エレベーターのかごそのものにも、建築基準法施行令で定められた構造基準があります。
第129条の6は難燃材料や壁・戸の作り方から、天井の救出用開口部まで細かく定めています。
かご内の標識にどこまで書くべきかまで、条文で決まっていることは意外と知られていません。
この記事では第129条の6が定めるエレベーターのかごの構造基準と、防火管理者が確認すべき点を条文にそって解説します。
うちのエレベーターのかごにも、壁とか天井に決まりがあるんでしょうか。
閉じ込められたときのことも気になります。
はい、建築基準法施行令第129条の6がかご自体の構造を定めています。
天井にまで決まりがあるんですか。
はい、非常時に人を救出するための開口部を設ける決まりです。
まずはかご全体の基準から見ていきましょう。
- エレベーターのかごは建築基準法施行令第129条の6により、かご内の人や物への衝撃に対して安全な構造とすることが義務付けられています。
- かごの壁や戸は構造上軽微な部分を除き難燃材料で造るか覆うことが必要です。
- かご内の人や物が釣合おもりなどかご外の物に触れないための壁や囲い、出入口の戸を設けなければなりません。
- 非常時にかご内の人を安全に救出できる開口部を、かごの天井部に設ける決まりです。
- かご内には用途・積載量・最大定員を明示した標識を見やすい場所に掲示しなければなりません。
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目次
エレベーターのかごにはどんな構造基準があるのか

建築基準法施行令はこの箱そのものの構造も定めています。
第129条の6は柱書で「次に定める構造としなければならない」として、五つの号でかごの作り方を定めています。
一号は総論にあたり、かご内の人や物が受ける衝撃に対する安全性を求めるものです。
乗り降りのときの揺れや、通常の昇降で生じる振動も含めて安全な構造方法を用いることが条件です。
この先の号は、この総論を難燃材料・壁と戸・救出口・標識という具体の作りに落とし込んだものです。
かごの中身にまで、こんなに細かく条文があるんですね。
はい、五つの号でかごの作りを定めています。
次は壁や戸の素材の決まりを見ていきましょう。
かごの壁や戸はなぜ難燃材料でなければならないのか

ただし、すべてのかごに一律で義務付けられているわけではありません。
かごの壁や戸は構造上軽微な部分を除き、難燃材料で造るか覆うことが原則です。
一方で、地階または三階以上の階に居室を有さない建築物に設けるかごなど、防火上支障がないと国土交通大臣が定めるものはこの限りではありません。
低層の倉庫や工場に設置されたエレベーターがこれに当たることがあります。
自分の建物のかごがどちらに当たるかは、設置時の検査記録で確認できます。
うちは中層の事務所ビルなので、難燃材料の対象になるはずですね。
そのとおりです。
次は壁と戸そのものの決まりを見ていきましょう。
かご外の物に触れないための壁と戸はどう作られているのか

かご内の人や物がこれらに触れないための構造が定められています。
釣合おもりはかごと反対側でバランスを取るため、昇降路の中をかごと逆方向に動いています。
かごの壁や囲い、出入口の戸は、乗っている人や運んでいる物がこの釣合おもりや昇降路の壁に触れないように設ける構造です。
乗客が手を出したり、荷物がはみ出したりしても外の可動部に接触しない設計が国土交通大臣の基準で定められています。
戸の開閉と連動する安全確認の仕組みも、この構造の一部です。
釣合おもりって、かごのすぐ外を動いているものなんですね。
はい、だからこそ壁と戸の構造が重要になります。
次は見落としやすい天井の決まりを見ていきましょう。
閉じ込められたとき天井から救出できる決まりがあるのを知っているか

そのときの最後の手段として、かごの天井にも決まりがあります。
戸からの救出が難しい非常時に備えて、かごの天井部には人を安全に救出できる開口部を設けることが義務付けられています。
この開口部は保守業者が救出作業のときに使うためのもので、乗客が自分で天井を開けて出ることは想定されていません。
「エレベーターの天井に開口部がある」と知っている乗客は少なく、閉じ込められた場合はまずかご内の非常連絡装置で外部へ連絡することが先決です。
天井の開口部が塞がれていないかは、保守点検の記録で確認できる項目です。
天井から出られるなんて知りませんでした。
自分で開けてもいいものなんですか。
いいえ、あくまで保守業者が使う救出口です。
閉じ込め時はまず非常連絡装置で連絡してください。
かご内の標識で防火管理者は何を確認すればよいのか

防火管理者が日常できるのは、かご内の掲示物を確認することです。
かご内には用途・積載量を明示した標識を掲示することが義務付けられており、乗用エレベーターと寝台用エレベーターは最大定員もあわせて掲示しなければなりません。
防火管理者はまず、この標識が汚損や剥落なく見やすい場所に掲示されているかを確認します。
標識の数値と実際の利用状況(過積載になっていないか、寝台の搬送に使われていないかなど)を照らし合わせることも点検の一部です。
気になる点があれば、次の定期検査の際に保守業者へ確認を依頼してください。
標識までは意識して見ていませんでした。
今日から日常点検の項目に加えてみてください。
難燃材料や天井の開口部の状態もあわせて見ます。
よくある質問
まとめ
かご内の標識と天井の開口部を、次の点検日に確認します!
難燃材料の対象かどうかの確認もあわせて承ります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条の6
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





