岩盤タンクは、地下深くに掘削した空洞に石油類を貯蔵する特殊な屋外タンク貯蔵所です。
地上に設置する通常のタンクとは異なり、周囲の岩盤や地下水の状態そのものが技術基準の対象になります。
危険物の規制に関する規則第22条の3が、その独自の基準を定めています。
今回は岩盤タンクに係る屋外タンク貯蔵所の特例(規則第22条の3)を、条文にそって解説します。
うちの近くにある備蓄基地は、地下に石油を貯めていると聞きました。
それは岩盤タンクという特殊な屋外タンク貯蔵所です。
規則第22条の3が独自の基準を定めています。
地上のタンクと同じ基準が当てはまるわけではないんですね。
そのとおりです。
地下水位や岩盤の状態そのものが基準になっています。
- 岩盤タンクは規則第22条の3が定める屋外タンク貯蔵所の特例です
- 貯蔵できるのは原油・灯油・軽油・重油で、最大常用圧力50キロパスカル以下に限られます
- 岩盤タンクの内壁から最大幅の5倍の範囲で地下水位が安定していることが要件です
- 坑道のプラグは鉄筋コンクリート等で気密に造る必要があります
- 通常の屋外タンクの保安距離や水張試験等の規定の多くは適用されません
▼

目次
岩盤タンクとはどんな屋外タンク貯蔵所を指すのか

危険物の規制に関する規則が、地上設置のタンクとは別の基準を定めています。
貯蔵できる危険物は原油・灯油・軽油・重油に限られます。
さらに岩盤タンク内の最大常用圧力が50キロパスカル以下であることも要件です。
これらを満たす屋外タンク貯蔵所についてだけ、令第11条第5項の委任を受けた規則第22条の3が独自の基準を定めます。
地上のタンクの保安距離や水張試験といった基準が、そのまま当てはまるわけではありません。
地下に空洞を掘ってそのままタンクにするなんて、大がかりな設備なんですね。
そのとおりです。
原油・灯油・軽油・重油に限られ、圧力の上限も決まっています。
岩盤タンクの位置や地下水位にはどんな基準があるか

周囲の岩盤と地下水の状態そのものが、条文上の要件になります。
対象になるのは、タンクの内壁から最大幅の5倍の水平距離の範囲です。
条文に理由は明記されていませんが、地下水位が安定していれば岩盤にかかる水圧も一定に保たれ、内部の危険物が周囲へにじみ出にくくなるためと考えられます。
あわせて、岩盤タンクは地下水位から十分な深さを確保し、断層等のない堅固な岩盤で、変位が収束していることも求められます。
このほか敷地境界や隣接する地下工作物との距離、坑道の出入口の防火上の措置もあわせて規定されています。
地下水位が安定していないといけないというのは、初めて知りました。
岩盤そのものが壁の役割を担うため、水位の安定が条件になっています。
坑道の出入口の防火措置もあわせて必要です。
坑道のプラグにはどんな構造が求められるか

この坑道をふさぐ遮へい材にも、独自の構造基準があります。
プラグとは、坑道が空洞に接続する部分に設ける遮へい材のことです。
配管が貫通する部分、岩盤と接触する部分のいずれも、危険物や可燃性の蒸気の漏れがないことが求められます。
危険物を取り扱う配管等の構造は、規則第28条の5が定める移送取扱所の配管等の例によることとされています。
坑道内のポンプ設備にも、電動機内部の冷却水循環や金属製保護管への設置など、通常のタンクには無い基準が置かれています。
プラグの工事は普段目にする機会が少ないので、どこを見ればいいのか分かりません。
気密性と、配管が貫通する部分の漏れの有無を記録で確認します。
配管は移送取扱所の基準に沿っているかも見ます。
通常の屋外タンクの基準はそのまま当てはまるのか

どの規定が適用除外になるのかを、条文で確認しておきます。
保安距離や保有空地、水張試験・水圧試験に関する部分など、地上設置タンクを前提にした規定が除かれています。
除かれた基準の代わりに、規則第22条の3第3項が定める地下水位・プラグ・配管等の独自要件が適用される構造です。
点検で通常のタンクの基準表をそのまま当てはめると、本来確認すべき地下水位や坑道の状態を見落とすおそれがあります。
岩盤タンクを扱うときは、まず対象が規則第22条の2の8第1号の要件を満たすかどうかから確認する習慣をつけておくとよいでしょう。
普通のタンクの点検表をそのまま流用してしまいそうで心配です。
保安距離や水張試験など、岩盤タンクには適用されない項目があります。
まず対象になるかどうかから確認しましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

条文の要件を、確認の手順としてまとめます。
あわせて、岩盤タンク内の最大常用圧力が50キロパスカル以下であることを圧力の記録で確認します。
地下水位の監視記録や、坑道のプラグの気密性に関する点検記録も確認対象です。
配管等が規則第28条の5(移送取扱所の配管等の例)に沿っているかどうかも、工事記録で確認できます。
どれも条文の号ごとに根拠が分かれているので、指摘を受けた箇所から条文に戻って確認する習慣をつけておくと安心です。
漏えいを防止する設備の点検記録、次の点検で確認してみます。
あわせて地下水位の監視記録とプラグの気密性も見ておいてください。
よくある質問
まとめ
岩盤タンクの仕組み、よく分かりました。
地下水位の記録を確認します。
岩盤タンクのことなら、いつでもご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第11条
- 危険物の規制に関する規則第22条の2の8
- 危険物の規制に関する規則第22条の3
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





