ検知器や検知区域警報装置の有効範囲内も対象になり、条件は3つに増えます。
理由までは条文に書かれていませんが、(イ)の対象は地下街のような不特定多数が出入りする建物が多く、常時人がいない場所という前提が成立しにくいためと考えられます。
自分の建物がどちらの区分かを取り違えると、省略できるはずの場所に無理に設置したり、逆に必要な場所を見落としたりする恐れがあります。

同じ省略でも、数が違うのは気づきにくいです。

はい、区分を取り違えないことが大切です

立入検査ではどこをどう確認すればよいのか

担当者が図面と仕様書を確認しながら廊下の壁のスピーカー装置を点検しているイメージ
最後に、実際の点検や立入検査でどこを見ればよいかをまとめます。
確認する順番を押さえておくと、判断に迷いません。 区分の確認と、省略の根拠の確認は別の作業です
まず自分の建物が令第21条の2第1項のどの号に当たるかを確認します。
省略している箇所があれば、その根拠が放送設備・常時人がいない場所・警報機能を持つ検知器のどれに当たるかを設計図書で確かめます。
用途変更や増築で常時人がいない場所ではなくなっていないかも、点検のたびに見直しておくと安心です。

区分と省略の根拠、両方見ればいいんですね。

はい、迷ったら所轄消防署に確認しましょう

よくある質問

Q音声警報装置とは何ですか?
A検知器の作動と連動し、音声でガス漏れの発生を防火対象物の関係者及び利用者に警報する装置です。ガス漏れ表示灯や検知区域警報装置とは役割が異なります。
Qスピーカーはどのように配置すればよいですか?
A各階ごとに、その階の各部分から一のスピーカーまでの水平距離が25メートル以下となるように設けます。
Q音声警報装置を省略できる条件はどう違いますか?
A地下街や特定防火対象物の地階など(イ)の区分は放送設備の有効範囲内という1つの条件だけですが、温泉採取設備がある建物の一部(ロ)の区分は放送設備・常時人がいない場所・警報機能を持つ検知器等の3つの条件があります。
Q自分の建物がどちらの区分か分からないときはどうすればよいですか?
Aまず用途と延べ面積で令第21条の2第1項のどの号に当たるかを確認し、判断に迷う場合は所轄消防署に確認します。

まとめ

音声警報装置は、音声でガス漏れの発生を関係者及び利用者に知らせる装置です
スピーカーは各階ごとに水平距離25メートル以下となるように設けます
(イ)は地下街や特定防火対象物の地階など人の多い建物が対象です
(ロ)は温泉採取設備がある建物のうち長官指定部分でない部分が対象です
(イ)で省略できるのは放送設備の有効範囲内という1つの条件だけです
(ロ)は常時人がいない場所・警報機能を持つ検知器等も含め3つの条件があります
建物がどちらの区分かを確認してから省略の可否を判断しましょう

省略できる条件の違いがよく分かりました!

迷ったときは所轄消防署への確認が確実です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法施行令第21条の2第1項
  • 消防法施行規則第24条の2の3第1項第4号イ

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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