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移送取扱所の配管はなぜ地上に設置すると地面から浮かせるのか|住宅との水平距離と衝突対策で分かれる基準を解説

移送取扱所の配管を地上に設置するとき配管を点検する作業員のイメージ写真

移送取扱所の配管は、地下だけでなく地上に設置されることもあります。
危険物の規制に関する規則は、この地上設置についても守るべき基準を定めていますが、内容は空地の幅だけではありません。
住宅との距離や地震・衝突への備え、他の工作物との間隔まで、条文は場面ごとに求める対策を分けています。
この記事では、地上に設置する配管が満たすべき基準を、空地の幅以外の項目まで条文から整理します。

うちの配管、地上に置くときは空地の幅さえ守れば十分だと思っていました。

いいえ。
住宅との距離や地震・衝突への備え、他の工作物との間隔まで、条文は別々に定めているんです。

空地の幅以外にも、そんなに項目があるんですね。

はい。
今日は、地上に設置する配管の基準を条文から解説します。

この記事の結論
  • 配管は地表面に接しないよう、支持物で浮かせて設置しなければなりません
  • 住宅や学校などとの水平距離は、規則ではなく告示で個別に定められています
  • 配管は地震・風圧・地盤沈下・温度変化による伸縮等に対し安全な構造の支持物で支える必要があります
  • 自動車や船舶の衝突による損傷のおそれがある場合に限り、告示に基づく防護設備が必要です
  • 他の工作物とは、維持管理上必要な間隔を確保しなければなりません

地上設置の配管基準は建築物との距離と耐震支持構造と衝突防護設備と他工作物との間隔の四段階からなり告示委任の細目を確認することを示す図解

移送取扱所の配管を地上に設置するとき配管はなぜ地表面から浮かせるのか

支持物で地表面から浮かせて設置された地上設置の配管
移送取扱所の配管を地上に設置する場合、まず問題になるのが配管そのものの置き方です。
条文は空地の幅だけでなく、配管の状態そのものについても定めています。
危険物の規制に関する規則第28条の16第1項第一号(地上設置) 配管は、地表面に接しないようにすること。
地上設置の配管は、地面に直接触れさせません。
規則第28条の16第1項第一号は、配管を地上に設置する場合、地表面に接しないようにすることを求めています。
地下に埋める場合とは逆に、地上設置では配管を宙に浮かせた状態で保持する構造が前提になります。
支持物そのものの仕様は別の号で扱われるため、この号自体は「接しないこと」という状態だけを定めています。
次の見出しでは、周囲の住宅との距離について確認します。

地上に置く配管は、地面に接していても問題ないと思っていました。

いいえ、規則は地表面に接しないことを求めています。
次は周囲との距離を見てみましょう。

住宅や学校からどれだけ離せば地上設置の配管は認められるのか

地上設置の配管と住宅との水平距離を測る様子
配管そのものの状態とは別に、周囲の施設との距離も定められています。
こちらも規則本体には具体的な数値が出てきません。
危険物の規制に関する規則第28条の16第1項第二号(地上設置) 配管(移送基地の構内に設置されるものを除く。)は、住宅、学校、病院、鉄道その他の告示で定める施設に対し告示で定める水平距離を有すること。
距離の具体的な数値は、規則には出てきません。
規則第28条の16第1項第二号は、移送基地の構内に設置されるものを除き、配管が住宅・学校・病院・鉄道その他告示で定める施設に対し、告示で定める水平距離を有することを求めています。
つまりこの号も、「距離を確保せよ」という枠組みだけを規則が定め、実際の数値は告示側に委ねる二重構造になっています。
現場で確認するときは、規則の号番号だけでなく、参照先の告示まで当たらないと具体的な数値には行き着けません。
次の見出しでは、地震や地盤沈下といった自然の力に対する備えを確認します。

住宅からの距離も、規則にそのまま数字が書いてあると思っていました。

いいえ、そこは告示側の数値を確認する必要があります。
次は地震や地盤沈下への備えを見てみましょう。

地震や地盤沈下に対して配管の支持構造はどう備えるべきか

耐震ブレース付きの支持物で支えられた地上設置配管
配管を浮かせて設置するということは、支持物自体の強さも問われるということです。
条文は支持物が備えるべき力の種類を列挙しています。
危険物の規制に関する規則第28条の16第1項第四号(地上設置) 配管は、地震、風圧、地盤沈下、温度変化による伸縮等に対し安全な構造の支持物により支持すること。
支持物には、複数の力への備えが同時に求められます。
規則第28条の16第1項第四号は、配管を地震・風圧・地盤沈下・温度変化による伸縮等に対し安全な構造の支持物により支持することを求めています。
地下に埋める配管であれば周囲の土がある程度力を分散しますが、地上に設置する配管は支持物だけでこれらの力を受け止める必要があります。
条文は個々の力ごとの許容値までは示していませんが、想定すべき力の種類を並べて示している点が実務上の手がかりになります。
次の見出しでは、これとは別に外部からの衝突への備えを確認します。

支持物は、頑丈に作ってさえあれば十分だと思っていました。

いいえ、地震・風圧・地盤沈下・伸縮という複数の力を想定した構造が必要です。
次は衝突への備えを見てみましょう。

自動車や船舶の衝突から配管を守るにはどんな設備が必要か

自動車の衝突から地上設置の配管を守る防護柵
支持物の強度だけでなく、外部からの衝突も想定しておく必要があります。
ただし、この号はすべての配管に一律で及ぶわけではありません。
危険物の規制に関する規則第28条の16第1項第六号(地上設置) 自動車、船舶等の衝突により配管又は配管の支持物が損傷を受けるおそれのある場合は、告示で定めるところにより防護設備を設置すること。
衝突のおそれがある場所だけ、防護設備が必要になります。
規則第28条の16第1項第六号は、自動車・船舶等の衝突により配管または配管の支持物が損傷を受けるおそれのある場合に限り、告示で定めるところにより防護設備を設置することを求めています。
すべての地上設置配管に一律で防護設備を義務づけているわけではなく、衝突のおそれの有無という条件付きの規定になっている点に注意が必要です。
防護設備の具体的な仕様は、ここでもまた告示側に委ねられています。
次の見出しでは、配管の周囲にある他の工作物との関係を確認します。

うちは道路のそばに配管を通す予定ですが、必ず防護設備が要りますか。

衝突のおそれがあるかどうかで判断が分かれます。
次は他の工作物との間隔を見てみましょう。

他の工作物との間隔は維持管理でどう確保すればよいのか

地上設置の配管と他の工作物との間隔を確認する作業員
ここまでの基準を満たしたうえで、周囲の他の工作物との関係も確認する必要があります。
最後に実務での確認の流れを整理します。
危険物の規制に関する規則第28条の16第1項第七号(地上設置) 配管は、他の工作物(当該配管の支持物を除く。)に対し当該配管の維持管理上必要な間隔を有すること。
間隔の目的は、点検や補修のしやすさです。
規則第28条の16第1項第七号は、配管について、当該配管の支持物を除く他の工作物に対し、当該配管の維持管理上必要な間隔を有することを求めています。
地下埋設の規定が0.3メートル以上という具体的な数値を定めていたのに対し、こちらは数値を示さず、点検や補修という目的から間隔を求める書き方になっています。
実務ではまず、自社の配管がどの号に該当する条件下にあるか(住宅等との位置関係、地震・風圧等への支持構造、衝突のおそれの有無、周囲の工作物の配置)を洗い出します。
そのうえで、設計時の計算書や施工記録に、告示が求める水平距離・支持構造・防護設備が反映されているかを一つずつ突き合わせます。

うちの配管の施工記録が残っているか、まず確認してみます。

記録が見つかれば、該当する号ごとに突き合わせられます。

よくある質問

Q住宅との水平距離は、具体的に何メートル必要ですか?
A規則第28条の16第1項第二号は具体的な数値を定めておらず、告示で定める水平距離に従う必要があります。施設の種類ごとの数値は告示側で確認します。
Q地上設置の配管には、必ず防護設備を付けなければなりませんか?
Aいいえ。自動車や船舶等の衝突により損傷を受けるおそれがある場合に限り、告示で定める防護設備の設置が必要です。
Q支持物が満たすべき力の種類は決まっていますか?
A規則第28条の16第1項第四号は、地震・風圧・地盤沈下・温度変化による伸縮等に対し安全な構造とすることを求めています。
Q他の工作物との間隔は、数値で決まっていますか?
Aいいえ。規則第28条の16第1項第七号は数値を示さず、維持管理上必要な間隔という目的から間隔を求めています。

まとめ

移送取扱所の配管を地上に設置する場合は、地表面に接しないよう支持物で浮かせる必要があります
住宅や学校などとの水平距離は、規則ではなく告示で個別に定められています
配管は地震・風圧・地盤沈下・温度変化による伸縮等に対し安全な構造の支持物で支えます
自動車や船舶の衝突のおそれがある場合に限り、告示に基づく防護設備が必要です
他の工作物とは、維持管理上必要な間隔を確保しなければなりません
支持物の仕様や防護設備の細目は、規則ではなく告示側で確認する必要があります
まずは該当する号ごとに設計記録や施工記録が残っているかを確認してください

地上に置くだけでこんなに条件があるとは知りませんでした

まずは該当する号の洗い出しから始めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第28条の16

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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