屋外貯蔵タンクの安全対策というと、タンク本体や防油堤に目が向きがちです。
しかし液体の危険物を移送するための配管にも、タンクと同じように地震への備えが義務付けられています。
さらに容量が一万キロリットル以上のタンクでは、非常時に配管を閉められる弁の設置まで求められます。
この記事では屋外貯蔵タンクの配管に課される地震対策と緊急遮断弁の基準を、条文に沿って解説します。
うちのタンクの配管、地震のとき大丈夫なのか気になっています。
実は配管そのものにも、地震対策と緊急遮断弁の基準が別々に定められているんですよ。
緊急遮断弁って、どのタンクにも付いているものなんですか。
いえ、条件を満たすタンクだけです。
順番に見ていきましょう。
- 液体の危険物を移送するための配管は地震等により結合部分に損傷を与えないよう設置しなければならない
- 緊急遮断弁の対象は容量が一万キロリットル以上の屋外貯蔵タンクである
- 弁は配管とタンクの結合部分の直近に設けなければならない
- 弁は遠隔操作によって閉鎖できる機能を備える必要がある
- 弁には予備動力源の確保も義務付けられている
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目次
屋外貯蔵タンクの配管はなぜ地震対策が必要なのか

地震のときに両者が別々の動きをすると、つなぎ目に力が集中します。
タンク本体は重量があり基礎にも固定されているため揺れ方が緩やかですが、地上を這う配管は揺れ方が異なり、両者をつなぐ結合部分に無理な力がかかりやすくなります。
このため結合部分に損傷を与えない設置方法が条文で義務付けられており、実務では可とう性のある継手を使う設計が広く採られています。
根拠は政令第十一条第一項第十二号の二で、配管の位置・構造・設備を定める号の一つとして置かれています。
配管の途中がゆるやかに曲がっているのは、そういう意味だったんですね。
そうです、結合部分に力が集中しないようにする工夫です。
どのタンクの配管に緊急遮断弁が必要になるのか

対象になるかどうかは、二つの条件で決まります。
「移送するための配管」とは危険物を出し入れするために接続された配管を指し、計測用の細い配管などはここに含まれません。
容量の要件も明確で、一万キロリットルに満たないタンクにはこの規定そのものが適用されません。
二つの条件をどちらも満たしたときにだけ、緊急遮断弁の設置義務が生じます。
うちのタンクは一万キロリットルに届かないので対象外ということですね。
容量が足りなければ、この規定の対象にはなりません。
緊急遮断弁にはどんな性能が求められるのか

ここは規則が具体的に定めています。
現場で手動だけで閉める弁ではなく、離れた場所からの操作で閉鎖できる構造でなければなりません。
さらに、停電などで通常の電源が絶たれた場合でも操作できるよう、予備動力源の確保が義務付けられています。
条文は具体的な機器や方式までは指定していませんが、二つの機能をどちらも満たさない弁は基準を満たしません。
停電したら遠隔操作もできなくなるんじゃないかと思っていました。
そこで予備動力源の確保が義務になっているんです。
実務で見落としやすいのはどこか

もう一つ、別の制度と混同しやすい点もあります。
そこに、ここまで見てきた地震対策と緊急遮断弁が上乗せされるという構成です。
見落としやすいのは弁の設置位置で、条文は「結合部分の直近」と定めており、タンクから離れた配管の途中に設けても要件を満たしません。
また、移送取扱所の配管にも緊急遮断弁の規定がありますが、こちらは別の政令の規定に基づくもので、根拠条文も対象施設も異なるため混同しないようにします。
パイプラインの緊急遮断弁とはまた別物なんですね。
はい、根拠条文も対象施設も違うので混同しないようにしましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

明日からできることから始めましょう。
- 自社のタンクが容量一万キロリットル以上で液体の危険物を移送する配管を持つかを許可証や設計図書で確認する
- 該当する場合、配管とタンクの結合部分の直近に緊急遮断弁が設置されているかを確認する
- 弁が遠隔操作で閉鎖できる状態にあるかを定期的な作動確認で点検する
- 予備動力源が正常に機能するかを保守記録で確認する
- 配管とタンクの結合部分に、地震対策として可とう性のある継手等が使われているかを確認する
気になる点があれば、専門業者や所轄消防署に相談することをおすすめします。
次の点検で、弁と予備動力源の両方を確認してきます。
それが一番確実な方法です。
分からないことがあればいつでもご相談ください。
よくある質問
まとめ
配管まで地震対策が要るとは知りませんでした。
容量が大きいタンクほど、確認すべき項目も増えます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第十一条第一項第十二号・第十二号の二・第十二号の三
- 危険物の規制に関する規則第二十一条の六
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。




