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非常警報設備はどこまで省略できるか|常時人のいない場所と自動火災報知設備がある場合

非常警報設備はどこまで省略できるか

非常警報設備は、火災を建物の中の人に知らせるための設備です。
ただ、そもそも人がいない倉庫や、機械の音で何も聞こえない工場もあります。
自動火災報知設備がすでに入っている建物もあります。
質疑応答が示したのは知らせる目的が果たせていれば緩めてよいという考え方です。

常時人のいない倉庫にも非常ベルが要ると言われました。
知らせる相手がいないのに必要なのでしょうか。

そこは緩められます。
倉庫、発電所等で常時人のいない場所はお見込みのとおりという回答が出ています。

自動火災報知設備があるので、それで足りませんか。

それも条件しだいで足ります。
5つの回答を順に見ていきます。

この記事の結論
  • 倉庫や発電所等で常時人のいない場所は令第32条で緩和できます
  • 著しい騒音を発する場所は騒音と異なる音色の音響装置を設置します
  • 旧基準の自動火災報知設備がある建物は令第24条第5項に準じた扱いとして差し支えないとされました
  • 自動火災報知設備が新基準に適合するならその有効範囲について非常警報設備の設置を要しません
  • 小規模な建物では階段室等の共用部分に音響装置を設けて差し支えありません

常時人のいない場所でも要るか

倉庫や発電所等で常時人のいない場所は非常警報設備を令第32条で緩和できることを示したイメージ
非常警報設備は、人に知らせるための設備です。
その人がいない場所と、いても聞こえない場所はどうなるのか。
問2 常時人のいない場所又は著しい騒音を発する場所の非常警報設備は、令第32条の特例規定を適用して緩和できるか
答2 倉庫、発電所等で常時人のいない場所にあつてはお見込みのとおり。
また、著しい騒音を発する場所にあつては、その騒音と異なる音色を発する音響装置を設置するものである。
2つの場所で扱いが分かれます
人がいない場所は緩和できます。挙げられている例は倉庫、発電所等です。
一方、騒音のある場所は緩和ではありません。その騒音と異なる音色を発する音響装置を設置することとされました。
同じ問いに対して、片方は外してよい、もう片方は工夫して残せ、という答えです。知らせる相手がいるかどうかで分かれています。
自分の建物でやることは1つです。人がいない区画と、うるさい区画を仕分ける。同じ緩和の話に見えても、行き先が違います。

うるさい場所は外すのではなく音色を変えるんですね。

そこが分かれ目です。
人がいない区画とうるさい区画を仕分けてください

旧基準の自火報がある建物はどうなるか

旧基準の自動火災報知設備が設けられている建物を令第32条により令第24条第5項に準じて扱うことを示したイメージ
旧い基準で自動火災報知設備を入れた建物があります。
その建物に非常警報設備の基準が及ぶと、二重投資になりかねません。
問4 令別表第1に掲げる既存の防火対象物((5)項イ、(6)項イ及び(17)項の防火対象物を除く。)に旧基準により自動火災報知設備が設けてある場合の非常警報設備の扱いは、いかにすべきか
答4 新しい基準によらしめる。
ただし、既通達による自動火災報知設備が設けられているものとして、令第32条の規定を適用し、令第24条第5項に準じた扱いとしてさしつかえない。
原則は新基準ですが道があります
前段はきっぱりしています。新しい基準によらしめる。旧基準のままでよい、とはなりません。
ただし後段で救いが用意されました。既通達による自動火災報知設備が設けられているものとして令第32条を適用し、令第24条第5項に準じた扱いとして差し支えないとされています。
すでにある設備を評価したうえで、扱いを合わせるという発想です。全部やり直せという話ではありません。
古い建物を持っているなら、いつの基準で入れた設備かを台帳で確かめてください。年式が分かれば相談の入口になります。

いつの基準で入れた設備かなんて、調べたことがありません。

設備台帳か竣工図でたどれます。
年式が分かれば相談の入口になります

自動火災報知設備があれば要らないか

自動火災報知設備が新基準に適合する場合はその有効範囲について非常警報設備の設置を要しないことを示したイメージ
自動火災報知設備を新しい基準で入れた場合はどうなるのか。
あるいは旧い設備を新基準に合うよう改修した場合は。
問5 自動火災報知設備を新基準により設置した場合、又は旧基準により設置した自動火災報知設備を新基準に適合するよう改修整備した場合、非常警報設備の要否を伺いたい
答5 自動火災報知設備が新基準に適合する場合及び適合するに至つたものについては、当該設備の有効範囲について非常警報設備の設置を要しない(令24)。
有効範囲については要りません
最初から新基準で入れた場合も、改修して適合するに至ったものも、同じ扱いです。
ただし条件が1つ埋め込まれています。要らないのは当該設備の有効範囲についてです。建物全体が自動的に免除されるという意味ではありません。
自動火災報知設備が届いていない部分があれば、そこは別に考える必要があります。増築部分や別棟が典型です。
自分の建物では、自動火災報知設備の警戒区域図と建物の平面図を重ねてみてください。白い部分が残っていれば、そこが確認するべき場所になります。

建物全体ではなく届いている範囲だけ免除されるということですね。

そこが要点です。
警戒区域図と平面図を重ねて白い部分がないか見てください
増築部分が残りやすいところです。

小さな建物でも各階に要るか

小規模な防火対象物では階段室等の共用部分に音響装置を設けて差し支えないことを示したイメージ
非常ベルは各階ごとに設けることとされています。
しかし小さな建物では、1つで全体に届くこともあります。
問8 非常警報設備としての非常ベルは、小規模防火対象物でも各階ごとに設けなければならないか。屋外に音響装置がある場合の各階との関連はどのように考慮すべきか
答8 全区域に火災の発生を有効に報知できる場合は、令第32条の規定を適用して、階段室等共用部分に音響装置を設けてさしつかえない。
この場合、音響装置は、防火対象物の内部に設置するものである。
共用部分にまとめられます
条件は全区域に火災の発生を有効に報知できることです。それが言えるなら、階段室等の共用部分に置いて構いません。
ここで見落としてはいけないのが後段です。音響装置は防火対象物の内部に設置するものである、と釘が刺されています。
問いの後半にあった屋外の音響装置は、内部の代わりにはならないという答えです。外に鳴らしても中の人には届きません。
自分の建物では、ベルが外壁に付いていないかを確かめてください。外から見えるところに付いていると、それだけで済ませている場合があります。

外に付いているベルは数に入らないんですね。

内部に設置するもの、と書かれています。
ベルが外壁だけに付いていないか確かめてください

音が大きければ距離は緩められるか

極めて音量の大きい音響装置で有効に報知できる場合は水平距離について令第32条の適用を考慮できることを示したイメージ
音響装置の配置には、水平距離の決まりがあります。
しかし音がとても大きければ、その距離を超えても届きます。
問10 二階建の防火対象物で非常警報設備の音響装置として極めて音量の大きい自動式サイレン、非常ベル等を設置し、火災の発生を有効に報知できるものとした場合は、規則第25条の2第2項第1号ハの水平距離について、令第32条の適用を考慮してよいか
答10 お見込みのとおり
届くなら距離は緩められます
ここまでの4問と同じ考え方が出ています。数値そのものではなく、有効に報知できるかどうかで見る。
問いのほうに条件が2つ書き込まれています。二階建であること、そして極めて音量の大きい音響装置であること。その前提込みで差し支えないと答えています
だから高い建物や、間仕切りの多い建物にそのまま当てはめることはできません。前提が変われば結論も変わります。
音量で距離を緩める相談をするなら、実際に鳴らして各所で聞こえるかを確かめた記録を用意してください。数字より実測が説得力を持ちます。

この5問、どれも届くかどうかで判断していますね。

この章はその一本で通っています。
実際に鳴らして各所で聞こえるかの記録を残してください
㈱防災屋でもご相談を承っています。

よくある質問

Q人のいない倉庫でも非常ベルは要りますか?
A回答は、倉庫、発電所等で常時人のいない場所については令第32条の特例規定を適用して緩和できるとしています。
Q機械の音がうるさい工場はどうしますか?
A回答は、著しい騒音を発する場所についてはその騒音と異なる音色を発する音響装置を設置するものであるとしています。緩和ではありません。
Q自動火災報知設備があれば非常警報設備は不要ですか?
A回答は、新基準に適合する場合及び適合するに至ったものについて当該設備の有効範囲について非常警報設備の設置を要しないとしています。建物全体ではありません。
Q外壁に付いているベルで代えられますか?
A回答は、階段室等共用部分に設けることを認めたうえで、音響装置は防火対象物の内部に設置するものであるとしています。

まとめ

常時人のいない場所は令第32条で緩和できます
騒音のある場所は異なる音色の音響装置を置きます
旧基準の自火報がある建物は令第24条第5項に準じた扱いができます
新基準に適合する自火報の有効範囲では設置を要しません
小規模なら階段室等の共用部分にまとめられます
ただし音響装置は防火対象物の内部に設置します
音量が大きく有効に報知できるなら水平距離を緩められます

緩められる場合と、そうでない場合が分かりました。
すっきりしました。

人がいるかどうか、自火報が届いているか、そして音が届くか。
この3つで緩和できるかがだいたい決まります
㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 非常警報設備について(昭和44年11月20日 消防予第265号 予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
  • 消防法施行令第24条
  • 消防法施行令第32条
  • 消防法施行規則第25条の2
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は昭和44年当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。

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