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移送取扱所の配管はなぜ安全制御装置ですべて止められるのか|圧力安全装置と漏えい検知装置の連動条件を解説

移送取扱所の配管の安全装置を作業員が制御盤で確認している様子

移送取扱所の配管には、圧力を抑える装置や漏えいを見つける装置など、複数の保安設備が同時に取り付けられています。
これらは別々の場所でバラバラに働いているわけではなく、一つの回路にまとめて接続されています。
その回路が「安全制御装置」で、正常確認から緊急停止までをまとめて受け持っています。
この記事では、圧力安全装置と漏えい検知装置の中身から、これらが安全制御装置にどう連動するのかまでを条文に沿って解説します

配管って、色んな安全装置がバラバラに付いているだけなんですか。

いいえ、複数の保安装置が一つの安全制御装置にまとめられています
まずはその仕組みから確認していきましょう。

それぞれの装置が別々に働くわけじゃないんですね。

はい、正常確認と異常時の停止を一つの回路が担っています
圧力安全装置から順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 移送取扱所の配管系には、圧力安全装置や漏えい検知装置など複数の保安設備を備えることが義務付けられています
  • これらの設備は安全制御装置(規則第二十八条の三十)という一つの回路にまとめられています
  • 安全制御装置にはすべての制御回路が正常でなければポンプが作動しない起動時のインターロック機能があります
  • 異常が起きた場合はポンプと緊急しゃ断弁等が自動または手動で連動して停止・閉鎖する機能も同じ装置が担います
  • 漏えい検知装置は流量測定・圧力測定など4種類が条文で定められています

圧力安全装置と漏えい検知装置が制御盤に集約され異常時に自動停止する流れを示す図解

配管系の安全制御装置とは何を指すのか

複数の装置からの配線が一つの制御盤に集まりポンプへつながっているイメージ
移送取扱所の配管には、圧力や漏えいを扱う保安設備がいくつも取り付けられています。
これらを個別にではなく、一つの回路として機能させる装置が条文で定められています。
危険物の規制に関する規則第二十八条の三十(安全制御装置)
配管系には、次に掲げる制御機能を有する安全制御装置を設けなければならない。一 次条に規定する圧力安全装置、第二十八条の三十二に規定する自動的に危険物の漏えいを検知することができる装置、第二十八条の三十三に規定する緊急しや断弁、第二十八条の三十五に規定する感震装置その他の保安のための設備等の制御回路が正常であることが確認されなければポンプが作動しない制御機能 二 保安上異常な事態が発生した場合に災害の発生を防止するため、ポンプ、緊急しや断弁等が自動又は手動により連動して速やかに停止又は閉鎖する制御機能
安全制御装置とは、複数の保安設備の制御回路をまとめて受け持つ司令塔にあたる装置です
条文が挙げる制御機能は2つで、起動時にすべての制御回路が正常であることを確認する機能と、異常発生時にポンプや緊急しゃ断弁を連動して止める機能です。
つまり圧力安全装置や漏えい検知装置は、単体で存在しているのではなく、この安全制御装置に情報を渡す部品という位置づけになります。
次からは、この安全制御装置につながる個々の保安設備を条文に沿って見ていきます。

個別の装置じゃなくて、一つの制御盤にまとまっているんですね。

はい、正常確認とポンプ停止という2つの制御機能を持っています。
次は圧力安全装置を詳しく見てみましょう。

圧力安全装置は何を制御しているのか

配管に取り付けられた圧力安全装置と圧力計を担当者が確認しているイメージ
安全制御装置に情報を送る設備の一つが、圧力安全装置です。
どんな圧力を、どこまで許容するのかが条文で決まっています。
危険物の規制に関する規則第二十八条の三十一(圧力安全装置)
配管系には、配管内の圧力が最大常用圧力を超えず、かつ、油撃作用等によつて生ずる圧力が最大常用圧力の一・一倍を超えないように制御する装置(以下「圧力安全装置」という。)を設けなければならない。2 圧力安全装置の材質及び強度は、配管等の例による。3 圧力安全装置は、配管系の圧力変動を十分に吸収することができる容量を有しなければならない。
圧力安全装置が防ぐ圧力上昇は2種類あります
一つは通常運転で配管内の圧力が最大常用圧力を超えること、もう一つはポンプの急な停止などで生じる油撃作用による瞬間的な圧力の跳ね上がりです。
後者は最大常用圧力の1.1倍という具体的な上限が条文に定められており、通常の圧力より少し高いところまでしか許容されません。
装置そのものの強度は配管等と同じ基準によるとされ、圧力変動を吸収できる容量を持つことも求められています。

圧力が上がりすぎないようにする装置なんですね。

そのとおりです、急な圧力上昇まで想定して基準が決まっています
次は漏えいの検知方法を見ていきましょう。

漏えいはどうやって自動的に検知されるのか

配管に取り付けられたセンサーと点検箱で漏えいを検知するイメージ
安全制御装置に情報を送るもう一つの柱が、漏えい検知装置です。
条文は検知の方式を複数用意しています。
危険物の規制に関する規則第二十八条の三十二(漏えい検知装置等)
配管系には、次の各号に掲げる漏えい検知装置及び漏えい検知口を設けなければならない。一 可燃性の蒸気を発生する危険物を移送する配管系の点検箱には、可燃性の蒸気を検知することができる装置 二 配管系内の危険物の流量を測定することによつて自動的に危険物の漏えいを検知することができる装置又はこれと同等以上の性能を有する装置 三 配管系内の圧力を測定することによつて自動的に危険物の漏えいを検知することができる装置又はこれと同等以上の性能を有する装置 四 配管系内の圧力を一定に静止させ、かつ、当該圧力を測定することによつて危険物の漏えいを検知できる装置又はこれと同等以上の性能を有する装置 五 配管を地下に埋設する場合は、告示で定めるところにより設けられる検知口
漏えい検知装置は蒸気検知を含めて4種類が条文に列挙されています
流量を測る方式・圧力を測る方式・圧力を静止させて測る方式という3通りの自動検知方式に、点検箱での蒸気検知を加えた4種類のいずれかを備えることになります。
このほか、配管を地下に埋設する場合は告示で定める検知口を別途設けることも義務付けられています。
どの方式を採るかによって点検で確認すべき記録の中身も変わるため、まず自分の配管がどの方式を採用しているかを押さえておく必要があります。

漏えいって、どうやって自動で気づくんですか。

流量や圧力の変化を測定する装置が4種類定められています。
次はこれらがどう連動するのかを見ていきましょう。

安全制御装置は個別装置の寄せ集めなのか

配線がすべてつながっていればポンプが動き一本切れていれば止まることを対比したイメージ
圧力安全装置と漏えい検知装置、それぞれの基準は前の章までで確認しました。
ここで見落としやすいのは、これらが単体で機能を完結させているわけではないという点です。 個々の保安設備が正常でも、安全制御装置そのものに不具合があればポンプは動きません
規則第二十八条の三十第一号は、圧力安全装置・漏えい検知装置・緊急しゃ断弁・感震装置という複数の設備の制御回路がすべて正常であることが確認されなければポンプが作動しないという起動条件を定めています。
つまり配管を動かせるかどうかは、個々の装置の合否ではなく、これらをつなぐ制御回路全体が正常かどうかで決まります。
点検で個々の装置だけを確認し、装置間をつなぐ制御回路そのものの確認を後回しにすると、条文が求める確認の半分しか済ませていないことになります。

個別の装置がそれぞれ正常でも、安心はできないんですか。

安全制御装置そのものに不具合があればポンプは動きません
最後に点検で確認すべき点を見ていきましょう。

移送取扱所の点検で何を確認すればよいのか

担当者が制御盤の表示灯を点検簿と照らし合わせて確認しているイメージ
ここまでの内容を、実際の点検でどう確認に落とし込むかを整理します。
確認すべき対象は、個々の装置と装置間の連動の2段構えです。 点検ではまず、圧力安全装置と漏えい検知装置それぞれの作動記録を個別に確認します
圧力安全装置の設定値が最大常用圧力の1.1倍を超えていないか採用している漏えい検知の方式が何であるかをまず押さえます。
そのうえで、規則第二十八条の三十が求める連動条件、つまり起動時のインターロックと異常時の連動停止が実際に動作するかを、保安管理者の点検記録で確認してください。
装置ごとの記録だけを見て連動テストの記録を確認しないと、条文が求める点検の一部を見落とすことになります。

点検では、装置ごとに見るだけでいいわけじゃないんですね。

はい、装置単体だけでなく連動条件そのものの確認が必要です。
これで確認の流れが一通り整いました。

よくある質問

Q圧力安全装置は具体的に何を防ぐための装置ですか?
A配管内の圧力が最大常用圧力を超えることや、油撃作用によって最大常用圧力の1.1倍を超えることを防ぐ装置です。危険物の規制に関する規則第二十八条の三十一に定められています。
Q漏えい検知装置は何種類ありますか?
A規則第二十八条の三十二に、蒸気検知・流量測定・圧力測定・圧力を静止させて測る方式の4種類が定められています。配管を地下に埋設する場合は、別途検知口の設置も必要です。
Q安全制御装置と緊急しゃ断弁は同じものですか?
Aいいえ、別の設備です。緊急しゃ断弁は配管を実際に閉じる弁そのもので、安全制御装置は緊急しゃ断弁や圧力安全装置、漏えい検知装置などの制御回路をとりまとめ、正常確認と異常時停止の判断を担う仕組みです。
Q安全制御装置に不具合があると配管はどうなりますか?
A規則第二十八条の三十第一号により、制御回路が正常であることが確認されなければポンプは作動しません。個々の保安設備が正常でも、安全制御装置そのものに不具合があれば起動できない仕組みです。

まとめ

配管系には圧力安全装置(規則第二十八条の三十一)の設置が義務付けられます
圧力安全装置は最大常用圧力を超えず、油撃作用でも1.1倍を超えないように制御します
漏えい検知装置は流量測定・圧力測定など4種類が条文で定められています
これらの保安設備は安全制御装置(規則第二十八条の三十)という一つの回路に統合されています
安全制御装置には全回路が正常でなければポンプが作動しないインターロック機能があります
異常時はポンプと緊急しゃ断弁等が自動または手動で連動して停止・閉鎖します
点検では個々の装置だけでなく連動条件そのものを確認する必要があります

分かりました、連動条件も含めて点検記録を確認してみます!

配管の安全制御装置の点検は分かりにくいので、迷ったら早めにご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第十八条の二
  • 危険物の規制に関する規則第二十八条の三十(安全制御装置)
  • 危険物の規制に関する規則第二十八条の三十一(圧力安全装置)
  • 危険物の規制に関する規則第二十八条の三十二(漏えい検知装置等)
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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