地階に避難はしごを設けることになったとき図面に避難器具専用室という部屋が現れることがあります。
名前のとおり避難器具のためだけに設ける室ですが、壁の造りも入口の扉も部屋の明るさも決められています。
根拠は消防法施行令第25条から消防法施行規則第27条第2項を経て、消防庁の告示に降りていきます。
この記事では専用室と上昇口に求められるものを、告示の条文だけを見て一つずつ確かめます。
地下の機械室に避難はしごを付けると言われました。
ただの部屋のままではだめなのでしょうか。
地階に避難はしごを設けるときは、原則としてドライエリアの部分に付けることになっています。
その代わりになるのが避難器具専用室です。
専用室にすると、なにか特別なことが必要になるのですか。
普通の倉庫と同じ扱いではないのですね。
区画の材料と入口の扉と部屋の明るさが決められています。
押さえどころは区画と明るさと入口の扉と上昇口のふたの四つです。
- 避難器具専用室は避難はしご又は避難用タラップを地階に設置する場合の専用の室と、消防庁の告示が用語として定義しています
- 地階の避難はしごは固定式としてドライエリアの部分に設けるのが本則で、専用室内に設置する場合だけがそのただし書に当たります
- 専用室は不燃材料で区画し、ガラスを用いる場合は網入りガラス又はこれと同等以上の防火性能を有するものに限られます
- 入口には随時開けることができ、かつ自動的に閉鎖することのできる高さ1.8メートル以上幅0.75メートル以上の防火戸が要り、室内には非常照明を設けます
- 上昇口のふたの上に物を放置させない囲い等の措置まで告示が求めています
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目次
避難器具専用室とはどんな部屋なのか

普通の言い回しに聞こえますが、告示では対象がはっきり絞られています。
挙がっているのは避難はしごと避難用タラップで、緩降機や救助袋は入っていません。
同じ第二の八号には避難器具用ハッチという語も置かれていますが、こちらは器具を常時使用できる状態で格納する取付け具そのもので、部屋ではありません。
専用室は部屋、ハッチは取付け具と押さえておくと、図面を見たときに取り違えません。
自分の建物の地階に避難器具があるなら、まず図面のその場所が部屋として囲われているかを見てください。
うちの地下にあるのは避難器具用ハッチです。
それなら専用室の話は関係ないのでしょうか。
ハッチを専用室の中に設ける場合もあるので、無関係とは言い切れません。
まずは器具が地階にあるかどうかで切り分けてください。
どんなときにこの部屋を設けることになるのか

地階の避難器具をどこに置くかという選び方の中から出てきます。
地階に避難はしごを設けるときは固定式とし、外壁に沿ったからぼりの部分に設けるのが本則で、専用室に設ける場合だけがそのただし書に当たります。
そもそも地階に避難器具が要るのは、消防法施行令第25条第1項の各号がいずれも二階以上の階又は地階を対象にしているためです。
避難用タラップも告示の第八がこの(一)ルを引いているので、同じ扱いになります。
つまりからぼりを取れない地階で避難はしごや避難用タラップを設けるときに、専用室という選択肢が出てきます。
うちの地階にはからぼりがありません。
それで専用室になっていたのですね。
その筋道で読むと図面がつながります。
まずはドライエリアがあるかどうかを図面で見てください。
専用室の区画と入口の扉はなにが求められるのか

告示の第四は一号から十号まであり、一号から四号までが部屋の話です。
区画は不燃材料で、ガラスを用いるなら網入りガラス又はこれと同等以上の防火性能を有するものに限られます。
明るさは普通の照明ではなく非常照明で、避難器具の使用方法の確認と操作が安全かつ円滑に行える明るさが基準です。
入口の扉は高さ1.8メートル以上幅0.75メートル以上で、随時開けることができ、かつ自動的に閉鎖することのできる防火戸に限られます。
既存の物置を専用室にしたいという相談は多いのですが、これらを満たさないうちは専用室にはなりません。
つまり普通の物置を専用室と呼ぶことはできないのですね。
扉の寸法まで決まっているとは思いませんでした。
扉は防火設備であることまで求められています。
まずは今ある扉の高さと幅を測ってみてください。
上昇口とふたで見落としやすいのはどこか

ここが日々の管理でいちばん崩れやすいところです。
ふたの上部に開放の支障となる物件が放置されないよう囲いを設ける等の措置を講じることまで、告示が正面から求めています。
九号は片開き式のふたについて、おおむね180度開くものを除き、取付面と90度以上の角度で固定でき、何らかの操作をしなければ閉鎖しないことを条件にしています。
八号の手がかりは床面からの距離が1.2メートル以上で、直接建築物の外部に出られる場合を除いて必要です。
どれも図面では確かめられず、地階に降りて実際にふたを開けてみないと分からない項目です。
ふたの上に台車を置いている社員を見たことがあります。
あれは基準に反していたのですね。
囲いを設ける等の措置まで求められている場所です。
今日いちど地階に降りて、ふたの上を空けてください。
明日からなにを確かめればよいのか

図面と現物の両方を見るのがこつです。
地階から上がった先が建築物の内部であれば、そこにも専用室を設け、外部へ避難できる位置に避難上安全な避難通路を設けることが求められます。
確かめる順番は、まず地階に避難器具があるかを消防法施行令第25条第1項で押さえ、次にドライエリアか専用室かを図面で見ます。
専用室であれば区画の材料と入口の扉の寸法と非常照明を、そのうえで上昇口の大きさとふたと手がかりを現物で確かめます。
最後にふたの上部に物が置かれていないかを見て、置かれていれば今日のうちにどけてください。
上がった先の通路まで見るのですね。
そこまでは考えていませんでした。
地階の避難は外に出るまでが一続きです。
図面を持って、一度実際に上がってみてください。
よくある質問
まとめ
地階に降りて、ふたの上を空けるところから始めます。
上昇口という言葉を今日おぼえました。
地階まで見ている建物はまだ多くありません。
専用室の扉や上昇口のことなら㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第25条(避難器具に関する基準)
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第27条(避難器具に関する基準の細目)
- 避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目(平成8年4月16日消防庁告示第2号・最終改正 平成18年5月19日消防庁告示第16号)
- 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第九号・第九号の二ロ
- 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第112条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





